ひさみをめぐる冒険
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ひさみをめぐる冒険
サンフランシスコ・シリコンバレー在住マーケターのINSIGHT(洞察)



2016年のキーワードは「Internet OF ME (IoM)」なるんだと思う。

12/23/2015

 
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2015年もあとわずかとなり、ブログを書かねばと思い立ち、なんと8月13日以来ブログを書いていないことに、改めて気づく。いかに過去4ヶ月間が怒涛の調査レポート作成の日々であったかを、改めて実感。この4ヶ月間のBlog-less(ブログレス=言い訳に過ぎないが)の日々はこれを証明している(いいえ、していない)。JaMのクライアントは実に多岐に渡るために、調査分析してまとめたプロジェクトレポートのテーマは、以下のごとくばらんばらん。
  • IoT (Internet of Things)
  • IoM (Internet of Me)
  • 米国オムニチャネルの最新動向
  • 米国消費者が関心を持つ最新のアプリ、ツール、サービスのトレンド
  • 日本企業のグローバル市場向けのコーポレートメッセージ
  • 米国のOTC、スキンケア製品、パーソナルケア製品などの最新動向
  • 米国消費者の4つの世代別価値観& 消費者行動(Silent, Boomers, Gen X, Gen Y=Millennials, Gen Z)
  • 医療業界における医師向けのマーケティング
  • etc...

​よくまあこれだけの内容を短期間で仕上げたと我ながら驚く。どれもこれもまじめに物事を突き詰めてまとめようとすると、100ページ以上(モノによっては200ページ)のPPTレポートとなるが、幸運なことに多くのクライアントから、こうした弊社の調査分析、洞察、および提案に「期待以上」であると、お褒めと満足の言葉を頂き、今後も継続してプロジェクト化していく、あるいはその可能性を示唆していただいている。年末にこういう声を聞くと、社員一同、心から嬉しく思い安らかな気持ちで新年を迎えられる。ただし、クライアントも私たちもそうであるが、休日や祝祭日に休むという発想はほとんどなく、コミュニケーションは365日24時間、常に「On」になっており、正月休みに勉強がてらレポートを読み込むと言われて、「年明け」という言葉に関係なく、今年もギリギリまでレポートの納品に追われている。

Adobe Digital Trendsの最新調査では、2015年末までに週末のウェブブラウジングは50%以上がモバイルトラフィックになると予測し、2016年には平日もデスクトップを抜いてモバイルアクセスが半数以上になると推測している。この調査は7-11月のソーシャルメディアにおける2000万以上のmentions、page likes、followersなどを集計したもの。モバイルデバイスの普及は、我々の生活から「On & Off」の境目をなくし、常に「online」状態で生活するという、逃げ場のない「待ったなし」のライフスタイルが作り上げた。実際常に「On」でいることのアドバンテージは本当にあるのか?とつくづく考えてしまう。Smartphoneのnotificationをoffにしていても、ちょっとでも間が空くとすぐに何かをチェックしたくなり、運転中でもこの欲望を抑えるのに苦労する。

はっきり言えば、世界中の「Smartphone保有者(=うつむき族)」は、この「Addiction」から逃れられない中毒患者で、その症状は悪化している。また多くの人たちが(大人も子供も含めて世代を超えて)常にうつむくことに慣れてしまい、社会がそれを日常的な行動として受け入れてしまったことも、この症状を加速化させているように思う。ファンシーなレストランでお洒落なカップルが、相手がレストルームに立った瞬間にSmartphoneを手にしてうつむく姿を見ると、ああ世界はこうなったんだと思う。

自分の仕事上のことに戻れば、eMarketerによる最新調査では、英国は2016年デジタル広告がトラディショナルな広告を追い越して、媒体広告費の51.9%を占めると予測しており、それに続くのが中国、デンマーク、オーストラリア、ノルウエイで、日本は2019年になってもデジタル広告は30%に届かないという。これは自分自身の米国での生活をちょっと振り返ればすぐに分かる。企業がトラディショナルな広告を使って、その企業あるいはブランドのターゲットオーディエンスにエンゲージしようとするのはかなりの荒業で、ギャンブルに近いような感覚を覚える。理由はトラディショナルな広告にターゲットオーディエンスが触れる機会が非常に低下しているという点である。

我が家はまだケーブルカンパニーに毎月多額の金額を払って「TV」を視聴している。しかし観ていない、本当に驚くほどTVをきちんと観ておらず、夕食とその後の1時間の夫婦の会話のために、バックグランド的に使っているだけである。私の義理の娘も息子(独身のアメリカ人たち)ももちろんケーブルTVなどを彼らの家ではサブスクライブしておらず、彼らがTVを観たいと思うのはライブのスポーツイベントだけで、彼らはそうした場合はスポーツバーなどで観戦する。

ちなみにうちの子供たちのような「Cord Cutters(TV視聴にお金を払わないがモバイルデバイスあるいは自宅でインターネットにアクセスする人々)」は最新の調査では米国世帯の10.6%を占めており、これがMillennials(ミレニアルズ=ジェネレーションY:18-34歳)世帯になると20%まで増加する(experian.com/consumer-insightsによる)。こうしたリアリティが進行する中、ターゲットオーディエンスにReach outするには、当然のように「デジタル広告(ただしディスプレイ広告はユーザーがBlind状態で視覚の中に入っていても完全に意識を遮断しているので見ていない)」に移行するのは必定である。

常にOnline状態の現代の一般消費者の心理を簡単に言えば、"I want what I want when, where, and how I want it"である。彼らは、すべてのデジタル経験の中心に自分がいることを望み、自分が望むようにパーソナライズされたインターネット経験「Internet of Me(IoM)」を求めている。2014年にWiredはこうした現象を、“The Internet you experience, is as unique to you as your fingerprint.” と表現して、インターネット経験は個人の指紋のようにユニークなものであるとした。この概念を理解せずに、「IoT (Internet of Things)」という「モノのインターネット」にフォーカスした製品やサービスを構築しようとしても失敗する可能性が高い。

過去何年間の間で作られた「IoT」関連のサービスや製品は、企業側の思惑や技術を優先した結果、エンドユーザーから見ると不必要にバラバラにつながっているものやアイディアが多く、ユーザーがそれによって得られると期待していた「Smarterな生活」をもたらしていない。ユーザーが、モノやサービスを高いあるいは購入するのではなかったと感じるのは、提供される「価値」がユーザーの期待値に適合しない場合である。

「IoM」すなわち「自分を中心とする非常にパーソナライズされた固有なインターネット経験」のマインドセットで生活している現代のユーザーは、自分が購入するモノやサービスが「IoT」であるかどうかを気にしていている訳ではなく、「パーソナライズされた経験を通じて、自分の欲求がその提供されたモノやサービスによって、すぐに叶えられて満足を与えてくれるかどうか?」だけをCare(重視する)している。

「Instant Gratification(瞬間的な満足)」に慣れてしまった消費者のデマンドは、企業が思いもよらないほど、日々拡大していることは、自分の気持ちも含めて実感している。実際のところ、米国でも多くの企業はこの「IoM」への対応はまだまだなされておらず、「インターネットで個客体験」を期待する消費者のデマンドに追いついていないのが現状である。2016年はこの課題に挑戦する年となるので、どこがどのように「IoM」を実現させるか、非常に興味深いところである。

​多くの消費者は、意識しているかどうかは別にして、「インターネット経験の向上となるようなデータや情報」を、かなり多く企業に投げ出している。トライアンドエラーを恐れない企業は、ユーザーの個人情報を守りながらも、それらをどのように分析活用して、Demandingな消費者を納得させるのか? チャレンジングな試みであるが、多くの企業が直面しなければならない重要な課題である。





    大柴ひさみ

    日米両国でビジネス・マーケティング活動を、マーケターとして、消費­者として実践してきた大柴ひさみが語る「リアルな米国ビジネス&マーケティングのInsight」

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