是非、この機会に予約購読されることを、お薦めします。詳細と本のまえがきを以下に記します。
『YouTube 時代の大統領選挙 米国在住マーケターが見た、700日のオバマキャンペーン・ドキュメント』
- 出版社: 東急エージェンシー
- 価格1,680円
- 単行本(ソフトカバー)
本の「まえがき」
2007 年2 月4 日「オバマさんが大統領になるかも」というタイトルで、初めてブログのエントリをした時には、まさか「Obama Watch」と題して、オバマキャンペーンを2 年以上も追いかけることになるとは思いもよりませんでした。
この歴史的な「オバマ大統領誕生」に、米国民のオンラインのアクティビティがいかに大きな役割を果たしたかは、米国民のインターネットのライフスタイルの調査機関「Pew Internet & American Life」が、4 月15 日に発表したデータが証明しています。
2008 年11 月4 日の投票日後の結果を見ると、「政治的なコンテンツをポスティングした」と回答した人は、オバマサポーターは26%、マケインサポーターは15%、「SNS によって政治的にエンゲージした」と答えた人は、オバマサポーター25%、マケインサポーター16%と、オバマ支持者がソーシャルメディアによって積極的に情報交換や候補者へのサポートを行なったことが示唆されます。
当時、2008 年1 月4 日のアイオワの予備選挙に勝つまで、誰もがBarack Hussein Obama(バラク・フセイン・オバマ)という名前の無名の候補者が「クリントン・ブランド」を打ち破るとは思いもよらず、また多くの人たちは2008 年11 月4 日の投票日の夜、マケインを破って当確というニュースを見るまで、オバマ大統領誕生を信じることが出来ませんでした。
この奇跡的ともいえる「大統領誕生」の背景には、米国社会がもつユニークな価値観が横たわっています。私は「Yes We Can!」という言葉が好きです。1995 年に米国に移住した頃、米国についてわからないことがあると、夫(米国人)にその理由を尋ねました。その中で、夫が使った「Because we can(なぜならば我々はそれができるから)」という、非常に米国的な言葉に日米間の思考回路の根源的な違いを感じたことを思い出します。憲法が保障する「自由と平等」という権利に支えられた民主主義を、だれもが衒いなく信じて、「Yes We Can!」という言葉どおりに、実際に行動してしまう、これがこの国のエネルギーです。傍観者でいるのがつまらなくなるくらい、まだまだ熱いものがたくさんある、それが米国社会の面白さです。
マーケターの視点から見ると、今回のオバマキャンペーンは、もの凄い勢いで変化する現在の「マーケティング& コミュニケーションのパラダイムシフト」を的確に把握して、それに戦略的に対応して成功した稀有な事例と言えます。私も含めてオバマ候補者にインスパイアされた何百万、何億のブロガーやソーシャルネットワーカーは、彼のメッセージから感じたことを仲間と共有するために、連日のようにUGC(User Generated Content:ユーザ創出コンテンツ)やCGM(Consumer Generated Media:消費者創出メディア・コンテンツ)を発し、それを波及・増幅させたのがソーシャルメディアでした。「I」ではなく、「We & You」という「Peer(仲間)」の視点で、有権者1 人1 人に直接語りかけたオバマキャンペーンは、このツールによって「点」でしかなかった個人を「線」として、さらにそれを全米レベルに広がる「面」にまで拡大させていきました。
米国大統領というある意味で世界で最も重要な職務の人を選ぶプロセスに直接的に参加した米国民の熱狂は、かつてサイレントと称されたマジョリティに積極的な「ボイス」を与え、「オバマ現象」を生み出しました。これは、日本では実感しにくいエネルギーに支えられています。本書では、そうした「オバマ現象」に加担した米国在住日本人マーケターが綴るブログを通して、リアルタイムで進行する大統領選の醍醐味を味わっていただければと思います。またマーケターの方には、筆者がまとめたオバマキャンペーンの詳細と分析を読んでいただいて、ご自身の戦略にぜひ活かされることをお薦めします。研究すればするほど、オバマキャンペーンがマーケターの宝の山であることが感じられます。
(『YouTube 時代の大統領選挙』のまえがきより。無断引用・転載を禁止します。)