このインディアナのクリントンの僅差の勝利に貢献した要素のひとつとして、コンサーバティブな共和党支持者のラジオ番組の人気ホストのRush Limbaugh(ラッシュ・リンボー)の "Operation Chaos(オペレーション・カオス)" と呼ばれる戦略があげられます。これは、民主党をかく乱するためのもので、彼は共和党支持者のリスナーに、民主党員として登録してクリントンに投票して、出口調査ではメディアに嘘の回答をして、民主党予備選挙を長期化・泥沼化・混迷化させようと呼びかけています。彼のこの戦略は、"Limbaugh effect(リンボー効果)"となって、インディアナではクリントンへ7%の共和党員による投票が集まり、それによって、本来はオバマの逃げ切りの勝利に終わったインディアナ戦は、結果としてクリントンに勝利をもたらし、彼女の候補者レース存続理由をもたらしたと、リンボーは嘯いています。
この"Limbaugh effect(リンボー効果)"が貢献したかどうかは別にして、昨晩のインディアナは、深夜の12時を過ぎて95%の開票が終了してもまだどちらが勝つか予測できないという状況で、候補者もそうですが、サポーター、有権者、アナリスト、ブロガー、メディア、そして選挙区以外の一般の米国民がドラマの行方を固唾を呑んで見守るというムードで、そんじょそこらのリアリティTVでは絶対に書けないシナリオでドラマは進行しています。数字上ではすでにオバマに勝つことは不可能であるとされているクリントンですが、それでもレースから下りないと宣言しており、民主党の予備選は、8月の党大会までレースが継続されそうです。
そんな中で、昨日オバマをサポートするミュージシャンBlack Eyed PeasのWill.i.amは、「The Webby artist of the year」を受賞しました。理由は、オバマ支援のミュージックヴィデオ"Yes We Can"によって、YouTubeというソーシャルメディアのみで、何百万人の市民を巻き込んで政治的キャンペーンに貢献したことを評価されて受賞しています。私も2/15にこのヴィデオに関してエントリしていますが、オバマのニューハンプシャーのスピーチと歌詞が見事に重なり合って、ボランティアリーに参加した著名人のオバマに託す「Yes, We Can」という想いが結実しており、まさに2008年を象徴するヴィデオという感があります。
最近はすっかり目立たなくなった「Webby Awards」ですが、今回の選択は納得です。11月の本選挙でオバマがマケインに勝てるかどうかは、まだまだ予断の許さないところですが、少なくとも「Yes We Can」は2008年のキーワードとして人々の記憶に残るのは確実、そんな気がします。