The Journal of the American Academy of Dermatologyによると、なんと米国の18-50歳の成人のうち、24%が、何らかの刺青をしており、2003年の15%から急増していることが報告されました。これって、4人に1人は刺青をしていることなり、どうやらアメリカは刺青現象が急速に進行しているようです。さらに、これを18-29歳の若年層に狭めると、数字は36%にも跳ね上がります。
宗教的な理由から禁止されていた刺青が、ここまでメインストリームに現れてきたことは、現代のトレンドのひとつの方向性を示唆しているようです。かつては 刺青をすることは、「強さ、ワイルド、自由、そしてユニークである」といった自己表現でしたが、今は、私の周囲の友人たち(30代から50代の平均的な米 国女性たち)から、「ひさみはどうしてTatoo(刺青)をしないの?」と、聞かれるぐらいに、完全にカジュアル化しています。
私が通うジャザサイスで も、ローライズのボトムだと見えるように、背中のウエストの下のあたり、花や蝶あるいは自分の星座などのモチーフを入れている人たちを見かけます。アメリ カ人のユニークでありたいという欲求は、強烈ですが、こうした刺青の急速な一般化を見ていると、刺青は、単なるアクセサリー、ファッションとなってしまっ た、そんな気がします。
刺青の起源は、日本では縄文時代まで遡りますが、時代や場所によって、見方がずいぶん異なります。ニュージーランドのマオリ族などに見られるように、もと もと民族、部族の象徴するシンボルとして、用いられていましたが、日本では江戸時代に、犯罪者に縄状の「入れ墨」をしたことから、犯罪を象徴するものとし て見られがちです。
ただし、とび職なども彫り物(入れ墨と区別して読んでいます)を入れており、小泉首相の祖父で、「刺青大臣」と呼ばれた護憲運動の政治家小泉又次郎は、実 家の小泉組(とび職)を継ぐために、全身に昇り竜の刺青をいれており*、必ずしもヤクザだけが、刺青を入れているわけではありません。個人的には、子供の 頃、父親に連れられて銭湯の男湯で、いろんな彫り物(=刺青)を見た記憶がある私は、「倶利伽羅紋々(くりからもんもん)って、きれいだな」と思っていま した。
*小泉又次郎は、逓信大臣となって、天皇陛下に拝謁の機会があり、刺青を見せてほしいと言われて、「見せるようなものではありません」と陛下に断ったということです。
まあ、米国のTatooは、日本の刺青とは、異なるポジショニングで、倶利伽羅紋々とは比べ物ならないほど、「簡単、早い、痛くない」、WallMart化されたファッションです。それを日本と比較するのは、お門違いなのかもしれません。
しかし、恋人や配偶者の名前を入れる人てもいるけど(アンジェリーナ・ジョリーは、今の夫ブラッド・ピットの前の夫の名前を腕に入れていました)、後で別れる可能性があることを考えると、そこまで簡単にコミットメントはできないじゃないのと、思わず言いたくなります。