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ひさみをめぐる冒険
サンフランシスコ・シリコンバレー在住マーケターのINSIGHT(洞察)



2008年米国大統領選挙:「妻たちの戦い①:Michelle(ミシェル) vs. Cindy(シンディ)」

6/19/2008

 
大統領選もObama(オバマ)とMcCain(マケイン)の間で、ヒートアップしてきていますが、もう一つの戦いとして、彼らの妻たちへの関心が大きく高まっています。昨日のABC News/Washington Post の調査によると、Michelle Obama(MO: ミシェル・オバマ)とCindy McCain(CM: シンディ・マケイン)に関する、有権者の好意度の調査データがでています。

一般有権者の2人に対する好意度は、以下で、ミシェルが8ポイントリードしています。但し候補者の妻に対する評価で、候補者自身への投票に影響が出ると答えている人は、わずか16%ですので、妻たちへの数字をことさら重要視する必要はないとする見方もあります。

  • 好き: MO 48% vs. CM 39%
  • 嫌い: MO 29% vs. CM 25%
  • 特に意見はない:MO 23%  vs. CM 36%


個別のデモグラフィーで見てみると、
  • 女性一般の好意度: MO 54% vs. CM 40%
  • フェミニスト(男女を含む)の好意度: MO 60% vs. CM 33%
  • ノンフェミストの好意度: MO 45% vs. CM 41%
  • 民主党あるいはリベラルな人の好意度: MO 66%
  • 黒人の好意度: MO 84%
  • ヤングアダルト(18-29歳)の好意度: MO 61%
  • オバマ支持者の好意度: MO 73%
  • 共和党支持者の好意度: CM 62%
  • マケイン支持者の好意度: CM 56%
  • コンサーバティブ(保守)の好意度: CM 46%


女性一般ではミシェルが14ポイント、シンディに差をつけていますが、これは民主党が共和党より女性有権者の多く抱えることから考えると妥当な数字です。目立つのはシンディがコンサーバティブな支持者から46%しか獲得出来ていないのに比べて、ミシェルはリベラルな有権者から66%、20ポイントも多く獲得している点です。マケイン自身が、共和党の中心を占める、キリスト教のEvangelicalsと呼ばれる保守派から絶対的な支持を獲得できていない現状が、妻の好意度にも反映されています。

プリンストン大学卒、ハーバードで弁護士資格を獲得し、弁護士、シカゴのパブリックサービス、大学や病院でエグゼクティブとして勤務してきた、成功したキャリアを持つミシェル・オバマは、「Closer」と呼ばれて、自分の意見をストレートに話す情熱的な女性です。夫の全米キャンペーンでも、彼の代わりとなって、スピーチを行い、サポーターには熱狂的に受け入れています。ただし、彼女のそのストレートトークが、2月に大きな波紋を巻き起こしてしまいました。以下が彼女の発言です。

「For the first time in my adult life I am really proud of my country. And not just because Barack has done well, but because I think people are hungry for change.(人々が変革を渇望していることを目の当たりにして、成人した自分にとって、初めてアメリカを本当に誇りに思う)」

この発言によって、彼女は「反愛国的な怒れる黒人女性」というレッテルを貼られて、多くの批判を浴びました。シンディ・マケインは、この発言に反応して、「Everyone has their own experience. I don't know why she said what she said. All I know is that I have always been proud of my country.(誰でもおのおの独自の経験がある。私はなぜ彼女がこのような発言をしたかは知らないが、私は常にアメリカを誇りに思っている)」と言い返しています。共和党は、ミシェルの発言をもとに、彼女の愛国心を疑う誹謗キャンペーンの広告を流したり、オンラインでは多くの「アンチ・ミシェル」のBad Mouth (悪口のWOM:クチコミ)を展開しています。

ここでのポイントは、共和党のミシェルへの誹謗には、「Sexism(女性差別)とRacism(人種差別)」が微妙に織り交ぜて訴求されている点です。「出る杭は打たれる」ではありませんが、メディアも含めて、「強い女性」への反感は根強く、それに黒人という人種が絡んでいるので、彼女への批判は、Nastyな印象を与えています。その後もコンサーバティブなケーブルTV局のFoxは、彼女を「Obama's Baby Mama(未婚で子供を持った母親の意味)」と呼ぶなど、さまざまな批判にさらされています。

大統領夫人Laura Bush(ローラ・ブッシュ)も、ミシェルの発言への非難はまちがってると彼女を擁護するコメントを出していますが、私を含めて女性たちは、こうした共和党や保守派メディアのミシェルへの誹謗には反発しているのは事実です。ミシェルは、昨日ABCの人気トークショウ「The View」に登場して、有名な「Pound (=Fist Bump)」もユーモアを交えて紹介し、自らの言葉で批判されている発言の説明を試み、さまざまな話題を正直に語り、好評を博しました。

ミシェルは、5フィート11インチ(180.34cm)とモデルのように背が高く、ファッションセンスのよさでも定評があり、どんな格好で現れるかは常に女性たちの関心事です。彼女が昨日のショウで着ていたスリーブレスのワンピースも、思わず共演者がどこで買ったと聞いたぐらいよく似合っており、彼女がニューヨークのWhite House Black Marketで148ドルで買ったと発言して、高価なドレスではなくても、センスよく着こす彼女への好感度はまた高まったようです。

2008年は「大統領夫人の変革」も実現しそうです。

アップデイト:The ViewでMichelle Obama(ミシェル・オバマ)が着ていた148ドルのドレスは、あっという間に、売り切れとなり大騒ぎとなっています。かつてJacqueline Kennedy(ジャクリーン・ケネディ)が、ファッショントレンドをセットアップしたように、「ミシェルはファッションアイコンか?」と、メディアは騒いでいます。ジャッキーのドレスは、オレグ・カッシーニ、ジバンシー、シャネルが担当して、当時彼女は、米国人デザイナーのドレスを選ばないと言って、非難されていました。それでも彼女が着たオートクチュールのドレスは、多くの米国のマスマーケットの製造会社にコピーされて、あっという間に、米国女性の間に広まっていきました。ミシェルは、地元シカゴのデザイナーのドレスも着るが、自分が気に入ればマスマーケットでもなんでも着ていると答えています。

今回の彼女のドレスのポイントは、148ドルで買えるところで、今の時代を現しています。正直言って、私も、このブラックアンドホワイトのスリーブレスドレスは好きなデザインなので、148ドルだったら、買います(身長が低い私は似合うかどうかはわかりませんが。笑)。





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    大柴ひさみ

    日米両国でビジネス・マーケティング活動を、マーケターとして、消費­者として実践してきた大柴ひさみが語る「リアルな米国ビジネス&マーケティングのInsight」

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