
グラフが示すように、共和党のMcCain(マケイン)候補者に投票した男性のテストステロンが急激に下がり、民主党のObama(オバマ)候補者に投票した人たちは、上昇はしていませんが、安定しています(通常夜になるとテストステロンは低下するので、安定ということは理論的には上昇といえるそうです)。女性は特に変化がなく、共和党支持者の男性たちの気持ちが、これを見る限りだとかなり打ちのめされた状態であることが見えてきます。
私は、今まで、あまりオバマ大統領への極端で感情的な個人攻撃や批判をする人のことをエントリしてきませんでした。
- 「オバマはケニアで生まれたので大統領の資格はない」
- 「オバマは白人を憎む人種差別主義者」
- 「オバマはヒットラーと同じファシスト」
- 「オバマは社会主義者」
- 「オバマは共産主義者」etc.
理由の一つは、批判のポイントが論議するまでもなく馬鹿げていることと、もう一つはこうした理不尽な理由でオバマ批判する人たちの多くが南部エリアに居住しているということからです。これは、極端な言い方をすれば「やはりアメリカはいまだに南北戦争および公民権運動の後遺症を引きずっている」と感じられるからです。ただ、問題は今年に入って、ラジオのトークショウのRush Limbaugh(ラッシュ・リンボー)が「オバマ政権の失敗を願う」とか、Fox NewsのホストのGlenn Beck(グレン・ベック)が「オバマは白人を憎む人種差別主義者」といった、非常に極端に感情的な表現で、本質的にオバマ大統領を受け入れられない人たちを煽り始めている点です。こうしたケーブルTVやラジオ局の扇情的な報道(事実に基づいていないのでコメントというべきだと思いますが)が、意識下に眠っている感情を掘り起こして、過激な表現でオバマ政権を批判するという行動を顕在化させて、問題を悪化させている、そんな気がします。リンボーやベックが、パブリックなメディアで、オバマ大統領の人種に絡んだ表現をしたことは、今までは触れたくない、あるいは触れるべきではないといった問題を、「堂々と言ってもかまわない」という方向へ導いたようです。
これが、この「男性ホルモン(テストステロン)」の低下と関係があるとは言いませんが、このスタディの分析では、共和党支持者の男性は「強制的に服従させられたような惨めな気持ち」と発言しています。この「強制的に服従させられたような」という言葉には、非常にDeepなものが潜んでいるような気がします。
「人間は政治的な動物」ですし、男性は生物学的に常に自分と他者とのチカラ関係を量って生きていく習いがあります。米国大統領という政治世界における最も強力なパワーを持つポジションを「オバマに奪われた」と思っている人たちは、深層心理の中にかなりの根深い感情が渦巻いているのかもしれません。