振り返るとこの1年は、私も含めて、多くの米国民が「熱くなった」年だったように思います。大統領を選ぶという重要な意思決定のために、多くの人たちは、真剣に様々な問題を議論し、今までは言えなかった、あるいは言いたくなかった、米国内の触れたくない問題まで、すべて遡上に載せて、意見の対立を踏まえて、「熱く」議論しました。結果は、「Change & Hope(変革と希望)」のエージェントとして、グラスルーツの人たちのサポートによる「ボトムアップ」を実践したBarack Obama(バラク・オバマ)を、44代米国大統領に選びました。
私は米国居住者として、この選択の過程を見つめてきましたが、最も驚嘆したことは、「この国は、相変わらず民主主義が機能している」という事実です。
オバマには、克服しなければならない多くの課題がありました。ケニア人の父親(黒人であること)、Hussein(フセイン)というミドルネーム(モスリムやテロリストとの関連性を疑われる)、所属教会の反愛国的(反白人)とされる Rev. Jeremiah Wright(ジェレマイア・ライト牧師)との20年間の関係など、生半可な候補者では決して克服できない課題を抱えていました。また、コミュニティ・オーガナイザー、ジュニアの上院議員として、経験と実績がないと非難された「ノーブランド」であったオバマは、過去22ヶ月間のキャンペーンで、世界中の人たちが知る「スーパーブランド」としての知名度を獲得しました。
民主党の超ブランドであるClintons(ヒラリー・クリントン上院議員+ビル・クリントン前大統領)との死闘を乗り越えて、Maverick(マーベリック:一匹狼)として無党派層にも支持されていた共和党のMcCain(マケイン)と、とんでもない熱狂を巻き起こしたSarah Palin(サラ・ペイリン)を打ち負かして、オバマは11月4日大統領に選ばれました。これはまさに民主主義が適切に機能した結果であり、「誰でも努力すれば、どんなことでもかなう」という、アメリカンドリームを、米国民および世界中の人たちに再認識させるという結果をもたらしました。
この「スピリットと情熱」を持って、新年を迎えられる、これはアメリカ、あるいは世界にとって、本当に良いことだと思います。2009年は、厳しい経済環境と戦争&紛争(イラク、アフガニスタン、パキスタン、イスラエル、パレスチナ、ロシア、グルジアなど)、環境とエネルギー問題など、あらゆる問題が存在しますが、米国民は「Change & Hope(変革と希望)」を選択した以上、問題に顔を背けず、立ち向かっていく覚悟はできていると思います。
2009年が、皆さまにとって、良い年でありますよう、心からお祈り申し上げます。