ひさみをめぐる冒険
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ひさみをめぐる冒険
サンフランシスコ・シリコンバレー在住マーケターのINSIGHT(洞察)



ブータンのGNH(Gross National Happiness:国民総幸福)

1/25/2006

 
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クライアントから、「うちのせいでブログを書く時間がないのですね?」

と言われた2週間が何とか終わりました。

ビジネスパートナーの1週間の休暇と5つのプロジェクトのキックオフが同時に開始され、「宣伝会議」の私のコラムの締め切りも重なり、ほとんど息つく暇も なく、珍しく「ゼイゼイと肩で息をする」、という感じで2週間、猛烈に働いていました。その間、デスクトップは動かなくなるというトラブルも発生し、アタ マの中は、英語から日本語へ、日本語から英語という語学の変換で、ものすごい勢いで動いていました。パートナーが戻ってきて、日本語から英語への変換部分 を、彼女にパスして、今は少しホッとしています。

昨日は、サンフランシスコベイエリアに、ブータンのMinister for Home and Cultural AffairsのLyonpo Jigmil Thinley氏が、「GNP: Gross National Product(国民総生産)」ではなく、「GNH: Gross National Happiness(国民総幸福)」について講演するために、訪れていました。

UC BerkeleyのInternational Houseで行われたパネルディスカッションの参加者は、以下の顔ぶれで、心理学や頭脳研究の科学者が参加しています。

Robert Reich, labor secretary under President Bill Clinton
UCSF emeritus professor of psychology Paul Ekman
UC Davis mind and brain scientist Clifford Saron
Alan Wallace, president of the Santa Barbara Institute for Consciousness Studies

ブータンは、国として「いかに国民が幸せになるか?」を継続して追求しており、物質主義国家へのオータナティブな考え方に基づき、地球の住人として、国土 の26%を野生保護区にして、72%は森林で覆うなど、国家を挙げて努力を続けています。また、自然保護だけでなく、国固有の文化の継続が国民の幸せにつ ながると考えて、1日ミニマム200ドルで観光のためのパッケージを設けて、観光客の数を制限しています(昨年1万3000人)。ブータンでは、物質志向 の社会が、犯罪、精神病、アルコール、家族の崩壊など、さまざまな問題を抱える率が高く、自己中心で利益志向な社会の多くの問題点を指摘しています。

彼の発言の中で耳に残った言葉は、「目指すところは、人間としてのハーモニー」という表現でした。私が子供のころ、日本でよく聴いた言葉です。聖徳太子の 17条の憲法の中の第1条「和をもって尊しとする」という言葉にもでてくるように、日本をさす「和」という言葉には、「ハーモニー」と同じ意味がありま す。

20世紀、21世紀とGNP主導が世界の潮流ですが、国民の幸福のために、国としてGNPではなくGNHだと言い切り、また国民がそれを支持するところ が、ブータンのすごさだと思います。もちろん、私も含めて、これだけ物質主義の恩恵を受けている人間が、そう簡単にブータンの人たちのようなライフスタイ ルで、それを実際に実行できるかというと、疑問を感じますが、なぜか、ブータンの人たちは、アジアの中で最も日本人と顔立ちと似ていると言われて、また民 族衣装も着物との関連性を感じます。

そんなブータンと昨日のライブドアの堀江氏の逮捕の報道を見比べて、2国間の「国民総幸福度」は大きく違うと、改めて実感しました。ブータンは、未来へ進 む道が見えているけど、日本の未来へ通じる道は、どこにあるのか、さっぱりわからない、大きな灰色の雲が日本列島を覆って日本の未来への出口を隠してい る、そんな絵がなんとなく、脳裏に浮かびました。

PS: しかし、日本は、相変わらず「出る杭」を打つ時だけは、すばやい。




清く正しく美しく

1/25/2006

 
5年前の2001年1月に、Debbieを、ビジネスパートナーに迎えて、1998年に創立したJaM Japan Marketingを、LLCとして組織変更しました。

その時から、わが社のTag Lineは、

「清く正しく美しく」です。

これは英語に訳せない日本語的な表現ですが、Debbieと私は大いに納得して、私たちのAttitude(態度や姿勢)を明確に表す、よい価値観だと思って、気に入っています。

最近、実感するのは、年々この言葉が、重みを持って、心に迫ってくることです。幸運にもこの言葉に当てはまる人たちと、一緒に仕事をする機会を得たり、この言葉の意味を理解して評価してくれるクライアントに出会ったりと、私たちの選択に間違いはなかったと、強く思います。

それでも、何が「清く?」、何が「正しいのか?」、何が「美しいのか?」は、個人によってさまざまな価値観や考え方があり、簡単に答えは見つかりません。

でも、なぜかDebbieと私の答えは、非常に近く、また瞬間的に同じような結論が生まれます。

Malcolm Gladwellの「Blink」には、こんな言葉があります。

「The Power of Thinking Without Thinking(考えなくても瞬間的にでてくる考えの力)」

こうしたプロセスで出て来るものが、その人にとって最も本質的で適切な答えです。

人間は生まれた瞬間から死ぬまでに蓄積し続けている経験・感覚・思考は、スーパーコンピュータでも解析できないほど膨大な数で、意識と無意識のはざまで継 続的に獲得しています。そうした膨大なデータを、「Blink(瞬きの瞬間)」するだけの時間で、シャフルして、その個人にとって最も妥当な答えとして、 ポン出してくる。それが「The Power of Thinking Without Thinking」です。

私たちの「清く正しく美しく」は、自然に「Blink状態」出て来た言葉です。これに基づいて、今年も歩いていこう、と思ってます。

DOWも「11,000ポイント」のバリアを超えました

1/12/2006

 
Dow Jonesの平均指数が、1月9日、とうとう長年の壁であった「11,000ポイント」を突き抜けて、11,011.90ポイントで終わりました。

史上最高値の11,722.98ポイントを記録したのが、6年前の2000年1月14日で、その後Recession傾向が始まり、株価は下降し始め、最 後に11,000ポイントをを超えたのは、9.11のテロ攻撃の前の20001年6月7日(11,090.74ポイント)でした。昨年の3月7日にあと 16ポイントでバリアを超えるまで近づきましたが、オイル価格上昇やインフレ懸念で届かず、5年半ぶりの1月9日、壁を突き抜けました。

株価の動きは、人々のサイコロジカルな面が反映するので、ダウがこの大きな「バリアを超えた」ことは、今後の米国株式市場が「Bull Market」へ移行する可能性を示唆していることもあり、重要なポイントと言えます。

また、もう一つ株価がらみで、目に付いたのは、韓国のSamsungが、 先週(1月5日)、その市場価値が1,000億ドル(11兆円)を超えたことです。5日付で株価は新記録の699ドルまで上がり、市場価値は1,030億 ドル(11兆3,300億円)まで膨れあがっています。ライバル視されているSonyの市場価値410億ドル(4兆5,100億円)の2倍以上の価値を持 つSamsungは、2005年に市場価値が46%アップする大躍進となっています。

上記のダウもしかりですが、一つのMile Stoneを超えた企業は、次のPlateau(安定した状態)に移行できるので、この1,000億ドルを超えたSamsungの動きは見逃せません。 Samsungの強みは、世界最大のmemory chipの製造会社でありながら、消費者エレクトロニクス市場をリードするComapny Profileにあります。世界的な傾向として、消費者のデマンドは、携帯電話をAll in oneのガジェットとして、インターネットアクセス、ヴィデオやミュージックなど、マルチプルな機能に移行しており、そうした動きに答えられる企業とし て、すぐに思う浮かぶのは、やはり、Samsungです。米国での企業イメージも、かつての安価な韓国製のイメージから、クールなブランドイメージに移行 しつつあり、その多大なマーケティング努力は、実を結び始めています。

1月5日のエントリーでも触れましたが、韓国は相変わらずよく働いています。年間平均労働時間2,390時間の韓国と、1,801時間の日本の差は、589時間ですので、韓国の人は74日間(1日8時間労働の場合)も多く働いていることになります。

この差は大きい。フーッと深いため息が出てきます。


嵐の2006年がスタート - 今年は体力勝負

1/5/2006

 
大晦日から、元旦にかけて、サンフランシスコ・ベイエリアは、広範囲にわたって、ストームが吹き荒れました。被害のひどい地域は、河川があふれて、道路や 居住区域まで浸水して、混乱の幕開けとなりました。お陰様で、我が家は木が1本折れただけで、特に大きな被害もなく、新年を迎えました。

元旦からクライアントとのEmailのやりとりが始まり、3日からコンファレンスコールがバンバン始まり、息つく暇もなく、怒濤の仕事始めとなりました。 いつも思うのは、テクノロジーの進歩がもたらした恩恵はすばらしいものがありますが、その反面、テクノロジーによって、どこでも仕事が出来るようになり、 常に「仕事」を背中に背負いながら、生活をするようになってしまいました。特に私のようなビジネスオーナーは、自分が休めば、その分ビジネス自体も休んで しまうことが多いので、気楽に仕事を忘れられないジレンマがあります。昨年、唯一完全に仕事のことを忘れたのは、太平洋をセールボートで横断している15日間だけで、残りの350日間はそうはいきませんでした。

Organization for Economic Co-operation and Development (OECD)が行った年間平均労働時間の調査によると、2003年のアメリカ人は1,792時間、日本人は1,801時間で、韓国はなんと2,390時間という、ダントツのワーカホリックぶりを示しています。以下に1983年と2003年の年間平均労働時間の順位をあげてみました。

<2003年の年間平均労働時間>
①韓国: 2,390時間
②チェコ: 1,972時間
③ポーランド:1,956時間
④ギリシア: 1,938時間
⑤メキシコ: 1,857時間
⑤ソルバルキ: 1,814時間
⑦オーストラリア: 1,814時間
⑧ニュージーランド: 1,813時間
⑨日本: 1,801時間
⑩スペイン: 1,800時間
⑪米国: 1,792時間

<1983年の年間平均労働時間>
①韓国: 2,734時間
②日本: 2,095時間
③ギリシア: 1,990時間
④スペイン: 1,912時間
⑤アイスランド: 1,902時間
⑥オーストラリア: 1853時間
⑦フィンランド: 1,823時間
⑧米国: 1,819時間
⑨カナダ: 1,735時間
⑩英国: 1,713時間

東欧圏のランクアップと順位の入れ替えが目に付きます。日本人も20年前は2,095時間と、現在(2003年)より294時間も多く働いて、世界に冠た る働き蜂として有名でしたが、第1位の韓国の2,734時間にはかないません。韓国は、20年間で344時間と、ドラスティックに労働時間を減らしてきま したが、それでも圧倒的な首位の座はゆるぎません。また、かつては279時間の差があった日米の労働時間も、2003年では9時間までせばまり、日本人の ワーカホリックという定説はかなり薄まってきています。

また、日本は米国に比べて祝祭日がかなり多く増えてきており、みんなが一斉に休暇を取るので、国自体がその間止まった印象を与えています。個々に落とす と、日本人もそうした祝祭日と関係なく絶え間なく働いている人も多いのですが、外から見ると全体的な印象は、大分変わっています。最も労働時間が短いのは ノルウェイで、1983年には1,485時間、2003年には1,337時間と、今も20年前も、大いにプライベートな時間を謳歌しているようです。

よく、米国では長時間かけて仕事をすると、その人は経験がないために、効率が悪く、時間を無駄に使っているという、印象を周囲に与えます。物事をキチンと 把握している人間は、素早い判断が可能で、それがほとんどの場合、最も正しい判断であるとして、評価されます。「じっくり時間をかけて、検討したい」とい う言い方は、米国では「Priority(優先順位)が低く、今すぐに片づける関心がない」という風に解釈されます。労働時間の順位や推移を見ていると、 各国の文化の違いも見えてくる、そんな気がします。

今年は、タイトル通りに、体力がものをいう年だという予感がします。JaM以外に新会社Jammoのビジネスもありますし、1925年に建てられた自宅のHome Improvement*のProjectも、同時平行してやっていかなければなりません。雑誌「宣伝会議」の連載コラムも1月15日号からスタートしますし、JaMのコラム、このブログ、またそれ以外の定期的なレポート制作のプロジェクトもあります。今年は、ますますマルチタスキングで、仕事と生活の両方のプロジェクを遂行していきます。

今年もよろしくお願いします。

*Home Improvement Project: はじめて、機械を使って、Out Door用のTeak材のテーブルとチェアのサンディングをして、Restoreしました。また、庭でどんどん巨大化する巨木たちをチェンソーでカットし ました。Home Improvement用のマシーンは、日本のメーカーRyobiのものです。母方の祖父が船大工でしたが、孫娘もアメリカで大工化しています。ちなみに、米国で「ダイク」というと、女性のゲイを指す言葉になりますので、ご注意ください。

    大柴ひさみ

    日米両国でビジネス・マーケティング活動を、マーケターとして、消費­者として実践してきた大柴ひさみが語る「リアルな米国ビジネス&マーケティングのInsight」

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