ひさみをめぐる冒険
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ひさみをめぐる冒険
サンフランシスコ・シリコンバレー在住マーケターのINSIGHT(洞察)



White Collar Crimeのけじめ(エンロンのトップも塀の中に)

5/26/2006

 
昨日は、Enron(エンロン)のトップ2人、Kenneth Lay(ケネス・レイ)とJeffrey Skilling(ジェフリー・スキリング)の有罪判決が決定して、1990年代末から200年初めにかけて起こった米国の大企業の株価操作のための不正 会計操作、インサイダー取引など、一連のCEOたちのホワイトカラークライムの一つのけじめがついたことで、みんながほっとした日でした。

2001年当時600億ドル以上の市場価値があったエンロンは、このGreedy(強欲)な経営者たちのミスリードによって、株価の下落と倒産を招き、社 員はおよそ21億ドルの年金を一瞬のうちに失い、5600人が解雇され、多くの株主に多大な損害を与えました。米国ビジネス史上の最悪のスキャンダルの一 つとして、「エンロン崩壊」という言葉で、話題になり、私も当時はこの事件にかなり関心を持って、以下のようなコラムを書いて、事件を見守っていました。

番犬と道化師の役割 (The Roles of Watchdogs and Fools)
*ベイエリア最新事情2001年12月24日*

カモフラージュ・メイクアップ-エンロンの場合 (The Camouflage Makeup-Enron)
*ベイエリア最新事情2002年1月25日*

失われた企業モラル (The Loss of Corporate Ethics)
*ベイエリア最新事情2002年6月22日*

あれから5年が過ぎて、やっと、創立者・会長・CEOのレイは、最長165年間、CEOのスキリングは最長185年の受刑を宣告されました。すでに10年 間の受刑が確定しているCFOのAndrew Fastow(アンドリュー・ファストウ)は7月から塀の中に入り、レイとスキリングはいみじくも「9月11日」から始まります。この4ヶ月かかった2人 の裁判で、検察側の切り札が元CFOで一連のエンロンの不正会計操作の設計者だったファストウです。彼は、彼の妻をエンロン事件の関係者として1年間の受 刑生活をさせており、トップ2人とすべて協議の上で行ったと証言して、2人を一気に不利な状況に落としこんでいます。

いろんな報道や陪審員・関係者の発言で、頻繁に出てきたのが、「Liar(嘘つき)」という言葉です。米国では、間違いや悪事をしても、それを正直に認め て、今後二度とそれを繰り返さないと誓う姿勢を評価します。反対に、「正直に話さない=嘘をつく」ことを嫌い、レイとスキリングが、「エンロンが倒産する ほどひどい財務状態であったことは知らなかった」と言ったことに対して、「社員と一般投資家と株主に嘘をついた」として、鋭く非難しています。

このエンロン崩壊に限らず、多くの大企業のCEOたちが行ったホワイトカラークライムは、米国ビジネスの「Greedy(強欲さ)」の象徴として、多くの非難を招き、それを受けて検察側も必死の努力により、徐々に塀の中にCEOたちを送り込んでいます。

Bernard Ebbers, 64 | GUILTY 
Former chairman & CEO, WorldCom

Dennis Kozlowski, 59 | GUILTY 
Former CEO, Tyco International

Frank Quattrone, 50 | CONVICTION OVERTURNED 
Investment banker, Credit Suisse First Boston

John Rigas, 80 | GUILTY 
Former chairman and CEO, Adelphia

Richard Scrushy, 53 | NOT GUILTY 
Former chairman and CEO, HealthSouth

Martha Stewart, 64 | GUILTY 
Founder Martha Stewart Living Omnimedia

また、現在SECによって調査進行中のCEOたちへの巨額な報酬の一部である「ストックオプションのバックデイト」問題には、SF Chronicleによれば、以下のような企業の名前があがっており、何らかの問題で巻き込まれる可能性があるとしています。

Altera, San Jose -- internal inquiry 
Cnet Networks, San Francisco -- internal inquiry 
Juniper Networks, Sunnyvale -- U.S. attorney investigation 
KLA-Tencor, San Jose -- SEC investigation 
McAfee, Santa Clara -- internal inquiry 
Mercury Interactive, Mountain View -- SEC investigation 
Openwave Systems, Redwood City -- SEC investigation 
Power Integrations, San Jose -- internal inquiry 
Trident Microsystems, Sunnyvale -- internal inquiry 
Zoran, Sunnyvale -- internal inquiry

Source: Company reports, Chronicle research

この「ストックオプションのバックデイト」も、「日付をさかのぼる嘘」によって、ストックオプションを実際に売る時点との差額で、莫大な利益を経営者たち にもたらします。これは企業の会計において損益の数字を変えることを意味し、さらに、それは投資家へ嘘、あるいは納税の不正申告へとつながる可能性を秘め ています。

「嘘つきは泥棒の始まり」、これはどうやら真実のようです。


「Bambino Curse(バンビーノの呪い)」がとけた日

5/21/2006

 
Picture
今、やっとBabe Ruth(ベーブ・ルース)の呪いがとけたようです。

Barry Bonds(ベリー・ボンズ)がルースの生涯ホームラン記録714本に並ぶホームランを、San Francisco Giants vs Oakland A'sの3連戦、ブリッジシリーズで、打ちました。

私がびっくりした理由は、日本から来ているヴィジターの方に、Emailで、Barryが714号を中々打てない理由は「バンビーノの呪い」だと書いて、 ゲームをチェックしようとTVをつけた瞬間に、Barryが714号を打ったことです。彼のシグネチャーともいうべき打った瞬間に、ボールパークにいる人 間全員がホームランとわかるものです。

どうやら、ルースの呪いはこれでとけたようです。

今朝、SF ChronicleのスポーツライターのJohn Sheaの記事でも、このことが書かれています。彼は、私が以前マッシー村上投手のことで、Emailで質問をしたら、気軽に返事をくれたライターで、彼の記事はいつも楽しく読んでいます。

彼は、Boston Red Soxが1918年にNY Yankeesにルースを10万ドルでトレードに出した結果起こった「Bambino Curse」 を引き合いに出して、Barryが714号を中々打てない理由を書いています。レッドソックスは、2004年に宿敵ヤンキースを破り、ワールドシリーズで セントルイス・カージナルスを破って、86年ぶりに優勝しましたが、今日はBarryがバンビーノの数字に並びました。

今年に入って、メジャーリーグ・べースボールの話を、書いていませんが、これはステロイド問題も含めて、また別の機会に書きます。

来月は、初めてうちの母親が、アメリカにやってきます。メジャーリーグベースボールのオタク的なファンである母を連れて、6/24のOakland A's vs San Francisco Giantsのゲームを、自宅のあるアイランド(Alameda)からフェリーに乗って、ジャイアンツのホームゲームを観戦します。母と夫と3人で初めて みるメジャーリーグを観戦した後、またベースボールの話を書きます。

母には私たちの墓石*も見せる予定です。

*私たちの墓石:チャイナベイスン(AT&T Park)の横に、Giantsの名選手McCoveyを 記念した小さな公園があります(McCovey Point and China Basin Park)。このパークの設営のための寄付を、私たち夫婦はしており、Section 37 には、「David & Hisami Rasmussen Go Giants! 」という、石があります。私の義理の3人の子供たちには、私たち2人が死んだら、太平洋に灰を投げてしまう予定なので、Giantsのゲームを見に来た帰 りにMcCovey Parkに寄って、私たちの墓石に花でも置いていってと、言ってあります。



Color & Collar Less Society (カラーレス社会)

5/17/2006

 
画像
日本のゴールデンウィークにあわせて、久しぶりに、コンピュータに向かわない日々を過ごしました。当然のごとく、その間はブログを書かず(これは言い訳で す)、とにかく身体を動かすことに専念しました。3日間はセーリングとセーリングボートの修理と掃除に費やし、52フィートのセールボートでゴールデンゲ イトを抜けて、10マイルほど太平洋を進み、久しぶりにちょっと船酔いを感じました。その後は、自宅の修理と掃除と庭仕事で、かなり重いサンディングンマ シンを使って、80年を経た玄関の重いマホガニーのドアを修復したため、私の右ひじはかなりいかれてしいまいました。

身体を動かすアクティビティには、コンピュータやインターネットなどがもたらす「Instant Gratification(瞬間的な満足や報酬)」というものはなく、すべてに時間と手間がかかります。でも、その分やり遂げた後の達成感は非常に大き く、肉体の痛みや苦しみも含めて、その対価を払う価値はあります。

もうすでに死語に等しい言葉で「ホワイトカラー」と「ブルーカラー」という表現で、職業を分けていた時代がありました。私は色としても「ブルー」が好きな せいか(笑)、日本でサラリーマンをしていた頃から、ネクタイとスーツを着ないで生活できる人たちを尊敬しており、自分もスーツを着ないで仕事ができるよ うになりたいと思っていました。最近は夫の転職先が船の修理・修復を行う会社で、彼はプロジェクトマネージャーとして毎朝4時半に起きて、20分の自転車 通勤で、6時から仕事をしているため、物理的に身体を動かして対価を得る「ブルーカラー」と呼ばれる職種が身近に感じられます。

夜明け前に出かける夫の後姿を毎朝見送って、日本語で「行ってらっしゃい」と大きな声で叫ぶのが、私の日課となっており、その際に見かける「ブルーカ ラー」ぽい職業であろうと推察される人たちにも、心の中で「毎朝、ご苦労様です」とつぶやいて、見送っています。彼らの肉体を駆使した日々の働きが私たち の社会生活の基本的な部分を支えており、そうした力なしには、日々の暮らしは簡単に立ち行かないと思うと、彼らに足を向けて寝られません。

ブルーカラーを表現する時に良く出てきた「3K(きつい、汚い、危険)」という言葉がありましたが、日々の自分のビジネスを考えると、肉体的には3K状態 ではありませんが、精神的には「2K(きつい、危険)」な状態が日常茶飯事です。ビジネスオーナーとして、危険あるいはリスクを承知で、クライアントから のきつい要求のプロジェクトをとって、実行しているのが、日々の私の仕事です。夜の11時から朝の5時までの6時間の睡眠時間を除いて、ほとんどの時間を 仕事に費やしている私は、「2Kのブルーカラーぽいホワイトカラー」と言えます。

20世紀は、「資本家vs労働者」、「企業vs消費者」、「ホワイトカラーvsブルーカラー」、「オンラインvsオフライン」、「ニューエコノミーvs オールドエコノミー」といった2つの対峙するモノが簡単に分けられた時代だったようです。それ比べて、今の時代は、コンピュータ関連の技術者(プログラ マーやシステムエンジニア)を例にとると、彼らをColor(色:ブルーでもホワイトでもない)やCollar(襟:彼らは襟のないカジュアルな服装で働 いている) で区分けすることもできず、私たちは、「Color & Collar Less Society (カレーレスな社会)」に住んでいると言えます。

複雑な職業や職種が増えて、リモートで仕事をする頻度も多くなり、プライベートな時間に、ワークやビジネスが食い込む確率は日々増大しています。そんな社会ですが、肉体を駆使する労働やアクティビティは、精神をシャープに保つためにも、不可欠な要素です。

「健全なる精神は健全なる肉体に宿る」、この言葉はタイムレスな真理として、常に肝に銘じています。


    大柴ひさみ

    日米両国でビジネス・マーケティング活動を、マーケターとして、消費­者として実践してきた大柴ひさみが語る「リアルな米国ビジネス&マーケティングのInsight」

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