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サンフランシスコ・シリコンバレー在住マーケターのINSIGHT(洞察)



WOM (口コミ):Catalina Hotelの思い出(ホテルカリフォルニアではありません)

11/4/2007

 
CGM (Consumer Generated Media:消費者が創出するメディアやコンテンツ)の怖さは、どの業界も実感していると思いますが、旅行業界、特に航空会社やホテル、さらにレストランといった接客業の業種にとっては、ビジネスの生死を分けると言っても過言ではありません。CGMは通常はオンラインで起こりますが、これは簡単にオフラインで増幅されて、WOM (Word of Mouth:クチコミ)として広がっていきます。

先月、仕事で急にマイアミに出張することになり、タイトルにあげたCatalina Hotelに宿泊することになりました。このホテルは、クライアントが依頼した旅行代理店が目的の場所に近いところで空いているのは、そのホテルだけという消去法のもとで、予約されたホテルです。

すでにクライアントは先にホテルに滞在しており、私とビジネスパートナーは準備があり、遅れて到着しました。私たち2人は2年前にもマイアミ出張があり、その時も今回のホテルのような「デザイナーズホテル」に泊まって、あまり快適でない経験をしており、私は本質的にこの手のトレンディなホテルは好みません。Cataliina Hotelは、その時のホテルを思わせるロビーのたたずまいで、さらにドアマンやベルボーイも勘違いしたフレンドリーな様子で、プロフェッショナルな態度とは程遠く、最初からいやな予感がありました。まず最初にフロントでチェックインした時に、Confirmation Numberがある私の予約が入っていませんでした。なんだかんだ時間を使って、結果私の部屋は確保されましたが、フロントの男性は、予約が入っていないのは、まるで私が悪いかのような態度で、私は最初から非常に不愉快な思いをしました。次に私の部屋までベルボーイが案内してくれましたが、彼が部屋のカードキーをいくら差し込んでもドアは開かず、彼はもう一度カードキーを作り直すから、この廊下で待ってて欲しいと言って立ち去りました。暗くて狭い廊下で、15分ぐらい待って、戻ってきて再度ベルボーイが部屋を空けようとしましたが、何度トライしても空かず、結果私が部屋のナンバーを違うことを発見して、彼はようやく私を正しい部屋に案内してくれました。

その日は午前3時起きでサンフランシスコを発って、早朝便でマイアミに到着しており、ほとほと疲れており、まずは部屋でシャワーを浴びてリフレッシュしなければと思って部屋に入ると、そのインテリアに思わずクチがアングリとなりました。まるで病院のようにすべて真っ白で、物凄くきつい香りが部屋中に充満しており、さらにクローゼットやデスクは一見クールに見えますが、まるっきり機能的ではなく、さらに床はきちんと掃除されておらず、ベッドサイドの引き出しには食べ物のカスがあるという不潔さで、私はますます不快になってきました。それでも、まずはインターネットに接続して、メールをチェックをしようとしたら、ワイヤレスコネクションのアクセスのパスワードを入れても接続できず、フロントに電話すれば、ロビーならば接続できるから、ここでネット接続して欲しいと言う始末です。私は仕事で来ており、部屋で出来ないなんて冗談じゃないと言うと、フリーダイヤルのテックサポートに電話しろと、木で鼻をくくったような返事が返ってきて、私は思わず電話を切りました。

これ以上、このホテルに滞在しても仕事ができないと思い、すぐに旅行代理店に電話して、近くでビジネス客に対応できるホテルを探して欲しいと依頼して、結果道を渡った反対側にあったDoubleTree Hotelに、逃げるように避難しました。ホテルの従業員はCatalina Hotelとは打って変わったように、誰もがプロフッショナルで、親切で丁寧な態度で、彼ら曰く、「よくCatalina Hotelから逃れるようにして来るお客がある」ということで、ビジネスパートナーと私は脱出できてほっと胸をなでおろしました。部屋もビジネス客を意識したように無駄のない合理的なつくりで、インターネット接続も問題なく、さらにマイアミらしくなく、ミーティングに最適な静かなレストランもあり、ビーチフロントには屋外の広いプールも完備して、私たちは大いに満足しました。

次の課題は、クライアントたちのCatalina Hotel脱出の手続きです。すでに彼らは、私たちと同様の問題を抱えてホテルに不満だらけで、私たちのホテルに避難したいという要請がありました。私たちは1泊もせずに部屋を引き上げましたが、Catalina Hotelのフロントは1泊分をチャージするから、Refundの件は、マネージャーと話し合って欲しいと言われており、クライアントは6泊の予約をキャンセルしなければなりません。DoubleTree Hotelと交渉して、まずクライアントの部屋を確保した上で、Catalina Hotelの予約キャンセルの交渉に入りました。チェックアウトの時に、すでにキャンセル料をチャージされているクライアントと私たちのお金を取り戻すべく、交渉を開始しました。

マネージャーに何回電話してもいつも不在で、4回メッセージを残して、マイアミを去る前日の夜、やっと彼女と会う段取りができました。実際に会って、まずはノートに書きつらねた私たちがホテルで経験した不具合の数々(予約が入っていない、ネット接続が出来ない、電話が通じない、エアコンの調整が出来ない等)を、穏やかに読み上げて、私たちがホテルに滞在できなかった事情を説明しました。思ったより、物分りのよいマネージャーで、結果チャージされた分をすべてRefundしてくれました。半ばあきらめ気分だったクライアントも喜んで、とにかくマイアミのホテル騒動は最終日に何とか無事に幕切れとなりました。

このCatalina Hotelのユーザのレビューを、ビジネスパートナーが偶然見つけましたが、あきれ返るぐらいひどいという評価がほとんどで、絶対に泊まらないほうが良いという意見が多く投稿されていました。以下は、このホテルのひどさを表現した英語のコメントです。

"Don't stay hereeeeeeeeeeee, nooooooooo!"

WOMはこうして広がっていきます。ホテル選びは、ユーザのレビューを読んでから、という当たり前の結論ですが、このユーザのレビューを絶対に読まなければならない人は、Catalina Hotelのオーナーです。


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    大柴ひさみ

    日米両国でビジネス・マーケティング活動を、マーケターとして、消費­者として実践してきた大柴ひさみが語る「リアルな米国ビジネス&マーケティングのInsight」

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