ひさみをめぐる冒険
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ひさみをめぐる冒険
サンフランシスコ・シリコンバレー在住マーケターのINSIGHT(洞察)



クリントンが負けた理由⑥「女性差別のカードを引いた」

7/19/2008

 
シリーズエントリです。6/11のエントリ「Clinton(クリントン)が負けた6つの理由」のうちの6番目、最後の項目です。

  1. Change vs. Experience(経験を盾にして、変革を求める米国民の声を読み間違えた)
  2. War Vote(イラク戦争開始への賛成投票。さらにそれが間違いであると認めなかったこと)
  3. Dysfunctional Campaign(戦略ミスと内部分裂で機能しなかったキャンペーン)
  4. Overconfidence(クリントンブランドへの過信)
  5. Bill Clinton(元大統領ビル・クリントンが巻き起こした舌禍)
  6. Sexism(女性差別のカードを引いた)

キャンペーンを開始した2007年当時のHillary Clinton(ヒラリー・クリントン)は、クリントンブランドへの自信から、あえて「初の女性大統領候補」としてのポジショニングを強調せずに、むしろそれを避けるかのように、彼女自身のキャリア、経験、資質などが、いかに大統領として適切であるかという点にフォーカスしたキャンペーンを展開していました。当時の一般のクリントンへの見方は、以下の有名なオバマサポーターの政治ヴィデオ「Vote Different」に代表されるように、むしろ性差を超えて、その「強さと冷たさ(=冷静さ)」が、彼女のイメージとして定着していました。
ヴィデオは、アップルの歴史的なマッキントッシュのCM「1984」のリミックスです。当時アップルはIBMを、この2007年の政治ヴィデオはクリントンを、Big Brother(独裁者)としてシンボライズして、アップルとオバマは、独裁者に立ち向かう挑戦者として描写されています。7月18日現在で530万3258のビューがあるほど、バイラル化して広まっていったヴィデオは、当時のクリントンとオバマの位置関係を如実に現しています。

この当時を振り返ると、多くのメディアも一般の有権者も彼女の絶対的な優位を確信していたので、クリントンが女性であることはもちろん認識していましたが、それが「男性社会で差別されている女性」という図式にはつながっていませんでした。また、彼女もことさら「女性としての性差」を持ち出して、男性中心社会で差別されているという被害者意識で、女性の有権者の共感を得る必要性は感じていない、そんなムードでした。

そんな彼女の自信は、1月の最初のアイオワの予備選挙における、オバマの劇的な勝利、自身はエドワーズに続いて3位となったことから、大きく崩れていきます。先頭を走る予定の走者がいきなり3位になり、さらにメディアの「オバマへの熱狂」は、彼女をドンドン追い込んでいきます。そうした彼女に追い討ちをかけるように、夫のビル・クリントン元大統領の「All-boys club(男性社会での女性の差別)」発言、さらに女性初の副大統領候補のGeraldine Ferarroの「オバマは黒人であるから大統領候補となれた。オバマやメディアはクリントンを女性差別している」という発言は、被害者意識の発露として見られていきます。特にFerarroの発言は、人種差別および女性差別を非常に感情的に表明した発言で、彼女がクリントンのサポーターとしての地位を離れても、彼女自身何度もメディアに登場して、クリントンの足を引っ張るがごとく、繰り返し「人種と性差の差別カード」を振り回しています。

クリントン自身は、アイオワ敗退の後に、支持者に囲まれた中で、選挙戦がいかに厳しいものであるかを語りながら、涙を流して、初めて「人間的な(=女性的)」な部分が見せたとして、女性有権者やメディアの大きな共感を得て、ニューハンプシャーで勝利しています。ただし、その後の候補者たちとのディベートで、彼女は「なぜいつも自分が最初にモデレイターから質問を受けるのか?オバマには誰も最初に尋ねない」という発言をし始めて、徐々に女性差別のニュアンスを、キャンペーンに持ち込んでいきます。

クリントンの熱狂的な女性支持者は、60歳以上で、多くの女性たちは、彼女たちの若い時代には、法的にも社会的にも男女同等の扱いを受けられなかった経験を持つ人たちです。彼女たちは、自分のたちが生きている間に「女性大統領」の出現があるとは思いもよらず、そうしたフェミニストたちはクリントンにその夢を託すという流れを生み出していきました。それに異を唱えたのが、若い世代の女性たちで、性差を持ち出すこと自体が逆にアンフェアだとしています。また、クリントン支持の男性有権者も「女性差別カード」を持ち出したことによって、従来のフェミニズム的なものへの反発となって、クリントン自身の個人の資質を疑うという結果をもたらしました。

政治でも、ビジネスでも、そうですが、本当に実力のある人たちは、当然のことながら、自分個人の資質で勝負します。そこに、人種、性差、年齢、家系など、自分では変えられない要素を持ち込んで、それを梃子にして他を説得しようとした場合、必ず反発が生まれます。クリントンへの批判の一つには、ビル・クリントン元大統領の妻として、ファーストレディの地位があったからこそ、大統領候補になれたという、自身の資質を越えた部分が大きな要素を占めるというものもあるくらいです。クリントンも、それは十分理解していたはずですが、思い通りに展開できなかったキャンペーンによって、追いかける立場になった途端に、意識化に潜んでいた「被害者意識」が持ち上がってしまったようです。

クリントン支持者に「なぜクリントンをサポートするのか?」と尋ねて、サポーターが「クリントンは女性だから」と答えたら、私がクリントンでしたら、大いに失望してしまいます。私は日頃から「男性中心社会だからこそ、女性がその中で一緒に働く場合は、大きなアドバンテージがある」と、答えています。「性差」を被害者意識ととるか、アドバンテージととるかは、その人次第です。

クリントンが負けた理由⑤「Bill Clinton(ビル・クリントン元大統領の舌禍」

7/6/2008

 
シリーズエントリです。6/11のエントリ「Clinton(クリントン)が負けた6つの理由」のうちの5番目について書きます。

  1. Change vs. Experience(経験を盾にして、変革を求める米国民の声を読み間違えた)
  2. War Vote(イラク戦争開始への賛成投票。さらにそれが間違いであると認めなかったこと)
  3. Dysfunctional Campaign(戦略ミスと内部分裂で機能しなかったキャンペーン)
  4. Overconfidence(クリントンブランドへの過信)
  5. Bill Clinton(元大統領ビル・クリントンが巻き起こした舌禍)
  6. Sexism(女性差別のカードを引いた)


今回の民主党の予備選挙において、頻繁に使われた言葉は、「歴史上初めて」という表現です。Barack Obama(バラク・オバマ)と、Hillary Clinton(ヒラリー・クリントン)という2人の候補者そのものが、アフリカ系アメリカ人(黒人)、女性という、人種とジェンダーという点で、多くの人たちを熱狂させています。人種という点においては、オバマは、カンザス州出身の白人の母親とケニア出身のアフリカ人の父親を持つ「Bi-racial(複数の人種)」です。米国では、人種差別的な考え方の典型として、「One-drop rule」という言い方があります。白人でも先祖に少しでも黒人の血が混ざると「黒人」とみなされるという考え方で、以下の米国の5人の大統領の共通点は、彼らの先祖が黒人の家系とつながっている点で、その意味から考えると彼らは黒人大統領と呼べないことはないということになります。

  • Andrew Jackson
  • Thomas Jefferson
  • Warren Harding
  • Dwight Eisenhower
  • Calvin Coolidge
  • Abraham Lincoln


この中でも特に、29代目の大統領Warren Hardingは、その白人の容貌からは伺い知ることは出来ませんが、曾祖父母の1人が黒人であったために、彼を米国初の黒人大統領とする説もあります。オバマの場合は本人が「黒人」であることを認識しており、その意味で上記の「One-drop rule」とはまったく違う本当の意味での黒人大統領候補です。ただし、彼は、過去の公民権運動を経たJesse Jacksonのように黒人大統領候補として、「人種」のカードを最初から出さずに、むしろ人種問題に対してはニュートラル、あるいは言及することを避けていました。ですので、1年半前のキャンペーン開始時は、逆に奴隷制度と公民権運動と直接関わらないオバマは、黒人層からは、彼の「Blackness(黒人性)」が足りないことへの、反発と批判を招いていました。また、多くの黒人層は、黒人の人権や経済的なサポートを果たして「First Black President(初めての黒人大統領)」と呼ばれたビル・クリントンへの忠誠心から、当初はヒラリー・クリントンへの支持を表明していました。

この「First Black President」と呼ばれたビル・クリントン、およびヒラリー・クリントン自身の発言が、クリントン陣営のロイヤリストとしてコアのサポーターであった、黒人層の怒りを買い、オバマへ大きく流れるというと結果をもたらしました。以下の有名な舌禍事件となったもので、日本風に言うと、「クリントン発言の炎上」ともいえます。

  • 「御伽噺発言」:「the biggest fairy tale that I have ever seen」オバマが当初からイラク戦争に反対していたことを、こんな御伽噺(フェアリーテール)のような話を今まで見たことがないと発言。オバマの大統領候補としての可能性を信じ始めた黒人層は、これを黒人への侮蔑ととって反発した最初の発言。
  •   「ジェシー・ジャクソンを例にした黒人軽視発言=人種差別発言」:「Jesse Jackson won South Carolina in '84 and '88」オバマのサウス・キャロライナでの圧勝に関して、コメントを求められた時の発言。黒人層の多いサウス・キャロライナでの勝利は、黒人であるオバマの場合当然で、ジャクソンですら、84年と88年2回勝ったと発言。上記の「フェアリーテール」発言以上に、黒人層の反発を招いた。
  • 「キング牧師とジョンソン大統領比較発言」:「"Dr. King's dream began to be realized when President Johnson passed the Civil Rights Act,"  "It took a president to get it done."The power of that dream became real in people's lives because we had a president capable of action." 」ヒラリー自身によるMartin Luther King Jr.(キング牧師)とジョンソン大統領の役割比較で、夢を現実化するためには大統領が行動を起こさなければならないと発言して、公民権運動で血を流して戦い抜いたリーダーたちが、キング牧師の伝説を汚したとして猛反発を招いた。この発言と上記のビル・クリントンの発言が連続して起こり、結果これが大きなトリガーとなって、黒人層がクリントンに見切りをつけて、一気にオバマ支持に走って行った。
米国史上初めて、元大統領が、大統領候補者の夫として、キャンペーンに参加するということ自体が、異例のことです。クリントンキャンペーンは、ビル・クリントン元大統領の影響力のある言動をコントロール出来ず、多くの論議を巻き起こしています。実際にキャンペーン内部には、ヒラリーとビルのスタッフが別々に存在し、両社の連携は密とは言えず、また元大統領を諌める、あるいは助言できる立場の人間が存在しないために、多くの混乱を招いています。特に彼は感情が激化してくると、しばしば一般の質問者やレポーターを、真っ赤になりながら指差して論破しようとして、それが「YouTube時代」のスキャンダルとして、オンラインだけに限らず、ケーブルTV局を通じて、あっという間に広まっていきました。

また、もう一つの大きな問題は、彼のキャンペーン参加は、ヒラリーを大統領にするためであるにもかかわらず、必ず自分の政権時代の政策や結果に言及して、自身を弁護・擁護することとに終始してしまうという点です。まるで、自らがホワイトハウスへの復帰キャンペーンを行っているようで、映画「Back to the Future」ではありませんが、90年代の昔に戻ったような錯覚と困惑を、パブリックに与えて、「Change」を求める多くの人たちの心を掴むことが出来ませんでした。

今は、オバマとヒラリーはジョイントで、政治献金の集金に注力して、彼女の2000万ドルの負債を返還すべく、協力体制ですが、ビル・クリントンとの関係はまだ修復されていません。ビル・クリントンが発言した数々のオバマへの批判は、感情的であるだけに傷は深いと思われます。ビル・クリントンは、20世紀の政治家としては、カリスマ性もあり、天才と呼ばれましたが、ボトムアップと市民参加による今年の大統領選では、そのスキルがどうやらアップデイトされておらず、結果「発言の対価」は非常に重いものとなりました。

24時間365日、誰もが簡単にヴィデオやオーディオで録画して、候補者、その夫や妻、スタッフたちの言動を逐一Publishingしてしまう現在は、どこにも逃げ隠れできる場所はありません。「口から出てしまった言葉」は削除しようとしても消えないものです。「真摯にその意図や真意を説明する」、あるいは過ちを認めて謝罪する、そういうストレートなやり方の方が、受け入れられやすいように思われます。

クリントンが負けた理由④「Overconfidence(クリントンブランドへの過信)」

6/28/2008

 
シリーズエントリです。6/11のエントリ「Clinton(クリントン)が負けた6つの理由」のうちの4番目について書いてみます。

  1. Change vs. Experience(経験を盾にして、変革を求める米国民の声を読み間違えた)
  2. War Vote(イラク戦争開始への賛成投票。さらにそれが間違いであると認めなかったこと)
  3. Dysfunctional Campaign(戦略ミスと内部分裂で機能しなかったキャンペーン)
  4. Overconfidence(クリントンブランドへの過信)
  5. Bill Clinton(元大統領ビル・クリントンが巻き起こした舌禍)
  6. Sexism(女性差別のカードを引いた)


米国における「クリントンブランド」は、良くも悪く絶大な知名度があります。民主党大統領では、フランクリン・D・ルーズベルト以来の初の2期当選(8年間)を果たしたBill Clinton(ビル・クリントン)は、ITと金融に重きをおいた政策で、米国の経済・社会構造を大きく変革して、長期にわたる好景気をもたらしました。ただし、常に女性スキャンダル(Paula Jonesを含めた女性たち)がまとわりつくクリントンは、ホワイトハウスのインターンであったMonica Lewinsky(モニカ・ルインスキー)とのスキャンダルで、民主党大統領としては2人目の「弾劾裁判(Impeachment)」を受けることになりました(ビル・クリントンが国民に向かって、TV番組でルインスキーとの関係を説明するシーンは、今でも強烈な印象があります。顔を真っ赤にしながらな苦しげに女性関係を答弁する大統領は、とても正視に堪えられるものではなく、こういうシーンは二度と見たくないと誰もが思った瞬間です)。

女性問題を起こすビル・クリントンを、パートナーとして(2人の関係は愛情を基にした夫婦というよりは、同士といった風に見えます)、常に擁護してきたヒラリー・クリントンは、ビル・クリントンの大統領任期終了後は、その影を払拭するかのように、上院議員として民主党の政界に躍り出ました。ファーストレディ時代に、すでにヘルスケア問題に着手して失敗したヒラリーですが、弁護士時代に鍛えた弁舌は鋭く、そのインテリジェンスと強力なプレゼンスは、彼女自身が主役となったクリントンブランドを構築し始めました。

「クリントンブランド」は、単なるシングルブランドではなく、この2人の「ダブル・クリントン」として位置づけられるもので、通常のブランドではとても太刀打ちできない、民主党最強ブランドでした。そこに、「A skinny kid with the funny name(変な名前を持つ痩せた子供)」と自称する、イリノイ上院議員のBarack Hussein Obama(バラク・フセイン・オバマ)が、登場しました。2004年の民主党大会までは誰も知らなかったオバマは、変な名前と自称せざるを得ないのは、ミドルネームのHussein(フセイン)も含めて、モスリム名(ケニア人の父親の名前を受け継いでいる)を持つ政治家としての辛さを現しています。また、黒人(彼は黒人を自称していますが、基本的には白人と黒人の間のBi-racial=複数人種です)であること、経験の少ないジュニアの上院議員であることなど、どう考えても大統領への道は非常に困難としか思えない候補者でした。

「クリントンブランドの圧倒的優位」は、クリントン陣営に限らず、共和党・民主党を問わず、メディアも含めて、ほとんどの人たちが信じていたことです。これが、クリントンマシーンと呼ばれるサポーターたちに過信をもたらし、従来の支持基盤に頼って、新たな支持者開発に出遅れた一因となっています。また、それ以上に、誰もがこの「オバマ現象(Obama Phenomenon)」と呼ばれるほどの熱狂を、予備選開始前に予想できず、オバマへの過小評価は、大きなツケとなって、クリントン陣営を蝕みました。

すでに、クリントンは、キャンペーンを中止して、オバマを民主党の大統領候補として認めていますが、この敗戦は、キャンペーン資金にも大きなツケをもたらしています。オバマ陣営は2000万ドル以上あるというクリントンの負債を返済すべく、サポーターたちに彼女へのドネーションを強く呼びかけています。昨日、ニューハンプシャーでヒラリー・クリントンは、オバマとともにステージに上がり、彼をホワイトハウスに送り込むために全力を尽くすと発言しています。彼女はブルーのパンツ・スーツ、オバマはブルーのタイとカラーコーディネートしており、さらに場所も2人が引き分けたニューハンプシャーの「Unity(一体化するという意味)」という小さな街を選んでいます。

ただし、2人の予備選での熾烈な争いは、クリントンの女性支持者に深い傷跡を残しており、両陣営のサポーターが、本当に一緒に協力できる体制が整うには、まだまだ時間がかかりそうです。

2008年米国大統領選挙:オバマは僅差でリード「6/26の投票者の気分l」

6/26/2008

 
Picture
「マーケッターにとって、調査データはどういう意味を持つか?」、こういう質問を受ける時があります。

私は、「もちろん、定量、定性、オンライン・オフライン、フォーカスグループ(日本で言うグループインタビュー)、エスノグラフィー(Ethnography:対象者の日常生活に密着して彼ら自身の言葉で意識や思考・行動を語らせる調査手法)など、調査手法によって多少意味は異なりますが、基本的には、私にとって調査は、"自分の仮説を裏付ける"ものです。調査データは、日々マーケッターとして、意識あるいは無意識に蓄積している感覚的な"気づき"を、顕在化する機能があるように思えます。」と答えます。英語に「Intuit(直観する)」という表現がありますが、マーケッターにとって、最も重要な資質は、この「直観的な洞察」で、これがないと費用や時間をかけて実施した調査データは、単なる数字になってしまいます。てなことを考えながら、以下のような大統領候補の調査データを眺めています。

  • Rasmussen Report (6/23-25): Obama 49 vs. McCain 45
  • Newsweek (6/18-19): Obama 51 vs. McCain 36
  • LA Times/ Bloomberg (6/19-23): Obama 49 vs. McCain 37
  • Gallup (6/20-22) Obama 46 vs. McCain 43
  • USA Today/Gallup (6/15-19): Obama 50 vs. McCain 44
  • Fox (6/17-18): Obama 45 vs. McCain 41
  • Economist/ YouGov (6/16-17): Obama 48 vs. McCain 44
ばらつきのある各社の調査データをトラックダウンして毎日のまとめとして発表しているのが、Pollster.comです。26日の時点では、オバマが48.4%でマケインは42.3%と、僅差でオバマがリードを保っています。以下の時系列の表を見るとわかりますが、候補者確定後は、傾向としてオバマが上昇カーブを描いています。 具体的な政策別では、両候補者への評価に対して、2つの異なる調査からはこんな数字が出てきています。

USA Today/ Gallup (6/15-19)

  • ヘルスケア: オバマ+25
  • 経済: オバマ+16
  • エネルギー/ガソリン価格: オバマ+19
  • イラク戦争: 同率
  • テロリズム: マケイン+19

LA Times/ Bloomberg (6/19-23)

  • 経済: オバマ+21
  • イラク戦争: マケイン+2
  • テロリズム: マケイン+17

ちょうど今週は、マケインのチーフアドバイザーのCharlie Black が、Fortune Magazineのインタビューで「またテロ攻撃が起きたら、これはマケインにとって大きなアドバンテージになる」と発言して大いに論議を読んだばかりで、オバマのWeakness(弱み)である「テロリズムとの戦い」は、Blackの指摘を聞くまでもなく、マケインのStrength(強み)として、数字にも表れています。ちなみに、Blackはすぐにこの発言に関して謝罪しており、マケインもこの発言を否認しています。

このPollsterのグラフを見ていると、両候補者への一般の感情の揺れのようなものが見えてきます。24時間365日のサイクルで、2人の候補者とそれを取り巻くスタッフや関係者の行動・発言が、オフ&オンラインで多くのWOM (Word of Mouth:クチコミ)を生んでいます。すでにコミットメントしているハードコアのサポーターは別にして、揺れ動くSwing voterたちは、そうしたWOMに影響されやすい人たちです。

グラフの曲線が安定してくるのはいつで、上昇カーブを11月まで維持できるのはどちらか? 中々目が離せません。



2008年米国大統領選挙:「妻たちの戦い①:Michelle(ミシェル) vs. Cindy(シンディ)」

6/19/2008

 
大統領選もObama(オバマ)とMcCain(マケイン)の間で、ヒートアップしてきていますが、もう一つの戦いとして、彼らの妻たちへの関心が大きく高まっています。昨日のABC News/Washington Post の調査によると、Michelle Obama(MO: ミシェル・オバマ)とCindy McCain(CM: シンディ・マケイン)に関する、有権者の好意度の調査データがでています。

一般有権者の2人に対する好意度は、以下で、ミシェルが8ポイントリードしています。但し候補者の妻に対する評価で、候補者自身への投票に影響が出ると答えている人は、わずか16%ですので、妻たちへの数字をことさら重要視する必要はないとする見方もあります。

  • 好き: MO 48% vs. CM 39%
  • 嫌い: MO 29% vs. CM 25%
  • 特に意見はない:MO 23%  vs. CM 36%


個別のデモグラフィーで見てみると、
  • 女性一般の好意度: MO 54% vs. CM 40%
  • フェミニスト(男女を含む)の好意度: MO 60% vs. CM 33%
  • ノンフェミストの好意度: MO 45% vs. CM 41%
  • 民主党あるいはリベラルな人の好意度: MO 66%
  • 黒人の好意度: MO 84%
  • ヤングアダルト(18-29歳)の好意度: MO 61%
  • オバマ支持者の好意度: MO 73%
  • 共和党支持者の好意度: CM 62%
  • マケイン支持者の好意度: CM 56%
  • コンサーバティブ(保守)の好意度: CM 46%


女性一般ではミシェルが14ポイント、シンディに差をつけていますが、これは民主党が共和党より女性有権者の多く抱えることから考えると妥当な数字です。目立つのはシンディがコンサーバティブな支持者から46%しか獲得出来ていないのに比べて、ミシェルはリベラルな有権者から66%、20ポイントも多く獲得している点です。マケイン自身が、共和党の中心を占める、キリスト教のEvangelicalsと呼ばれる保守派から絶対的な支持を獲得できていない現状が、妻の好意度にも反映されています。

プリンストン大学卒、ハーバードで弁護士資格を獲得し、弁護士、シカゴのパブリックサービス、大学や病院でエグゼクティブとして勤務してきた、成功したキャリアを持つミシェル・オバマは、「Closer」と呼ばれて、自分の意見をストレートに話す情熱的な女性です。夫の全米キャンペーンでも、彼の代わりとなって、スピーチを行い、サポーターには熱狂的に受け入れています。ただし、彼女のそのストレートトークが、2月に大きな波紋を巻き起こしてしまいました。以下が彼女の発言です。

「For the first time in my adult life I am really proud of my country. And not just because Barack has done well, but because I think people are hungry for change.(人々が変革を渇望していることを目の当たりにして、成人した自分にとって、初めてアメリカを本当に誇りに思う)」

この発言によって、彼女は「反愛国的な怒れる黒人女性」というレッテルを貼られて、多くの批判を浴びました。シンディ・マケインは、この発言に反応して、「Everyone has their own experience. I don't know why she said what she said. All I know is that I have always been proud of my country.(誰でもおのおの独自の経験がある。私はなぜ彼女がこのような発言をしたかは知らないが、私は常にアメリカを誇りに思っている)」と言い返しています。共和党は、ミシェルの発言をもとに、彼女の愛国心を疑う誹謗キャンペーンの広告を流したり、オンラインでは多くの「アンチ・ミシェル」のBad Mouth (悪口のWOM:クチコミ)を展開しています。

ここでのポイントは、共和党のミシェルへの誹謗には、「Sexism(女性差別)とRacism(人種差別)」が微妙に織り交ぜて訴求されている点です。「出る杭は打たれる」ではありませんが、メディアも含めて、「強い女性」への反感は根強く、それに黒人という人種が絡んでいるので、彼女への批判は、Nastyな印象を与えています。その後もコンサーバティブなケーブルTV局のFoxは、彼女を「Obama's Baby Mama(未婚で子供を持った母親の意味)」と呼ぶなど、さまざまな批判にさらされています。

大統領夫人Laura Bush(ローラ・ブッシュ)も、ミシェルの発言への非難はまちがってると彼女を擁護するコメントを出していますが、私を含めて女性たちは、こうした共和党や保守派メディアのミシェルへの誹謗には反発しているのは事実です。ミシェルは、昨日ABCの人気トークショウ「The View」に登場して、有名な「Pound (=Fist Bump)」もユーモアを交えて紹介し、自らの言葉で批判されている発言の説明を試み、さまざまな話題を正直に語り、好評を博しました。

ミシェルは、5フィート11インチ(180.34cm)とモデルのように背が高く、ファッションセンスのよさでも定評があり、どんな格好で現れるかは常に女性たちの関心事です。彼女が昨日のショウで着ていたスリーブレスのワンピースも、思わず共演者がどこで買ったと聞いたぐらいよく似合っており、彼女がニューヨークのWhite House Black Marketで148ドルで買ったと発言して、高価なドレスではなくても、センスよく着こす彼女への好感度はまた高まったようです。

2008年は「大統領夫人の変革」も実現しそうです。

アップデイト:The ViewでMichelle Obama(ミシェル・オバマ)が着ていた148ドルのドレスは、あっという間に、売り切れとなり大騒ぎとなっています。かつてJacqueline Kennedy(ジャクリーン・ケネディ)が、ファッショントレンドをセットアップしたように、「ミシェルはファッションアイコンか?」と、メディアは騒いでいます。ジャッキーのドレスは、オレグ・カッシーニ、ジバンシー、シャネルが担当して、当時彼女は、米国人デザイナーのドレスを選ばないと言って、非難されていました。それでも彼女が着たオートクチュールのドレスは、多くの米国のマスマーケットの製造会社にコピーされて、あっという間に、米国女性の間に広まっていきました。ミシェルは、地元シカゴのデザイナーのドレスも着るが、自分が気に入ればマスマーケットでもなんでも着ていると答えています。

今回の彼女のドレスのポイントは、148ドルで買えるところで、今の時代を現しています。正直言って、私も、このブラックアンドホワイトのスリーブレスドレスは好きなデザインなので、148ドルだったら、買います(身長が低い私は似合うかどうかはわかりませんが。笑)。




世界が期待する米国大統領はオバマ(Obama)か、マケイン(McCain)か?

6/16/2008

 
今回の米国大統領選挙が、米国のみならず、全世界の注目を浴びていることは、衆目の一致するところです。以下は、Pew Research Centerによる、世界各国の人たちに問いかけた、民主党のObama(オバマ)と共和党とMcCain(マケイン)は、「どちらが大統領になったほうが自信が持てるか?」という質問への回答です。国によって多少の差がありますが、オバマに期待する国が目立ちます。

  1. 米国: オバマ59% マケイン60%
  2. タンザニア: オバマ84% マケイン50%
  3. フランス: オバマ84% マケイン33%
  4. オーストラリア: オバマ80% マケイン40%
  5. 日本: オバマ77% マケイン40%
  6. 英国: オバマ74% マケイン40%
  7. スペイン: オバマ72% マケイン19%
  8. ブラジル: オバマ58% マケイン35%
  9. 韓国: オバマ56% マケイン31%
  10. ポーランド: オバマ53% マケイン37%
  11. インドネシア: オバマ52% マケイン17% 


米国本国は、1%マケインがリードしていますが、アフリカのタンザニアの84%から始まって、ヨーロッパ、アジア、南米の主要国は、オバマ支持のようです。確かに、現在のブッシュ政権への不満は、世界中にくすぶっています。イラク・アフガン戦争、住宅バブルを放置して崩壊を招いた経済施策、地球温暖化対策への不参加など、世界各国との協調を求めようとしない強硬なブッシュ政権への反発は、各国にあります。彼らが新政権に期待するのは、やはり「Change(変革)」です。この実現は、ブッシュ政権の国家保障および経済政策を踏襲するマケインでは、出来にくいことです。

ただし、米国は、他の国の人が思うほど、「リベラル」ではなく、非常にコンサーバティブな考え方を持つ人が多くいる国です。また、生活の中で、キリスト教の占める比重も大きく、オバマが支持する政策(ゲイの法的権利保護や女性の中絶選択を支持する権利など)は、そうしたキリスト教のエバンジェリストたちの非難の的であり、そのハードルはかなり大きいといえます。また、白人と黒人の両親を持つBiracial(バイレイシャル:複数の人種)であるオバマに対する、人種への抵抗はかなりあるのは事実です。アタマではわかっていても、感情面でまだまだ受け入れにくい人もいて、本当にアメリカ人が「黒人大統領」を受容する準備が出来ているのかという大きな疑問は重くのしかかってきます。

予備選挙と異なり、本選挙のある11月までの5ヶ月間、オバマとマケインの間で繰り広げられる戦いは、両者の違いをより鮮明にした、厳しい戦いが繰り広げられます。まさに米国は「選択の時」を迎えている、そんな気がします。


Clinton(クリントン)が負けた理由①「Change(変革) vs. Experience(経験)」

6/11/2008

 
シリーズエントリです。Hillary Clinton(ヒラリー・クリントン)のObama(オバマ)に負けた理由ですが、以下の6つが考えられます。

  1. Change vs. Experience(経験を盾にして、変革を求める米国民の声を読み間違えた)
  2. War Vote(イラク戦争開始への賛成投票。さらにそれが間違いであると認めなかったこと)
  3. Dysfunctional Campaign(戦略ミスと内部分裂で機能しなかったキャンペーン)
  4. Overconfidence(クリントンブランドへの過信)
  5. Bill Clinton(元大統領ビル・クリントンが巻き起こした舌禍)
  6. Sexism(女性差別のカードを引いた)
これは、政治キャンペーンでありますが、マーケティングの観点から読み取っていくと、現在の有権者(=消費者)の声が見えてきます。

まずは一番からですが、今日のNBC/WSJの数字によると、以下のような有権者の「変革と経験」への声があがっています。

  • 59%:大統領にとって最も重要なことは、アメリカの前進と進歩に注力すること
  • 37%:大統領はアメリカを防衛することに注力すべきだ

  • 54%:例え、あまり経験やテスト(大統領として)を経ていなくても、現在のポリシーを大きく変えることが出来る人が大統領として重要。
  • 42%:例え、現在のポリシーを変えることがあまり出来なくても、経験があってテストを経た人間が大統領としては重要る。


オバマとマケインの大統領としての評価は以下です。
  • Obama(オバマ):47%(5月8日)、46%(4月8日)
  • McCain(マケイン):41%(5月8日)、43%(4月8日)


オバマとマケインはどちらが勝つか?
  • Obama(オバマ):54%
  • McCain(マケイン):30%


こうしたデータを見ても、「経験」を訴えたクリントンが、首尾一貫して「変革」を訴えたオバマに僅差ながらも負けたのが理解できます。

全米平均でガソリンが1ガロン4ドルを突破して、物価およびエネルギーコストの上昇は日常生活に大きな影響を与えており、サプライムローンによる住宅バブルの崩壊、失業率の上昇、消費者の自信指数の低下など、経済の先行きはかなり深刻です。また多くの人たちは、イラク戦争は意味のない理由によってスタートした最悪の戦争という認識を持ち、莫大な戦費の支出は、国民に「どうやったらこの泥沼から脱出できるのか?」という気持ちを植え付けています。ブッシュ政権の支持率は25%と、近年の歴史の中では最低を記録し、多くの国民が大きな「変革」を求めています。

クリントンは、弁護士、知事夫人、大統領夫人、上院議員という彼女のキャリアすべてを「経験」という言葉で包んで、自分は大統領に就任したその日から。すぐに仕事が出来る経験者だと訴えました。ただし、それは、「ブッシュ、クリントン、クリントン、ブッシュ」という過去16年間の既存の政治家の継続にしか見えず、心底この現状を打破したいと思う人たちとはエンゲージできませんでした。

マーケティングにおいて、重要なことの一つは、「時代の風向き」を早くから感じ取る、嗅覚です。オバマは、有名な2004年の民主党大会の演説の時から、足掛け5年間「Change(変革)」を訴えています。彼の嗅覚は、正しかったと思います。




Obama(オバマ)が推奨する「WOM(Word of Mouth: クチコミ)」

6/10/2008

 
今日、印象に残ったYouTubeのオバマ関連ヴィデオは、昨日アップロードされたインディアナ州のサポーターたちとのランチ風景「Lunch with Barack」です。

Q: オバマサポーターは、「11月の本選挙でどんなサポートを必要としているか?」と尋ねたところ、

A: オバマは、「あなたたちの言葉を周囲に広めて欲しい(WOM:クチコミ)。あなたたちの言葉はTV広告以上に信頼性があって、非常に重要だ」と答えています。

ヴィデオは8分41秒ありますが、質問は7分19秒、オバマの答えは7分20秒から7分40秒までです。

彼が常に主張するコミュニケーション「ボトムダウンではなく、ボトムアップ」という手法のプラットフォームとして、重要なのが「WOM(Word of Mouth:クチコミ)」です。オバマは、サポーターに、「オバマキャンペーンのAdvocate(擁護者・支持者)」となって、彼らのコミュニティでの信頼性を梃子に、メッセージを広めるように、お願いしています。

「YouTube時代」のアドバンテージは、こうした普段は中々見えない大統領候補者の生の声を、マスメディアに頼らずとも、直接視聴できることにあります。彼はそれを大いに活用し、私たちは、それを大いにエンジョイしています。面白い時代です。

Robert F Kennedy (ロバート・F・ケネディ)の40年前のオバマ出現の予言

6/8/2008

 
今週末は、Robert F Kennedy(ロバート・F・ケネディ:RFK)暗殺から40年が過ぎて、彼に関する様々なエピソードが紹介されて、改めて1968年と2008年の政治シーンが比較されています。

RFKは、民主党のライバル候補のEugene McCarthyに、カリフォルニアの予備選挙で勝利した1968年6月5日深夜を過ぎた直後、射殺されています。彼は、兄のJohn F Kennedy(ジョン・F・ケネディ:JFK)大統領時代に、Attorney General(司法長官)として、マフィアに代表される組織犯罪の撲滅、公民権運動(人種差別撤廃)に尽力していました。JFK暗殺以降、身辺の危険を感知しながらも、上院議員から大統領候補者へと、当時の米国の深刻な問題に取り組むキャンペーン活動を続けていました。当時のベトナム戦争の悪化と公民権運動で動乱の米国において、彼の死は、大きなショックをもたらしました。

彼の遺体はニューヨークからワシントンまで、103年前のリンカーン大統領と同じように、列車「Funeral Train(葬儀の列車)」によって運ばれましたが、鉄道の沿道に、人種・性別・年齢を超えて、200万人が彼との最後の別れを惜しんだといわれています。

今朝は、Meet The Pressの記事を読んでいて、RFKが、1961年(47年前)のスピーチで、以下のように、Obama(オバマ)出現を予言するかのような発言をしていることを知り、改めて驚いてしまいました。

Things are "moving so fast in race relations a Negro could be president in 40 years." "There's no question about it,' In the next 40 years a Negro can achieve the same position that my brother has.' ...

この「Negro(ニグロ)」という言葉も生々しいですが、RFKは、「40年後には黒人大統領が現れる。これに対して私はまったく疑っていない」と言い切っています。RFKの大統領選への出馬は、彼が心底信じていた、アメリカが国としてなすべきこと、差別撤廃や貧困克服という情熱の具現化です。当時の差別が渦巻く米国内の状況において、この言葉をスピーチの中で発言した、彼の勇気には脱帽です。

RFKの未亡人Ethel Kennedyは、早くからオバマサポートを打ち出し、JFKの長女Caroline Kennedyは、自分の父親と同じように国民をインスパイアするオバマをサポートするという発言をしています。また、彼女は現在オバマの副大統領候補選定委員会のメンバーでもあり、ケネディ兄弟の最後の生存者Ted Kennedy上院議員は、オバマを民主党内の次世代の指導者として強力にサポートしています。

多くの人たちの情熱と犠牲、さらに時間によって、今の2008年の政治シーンが形づくられています。 


「Change is coming」:オバマが見せた「政治資金の透明性」

6/5/2008

 
今週6本目のObama(オバマ)勝利に関するエントリーです(ブログばかりしていて、中々仕事が手につきません、トホホ…)。

民主党大統領候補に指名が確定して以来、まだ2日しかっていませんが、オバマの政治献金に関するポリシーを民主党のDNC (Democratic National Committee)は受け入れました。

彼は、大統領選挙キャンペーンにおいて、Federal Lobbyists(連邦ロビイスト)やPAC(Political Action Commitee:政治行動委員会)からの政治献金を受けないというポリシーで、キャンペーンの「透明性」を最初から掲げていましたが、DNCはこのオバマのポリシーに、今日6月5日から従うことを発表しました。

これは、オバマが訴え続けてきた「ワシントンの"Special Interest"を排除する」という大きな目標の第一歩で、共和党のMcCain(マケイン)にとって、かなり強烈なパンチとなります。彼の周りには、ロビイストだらけで、何人かはすでにマケインのキャンペーンから、「Special Interest」とのコンフリクトで立ち去っています。オバマ支持者は、このニュースを受けて、ますます意気盛んで、オバマの本選挙に向けて献金に励むと、ブログ圏で騒いでいます。

オバマ支持者が、Hillary Clinton(ヒラリー・クリントン)を、副大統領にしたくない大きな理由の1つには、この政治資金の透明性にあります。ビル・クリントン元大統領は、彼のFoundationの建設資金の寄付者たちの名前を公開しておらず、元大統領と支援者のお金にまつわる疑惑は、民主党にとって大きな頭痛の種です。オバマのポリシーに賛同する支持者は、クリーンなお金の集め方と使い方を期待しており、大統領候補自身がクリーンであることと、ワシントンという政治家たちのコミュニティのクリーンアップも求めています。このニュースは、そういう意味でかなりのインパクトをもたらしています。

マーケティングの世界もそうですが、現在の消費者は企業のマーケティング活動に「透明性」を求めています。特に「Word of Mouth (WOM:クチコミ)」を主体にしたオータナティブなマーケティング活動は、従来のマスメディアを使った広告と異なり、誰がどのように関与しているかがわかりにくいマーケティング形態です。ですので、消費者が企業の関与を知らないで、あとでそれがわかった場合、「騙された」と感じて、失望や怒りを買います。どんな場合でも、「私はこういうもので、こういう目的で、あなたに話しかけています」といった、「身元の公開」をベースにしたコミュニケーションが非常に重要です。

そんなことを考えながら、このニュースを読んで、オバマの大統領候補になった2日目の仕事としては、これはかなり上出来だと思います。

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    大柴ひさみ

    日米両国でビジネス・マーケティング活動を、マーケターとして、消費­者として実践してきた大柴ひさみが語る「リアルな米国ビジネス&マーケティングのInsight」

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