ひさみをめぐる冒険
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ひさみをめぐる冒険
サンフランシスコ・シリコンバレー在住マーケターのINSIGHT(洞察)



出ました3GのiPhoneが199ドル(GPS付の8ギガバイト)!

6/9/2008

 
今日は、朝からサンフランシスコは、AppleのiPhoneの話で盛り上がっていますが、やはり噂通り、GPS付で8ギガバイトが199ドル、16ギガバイトが299ドルという低価格で、3GのiPhoneが発表されました。バッテリーは、スタンドバイで300時間、ウエブブラウジングで5-6時間、ヴィデオで7時間、オーディオで24時間、もつということです。ネットワークでのパフォーマンスは、ダイアルアップと高速ブロードバンドの中間ぐらいだそうです。

発売は7/11からで、At&Tは、2年契約の一般消費者向けの無制限データプランは月間30ドルで、音声プランを付け加えると39.99ドルから、ビジネスユーザは月間45ドルからといっております。Steve Jobsによれば、iPhoneはすでに600万台のセールスを記録していますが、この新しいフィーチャーと価格のiPhoneによって、1000万台は問題なく達成できると発言しています。

8ギガバイトで399ドルのiPhoneを購入したユーザには、気の毒ですが、新しいiPhoneは、より安く、より速く、よりいろんな機能がついてくる、優れもののようです。アップルのサイトでのキャッチコピーは、

「Twice as fast. Half the price」

アップルらしく、端的に売りたいポイントをストレートに表現しています。「199ドル」は、値ごろ観のある価格なので、これはかなりの速度で、一般に浸透します。

Paul Newman(ポールニューマン)とCause(社会貢献)の関係

6/9/2008

 
私は、高校時代かなり映画に狂っており、飯田橋にあった名作上映の映画館「佳作座」で、確か300円か500円だったと思いますが、1日に3本ぐらい飽きることなく、1人で映画を見ていました。

その当時は、ハリウッドがニューシネマと称する新しいコンセプトの映画を送り出した頃で、私は、映画雑誌「ロードショー」や「スクリーン」を古本屋で買いあさり、佳作座ですでに名作となっていた「明日に向かって撃て(Butch Cassidy and the Sundance Kid:1969年)」を鑑賞したのを記憶しています。私はこの映画に主演したPaul Newman(ポール・ニューマン)の笑顔が大好きで、心底人間を愛しているような暖かさを感じて、その後も彼の数多くの作品をみながら、ひそかなファンとして応援しています。

今日そんな彼が、肺がんでかなりの重態であることを知って、ちょっとショックを受けています。彼は、1925年1月26日生まれで(私の亡くなった父親と同じ年同じ月に生まれています)83歳です。私が言うまでもなく、彼はアカデミー主演男優賞獲得をはじめ、さまざまな映画出演を通して、すでにレジェントとして高い評価を受けている俳優兼監督です。彼は映画以外にプロのレーシングドライバーとしても著名です。1977年にデイトナ24時間レースで5位、1979年にルマン24時間レースで2位、さらに最近では1995年にデイトナ24時間レースで彼のチームが優勝して、70歳のドライバーとして最年長記録を作りました。

また彼は「Progressive Activist(進歩的な活動家)」として、公民権運動や反戦活動を行い、ニクソン政権の1973年のブラックリストに載るほどの政治活動を行っています。そんな彼の最も評価すべき活動は、「Cause(コーズ:社会貢献事業)」です。

  • 1978年麻薬撲滅のために「Scott Newman Foundation」創設:飲酒とドラッグで亡くなった息子のために、麻薬撲滅ためにその弊害を描いたフィルムやTV番組への資金提供を行っています
  • 1982年サラダドレッシング会社「Newman's Own」を創設: 創立以来のすべての利益、2億2200万ドル(233億1000万円、1ドル=105円)をチャリティに寄付しています。
  • 1988年「Hole in the Wall Gang Camp」という世界最大の家族キャンプ場創設:ガンなどの生死をかかわる重病の子供たちが家族と一緒に楽しいキャンプ経験が出来るようにとつくられ、米国内に5ヶ所、アイルランド、英国、フランスにおのおの1ヶ所ずつあり、今後さらに増やす予定
  • 1999年Kosovoの難民キャンプに25万ドル(2625万円)寄付
  • 2007年ニューマンの母校のKenyon Collegeの奨学金に1000万ドル(10億5000万円)寄付:学費が払えないマイノリティの学生への奨学金

彼が、いかに真剣に「Cause」に取り組んでいるのは、こうした活動を見れば、明らかです。私はマーケッターとして、企業が「Cause Marketing(社会貢献型マーケティング)」をすることは、決して否定しません。むしろ、意味のないことにお金を使うよりは、「意味のあること」にお金を使って、社会貢献してくれることは、消費者の視点からしても結構なことだと思います。ただ、問題は、その「Cause(社会貢献)」が、
  • どこまでその企業の寄って立つところに深く関与しているか?
  • またそれは、長期的に継続出来るマーケティング活動なのか?
  • またそれは、誰からも具体的に見える透明性をもって、消費者をきちんと説得できるかどうか?

こうしたポイントをクリア出来ない場合は、消費者から見ると、それは「マーケティング・ギミック」となってしまいます。ポール・ニューマンの生き方を考えながら、ついつい企業とCauseの関係を考えて、本当に長期的で全社的なコミットメントをしないと、ギミックになりやすいなと、実感しています。
ポールは随分前から肺がんと闘っているようですが、なるべくパブリックの注目を受けることを避けているようです。できれば、肺がんを克服して、また元気に復帰してくれることを望んでいます。
PS: 私の彼のお気に入りの作品は、「Cool Hand Luke」で、何回も脱獄を繰り返す囚人ルークがゆで卵を50個食べるシーンが最高です。

Robert F Kennedy (ロバート・F・ケネディ)の40年前のオバマ出現の予言

6/8/2008

 
今週末は、Robert F Kennedy(ロバート・F・ケネディ:RFK)暗殺から40年が過ぎて、彼に関する様々なエピソードが紹介されて、改めて1968年と2008年の政治シーンが比較されています。

RFKは、民主党のライバル候補のEugene McCarthyに、カリフォルニアの予備選挙で勝利した1968年6月5日深夜を過ぎた直後、射殺されています。彼は、兄のJohn F Kennedy(ジョン・F・ケネディ:JFK)大統領時代に、Attorney General(司法長官)として、マフィアに代表される組織犯罪の撲滅、公民権運動(人種差別撤廃)に尽力していました。JFK暗殺以降、身辺の危険を感知しながらも、上院議員から大統領候補者へと、当時の米国の深刻な問題に取り組むキャンペーン活動を続けていました。当時のベトナム戦争の悪化と公民権運動で動乱の米国において、彼の死は、大きなショックをもたらしました。

彼の遺体はニューヨークからワシントンまで、103年前のリンカーン大統領と同じように、列車「Funeral Train(葬儀の列車)」によって運ばれましたが、鉄道の沿道に、人種・性別・年齢を超えて、200万人が彼との最後の別れを惜しんだといわれています。

今朝は、Meet The Pressの記事を読んでいて、RFKが、1961年(47年前)のスピーチで、以下のように、Obama(オバマ)出現を予言するかのような発言をしていることを知り、改めて驚いてしまいました。

Things are "moving so fast in race relations a Negro could be president in 40 years." "There's no question about it,' In the next 40 years a Negro can achieve the same position that my brother has.' ...

この「Negro(ニグロ)」という言葉も生々しいですが、RFKは、「40年後には黒人大統領が現れる。これに対して私はまったく疑っていない」と言い切っています。RFKの大統領選への出馬は、彼が心底信じていた、アメリカが国としてなすべきこと、差別撤廃や貧困克服という情熱の具現化です。当時の差別が渦巻く米国内の状況において、この言葉をスピーチの中で発言した、彼の勇気には脱帽です。

RFKの未亡人Ethel Kennedyは、早くからオバマサポートを打ち出し、JFKの長女Caroline Kennedyは、自分の父親と同じように国民をインスパイアするオバマをサポートするという発言をしています。また、彼女は現在オバマの副大統領候補選定委員会のメンバーでもあり、ケネディ兄弟の最後の生存者Ted Kennedy上院議員は、オバマを民主党内の次世代の指導者として強力にサポートしています。

多くの人たちの情熱と犠牲、さらに時間によって、今の2008年の政治シーンが形づくられています。 


Bob Dylan(ボブ・ディラン)の「オバマサポート発言」

6/6/2008

 
今日のObama(オバマ)ストーリーは、Bob Dylan(ボブ・ディラン)のコメントです。

現在スカンジナビア諸国のコンサート中のボブ・ディランは、デンマークのOdenseで(ここはアンデルセンの生誕地。うちの夫の先祖はこの街からアメリカに移住してきています。夫と2人と、ぜひこの島に行ってセーリングをしたいと思っている場所です)、「The Times」からインタビューを受けている時に「オバマ支持」の発言をしています。

  • “Well, you know right now America is in a state of upheaval,” he says. “Poverty is demoralising. You can't expect people to have the virtue of purity when they are poor."
  • "But we've got this guy out there now who is redefining the nature of politics from the ground up...Barack Obama. He's redefining what a politician is, so we'll have to see how things play out. Am I hopeful? Yes, I'm hopeful that things might change. Some things are going to have to.” 
67歳の誕生日を迎えたばかりのディランは、60年代から続くアンチエスタブリッシュメントの姿勢は変わらず、米国内で大きくなる貧富の格差とそれを克服できないもどかしさの中で、オバマの「チェンジメッセージ」を信じたいと思っているようです。

Generation Y(ジェネレーションY)に人気のあるミュージシャンは、ヒップホップの現代の若手ミュージシャンだけではありません。Gen Yが「Bobs(2人のボブ)」と呼ぶ、「Bob Dylan」とレゲエミュージックのレジェンド「Bob Marley」への憧れは強く、私が仕事で訪問した大学生のアパートメントの壁に、この2人のポスターを良く見かけました。このディランのオバマ支持発言を聞いて、オバマをサポートする若い人たちがなぜディランが好きなのかが納得できます。ディランもGen Yも、社会や人間に関して決して「シニカル」な態度を取らず、「自分たちの力で出来ることがある」という「Attitude(姿勢・態度)」で、真正面から課題に取り組んでいます。

Baby Boomers(ベビーブーマーズ)のオバマ支持者は、若い頃に夢中になった社会変革の夢を思い出し、「もう一度、未来を信じてみようと思った」と言って、「チェンジ」のムーブメントに参加したと語っています。ディランの1964年の曲「The Times They are a-Changin」は、まさに今を語っているようです。

「The Obama Pound」シーンが象徴するニュージェネレーション(アップデイト)

6/5/2008

 
おとといのObama(オバマ)の民主党大統領候補決定を見てて、私が一番驚いたのは、スピーチの前に、ステージに上がったオバマが妻のMichelle(ミシェル)と抱き合った後、2人がお互いの拳を軽くぶつけた「The Obama Pound(Fist Bump)」です。

多くの人たちは、この「The Obama Pound」を確認するために、Re-Tivo(録画ヴィデオを後戻り)して、この瞬間に目を凝らしたと言います。これは、オバマ夫妻が代表するニュージェネレーションを現す非常に象徴的なシーンです。「大統領候補者が勝利スピーチの時に、妻とPoundした」、これ一つとっても、オバマの勝利がいかに新しさに満ち満ちているかが、Visualize(視覚化)されて、「YouTube Generation」を感じます。2人の「Pound」が、本当に自然にでた行動であることは、誰が見ても明らかで、マスメディアもブログ圏も、この話題でひとしきりです。

昨日は、義理の息子から電話があり、UC DavisのMBAに合格したので、9月からカリフォルニアに移ってくるという、嬉しいニュースがありました。バケーションでニュージーランドから戻ってきたばかりの33歳の息子は、大学を卒業後は、ずっとトライアスロンにフォーカスしていて、「Ironman Race(アイアンマンレース)」の参加資格を取るために、フランスに行って、ピレネーの山で肉離れを起したほどです。アイアンマンレース参加はすでにあきらめていますが、その後もずーとトライアスロンのトレーニングは続けており、トレーニングが出来る環境(時間)を優先して、仕事をしています。そんな彼が、そろそろ本格的にビジネスおよび将来のことを考えて、学位をアップグレイドしたいと思い、MBA取得を選んだようです。UC Davisは、大学としても非常に良いところですが、トライアスロンのトレーニングにも適する地理的環境もあり、彼はこれを大いに喜んでいます。

「9月のクラスが始まるまでに時間があるけど、その間どうするの?」と彼に尋ねたら、「メキシコ辺りにまた行くと思うけど、オバマのキャンペーンにもボランティアで参加したいと思っている」という意外な返事が帰ってきました。私は彼が民主党支持であることは知っていましたが、離れて暮らしているので、彼と特に政治に関する話を積極的にしたことがなく、彼のオバマのサポートの件を聞いて、「そうか、当たり前だよね。彼も当然、"Obama Generation(オバマジェネレーション)"なんだから」と実感しました。私もオバマのことを「日本語でブログしている」と彼に伝えたら、彼も喜んでいました。9月以降、彼に会える時間が増えるので、実際のオバマ支持の若い世代の考えを生で聞けて、ディスカッションできる楽しみがまた増えそうです。

最初はオバマに興味を示さなかった人たちが、オバマ支持に回った大きな理由の一つが、自分の子供や孫が、真剣になぜオバマを支持するのかを語り、それによって説得されて、オバマサポートに変わったと発言しています。彼らは、「子供や孫という未来のジェネレーションのために、投票する」と言っています。ネイティブアメリカン(北米インディアン)は、「今の大地は先祖が我々に残してくれたものではなく、未来の子孫から借りているものだ」という考えを昔から語り伝えています。このネィティブブアメリカンの言葉は、今回の大統領選で、重要な意味を持つような気がします。

私の夫は共和党支持者ですが、私と義理の息子の会話を聞いた後、「もしオバマがヒラリーを副大統領に選ばなければ、11月の投票でオバマに投票する可能性がある」と、ボッソとつぶやきました。一年半に渡った我が家のオバマキャンペーンは、どうやら徐々に成功しつつあるような気がします。そうです、「Yes, We Can!」

アップデイト:このオバマの「Pound(あるいはDap、Fist bump)」は、あっという間にメディアの話題となり、コンサーバティブなケーブルTV局Foxの女性キャスターは、「Terrorist Fist Jab(テロリストのジャブみたい)」と発言して番組を降板させられたほどです。結構笑えるのは、メディア関連の人間が、このオバマの「Pound」をクールだとして、みんなで「Poundし合っている姿」です。オバマは、「トレンドセッター」でもあります。

「Change is coming」:オバマが見せた「政治資金の透明性」

6/5/2008

 
今週6本目のObama(オバマ)勝利に関するエントリーです(ブログばかりしていて、中々仕事が手につきません、トホホ…)。

民主党大統領候補に指名が確定して以来、まだ2日しかっていませんが、オバマの政治献金に関するポリシーを民主党のDNC (Democratic National Committee)は受け入れました。

彼は、大統領選挙キャンペーンにおいて、Federal Lobbyists(連邦ロビイスト)やPAC(Political Action Commitee:政治行動委員会)からの政治献金を受けないというポリシーで、キャンペーンの「透明性」を最初から掲げていましたが、DNCはこのオバマのポリシーに、今日6月5日から従うことを発表しました。

これは、オバマが訴え続けてきた「ワシントンの"Special Interest"を排除する」という大きな目標の第一歩で、共和党のMcCain(マケイン)にとって、かなり強烈なパンチとなります。彼の周りには、ロビイストだらけで、何人かはすでにマケインのキャンペーンから、「Special Interest」とのコンフリクトで立ち去っています。オバマ支持者は、このニュースを受けて、ますます意気盛んで、オバマの本選挙に向けて献金に励むと、ブログ圏で騒いでいます。

オバマ支持者が、Hillary Clinton(ヒラリー・クリントン)を、副大統領にしたくない大きな理由の1つには、この政治資金の透明性にあります。ビル・クリントン元大統領は、彼のFoundationの建設資金の寄付者たちの名前を公開しておらず、元大統領と支援者のお金にまつわる疑惑は、民主党にとって大きな頭痛の種です。オバマのポリシーに賛同する支持者は、クリーンなお金の集め方と使い方を期待しており、大統領候補自身がクリーンであることと、ワシントンという政治家たちのコミュニティのクリーンアップも求めています。このニュースは、そういう意味でかなりのインパクトをもたらしています。

マーケティングの世界もそうですが、現在の消費者は企業のマーケティング活動に「透明性」を求めています。特に「Word of Mouth (WOM:クチコミ)」を主体にしたオータナティブなマーケティング活動は、従来のマスメディアを使った広告と異なり、誰がどのように関与しているかがわかりにくいマーケティング形態です。ですので、消費者が企業の関与を知らないで、あとでそれがわかった場合、「騙された」と感じて、失望や怒りを買います。どんな場合でも、「私はこういうもので、こういう目的で、あなたに話しかけています」といった、「身元の公開」をベースにしたコミュニケーションが非常に重要です。

そんなことを考えながら、このニュースを読んで、オバマの大統領候補になった2日目の仕事としては、これはかなり上出来だと思います。

「ブランディング2.0」オバマキャンペーンの舞台裏のコンサルタントたち

6/4/2008

 
Obama(オバマ)キャンペーンは、何百万もの支持者たちが、「Brand Advocate(ブランド擁護者)」となって、「P2P (Peer to Peer: 仲間から仲間)」のコミュニケーションを中心にして広がっていった、まったく新しいタイプの政治キャンペーンです。これは「ブランディング2.0」ともいうべきもので、オンラインという誰もが自らのVoiceをAmplified(増幅)できるツールを用いて、莫大な「WOM (Word fo Mouth:クチコミ)」を創出して、成功した21世紀型キャンペーンです。詳細は私の日経BPのネットマーケティング「米国ネットのざわめきを聴く」を読んでいただければと思います。

オバマキャンペーンのオンライン戦略の舞台裏には、米国のソーシャルネットワーク第2位のFacebookのCo-founderの1人であるChris Hughes(ヴィデオで説明)が参加しており、SNSのアドバンテージを徹底的に活用して、記録的なオンラインによる個人献金をもたらし、ボランティアワークの組織化やサポーターのリクルートを成功させています。オバマキャンペーンには、こうしたオンラインのみならず多くのコンサルタントたちが、舞台裏で忙しく働いています。その中で、キャンペーン全体のマスターピースを描き続けたのが、AKP MediaのDavid Axelrodです。彼は、私にもタイムリーにメールを送ってきますが(私がオバマのメーリングリストに入っているため)、彼のキャンペーン全体の戦略立案と管理実行は、クリントン陣営のMark Penn(世界的なロビー活動をするBurson-MarstellerのワールドワイドのCEOで、コンフリクトが起きてキャンペーンからは、離れました)とは異なり、ハンズオンで緻密かつ「P2P」の今の時代を理解したキャンペーンを展開しています。

今朝のWashington Postによれば、新たにオバマキャンペーンは6人のコンサルタントを11月の本選挙に向けて、チームに加えたようです。以下に、舞台裏のコンサルタントを挙げます。

  • リードコンサルタント:David Axelrod (AKP Media), Jim Margolis (GMMB), Jason Ralston (GMMB)
  • 新たなコンサルタント会社:Dixon-Davis Media, Murphy Putnam Media, Squier Knapp Dunn, Saul Shorr
  • SS+K (ニューメディアと若い支持者担当)、Fuse(黒人コミュニティ担当)、Message Audience & Presentation(ヒスパニックメディア担当), Anita Dunn(メディアコンサルタント)、The Strategy Group
  • 調査会社:Brilliant Corners, Benenson Strategy Group, Harstad Strategic Research, David Binder Research, Bennett Petts & Normington, Anzalone Liszt Research


「オバマ」というブランドを作り上げるには、多くの優秀な人材によるサポートが必要で、そこにはオバマ自身のチーム作りにおけるプリンシパルが重要となります。彼は、キャンペーンチームの中で、人々が「ドラマ」を作り出すことを嫌っており、その彼の意向は、チームに徹底されて、異なる優秀な人材がエゴを出さず、独占的にならず、自らのStrengthの活用のみに注力して、環境の良い「Obamaland(オバマランド)」と形成しているようです。この舞台裏を支えるコンサルタント会社の名前は、今後もWatchしていたほうがよいと思います。

「寿司」も文明の所産?

6/3/2008

 
昨日は、司馬遼太郎の「アメリカ素描」から、「文明と文化」、さらに「ジーンズ」についてエントリーしましたが、その続きで、もう少しここで話しておきます。

司馬遼太郎は、「文明が興る大地は、多様な民族を収容して食わせるだけの農業的なゆたかさをもっていなければならない。」という条件をあげて、「大地が食えるからこそ異文化の者たちがやってきて、るつぼの中で多様な文化群がすれあい、たがいに他の長所をとり入れ、たがいに特殊性という"圭角(かど)"を摩滅させ、ついにたれでも参加できる普遍性(つまり文明)ができあがる」と言っています。ここでの彼のポイントは、流入する民族は、その民族しかもたない「得意芸」をもっていて、それが文明成立の1つの要件だと指摘しています。

この「得意芸」という部分は、アメリカに住んでいると実感する言葉です。私も日本の文化やビジネス・マーケティングの視点・手法を担いで、アメリカに移住して、それを活用あるいは生業として、この国で生きています。もし、これがなかったら、アメリカ人の夫に全面的に頼って生活することとなり、私の人生は違ったコースをたどったかもしれません。

周りを見回しても、シリコンバレーに住む私の知人を含む移住者たちは、みんなおのおのの「得意芸(異文化)」をこの国に持ち寄り、それをアドバンテージとして(時にはディスアドバンテージにもなります)、米国の文明(普遍的なもの)に参加しています。シリコンバレーにおける、中国、インド、ベトナム、ロシアからの移住者たちのアントレプレナーシップは、そんな「得意芸」に支えられて、多くの新しいビジネス、サービス、製品を生み出しています。

司馬遼太郎は、「寿司」についても、「アメリカ素描」で触れています。彼が20年前にアメリカに訪れた時に、すでに「寿司」は米国社会に広まりはじめており、ロスで食べた寿司がとてもおいしかったので、彼はこんな風に「寿司」について語っています。

「寿司」の原形の一つは、「近江の鮒ずし」で、そのにおいの強烈さで、他の地域の人はかなり驚く食べものです。近世になって、大阪(諸国の人が集まるので、小さな文明が成立した)で、「箱ずし」という多数に通用する(普遍性の高い)すしが出来て、「鮒ずし」における臭みという魅力的な(しかし排他的な)固有の文化が除かれて、誰でも口に出来る「すし」が出来上がりました。

江戸は多くの大工や左官という職人が住んでいた土地で、腕がよければ「宵越しの金を持たないで暮らせた」ために、人々はさかんに美味しい食べ物を求めていました。この土地で初めて、「鮒ずし」や「箱ずし」といった伝統的な「なれずし」とは違う発想で、酢を加えた飯を用意して、屋台の客の前で即席で握り、江戸前の新鮮なサカナをのせるという、「にぎりずし(江戸前すし)」が誕生します。新鮮なサカナを使ったこの簡便な食べもの(Fast Food)は、万人受けする普遍性を備えており、その後日本全国に拡がり、アメリカも含めて、世界に広がっていきました。

すでに米国では、「カリフォルニアロール」に代表されるように、寿司は米国化して、どんどん一般の生活の中に浸透しており、スーパーマーケットでもテイクアウトの寿司は売られています。また子供たちの学校のカフェテリアにも「寿司」はメニューとして入っており、「トロ(Toro)」や「マグロ(Maguro)」という言葉も会話に飛び交っています。また、いまだに、刺身に抵抗のあるアメリカ人も、なぜか「寿司」は大丈夫のようです。

いろんな観点から鑑みて、アメリカは、モノやコトの「文明(普遍化)テスト」ともいうべき実験が可能な国のような気がします。ここで、モノやコトが、その普遍化へのテストを受けて合格すると、その後それはグローバルに広がっていきます。そのよしあしは別にして、世界の実験場としてユニークなポジションを持つアメリカは、住んでいて、とても面白い国です。

今晩オバマ(Obama)が民主党大統領候補に決定します:「Almost there」

6/3/2008

 
米国時間6/3(火)午後3:26に、Barack Obama(バラク・オバマ)のキャンペーンマネージャーのDavid Plouffeから、「Almost there」というEメールが入ってきました(ちなみに、私はメールアドレスをオバマサイトに登録しています)。

彼のこの「Almost there」という言葉は、まさにオバマキャンペーンに参加した全員の気持ちを表しています。現在、モンタナとサウスダコタの投票が行われていますが、彼が民主党大統領候補として、マジックナンバーの2118のDelegates(代議員票数)を獲得して、勝利宣言をするのは確定しています。しかし、長い、長い、民主党大統領候補選挙でした。数字的に勝利は不可能であるにもかかわらず、絶対にあとに退かないHillary Clinton(ヒラリー・クリントン)との戦いは、民主党員、支持者、メディア、ブログ圏、一般の人たちが一喜一憂する、とんでもないほどのエキサイトメントを、米国に巻き起こしました。はっきり言って、リアリティTVなどが足元にも呼ばないほどのドラマが、毎日起こり、誰もが毎日真っ先に民主党候補者の発言や行動に耳をこらし、今日のトピックスをチェックした5ヶ月間でした。

米国では、今「政治がセクシー」となっており、誰もが「政治に関して会話」をしています。「人種差別」や「女性差別」という言葉が毎日飛び交い、誰もが今まで口にしなかった米国のしんどい部分を発言して、タブー視された事柄を活発に議論しています。これは、米国にとって、非常に健康的なことです。アフリカ系アメリカ人(黒人)が、米国史上初めて大統領候補として決定するこの歴史的な日に、米国に住んでこのキャンペーンに参加できて良かったと、私は実感しています(私は、2007年2月以来、オバマのことをブログしています)。

あるアフリカ系アメリカ人の女性ニュースキャスターは、「奴隷制のあったアメリカの歴史を振り返って、4年前は無名で、誰もが予想もしなかった1人のアフリカ系アメリカ人が、大統領候補者に選ばれる。これが、アメリカの素晴らしさだ。私はこれを自分の子供に話したい」と語っています。

毎日、毎日、リベラルな政治ブログのDaily KosやHuffington Postで、いろんな人のブログを読み、マスメディアのWashington PostやNY Timesのコラムニストの記事を追っかけて、この流れを見守っていた私も、これで一安心です。11月の本選挙までの5月間は、もう少し落ち着いて仕事が出来そうです。

Yes, We Can!:「アメリカンドリームの証明」

6/3/2008

 
今、NBCはObama(オバマ)を民主党大統領候補と発表しました。

「歴史の目撃者」、今、多くのアメリカ人は、この気分を味わっています。キング牧師が暗殺されてから、40年が経って、アメリカは新たなページをめくっています。

「どんな人でも努力すると、アメリカンドリームがつかめる」、それを証明したのが、今回のオバマの勝利です。

今から13年前の1995年、私がアメリカに移住した時に、まさか大統領候補にアフリカンアメリカン(黒人)が選ばれるとは、想像も出来ないことでした。21世紀に入って、アメリカは急速に変わっています。いろんな人たちが、この新たな歴史を自ら構築しようとして、その機会に積極的に参加しています。

「まさに民主主義とは、参加すること」そのもののようです、アメリカ人を見ているとそれを実感します。

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    大柴ひさみ

    日米両国でビジネス・マーケティング活動を、マーケターとして、消費­者として実践してきた大柴ひさみが語る「リアルな米国ビジネス&マーケティングのInsight」

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