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サンフランシスコ・シリコンバレー在住マーケターのINSIGHT(洞察)



コロナ禍でのアメリカ生活㉚「Self esteem(自己肯定感)ー遺伝子が作った子供の個々の才能を『無理強いの早期教育』で捻じ曲げない」

10/18/2020

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幼少期の教育の重要性が以前から気になっている。昨今の日本は従来の教育の仕方に疑問を呈して、幼児期に英語教育をしてバイリンガルに育るとか、早く仕込めばアドバンテージが多くあると思って、色々やっているみたいだが、慶應義塾大学医学部小児科主任教授の高橋孝雄氏が語る「早期教育は意味がない」という長いインタビュー記事には、様々な示唆が含まれている。高橋教授の記事から、私が関心を持った部分を以下にまとめる。

1)遺伝子の「決定力」はとても強固で、例え劣悪な環境でも大事な部分はしっかり守られる。

胎児は25-26週目ぐらいまで脳には皺はなく、それ以降、300グラムの体重で生まれてきた新生児は、このような危うい状態でも保育器の中で、母親の胎内の中で同様に、遺伝子によって、大人と同じように皺が作られていく。脳のように重要な部分は、例え状況や環境が悪くても、遺伝子という金庫の中で厳重に守られていく。

胎教の観点からモーツァルトの曲を聴かせるといったコトが言われたりしたが、胎児には音楽は聞こえないので、クラシックであろうがヘビメタであろうが、母親が「これがママが好きな曲なので一緒に聞いてね」と胎児に語り掛けてコミュニケーションすることが非常に重要となる。胎児の時から、そのようなコミュニケーションを取っていると、生まれてきた際「やあ、よく出てきたね」というところから親子の関係が始まり、愛情のあるスタートがきれる。
​

2)子供の性質・性格、嗜好性、学力、運動能力といったものは全て環境要因よりも遺伝子要因で決まる

「トンビが鷹を生む」という表現があるが、高橋教授によれば、特定の勉強の得手不得手は教育といった環境要因よりも遺伝子要因で決まる部分が大きいという。これは性質・性格、「何が好きか」という嗜好性、さらに運動能力にも当てはまる。そのために両親が得意なコトや好きなコトを子供にやらせたら、それがその子供に向いていたということが十分起こりえる。

遺伝子が作ったその子供の個々の才能を「無理強いの早期教育」で捻じ曲げないことで、「トンビでも鷹のように優秀なトンビ」を育てられる。
​


3)子供の時に成功体験を積んだ人間(=自分大好きな子供)は強く、自己肯定感を構築するために子供を褒めることが大切


遺伝子要因が多くのことを規定している以上、親が何を子供に提供できるか? 親の育て方即ち環境要因で差がつく部分は、子供が自分に自信を持つ(Self esteem-自己肯定感)ようになるかどうかだと、教授は言う。

例えば、早く自転車に乗れるようになった子と、小学2年生でやっと乗れるようになった子の運動神経の差はない。早く乗れたからといって自転車選手になるわけではない。つまり「早さ」に意味はなく、遺伝子により決められた能力を環境要因で押しつぶすことさえしなければ、必ずそれは必要な時に出てくるようになる。逆を言えば、出来ないこと、嫌いなことはできなくて良い、自信を失わなくて良い。だからこそ、親としては子どもの「出来ること」「得意なこと」を探してあげることが大切。

​すべてのことは上にいけばいくほど困難になり、頭打ちになる。だから小さな時から挫折感を味あわせないほうがいい。

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思春期前の子供の心「Sense of wonder」を伸ばす

13歳というのは小学校から中学校に上がる年齢だが、思春期を迎える直前の年頃でもある。思春期を迎えると当然のように、子供達の関心は急激に異性に向かい、様々な事象の中に不思議さを感じていた「Sense of wonder」の気持ちを喪失していく。この思春期前に、どこまで子供のSense of wonderを親が一緒になって伸ばしていけるかどうかが、子供の自己肯定感の育成と、もう1つ「自分の見方で物事を見るチカラ」の醸成につながると思う。

​Albert Einsteinは、「常識とは18歳までに積み重なった偏見の累積でしかない」と言った。
"Common sense is the collection of prejudices acquired by age eighteen." Albert Einstein

私は思春期前の子供達の好奇心とイマジネーションを重要視する。18歳まで待つ必要もなく、思春期を迎えた子供達は、子供時代を通り抜けて、少年&少女になってしまう、それでは遅い。偏見や固定概念が、アタマと身体に沁み込む前に、遺伝子によってしっかり守られた個々の才能を伸ばす教育をすべきだと思う。

私の思春期前の体験が証明する「自己肯定感」の強さ


「自分大好きな子供」は、個が確立されているので、自分が考えた考えや意見を人にコミュニケートしたくなる。同質性を強調する日本社会では、そういう個の確立を、圧力でつぶそうとすることが多々ある。それを考えると、個の確立された子供達がさらにそれを伸ばせるような場や、それを勇気付ける教育の仕方が学校でも家庭でも必要だと思う。

自分の子供時代を振り返ると、非常に興味深い逸話がある。私は小学1年から6年まで常にクラス委員に選出されており、自分で言うのもなんだが成績もよく人気者でもあったが、一方では「女子のいじめ」にもあっていた。女子のいじめは仲間外れのようなものだが、私は女の子の遊びが好きではなかったので、男の子と野球や木登りをして遊ぶという形で無視していた。但し、同じくいじめにあった女の子が転校することとなり、学校で問題視されて、母は初めて私がいじめを受けていることを知り、泣きながら「なぜ言わなかった」と私を詰問した。私は「親には関係ないことだし、私は特にそれを問題視していない」と答えて母をあきれさせた。私の異端児ぶりは、当時小学生の女の子のくせに、Very short hairでダンガリーのシャツにジーンズで学校に通うというスタイルにも現れている。小学校の卒業時に将来の夢見る職業は?という欄に、女の子がモデル、スチュワーデス、お嫁さんと書くのを尻目に「宇宙飛行士」と書いたぐらいである。
​
要はSelf esteemが強く、個性を重んじる私は、子供ながらにも、周囲の同調圧力に屈せず、むしろ孤高を選んだという話で、これは親が「ひさみの思う通りに生きなさい」という個性を重視してくれた教育の賜物だと思う。
個が確立された人達が社会を構成し始めると、Diversityの強みがPositiveに生かされる

「三つ子の魂百までも」ではないが、幼児期の体験は、その後の人生の指針ともなるほど重要である。個が確立すると、それを他の人にコミュニケートして、相手が異なる意見を持っても、なるほどそういう考え方もあると、それをリスペクトするようになる。この「一本独鈷」ともいうべきAttitudeこそ、パンデミックの渦中で今のように混沌として先が読めない或いは見えない時代には重要視される。

​今、時代は「見えないモノを見るチカラ」が要求されている。そのためには、偏見の蓄積である常識に捉われない考え方が必要で、そうした思考のInnnovationは、Diversityをエンジョイできる人達の中に見えてくる。
岡本太郎は「同じことをくりかえすくらいなら、死んでしまえ」 とまで言い切っている。
ここはひとつ、幼児期の子供達の個性を発芽させて、それを伸ばすためのサポートや教育の仕組みを考えて、個の確立と自己肯定感を醸成して、同調圧力に屈しない、或いは同調圧力などをかけない社会を目指したい。
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    大柴ひさみ

    日米両国でビジネス・マーケティング活動を、マーケターとして、消費­者として実践してきた大柴ひさみが語る「リアルな米国ビジネス&マーケティングのInsight」

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