ひさみをめぐる冒険
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ひさみをめぐる冒険
サンフランシスコ・シリコンバレー在住マーケターのINSIGHT(洞察)



今週のシリコンバレーの成績表

10/20/2006

 
昨日の午後発表されたGoogleの第3四半期の数字は、またしてもウォールストリートの予想を上回るもので、利益は92%増で、およそダブルアップ。この結果に反応して、株価6.9%(29.29ドル)アップして終値は455.35ドルに跳ね上がっています。これを株主利益に換算すると、グーグルの株主たちには100億ドル(1兆1,600億円)が新たに増えたことになるらしく、まあ信じられないくらい莫大な数字が踊っています。

今週はサンフランシスコ・シリコンバレーの著名企業の業績発表週間で、一喜一憂の各社の顔が見えます。以下はSF Chronicleによる著名企業の今週の成績表です。

10/16(月)
  • Schwab: 利益29%増
10/17(火)

  • Intel: 利益35%減
  • Yahoo!: 利益38%減
  • Wells Fargo: 利益11%増
10/18(水)
  • Advanced Micro Devices: 利益77%増
  • Apple Computer: 利益27%増
  • eBay: 利益10%増
  • Juniper Networks: 利益5%増
10/19(木)
  • Google: 利益92%増
  • Rambus: 発表延期(ストックオプション問題)
  • Robert Half International: 利益15%増
  • SanDisk: 利益15%増
  • VeriSign: 発表延期(ストックオプション問題)

グーグルの利益は7億3,340万ドル(850億7,440万円)で、昨年同期3億8,120万ドル(442億1,920万円)から92%増、収入は26億9,000万ドル(3,120億4,000万円)と昨年同期の15億8,000万ドル(1,832億8,000万円)から70%増という、勢いです。バレーのもう一つの雄、Yahoo!が利益を38%も落としており、同業の競合企業として、言い訳がしにくいヤフーは、苦しい状況に立たされています。

今は、この業績も然りですが、相変わらずストックオプションのバックデイト問題で、バレーの多くの企業は業績の修正や問題に関連したCFOや取締役の離職や解雇が相次いでおり、こっちの進行も目が離せません。すでに問題のある会社は、135社にのぼり、その4分の1はバレーの企業です。上記のRambusのオプション問題では、1998年から2001年の間に正しくないオプション発行があったとして、なんと2億ドル(232億円)という金額の修正をしなければならないということで、ドットコムバブル時代のツケの大きさにはあきれてしまいます。

トカゲの尻尾きりじゃありませんが、関係者が辞めればいいという問題ではなく、これは何度も何度も繰り返し言われている、「コーポレートガバナンスと企業の指導者の倫理の欠落」を問う大きな問題です。叩けば誰でも埃は出ますが、こんなに埃が出るとは誰も予想していなかったと思います。やはり、あの時はみんな本当にバブルに酔っていて、パーティ気分で、「倫理」のりの字もアタマに浮かばず、今頃、二日酔いがやってくるとは思いもよらず、その苦しさに辟易しているようです。

忠犬の死

10/20/2006

 
ウィスコンシンで起こった忠犬Jesseの話は、思わず犬と人間の関係を深く考えさせられるストーリーです。

3年前に交通事故で片足を無くして義足で生活している49歳の女性Jamie Hansonさんが、自宅のカウチでTVを見ていた時、彼女の猫がテーブルの上に飛び乗ってキャンドルをひっくり返して、室内のプラントに火が回り、一気に火災が発生しました。

彼女はカウチから落ちてしまい、義足まで身体が届かず苦しんていましたが、13才になる訓練犬のJesse(メス)が義足をくわえて彼女のところに持ってきて、さらに電話を彼女のところに運んできました。彼女はすぐに911(警察)に電話をして、Jesseは、彼女を外に無事に連れ出しました。その後、2階で泣いている猫の声を、聞きつけて、そのままJesseは、炎上する家屋に飛び込んで、猫ともども亡くなってしまいました。

Jamieは、火傷を負いましたが、無事に病院で手当てを受けて、忠犬Jesseが亡くなったことを知らされて、号泣していました。何でもない事件ですが、このJesseの使命感に燃えた死を恐れない救出行動に、何ともいえないほど崇高な思いを感じます。犬と人間の関係は、思いも寄らないほどの深さで、つながっており、こうした忠犬の話は世界各国で聞きます。

私事ですが、私の祖母の犬ロンのことを、20年ぶりに思い出しました。祖母は伊豆大島在住で、1986年三原山*の大噴火の時、全島1万人に避難命令が出て、泣く泣くロンを港の桟橋において、東京に運ばれました。残されたロンの面倒は、残って島の警戒をすることになっていた町役場の人たちがするということになっていましたが、ロンは桟橋を離れず、食事も食べることなく、祖母に置いていかれたショックで、しばらくして亡くなってしまいました。

祖母も、ロンの死を聞いて、もの凄いショックを受けて、かなり精神的に落ち込んでしまったのを、覚えています。彼女の後悔は、尋常ではなく、なぜ、彼を置き去りしたのかと、苦しんでいました。その後の大島には、同様の非業な死を遂げたペットの話が出てきて、生活を共にする動物の存在の重さを実感したのを思い出します。彼らは遠く離れて暮らす親戚や家族以上に、祖母と24時間片時も離れず暮らす、最も重要なパートナーで、彼らはお互いになくてはならない存在だったと思います。ふっと、伊豆大島や祖父母のことを思い出させる、悲しい忠犬のニュースです。

三原山:標高764mで、「御神火」として、昔からあがめられています。ちなみにうちの親戚は代々この御神火を祭る神主です。ハワイのキラウエア火山・イタリアのストロンボリー火山と共に 世界三大流動性火山の一つです。1986年、210年ぶりの大噴火が起きました。子供の頃、夏休みに祖父母の家に滞在中、夜間になると山頂から溶岩が噴き上げるのをよく見かけた記憶があります。


Google: Go Green (エコフレンドリーなグーグル)

10/18/2006

 
いつも思うのは、「GoogleのBuzz(話題)創出の旨さ」です。

タイミングが良いことと企業自体のカルチャーが、常にその話題と自然に馴染んでいて、思わずその話題を目にした一般の人間が、何となく「感情的に納得してしまう」点にあります。

今は、シリコンバレーでは、「Solar Power 2006」という業界最大のソーラーパワーのコンファレンスが10/16-10/20の間で開催されています。これにあわせて、Googleは、米国で一企業として最大のソーラーパワーパネルを、Mountain Viewのヘッドクォーター(100万スクエアフィート)と駐車場にインストールすると発表しました。

このインストレーションによって、出力される電力は1.6メガキロワットで、一般の家庭の1200世帯分の相当するとのことですが、これだけでは、Googleの全てのビルディングで必要とする電力はまかなえず、必要電力の70%は購入しなければならないとのことです。

このソーラーパワーの導入は、Googleの環境問題への取り組みの一環で、巨大化するGoogleは、その影響の大きさを十分認識しており、本社を取り巻く環境への配慮を打ち出して、具体的な施策を行っています。具体的には、「健康的オーガニックな食事を社員に無料で提供する」ために、本社から150マイル以内の地元のオーガニックフードの農家やサプライヤーから食品を購入して、地元のエコフレンドリーな農業や食品業界の支援を行っており、1日1000人の社員の通勤用にシャトルバスを飛ばして、少しでも排気ガスや渋滞の緩和に努めています。

この「Go Green」というコンセプトと、Googleの持つネイチャーは、ブランドイメージから見てもしっくり来て、Googleのvice president of real estateのDavid Radcliffeが、「I like to think of this as the tip of the iceberg,」、「If we can dispel the myth that you can't be green and be profitable, that would be great.」と発言すると、思わず、「そうだよね、私たちだって、グリーンなことを、自分ができることから、やっていかないと」と思わせてしまいます。

HPスキャンダルやストックオプションのバックデイトなど、企業の倫理観を問う問題が続出するシリコンバレーですが、こうしたGoogleの企業姿勢の打ち出し方は、未来を見つめているカルチャーを感じて、好感が持てます。


3億人国家となったアメリカ!

10/17/2006

 
米国国勢調査の人口時計によれば、今日(10/17)のPacific Time 午前10:46に、アメリカの人口は3億人を超えました!

これって凄い数字です。

  • 1915年: 1億人(Woodrow Wilson大統領、新築住宅の価格3200ドル、平均世帯人数4.5人、65歳以上の人口は450万人、レギュラーのガソリン代25セント)
  • 1967年: 2億人(Lyndon B. Johnson大統領、新築住宅の価格2万4600ドル、平均世帯人数3.3人、65歳以上の人口は1910万人、レギュラーのガソリン代33セント)
  • 2006年: 3億人(George W. Bush大統領、新築住宅の価格29万600ドル、平均世帯人数2.6人、65歳以上の人口は3680万人、レギュラーのガソリン代2.25ドル)
91年間で3倍の人口になったアメリカは、

  • 7秒毎に新生児が生まれて、
  • 13秒毎に誰かが死んで、
  • 31秒毎に移民が1人ずつ増えて、
  • 結果、11秒間に1人ずつ人口が増加しています。
この「31秒ごとに、移民が入ってくる、またそれを受け入れている」、そこがアメリカのユニークさとエネルギーの源です。異なる文化の流入は、アメリカの成長を刺激しています。いろんな問題や衝突はありますが、相変わらず、世界中の人たちが、「アメリカ人になる」ために、この国を目指しているようです。

アメリカの文化「ストリートのカーショウ」

10/15/2006

 
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昨日は、うちの近所のPark Streetで、400台近くののクラシックカーが集結したショウがあり、早速、Jazzerciseで一汗かいた後に、行って来ました。

カーショウはいろんなところで行われる非常にポピュラーなコミュニティのアクティビティです。いつも感じるのは「クルマ」は、やはりAmerican Cultureを語る上で、なくてはならないものだとという点です。「足(A地点からB地点の移動)」としてのクルマは、すでに日本車に席巻されていますが、「思い入れのクルマたち」は、やはりアメ車です。燃費や経済効率以前に、自分が本当に好きなクルマを所有するオーナーたちは、昨日、自慢のクルマの横に座って、日がな1日、見物客とクルマについて楽しそうに話していました。こういう人たちが何十万人もいて、「美しいクルマたち」を楽しんでいるアメリカを見ると、これはやはり「クルマ文化」の厚みが違うと実感しました。私もしっかり仲間に入って、子供や赤ちゃんを連れた家族、若いカップル、おじいちゃんとおばあちゃんたちと一緒になって、おおいに「古きよき時代の美しいクルマたち」を楽しみました。以下は私が撮影したショウのギャラリーです。

これは、私のお気に入りの「1964年Cobra Rueben Lopez」です。私は日本時代のクルマは、マツダのユーノスで、常磐道をぶっ飛ばして、よく夫が住んでいた福島までに会いに行きました。私の運転ですと、早朝に東京を出ると「スーパー常陸」という特急より早く夫のアパートに着くので、夫は私に「スーパーひさみ」と呼んでいました。今でも曲線きれいな小さなロードスターのクルマが欲しいと思っています。

1968年サンフランシスコの坂道をカーチェイスしたことで有名なステーブ・マックイーンの映画「Bullitt」のポスターが2001年のムスタングGTととも陳列されていました。「Highland Green」の1968年のFord Mustang GT-390に乗ったマックイーンのCoolさは、今でも語り草です。昨日のショウのムスタングのフロントには黄金の弾丸がはまっています。これもとってもクールです。

Elvis登場です。アメリカ文化を語る時になくてはならないのがElvis。彼は、今でもアメリカ人の生活の中に生きています。

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ブログの速さと怖さ

10/13/2006

 
10/9(月)の午後、正式発表の2時間後に、GoogleのYouTube買収の正式決定をブログしましたが、その後、受け取ったCNET Japanのニュースレターの記事では、まだ噂段階という書き方だったので、思わず「やった!」というスクープ気分を味わいました。

もちろん時差の関係とシリコンバレーにいる地の利を活かしただけで、どうってことはありませんが、ブログのアドバンテージは、いち早く公開できるそのスピードと、「噂」でも平気で「噂」として書くことができる点にあります。

でもこの「噂」が、先週ブログで漏れたことによって、YouTubeの買収価格が5000万ドル(580億円)も跳ね上がり、Googleを一気に決断させることに結びついたとなる、ブログの恐ろしさを改めて再認識します。Googleの2人の創設者とCEO、それにYouTubeの2人の創設者との買収劇のミーティングは、なんと「デニーズ」で行われたという話も耳に入ってきて、お互いのキャラがよく出ている、と思わず笑ってしまいました。

ブログとは、「日記であり、それはゴシップ」であると、Paul Wellsは言っていますが、まさにそうです。


やっぱり噂は本当だった! YouTubeと Google!

10/9/2006

 
土曜日に、GoogleのYouTube買収というシリコンバレーの大きな噂を書いたら、今日月曜日、2時間前にそれが事実として公式に発表されました。これって、やっぱりバレーの「モメンタム」です。とにかく座っているだけでは遅れをとってしまうバレーにおいて、スピードのない企業はダメだと実感します。

金額は、16億5000万ドル(1914億円)と 土曜日の噂より5000万ドル(580億円)跳ね上がっています。これはGoogleの過去8年の歴史の中で、「最も高い買い物」ですが、ウォールストリートは大喜びで、Googleの株価は、 8.50ドル(2%)もアップして、終値429ドル(この株価を見るたびに、いつも驚きます。信じられないぐらい高い!)と、跳ね上がっています。

SF Chronicleの記事に寄れば、「Online Video Revolution(オンラインヴィデオ革命)」の最中の今、Googleのこのモメンタムを活かしたすばやい動きは、Yahooをますます遅れたメディア企業に見せて、さらにYahooが現在交渉中といわれているFacebookの買収を促進させると指摘しています。

YouTubeは、そのブランド名とChad HurleyとSteve Chenの創設者2人、社員67名はキープされるということで、Googleの豊富なテクノロジーリソースを活かして、ネクストジェネレーションのプラットフォームとして、ビジネスモデルを構築できるようです。同時に発表されたUniversal Music Group, CBS Corp. Sony BMG Music Entertainmentとのパートナーシップは、先月Warner Music Group と締結した合意と同様で、大手音楽レーベルと著作権問題をテクノロジーでクリアしながら、広告付きのミュージッククリップのポスティングで、広告利益をシェアするようです。

YouTubeを狙っていたほかの企業(Microsoft、Yahoo、Viacom, News Corp)は今頃歯噛みしていると思いますが、YouTubeの相手は、Googleが一番自然で納得できる組み合わせのような気がしますし、4人の若い創設者たちは、企業文化やビジネスのゴールでも、ケミストリが合うことを、Blink*したのではないでしょうか?

私の大好きな言葉「モメンタム」、これが米国のビジネスにおいて、本当に重要です。これなしで、米国ビジネスは語れません。

*Blink: Malcolm Gladwellのベストセラー。最近、私たちの間では、ブリンクを動詞や名詞として、日常会話で使っています。著者の説明です。

「It's a book about rapid cognition, about the kind of thinking that happens in a blink of an eye.」 「"Blink" is a book about those two seconds, because I think those instant conclusions that we reach are really powerful and really important and, occasionally, really good.」


YouTubeに16億ドル(1856億円)の買値がついた(噂)!

10/7/2006

 
シリコンバレーに住んでいるとどうしても、「YouTube」がやたらと目につきます。特にJaM(うちはRedwood Shoresで、彼らは10分の距離のSan Mateoです) のお隣さんともいえる距離感で、最近の私のコラムやレポートでもしょっちゅう登場するYouTubeは、やはり今、最もホットなCommodityという感じです。

今朝のSF Chronicleにも、そのCommodityのYouTubeの値段が報告されています。やはりGoogleが動いており、買値はなんと、16億ドル(1856億円)! Microsoft、Yahoo、Viacom、News Corpも、みんなYouTubeに接触しているらしいですが、大手メディア企業やインターネット企業にとって、どうやらYouTubeは、「Got to have」なアイテムのようです。

Rupert MurdochのNews Corpが、昨年MySpaceを5億8000万ドル(672億8000万円)で買収していますが、現在のMySpaceの市場価値は20億ドル(2320億円)とアナリストは推定しており、Googleの16億ドルのオファーは必ずしも高くないということです。Forrester ResearchのアナリストCharlene Liによると、YouTubeは全世界に5000万人のユーザーを持ち、そのユーザーを囲い込む金額として16億ドルを考えれば、1人あたり32ドル(3712円)となり、確かに、納得できる金額かもしれません。

ヴィデオコミュニティのマーケットシェアは、HitWiseによれば、Google Videoは10%、MySpaceは23%、YouTUbeは46%と圧倒的な優位を誇っており、このブランド力を考えると、GoogleがYouTubeの買収に興味を示すのも納得できます。

YouTubeは、シリコンバレーの大成功の3種の神器ともいうべき資格があります。

  • 20代の若い2人の創設者(Chad Hurley & Steve Chen)
  • ガレージでビジネスを始めた(これは大きなポイント)
  • 早い時期にバレーの著名なVCから投資を受けた(Googleの最初のVCでもあるSequoia Capitalが350万ドル(4億600万ドル)のスターアップ資金を投資した)


創設者のHurleyは、先月のNew York Timesのインタビューでは、「独立した企業でいたいし、上場することも考えていない」と答えていますが、YouTubeの価格は日々つりあがっており、今後かなりのスピードで、この会社に変化が訪れる。そんな気がします。

しかし、American Dreamは、シリコンバレーにまだまだゴロゴロあるという感じです。1年に満たないスタートアップの買収価格が、16億ドル(1856億円)ですから。

ストックオプション・スキャンダル

10/6/2006

 
昨日のAppleのストックオプション問題の内部調査の発表で、CEOのSteve Jobsはこれに関わっていないとわかり、ウォールストリートはほっとしたようです。でも、このまま、この問題がAppleからフェードアウトしていくか?と、多少疑問がわきます。

昨日HPの元会長Patricia Dumnを含むHP-Gateの5名の関係者が、カリフォルニア州Attorney General Bill Lockyerより、告発を受けたことを見ても、ストックオプションを調査中のSECや連邦検察が、このシリコンバレーのアイコン的存在のAppleを、簡単に逃がすはずはないという気がします。

Appleのストックオプション操作に関する内部調査の結果とそれに関する事実は以下です。

  • 1997年~2002年の間に、ストックオプションのイレギュラーの操作が15回あった(これはこの期間のストックオプション全体のアカウントの約6%にあたる)。
  • CEOのSteve Jobsは、このストックオプションの操作に関して「Uunaware of the accounting implications. 」として無関係であるとして、彼自身は、バックデイトによるストックをキャンセルしており、この操作によって一切の利益を享受していない。
  • Appleは、このストックオプションのバックデイトによって生まれた供与された利益を、財務報告に経費として反映させて、新たに財務報告を提出する。
  • ストックオプション操作に、直接関与した財務担当のOfficers(取締役)2名はすでに退社している(名前は明かされていません)
  • さらにこの期間のCFOで、現在のボードメンバーだったFred Andersonが、突然辞職した。彼はAppleの復活と現在の成功に大きく貢献して、Jobsに財務面で非常に信頼されていた人物。


このストックオプションのバックデイトは、現在進行中のスキャンダルです。Brocade Communicationsの元CEOを含む2人のOfficerがすでに訴追されているのを頂点として、シリコンバレーのテクノロジー企業を中心に100社以上が、現在SECの調査を受けています。どこまで、この調査が進んでいるか、どの企業が最も狙われているのかは、よく見えず、すねに傷を持つ会社の経営者たちは、戦々恐々としているというのが、現状だと思います。

多くの企業は社内に弁護士を抱え、社外に大きな弁護士事務所や会計事務所と契約して、様々なビジネス関連の課題を評価分析判断しているはずです。石を投げれば弁護士にあたると言われる「訴訟社会アメリカ」では、「これは合法的で違法行為にはあたらない」という言葉をしょっちゅう耳にします。こうした一連のスキャンダルを見て思うことは、弁護士たちの評価分析は、「クライアントにとって最も利益をもたらす判断と推奨」であって、必ずしも「倫理的な判断と基準に適合する」ものではないということです。

ストックオプションという大きな人参をばら撒いて、人材を集めたシリコンバレーのテクノロジー企業は、今頃になって、ドットコムバブルやITバブルのツケが回ってくるとは、思ってもみなかったと思います。私もドットコムバブル末期に、ストックオプションを受けましたが、その企業はバブルの崩壊とともに消滅したので(消滅した原因はバブルの崩壊に関係なく、ビジネスモデルが、間違っていただけです)、結果それはただの紙切れになりました。また、ストックオプションとフィーのコンビネーションで、プロジェクトを行って欲しいという依頼も、テクノロジー系のスタートアップ企業から受けましたが、結局その手の話は断ってきました。

シリコンバレーに住むプロフェッショナルが、何らかのカタチで関係するストックオプションは、バレーに多くのミリオネラーやビリオネラーを生み出し、バレーの人材キープの大きな要因です。何でもそうだと思いますが、正しく扱えば、何にも問題は起こらず、間違えって扱えば、問題となる。扱う人次第だと思います。

シリコンバレーの「ガレージ神話」

10/4/2006

 
昨日のSF Chronicleによると、Googleは、Larry PageとSergey Brinの2人の創設者が、最初のオフィスとして、8年前に借りていたMenlo Parkの1900スクエアフィートの家を、現在GoogleのVice PresidentのSusan Wojcickiから、買い取ったということです。彼らは、スタンフォード大学を卒業した後、5ヶ月間、サーチエンジンの開発にフォーカスするために、この家のガレージと部屋を、家賃1700ドルで借りています。

昨日のブログで、1938年にHPの2人の創設者がガレージからビジネスを始めたことを書きましたが、シリコンバレーでは、成功するためには、「ガレージから出発」するという神話があり、Appleの2人の創設者、Steve JobsとSteve Wozniakも、1970年代にガレージから、ビジネスを始めています。HPが失った"The HP Way"の跡を継ぐかのように、"The Google Way"を突き進む、Googleのガレージは、新しいシリコンバレーの"The Garage"になりそうです。Googleの購入価格は公表されていませんが、このあたりの不動産の相場では100万ドル(1億1,600万円)から130万ドル(1億5,000万円)だそうです。

私とGoogleとの縁は、1999年10月Googleの創設者のBrinに、集英社の雑誌「BART」の取材のために、編集者と一緒に、直接インタビューをしたのが最初です。1999年10月の時点では、ちょうどこのMenlo ParkのガレージからMountain Viewのオフィスに引っ越してきたばかりで、当時24歳のBrinの部屋には段ボール箱や自転車が置いてあり、スタンフォードの学生の部屋みたいというのが、最初の印象でした。

Dog Year(人間の1年が犬の7年に当たる)という言葉がかつてありましたが、人間の年ではたった7年ですが、Dog Yearで計算すれば、49年が経過したことになり、彼は現在「月」さえも眼中に入った巨大な「Google王国」の統治者です。やはり、シリコンバレーの神話は正しいようです。

PS: 私は、JaMを1998年にガレージではなく、自宅だったアパートメントから始めているので、どうやらシリコンバレーの神話に該当せず、大成功する企業にはなれないみたいです(笑)。

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    大柴ひさみ

    日米両国でビジネス・マーケティング活動を、マーケターとして、消費­者として実践してきた大柴ひさみが語る「リアルな米国ビジネス&マーケティングのInsight」

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