イースターの時期に合わせるカタチで出されたNewsweekの4/8の調査と「The End of Christian America?」記事が、今、話題を呼んでいます。4/1-4/2の間に実施された調査で、米国を「キリスト教国家」と考える人が、4年前の2005年の71%から、昨年は69%に落ち、さらに現在ではそれが62%と7ポイントも落ちているというデータです。以下に興味深い数字を挙げます。
- 米国人の生活の中で、宗教は影響力を失っている:68%(2000年は58%、1984年は39%、1962年は32%)
- 米国人の生活の中で、宗教は影響力を増している:19%
- 米国は「キリスト教国家である」:62%(2008年は69%)
- 米国は「キリスト教国家ではない」:32%(2008年は26%)
- 宗教は今の米国の問題を解決するために、すべてあるいはほとんど助けることが可能:48%(1994年は64%)
- 宗教は米国の政治の中で大きな役割を果たす:26%(2008年は33%)
- 宗教は米国の政治の中で大きな役割を果たさない:31%(2008年は25%)
- 48%:「宗教の信者である&スピリチュアルなことを信じる」
- 30%:「スピリチュアルなことを信じるが宗教信者ではない」
- 9%:「宗教信者でもないし、スピリチュアルなことを信じてもいない」
- evangelical(キリストを救世主と信じる熱心なプロテスタント信者):民主党支持者(35%)vs. 共和党支持者(34%)
- カソリック信者:民主党支持者(50%)vs. 共和党支持者(17%)
- Seculars(特定の宗派や教会に属さない人たち): 民主党支持者(35%)vs. 共和党支持者(13%)vs. インディペンデント(44%)
こうした米国民の政治社会問題における「脱宗教意識」は、4/3のIowa(アイオワ)州の最高裁判所の判決、「同性愛者およびトランスジェンダー同士の結婚を認めないことは、州の憲法の『人権の保護と平等』に反するとして、ゲイマリッジを認める」という動きにも反映しています。今週はアイオワに続いて、Vermont(ヴァーモント)州もゲイマリッジを正式に認めることとなり、現在米国ではMassachusetts(マサチューセッツ)、Connecticut(コネチカット)を含む4つの州が認めています。オバマ大統領が2008年2月白人層が90%以上を占めるアイオワの最初の民主党予備選挙で勝利したように、コーストライン(海岸沿いの州)ではなく、米国の中心に位置するハートランドのアイオワがゲイマリッジを認めたのは、非常に大きな意味を持ちます。
今週は、オンラインに、現在American Idol(アメリカンアイドル)のトップ8に残っているAdam Lambertが男性とキスをしている写真が出回り、大騒ぎとなっています。私も彼を最初に見たときに、たぶんゲイかなと思いましたが、それがそんなに大きな意味を持つということに気がつかないくらい、メディアにゲイの人はあふれています。常に攻撃的なものの言い方で物議をかもすFox Newsのコンサーバティブなトークショウホスト、Bill O'Reillyが、番組の中で彼がゲイであるかどうかが投票に影響するか?と議論していましたが、思わず、そんなことを真剣に考える人もいるんだと実感するくらいです。私の場合は宗教からうーんと離れているので、一般的とは思えませんが、それでもFox Newsの女性キャスターは、「ゲイ云々」はミュージシャンの世界では意味がないし、Adamの歌唱力は凄いと答えているのを見て、一安心しました。
オバマ大統領も、トルコでのスピーチで、「米国は、キリスト教国家でも、ユダヤ教国家でも、イスラム教国家でもない…」と、宗教と政治を切り離して、米国を語っていました。彼自身はキリスト教の信者として、個人の宗教生活は保持していますが、パブリックとプライベートを使い分けています。「宗教」の政治的利用ほど危険なことはありません。過去の何千年の人類の歴史、あるいは現在の世界状況を見れば、「宗教を利用した政治家による戦争」ほど恐ろしいものはありません。
今日は、「グッドフライディ」です。イエス・キリストもある意味の「コミュニティオーガナイザー」でしたが、彼もきっと政治の道具に、自分の教えを信じる人たちを使うことを好まないと思います。