そんなベイエリアのPleasantonにバイオテクノロジーの会社Fulcrum BioEnergyが、初の商業ベースで、「家庭内のごみからエタノール燃料をつくるバイオ燃料プラント」を、ネヴァダ州のRenoから10マイル離れたところに建設することを発表しました。このプラントでは、2010年までに、毎年家庭から出される9万トンのごみを精製して、1050万ガロンのエタノールをつくりだすという計画です。プラントの創設費用は、1億2000万ドルですが、なるべくこの費用を抑えて、エタノールの価格を1ガロン1ドル以下に押さえることを目標にしています(現在のこの会社の製造するエタノール価格は1ガロン2.40ドル)。
このゴミは通常はただそのままゴミ捨て場の土地に捨てられるものなので、「ゴミ処理問題の解決」、「継続的利用な燃料」、「低価格」、「エコフレンドリー」という、、「1石4鳥」のアイディアといえます。
米国では、バイオエタノール燃料は、コーンから生成されていますが、政府のバイオエタノール奨励政策で、農家には1ガロンのエタノール生成につき51セントの補助金が支給されるために、農家は食品としてではなくエタノール用にコーンを作ることにフォーカスし始めています。そのためコーンの農産物としての価格が上昇しています。2008年のコーンの収穫の34%はエタノール燃料に使用されると予測されており、農産物価格は25%も増加するとも推測する専門家もいます。米国の2007年のエタノール燃料の生産量は70億ガロンで、今年は130億ガロンにまで達するといわれており、政府は2015年までに150億ガロンのエタノール生産を目標としています。米国では、エタノール燃料なしでは1ガロンにつき20から35セントのガソリン価格増となるので、米国の年間ガソリン消費量1400億ガロンを考えると、エタノール燃料によって、280億ドルから490億ドルのセービングとなります。こうしたエタノールの役割を考えると、単純にコーンの農産物価格上昇に不満を漏らすことはできません。
「家庭内のゴミ」は、どうやっても必ず出てくるものです。これをなるべく家庭から近い場所で、「エタノール」に変えられるとしたら、「ゴミの輸送」のエネルギーが軽減して、ここでもガソリン消費が減っていきます。とにかくさまざまな知恵を絞って、よりエコロジカルにエネルギー消費が出来る工夫は、これからのビジネス経営に必須な要素です。これが抜けたビジネス戦略は、消費者も納得しないビジネスとなります。経営レベルから始まって、マーケティング、顧客サービスなど、企業が全社レベルで、この課題に取り組む、この意識がよりクリエイティブなアイディアを生んで、ビジネスの成功につながっていくと思います。簡単ではありませんが、チャレンジしなければならないことです。