大統領も午前6時と、起き抜けに長女のMaliaが「Daddy, you won the Nobel Peace Prize, and it is Bo's birthday.」と受賞とファーストドッグBoの誕生日を知らされ、次女のSashaが「Plus, we have a three-day weekend coming up.」と、3日間の週末の休みが迫っているとリマインドされたようです。しかし、米国大統領としては3人目の嬉しいはずの受賞ですが、素直に喜べないのが、現在のホワイトハウスの辛さです(最初に1906年Theodore Roosevelt 大統領、次に1919年Woodrow Wilson大統領が受賞)。
コンサーバティブ、リベラルのどちらのサイドからも、アフガン戦争への突き上げが厳しい中、大統領はノーベル委員会からは、「国際社会の新たな外交のリーダーとしてのお墨付き」をもらったことになります。米国内では、共和党を初め批評家、あるいは国民の一部から、「オバマ大統領は、就任一年未満でまだ何もノーベル平和賞に値する貢献をしていない」という批判を受けて、「スターパワー」という言葉で描写されており、中々しんどいシチュエーションです。先週はコペンハーゲンに飛んで、シカゴのオリンピック誘致に失敗していますし、今週はオスローから「過剰な期待」ともいうべきノーベル平和賞を受賞するという、まさに大統領のコントロールできない分野で、論議の火種が生まれています。
大統領は、今朝の受賞を承諾するスピーチの中で、「A call to action」という表現で、この受賞は自分個人が受賞したものではなく、21世紀に国際社会が直面するチャレンジングな諸問題に行動を起こすことの呼びかけだと定義しています。国内では、相変わらずヘルスケアのリフォームとレスリング状態の大統領にとって、最近発表された9月の失業率9.8%は、非常にアタマの痛い問題です。大統領の本音は、今朝長女のMaliaが、受賞のニュースではなく、「9.8%」は間違いで、「9%の前半まで失業率が下がった」というニュースだったら、大いに喜んで、誕生日のBoとホワイトハウスを駆け巡ったと思います。
大統領はもちろん受賞賞金140万ドル(1ドル100円で計算すると1億4000万円)のキャッシュは、チャリティに寄付すると発言しています。浮かない表情の大統領に、私はせめてもの気持ちで、「おめでとうございます」と小さくつぶやきました。