ひさみをめぐる冒険
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ひさみをめぐる冒険
サンフランシスコ・シリコンバレー在住マーケターのINSIGHT(洞察)



本の魅力と魔力

7/26/2007

 
過去3週間は、本の魅力と魔力にとりつかれて、コンピュータから離れて、オフラインで書籍ばかりを読んでいました。以下は、一気に読み干した書籍です。

  • 「竜の柩(1)正邪の顔編」高橋克彦
  • 「竜の柩(2)ノアの方舟編」高橋克彦
  • 「竜の柩(3)神の星編」高橋克彦
  • 「竜の柩(4)約束の地編」高橋克彦
  • 「竜の柩(5)心霊日本編」高橋克彦
  • 「竜の柩(6)交霊英国編」高橋克彦
  • 「明治天皇(一)」ドナルド・キーン
  • 「明治天皇(二)」ドナルド・キーン
  • 「明治天皇(三)」ドナルド・キーン
  • 「明治天皇(四)」ドナルド・キーン
  • 「父子鷹(上)」子母澤寛
  • 「父子鷹(下)」子母澤寛
  • 「燃えよ剣(上)」司馬遼太郎
  • 「燃えよ剣(下)」司馬遼太郎


私は異常なくらいに子供の頃から、歴史小説が好きで、日本出張の際に必ずこの手の歴史小説の文庫本を買い込んで、一気に読み干します(読み干すという言葉は、日本の歴史小説に飢えている私が砂漠で水を求める旅人のごとく、歴史小説をむさぼり読む気分を表しています)。

今回は、今まであまり注意を払わなかった「明治天皇」と「新撰組(燃えよ剣)」を読んで、従来私に欠けていた幕末・明治維新への別な視点を得ることが出来ました。特に、ドナルド・キーンの力作「明治天皇」は、個人的な資料のほとんどない明治天皇を、公式記録を丹念に読み込み、天皇が作成した和歌を手がかかり、天皇の想いや人物像を描いており、改めて明治天皇の果たした役割や意味を考える良い機会でした。象徴としての戦後の天皇に慣れ親しんでいる私にとって、幕末から明治維新という歴史の歯車が激しく回った革命の時代に、いかに明治天皇が多くの政治的判断に直接関わっていたかということを改めて実感しました。極端な攘夷主義者で、西欧人を極度に嫌った孝明天皇の皇子として、1852年に生まれた天皇は、14歳で即位しますが、京都の御所で女官たちに囲まれて、時にはお化粧をしていた明治天皇が、明治維新、廃藩置県、大日本帝国憲法制定、議会開催、日清・日露戦争と、激動の時代を立憲君主国日本の天皇として、後に諸外国から「明治大帝」と言われるほど高い評価を得たという事実を、改めて認識して不思議な感銘を覚えました。1つ面白いと思ったことは、明治天皇の皇后である昭憲皇太后が、ある時期から和服を着ないと決心し、それから一度も和服を着ないという事実です。もちろん、日本の近代化を諸外国に知らしめるために、鹿鳴館ではみんな洋服を着用して踊っていた時代ですが(西欧人はサルが洋服を着て西洋人の真似をしているとして大いに蔑視していたそうですが)、彼女は、和服は戦国時代に生まれた服装で、もっと古い奈良朝の服は洋服に近いものだったと考えたらしく、和服をあっさり捨てたようです。歴史小説はいろんなことを教えてくれます。

「燃えよ剣」の主人公、土方歳三は、武州多摩の出身で、実家の国分寺近くに関連した土地の文化を垣間見ることが出来て、興味深いものがありました。徳川300年の太平の中で飼いならされた旗本や他藩の官僚化した武士とは違う、百姓あがりの新撰組の主役たちが、遠い祖先ともいえる関東の坂東武者を思わせる荒々しい気風で、幕末の風雲時に、いかに「真の武士」になろうとしていくかが、改めてわかり、感慨深いものがありました。

子母澤寛独特のタッチで、描かれる「父子鷹」は、勝海舟の父親、勝小吉を主人公に親子の交流を描いていますが、彼の語り口がいかにも江戸っ子らしいので、思わず私の亡くなった父を連想して、涙ぐんでしまいました。海舟の子供時代からの英才ぶりと、父、小吉の無学(文盲)の対比、それを取り巻く江戸の下町の人たちの機微が何とも暖かい気持ちにさせてくれたお話でした。

最後に「竜の柩」ですが、これは、言ってみれば、私にとっての「Harry Potter and the Deathly Hallows」といった感のある本です。 最新版の「ハリー・ポッター」は、米国では24時間で830万部売れましたが、これは1時間ごとに30万部、1分ごとに5000部以上が売れたことを意味し、金額に直すと2億5000万ドルというとんでもない売り上げになります。世界中のハリー・ポッターファンは、ハリーポッター関連のコスチュームを着込んで、7/14の土曜日の深夜12時に書店で発売されたファイナルバージョンを購入するために並びました。この週末はハリー・ポッターマニアの子供たちが、携帯電話でのおしゃべりやメールを一切行わずに、700ページ以上の本を、寝食を忘れて、必死になって読んだと報道されています。

このハリー・ポッターを読む子供に近い状態で、私は「竜の柩」6冊を一気に読んでしまいました。「古事記」、「日本書記」、「ピラミッド」、「ノアの方舟」、「ムー大陸」、「アトランティス」、「キリスト教、仏教、ヒンドゥー教etc.」、「モヘンジョダロ」「シュメール文明」、「タイムトラベル」、「パラレルワールド」、「交霊術」など、私がのどを鳴らすようなさまざまな要素をてんこ盛りにして、天才作家高橋克彦の優れた分析力と空想力でまとめあげた壮大な伝奇小説です。思わず、「こういうのを小説って言うんだ」と、痛感しました。彼の凄さは、「歴史」と「伝説」を見事に重ね合わせて、読者をその高橋ファンタジーワールドに一気に引きずりこむところにあると思います。

高橋克彦の魔力にかかった私は、寝る時間を惜しみながら、一気に読んで、6巻でもまだ満足できず、もっともっと読みたいと中毒状態で、この小説に魅入られてしまいました。ハリー・ポッターは7巻めがファイナルですが、「竜の柩」もあと一冊、ファイナルバージョンを書いて欲しい、これが中毒患者の本音です。

「ひさみをめぐる冒険」の名前の由来

5/10/2007

 
さっき、27年前の田中康夫さんと「バーラジオ」での遭遇を書いたので、ついでに、「ひさみをめぐる冒険」というタイトルをつけた、33年前の昔話をします。

この題名は、確かに村上春樹さんの「羊をめぐる冒険」にちなんでいます。私は、春樹さんとは彼が作家になる前に多少縁がありました。1974年、彼が国分寺に開いたジャズバー「ピーターキャット」が、その縁があった場所です(ちなみに私の実家は国分寺で、今でも日本出張の際には実家に泊まっています)。私は大学時代、かなりジャズに狂っていて、いろんなジャズ喫茶(当時三寺と言われた「国分寺、吉祥寺、高円寺」、それに新宿)に入り浸っていました。村上さんがピーターキャットを開いた頃、私は18歳で、当時奥さんの陽子さんと2人でお店をやっていて、ローソクの蝋の塊を集めたデコレーションがある、地下の暗くておしゃれなジャズバーでした。

当時18歳の私は、1学年上のベースを弾く男の子に、密かにあこがれており、その彼が「ピーターキャット」に、私を連れて行ってくれました。彼は当時ガールフレンドがいて、私とは単なるジャズが好きな友人として、親しくしてくれただけですが、自分の想いを告白できない私(今と違ってかなり純情だったようです)は、彼が先に帰った後に密かにマスターだった春樹さんにその悩みを相談しました。春樹さんは、通常お料理をつくっていて、ほとんどお客さんとは話さない方でしたが、なぜかその時だけは、私の悩みに対して、「自分の気持ちに正直にふるまったら」と一言、答えてくれたのを記憶しています。彼は1949年生まれで、私より7歳上で、計算するとまだ25歳の若さでお店を開き、ティーンネージャーの私の子供ぽい悩みを聞いてくれたことになります。

彼は1977年に千駄ヶ谷にピーターキャットを移して1981年までお店をやって、1979年「風の歌を聴け」で群像新人賞をとり、作家としてデビューしています。33年前、私は国分寺のピーターキャットのマスターが、作家になるとは思いもよりませんでした…

こんな奇妙な縁もあり、さらに1995年に米国に移住して以来、私は毎日が冒険という気分だったので、最初の書籍のタイトルを「ひさみをめぐる冒険」にしました。

国分寺のピーターキャットのことは、「村上春樹の世界 国分寺を歩く」に、写真や詳細な記述があるので、ご興味があるかたは、ぜひご覧ください。ピーターキャットがあった当時の国分寺は、アングラ系のEdgyでユニークなお店が、南口に固まっていて、「ほんやら洞」や「寺珈屋」でよく珈琲を飲んで時間をつぶして、「グルマン」のカレーはおいしかったという、思い出があります。今は、すっかり変わってしまって、面影がなくなってしまいましたが、「ピーターキャットの暗さ」は、今も私の頭の中にイメージとして、残っています。

PS: 村上春樹さんの作品は、私は20代(1980年代)の時に夢中になって、読みました。上記の「羊をめぐる冒険」や「風の歌を聴け」は当然のことながら、「1973年のピンボール」、「ダンス・ダンス・ダンス」と、一連の作品の登場する「僕」、「鼠」、J's Barのバーテンダーの「ジェイ」とか、目くるめく人物が、白昼夢のように、私のアタマの中を駆け巡ったことを思い出します。さらにあの緑のバックに赤の縦書きのタイトルというソフィスティケートな装丁の「ノルウェイの森」。書き出すときりがないし、彼の作品のことはいろいろな著名な方たちが書いているので、この辺でやめておきます。

今は、世界的な作家になってしまった春樹さんですが、国分寺のピーターキャットに思い出を持つ私は、手の届かなくなった世界にいるような気がして、なんとなく寂しい気持ちがします。でも、どんどん素晴らしい文筆活動をしているので、もちろん、サンフランシスコベイエリアの島Alamedaに住む私は、陰ながら彼を応援しています。

    大柴ひさみ

    日米両国でビジネス・マーケティング活動を、マーケターとして、消費­者として実践してきた大柴ひさみが語る「リアルな米国ビジネス&マーケティングのInsight」

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