ひさみをめぐる冒険
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サンフランシスコ・シリコンバレー在住マーケターのINSIGHT(洞察)



クリントンが負けた理由②「War Vote(イラク戦争開始への賛成投票)」

6/20/2008

 
6/11のエントリで「Clinton(クリントン)が負けた6つの理由」として、以下の要因をあげました。

  1. Change vs. Experience(経験を盾にして、変革を求める米国民の声を読み間違えた)
  2. War Vote(イラク戦争開始への賛成投票。さらにそれが間違いであると認めなかったこと)
  3. Dysfunctional Campaign(戦略ミスと内部分裂で機能しなかったキャンペーン)
  4. Overconfidence(クリントンブランドへの過信)
  5. Bill Clinton(元大統領ビル・クリントンが巻き起こした舌禍)
  6. Sexism(女性差別のカードを引いた)


今日はこの中で、第2番目の理由について書いてみます。

イラク戦争は、イラクが大量破壊兵器を保有するという疑惑に対して、国連の無条件査察を受け入れなかったために、2003年3月19日米英中心にした連合軍がイラクに参戦しました。詳細は別にして、2004年10月アメリカが勝利宣言を行った後、派遣された査察団は、「大量破壊兵器が存在しないこと」を報告して、その後さまざまな証言の中で、ブッシュ政権が当初からこの事実を知りながらも意図的な情報操作をして、開戦に踏み切らせたという疑惑が生まれています。また、戦犯として処刑されたサダム・フセイン大統領とアルカイダとの関係を証明する証拠も発見されず、米国民にとっては、この戦争は「参戦理由のない戦争で、イラク国内の宗教的泥沼に足を踏み入れた」という、大きな不満を呼び起こしています。多くの市民や兵士の死傷者数の増加、さらに莫大なコスト(戦費)は、イラクからの脱出の足がかりのないブッシュ政権への批判を増大させています。

こうした背景の下で、昨年大統領候補選挙がスタートしました。Obama(オバマ)の最も大きなCredential(クレデンシャル:資格推薦状)は、「参戦投票において、自分は最初から反戦を唱えた」という点です。当時は、911の直後で、テロ攻撃への不安が渦巻く中、ブッシュ政権、共和党、民主党のほとんどの人たちが、「対テロ対策」のために、「イラク戦争への参戦を支持する」というムードが蔓延していました。クリントンもご多分に漏れず、賛成投票を投じており、これが今回の予備選で大きな足かせとなって、彼女の「Judgment(判断)」に関する疑問と批判を生じさせました。

ここでのポイントは、彼女はこの「戦争参戦への賛成投票」の「非」を、キャンペーン中に認めなかったことで、何回も言い方を変えて(ある意味で詭弁)、彼女は自分の非を是正しようと試みています。これが、実は大きな誤算で、彼女同様に賛成投票をしたJohn Edwards(ジョン・エドワーズ)は、はっきり自分の非を認めて、後悔の念を表明したのとは異なり、「言い逃れ」をしようとしたクリントンは、「信頼性」を失ってしまいました。

アメリカ人は、「失敗を経験と考える」ので、過ちを素直に認めて、この失敗を活かして、大きく成功する人を尊敬します。シリコンバレーのベンチャーキャピタリスト(VC)は、失敗を一度もしたことがないアントレプレナーには投資をしないという暗黙のルールがあります。理由は簡単で、大きな見返りを期待するVCにとって、大きな成功をもたらすアントレプレナーは、「リスクをとる(=失敗を恐れない)人」だからです。

米国企業のリスクマネジメントで最も重要なことは、失敗をした際に、即座に行動を起こすことと、真摯な態度でその失敗を認めて迅速に修復作業にかかることです。「起きてしまったことの言い訳」をクドクドされることは、誰もが最も嫌がることです。クリントンの本当のミスは、ミスジャッジをしたことを認めない頑固さと、言い訳で逃れようとしたAttitude(態度)にあったと思います。

ただし、言い方を変えると、政治経験が浅いオバマが民主党大統領候補になれた最も大きな要因は、「反戦投票」にあり、彼のこの「Judgment(判断)」がなければ、彼はクリントンに勝てなかった可能性もあり、クリントンの「賛成投票」は大きな代償を払ったといえます。


2008年米国大統領選挙:「妻たちの戦い①:Michelle(ミシェル) vs. Cindy(シンディ)」

6/19/2008

 
大統領選もObama(オバマ)とMcCain(マケイン)の間で、ヒートアップしてきていますが、もう一つの戦いとして、彼らの妻たちへの関心が大きく高まっています。昨日のABC News/Washington Post の調査によると、Michelle Obama(MO: ミシェル・オバマ)とCindy McCain(CM: シンディ・マケイン)に関する、有権者の好意度の調査データがでています。

一般有権者の2人に対する好意度は、以下で、ミシェルが8ポイントリードしています。但し候補者の妻に対する評価で、候補者自身への投票に影響が出ると答えている人は、わずか16%ですので、妻たちへの数字をことさら重要視する必要はないとする見方もあります。

  • 好き: MO 48% vs. CM 39%
  • 嫌い: MO 29% vs. CM 25%
  • 特に意見はない:MO 23%  vs. CM 36%


個別のデモグラフィーで見てみると、
  • 女性一般の好意度: MO 54% vs. CM 40%
  • フェミニスト(男女を含む)の好意度: MO 60% vs. CM 33%
  • ノンフェミストの好意度: MO 45% vs. CM 41%
  • 民主党あるいはリベラルな人の好意度: MO 66%
  • 黒人の好意度: MO 84%
  • ヤングアダルト(18-29歳)の好意度: MO 61%
  • オバマ支持者の好意度: MO 73%
  • 共和党支持者の好意度: CM 62%
  • マケイン支持者の好意度: CM 56%
  • コンサーバティブ(保守)の好意度: CM 46%


女性一般ではミシェルが14ポイント、シンディに差をつけていますが、これは民主党が共和党より女性有権者の多く抱えることから考えると妥当な数字です。目立つのはシンディがコンサーバティブな支持者から46%しか獲得出来ていないのに比べて、ミシェルはリベラルな有権者から66%、20ポイントも多く獲得している点です。マケイン自身が、共和党の中心を占める、キリスト教のEvangelicalsと呼ばれる保守派から絶対的な支持を獲得できていない現状が、妻の好意度にも反映されています。

プリンストン大学卒、ハーバードで弁護士資格を獲得し、弁護士、シカゴのパブリックサービス、大学や病院でエグゼクティブとして勤務してきた、成功したキャリアを持つミシェル・オバマは、「Closer」と呼ばれて、自分の意見をストレートに話す情熱的な女性です。夫の全米キャンペーンでも、彼の代わりとなって、スピーチを行い、サポーターには熱狂的に受け入れています。ただし、彼女のそのストレートトークが、2月に大きな波紋を巻き起こしてしまいました。以下が彼女の発言です。

「For the first time in my adult life I am really proud of my country. And not just because Barack has done well, but because I think people are hungry for change.(人々が変革を渇望していることを目の当たりにして、成人した自分にとって、初めてアメリカを本当に誇りに思う)」

この発言によって、彼女は「反愛国的な怒れる黒人女性」というレッテルを貼られて、多くの批判を浴びました。シンディ・マケインは、この発言に反応して、「Everyone has their own experience. I don't know why she said what she said. All I know is that I have always been proud of my country.(誰でもおのおの独自の経験がある。私はなぜ彼女がこのような発言をしたかは知らないが、私は常にアメリカを誇りに思っている)」と言い返しています。共和党は、ミシェルの発言をもとに、彼女の愛国心を疑う誹謗キャンペーンの広告を流したり、オンラインでは多くの「アンチ・ミシェル」のBad Mouth (悪口のWOM:クチコミ)を展開しています。

ここでのポイントは、共和党のミシェルへの誹謗には、「Sexism(女性差別)とRacism(人種差別)」が微妙に織り交ぜて訴求されている点です。「出る杭は打たれる」ではありませんが、メディアも含めて、「強い女性」への反感は根強く、それに黒人という人種が絡んでいるので、彼女への批判は、Nastyな印象を与えています。その後もコンサーバティブなケーブルTV局のFoxは、彼女を「Obama's Baby Mama(未婚で子供を持った母親の意味)」と呼ぶなど、さまざまな批判にさらされています。

大統領夫人Laura Bush(ローラ・ブッシュ)も、ミシェルの発言への非難はまちがってると彼女を擁護するコメントを出していますが、私を含めて女性たちは、こうした共和党や保守派メディアのミシェルへの誹謗には反発しているのは事実です。ミシェルは、昨日ABCの人気トークショウ「The View」に登場して、有名な「Pound (=Fist Bump)」もユーモアを交えて紹介し、自らの言葉で批判されている発言の説明を試み、さまざまな話題を正直に語り、好評を博しました。

ミシェルは、5フィート11インチ(180.34cm)とモデルのように背が高く、ファッションセンスのよさでも定評があり、どんな格好で現れるかは常に女性たちの関心事です。彼女が昨日のショウで着ていたスリーブレスのワンピースも、思わず共演者がどこで買ったと聞いたぐらいよく似合っており、彼女がニューヨークのWhite House Black Marketで148ドルで買ったと発言して、高価なドレスではなくても、センスよく着こす彼女への好感度はまた高まったようです。

2008年は「大統領夫人の変革」も実現しそうです。

アップデイト:The ViewでMichelle Obama(ミシェル・オバマ)が着ていた148ドルのドレスは、あっという間に、売り切れとなり大騒ぎとなっています。かつてJacqueline Kennedy(ジャクリーン・ケネディ)が、ファッショントレンドをセットアップしたように、「ミシェルはファッションアイコンか?」と、メディアは騒いでいます。ジャッキーのドレスは、オレグ・カッシーニ、ジバンシー、シャネルが担当して、当時彼女は、米国人デザイナーのドレスを選ばないと言って、非難されていました。それでも彼女が着たオートクチュールのドレスは、多くの米国のマスマーケットの製造会社にコピーされて、あっという間に、米国女性の間に広まっていきました。ミシェルは、地元シカゴのデザイナーのドレスも着るが、自分が気に入ればマスマーケットでもなんでも着ていると答えています。

今回の彼女のドレスのポイントは、148ドルで買えるところで、今の時代を現しています。正直言って、私も、このブラックアンドホワイトのスリーブレスドレスは好きなデザインなので、148ドルだったら、買います(身長が低い私は似合うかどうかはわかりませんが。笑)。




ガソリン高騰:Green(エコフレンドリー)に生活するためには?「例えばHypermile(ハイパーマイル)意識を持つ」

6/17/2008

 
今日は、共和党大統領候補のMcCain(マケイン)が、これ以上外国の石油輸入に依存してガソリンの高騰を招くより、「Offshore oil drilling(海岸沿いのオイル掘削)」によって、依存を抑えるべきだという発言を聞いて、いやな雲行きになってきたと思いました。

27年間モラトリアムとして避けてきた、米国の太平洋、大西洋、北極海(アラスカ近辺)の海岸線の油田開発が許可されれば、いうまでもなく、米国の海洋自然は破壊されていきます。ただし、「花より団子」ではありませんが、この開発を許可すれば、沿岸沿いの州はインセンティブによって、収入が得られるので、応じる州は結構でてくると思われます。カリフォルニアは、州レベルで反対する側に回ると思いますが、もし隣のオレゴン州がこれを許可してしまえば、太平洋岸の海洋自然の破壊は始まってしまいます。これは、「かなり深刻な問題」です。

今の米国民の大きな生活の圧迫は、ガソリンの高騰とそれに伴う物価上昇です。物価の上昇はガソリンに比べればまだ緩やかですが、ガソリンは全米平均が1ガロン4ドルを突破して、5ドルに達するのも時間の問題という感じです。企業は、シャトルバスの本数を増やしたり、テレコミュート(在宅勤務)を薦めたり、また自転車活用で乗り継ぎをしながらクルマを使わずに通勤にしたりと、さまざまな努力でガソリン消費を避けるべく、工夫しています。

こんな状況下で、クルマ通勤者の中には、自分たちの運転技術で、燃費を極限まで抑えようとする「Hypermilers(ハイパーマイラーズ)」も出てきています。Wired.comによれば、彼らは長距離を、40mpg、50mpg、60mpg(1ガロンあたりの走行距離)で走らせることが可能で、燃費を20~30%も向上させているというから驚きです。一種のゲームとして、どこまで燃費を抑えるかを競う、彼らのお薦めのテクニックは以下のようなものです。

  • 制限速度以下で走る(燃費は、60mphを超えると急速に落ちるので、制限速度以上で走ると5mphごとに、1ガロンにつき20セント余分に支払う計算となる)
  • アクセルとブレーキをできる限り使わずに惰性を利用し、惰性で停車できるようにする。コーナーではなるべくブレーキを使わずトラックのような大きなクルマの後ろに回る。


Cleanmpg.comの創設者で、「The King of Hypermilers(ハイパーマイラーズの王)」と呼ばれるWayne Gerdesは、ホンダのシビックのハイブリッドで、シカゴからニューヨークの800マイルを給油なしのシングルタンクで走りきり、65 mpgの記録を作ったそうです。

4年以内に1ガロン7ドルに達すると予測するアナリストもいます。新車購入をするならば、ハイブリッドというのも一理ありますが、その前に個人の努力で少しでも燃費を抑えるということも非常に重要です。我が家は自動車の使用を極力控えており、レクリーエーションと健康のために「自転車」を大いに利用しています。もちろん米国のほかの地域では、ここベイエイリアのように公共の交通機関もなく、自動車以外に移動の手段がない場合が多く、ガソリン高騰は死活問題です。「Hypermiler(ハイパーマイラー)」という意識を持って、少しでもガソリンを使わない工夫をするのも、生活の知恵なのかもしれません。

世界が期待する米国大統領はオバマ(Obama)か、マケイン(McCain)か?

6/16/2008

 
今回の米国大統領選挙が、米国のみならず、全世界の注目を浴びていることは、衆目の一致するところです。以下は、Pew Research Centerによる、世界各国の人たちに問いかけた、民主党のObama(オバマ)と共和党とMcCain(マケイン)は、「どちらが大統領になったほうが自信が持てるか?」という質問への回答です。国によって多少の差がありますが、オバマに期待する国が目立ちます。

  1. 米国: オバマ59% マケイン60%
  2. タンザニア: オバマ84% マケイン50%
  3. フランス: オバマ84% マケイン33%
  4. オーストラリア: オバマ80% マケイン40%
  5. 日本: オバマ77% マケイン40%
  6. 英国: オバマ74% マケイン40%
  7. スペイン: オバマ72% マケイン19%
  8. ブラジル: オバマ58% マケイン35%
  9. 韓国: オバマ56% マケイン31%
  10. ポーランド: オバマ53% マケイン37%
  11. インドネシア: オバマ52% マケイン17% 


米国本国は、1%マケインがリードしていますが、アフリカのタンザニアの84%から始まって、ヨーロッパ、アジア、南米の主要国は、オバマ支持のようです。確かに、現在のブッシュ政権への不満は、世界中にくすぶっています。イラク・アフガン戦争、住宅バブルを放置して崩壊を招いた経済施策、地球温暖化対策への不参加など、世界各国との協調を求めようとしない強硬なブッシュ政権への反発は、各国にあります。彼らが新政権に期待するのは、やはり「Change(変革)」です。この実現は、ブッシュ政権の国家保障および経済政策を踏襲するマケインでは、出来にくいことです。

ただし、米国は、他の国の人が思うほど、「リベラル」ではなく、非常にコンサーバティブな考え方を持つ人が多くいる国です。また、生活の中で、キリスト教の占める比重も大きく、オバマが支持する政策(ゲイの法的権利保護や女性の中絶選択を支持する権利など)は、そうしたキリスト教のエバンジェリストたちの非難の的であり、そのハードルはかなり大きいといえます。また、白人と黒人の両親を持つBiracial(バイレイシャル:複数の人種)であるオバマに対する、人種への抵抗はかなりあるのは事実です。アタマではわかっていても、感情面でまだまだ受け入れにくい人もいて、本当にアメリカ人が「黒人大統領」を受容する準備が出来ているのかという大きな疑問は重くのしかかってきます。

予備選挙と異なり、本選挙のある11月までの5ヶ月間、オバマとマケインの間で繰り広げられる戦いは、両者の違いをより鮮明にした、厳しい戦いが繰り広げられます。まさに米国は「選択の時」を迎えている、そんな気がします。


米国ジャーナリストTim Russertのが突然の死

6/13/2008

 
今、突然、Tim Russertの死を、New York TimesのメールのNews Alertで知って、思わず呆然としてしまいました。

彼は、NBCのシニア政治ジャーナリストとして、毎週日曜日の政治討論番組「Meet the Press」の司会を務め、さまざまな政治ニュースでのゲストコメンテータ、大統領候補者選挙のディベイトではモデレータとして活躍する、米国の政治シーンにおける「顔」です。

その彼が58歳の若さで心臓発作で亡くなるとは、昨日まで誰もが予想しなかったことです。彼は、Time Magazineの2008年「100 most influential people in their world(その業界で最も影響力にある100人)」に選ばれており、1984年にNBCに入社して24年間に及ぶキャリアと実績は、非常に大きなものがあります。

私は、彼の落ち着きのある声が好きでした。変に感情的にならず、穏やかなトーンで厳しい質問をする彼を見ていると、冷静な判断と真実をそこに感じて、納得できました。

日曜日に彼を見られなくなるのは、本当に寂しいです。彼は11月の大統領選の結果を、絶対に知りたかったと思います。本当に残念です。


コンピュータを使えない大統領候補?「PC vs. Mac?」(アップデイト)

6/12/2008

 
いつも大統領選ネタばかり申し訳ないのですが、毎日かなり驚くことが多くて、思わずブログしています。今日の「驚き!!」は、これです。

Yahoo Newsが共和党の大統領候補者に、単純に「あなたのコンピュータは、PCそれとも Macですか?」と聞いたヴィデオがあります。

  • Mike Huckabee(マイク・ハッカビー):PC
  • Ron Paul(ロン・ポウル): PC
  • Mitt Romney(ミット・ロムニー): PC
  • John McCain(ジョン・マケイン): 「Neither, I'm an illiterate that has to rely on my wife for all of the assistance I can get.(どっちでもない。自分はコンピュータが使えないので、妻に頼っている)」
これは、結構衝撃的な事実です。マケインはコンピュータなして、どうやって大統領の仕事をするのかしら?

これで、なぜマケインが、オバマ陣営に「メディアのモデレイターなし、小さなスペースのタウンホールスタイルのディベイトを行いたい」というリクエストを、「手紙」で送ったかが、わかりました。オバマ陣営のコメントは、「マケインは、なぜEメールしないで、郵送したんだろう?」というのが最初の反応だったそうです。

これって、ジェネレーション(71歳 vs. 46歳)の違いでは済まされない、重要なポイントのような気がします。

ちなみに、Hillary Clinton(ヒラリー・クリントン)はPC、Barack Obama(バラク・オバマ)はMacです、これも納得。

アップデイト:マケインのコンピュータとインターネット活用のスキルは、上述のYahooのインタビューの時より、かなり向上しているみたいです?? 彼は、6/9バージニア州の政治献金のためのパーティで、副大統領選びはどうなっているのか?という質問に対して、「"You know, basically it's a Google," "What you can find out now on the Internet -- it's remarkable."(基本はGoogle。本当に驚くべきことだ。インターネットではどんなことでも探せる)」と、ジョークで答えています。この答えに対して、ブログ圏では、コンピュータが使えないくせに、「グーグルする」というジョークで答えるなんて許せないという批判もあり、マケインは早く自分で操作できるようになったほうがいいと思います。


MicroHoo -- Yahoogleへ(YahooとGoogleは検索広告のアウトソーシングで合意)

6/12/2008

 
「Microhoo!」から「Yahoogle」になったようです。

今日、Yahoo!とGoogleは、検索広告のアウトソーシングで合意に達しました。これでは、ヤフーは、年間8億ドル(840億円、1ドル=105円)の収入機会を得て、最初の12ヶ月で2億5000万ドル(262億5000万円)から4億5000万ドル(472億5000万円)のキャッシュフローが可能になるということです。

Icahnの脅しにもめげずに、ヤフーのボードメンバーは、このグーグルとのディールを採択しましたが、マイクロソフトによるアンチトラスト違反のクレームという反撃も予想されて、まだまだ戦いは継続しそうです。ヤフーの株価はこの発表により10%も下落しており、今後もヤフーの道のりは険しいと思います。

5月28日のエントリで書きましたが、CEOのJerry Yangは、D6のコンファレンスで「Googleは好きだ」と発言しましたが、この言葉は真実のようです。MSとの買収劇の決裂をガールフレンドとの別れに例えたJerryは、どうやらMSへの未練はないみたいです。

まさにUGC時代:「誰でも簡単にCM作成」私でも出来ました!

6/11/2008

 
今日は誰でも簡単に自分のCMを作成できるサイトのご紹介です。リクルートのベータサイト

「簡単CM作成サイト:コマーシャライザー」です。

私も自分のCMを作成しました。テンプレートがあるので、写真さえ10枚あれば、それをアップロードして、コピーを入力すれば、わずか30分間ぐらいで完成します。写真はすべて自分で撮影したものです(結構上手でしょう?)。音楽もテンプレートについているので、これはいじれませんが(音量が大きく設定されているので注意してください)、友人にメールで知らせることも可能で、ブログに貼ったりとバイラル化の機能もきちんとついています。

このサイトは、「本当に簡単」に作成できるという消費者心理を掴む「肝」を押えており、これは成功の大きな要因となります。

まさに、「消費者同士がマーケティングしあう時代」です。自己表現の場がどんどん広がっており、「UGC (User Generated Content:ユーザ創出コンテンツ)」を巻き込むことが、「進化するマーケティング」には不可欠です

Clinton(クリントン)が負けた理由①「Change(変革) vs. Experience(経験)」

6/11/2008

 
シリーズエントリです。Hillary Clinton(ヒラリー・クリントン)のObama(オバマ)に負けた理由ですが、以下の6つが考えられます。

  1. Change vs. Experience(経験を盾にして、変革を求める米国民の声を読み間違えた)
  2. War Vote(イラク戦争開始への賛成投票。さらにそれが間違いであると認めなかったこと)
  3. Dysfunctional Campaign(戦略ミスと内部分裂で機能しなかったキャンペーン)
  4. Overconfidence(クリントンブランドへの過信)
  5. Bill Clinton(元大統領ビル・クリントンが巻き起こした舌禍)
  6. Sexism(女性差別のカードを引いた)
これは、政治キャンペーンでありますが、マーケティングの観点から読み取っていくと、現在の有権者(=消費者)の声が見えてきます。

まずは一番からですが、今日のNBC/WSJの数字によると、以下のような有権者の「変革と経験」への声があがっています。

  • 59%:大統領にとって最も重要なことは、アメリカの前進と進歩に注力すること
  • 37%:大統領はアメリカを防衛することに注力すべきだ

  • 54%:例え、あまり経験やテスト(大統領として)を経ていなくても、現在のポリシーを大きく変えることが出来る人が大統領として重要。
  • 42%:例え、現在のポリシーを変えることがあまり出来なくても、経験があってテストを経た人間が大統領としては重要る。


オバマとマケインの大統領としての評価は以下です。
  • Obama(オバマ):47%(5月8日)、46%(4月8日)
  • McCain(マケイン):41%(5月8日)、43%(4月8日)


オバマとマケインはどちらが勝つか?
  • Obama(オバマ):54%
  • McCain(マケイン):30%


こうしたデータを見ても、「経験」を訴えたクリントンが、首尾一貫して「変革」を訴えたオバマに僅差ながらも負けたのが理解できます。

全米平均でガソリンが1ガロン4ドルを突破して、物価およびエネルギーコストの上昇は日常生活に大きな影響を与えており、サプライムローンによる住宅バブルの崩壊、失業率の上昇、消費者の自信指数の低下など、経済の先行きはかなり深刻です。また多くの人たちは、イラク戦争は意味のない理由によってスタートした最悪の戦争という認識を持ち、莫大な戦費の支出は、国民に「どうやったらこの泥沼から脱出できるのか?」という気持ちを植え付けています。ブッシュ政権の支持率は25%と、近年の歴史の中では最低を記録し、多くの国民が大きな「変革」を求めています。

クリントンは、弁護士、知事夫人、大統領夫人、上院議員という彼女のキャリアすべてを「経験」という言葉で包んで、自分は大統領に就任したその日から。すぐに仕事が出来る経験者だと訴えました。ただし、それは、「ブッシュ、クリントン、クリントン、ブッシュ」という過去16年間の既存の政治家の継続にしか見えず、心底この現状を打破したいと思う人たちとはエンゲージできませんでした。

マーケティングにおいて、重要なことの一つは、「時代の風向き」を早くから感じ取る、嗅覚です。オバマは、有名な2004年の民主党大会の演説の時から、足掛け5年間「Change(変革)」を訴えています。彼の嗅覚は、正しかったと思います。




Obama(オバマ)が推奨する「WOM(Word of Mouth: クチコミ)」

6/10/2008

 
今日、印象に残ったYouTubeのオバマ関連ヴィデオは、昨日アップロードされたインディアナ州のサポーターたちとのランチ風景「Lunch with Barack」です。

Q: オバマサポーターは、「11月の本選挙でどんなサポートを必要としているか?」と尋ねたところ、

A: オバマは、「あなたたちの言葉を周囲に広めて欲しい(WOM:クチコミ)。あなたたちの言葉はTV広告以上に信頼性があって、非常に重要だ」と答えています。

ヴィデオは8分41秒ありますが、質問は7分19秒、オバマの答えは7分20秒から7分40秒までです。

彼が常に主張するコミュニケーション「ボトムダウンではなく、ボトムアップ」という手法のプラットフォームとして、重要なのが「WOM(Word of Mouth:クチコミ)」です。オバマは、サポーターに、「オバマキャンペーンのAdvocate(擁護者・支持者)」となって、彼らのコミュニティでの信頼性を梃子に、メッセージを広めるように、お願いしています。

「YouTube時代」のアドバンテージは、こうした普段は中々見えない大統領候補者の生の声を、マスメディアに頼らずとも、直接視聴できることにあります。彼はそれを大いに活用し、私たちは、それを大いにエンジョイしています。面白い時代です。

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    大柴ひさみ

    日米両国でビジネス・マーケティング活動を、マーケターとして、消費­者として実践してきた大柴ひさみが語る「リアルな米国ビジネス&マーケティングのInsight」

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