アメリカはご存知のとおり、訴訟大国で石を投げれば弁護士にあたると言われるぐらい、さまざまな分野を専門とする弁護士が存在し、およそ70万人と言われています。資格を取得するためにはABA(米国法曹協会)認定のロースクールを卒業し、、州ごとに実施される司法試験に合格しなければなりません。ロースクールには、一般大学卒業者対象の米国法、国際法修了書取得コースや、法学部卒業者が入学可能な1年間のLL. M.(学位取得)プログラムなどがあります。司法試験は年2回で、だいたい2月と7月です。
今回、彼女が受けたCaliforniaの司法試験全体の合格率48.8%で、8,343人が受験して、合格者は4,072人です。50%を上回る年が多いのを考えると、今年はなかなか難しかったようです。
彼女に出会ったのは、5年前で、彼女が商社勤務からデジタルメディアソフトウエアの企業のBiz Dev.だったころです。日本の携帯電話やIModeが米国で話題になったころで、彼女はその会社のテクノロジーを日本の携帯電話ビジネスに活かすべく、 日米を往復していました。JaMにも手伝ってほしいという依頼を受けて、その会社のFounder/CEOとのミーティングもありましたが、テクノロジー 開発に資金投入を注力していて、結果Foundingがマーケティングにまわせず、仕事を一緒にするには至りませんでした。
彼女の第一印象は、「なんて礼儀正しく、清々しいお嬢さんだろう!」です。それはその後何回会っても、一切変わらず、常に凛とした美しさを持つ女性です。 仕事も非常にProfessionalですが、それ以上に「素晴らしいご両親に、きちんと躾けられて育った女性」だと感じており、毎回彼女と会った後は、 こういう日本女性がアメリカにいることを、誇らしく思ったほどです。
その彼女が、サンフランシスコ弁護士事務所(Law Office of William P. Klein)で勤務した後は、毎晩6時から10時までロースクールに通う生活を2年続けて、さらに「お籠もり」の時期を経て、念願の試験に一発で合格し た、本当にアタマガが下がります。7月の試験は、毎日8時間ずつ合計3日間も、試験会場に通って受験するということで、外部と連絡が取れないように、厳重 なチェックが行われ、座るための枕にもカバーが許可されないという厳しさです。
何が最も辛かった?と彼女に聞いてみましたが、「試験が終わって11月17日の結果発表まで、3ヶ月待たなければならないこと。受かったかどうかわから ず、不安できつかった」と言っていました。確かに3ヶ月は長いし、実際に合格の成否は、当日事前に知らされている自分のコードを、オンラインで入力して確 認するという手法です。彼女は前日一睡もできず、当日はなぜか突然片目が見えなくなり、病院に駆け込むというハプニングも起こりました。ようやくオンライ ンに現れた彼女の名前の下に書かれていた文章は、非常に小さなフォント(6級ぐらい)で、さらに意味も法律用語のような表現で、本当に合格したかどうかわ からない状態で、彼女は思わず勤務先の弁護士に電話をして、意味の確認をしたくらいです。
・英語がネイティブではない(ネイティブのアメリカ人でも、読んでもわからない英語の法律用語)
・大学の専門科目はは法律ではない
・30代後半のキャリアチェンジ
こうした3つのDisadvantageを乗り越えて、米国の司法試験にチャンレジするという、彼女の勇気に、私は非常に感銘を受けています。
「自分がしたいなら、チャンレジする=Just Do It!」、この精神が物事を実現させます。
PS: 彼女の法律の関心領域は、企業間の契約問題です。それ以外でも日米間のことはOKですので、彼女にコンタクトされたい方は、私にご連絡ください。ご紹介します。