ひさみをめぐる冒険
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ひさみをめぐる冒険
サンフランシスコ・シリコンバレー在住マーケターのINSIGHT(洞察)



Datsun(ダットサン)伝説:今も走っているブランド資産

11/13/2007

 
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昨日、何気なく自宅の前の車を見たら、なんとあの1970年代の日本の名車「Datsun 510(米国ではDatsun1600)」がさりげなく停められていました。思わず写真を撮ったので、ここにアップロードします。

うちの夫は、最初に「Datsun」が「Nissan」というブランド名に変更した時に、非常なショックを受けたと言います。「Datsun」というブランドは、米国の消費者にとって日本車のイメージを大きく変えた存在で、そのブランド遺産をなぜ合併で簡単に捨てたのか?と、理解に苦しむと語っています。Datsunは、トラックの力強さと、Zや510に代表されるスポーツカーのイメージでがっちり形成されていて、当時の米国の若者の憧れだったと言います。また、米国人の語感からすると、「ダットサン」は「ニッサン」と違って、音に勢いがあってクールな感じがする発音だということです。Datsun510/1600は、「貧乏人のBMW」だったといわれたそうですが、私が撮影したこのクルマは、30年以上も前のクルマに見えないほど、お洒落な感じで、私も思わず興奮して見入ってしまいました。

名車は時を越えて、走る、そんなことを思いながら、思わず日産スカイラインのCMの主題歌「ケンとメリー~愛と風のように」をYouTubeで見つけて、大きな声で歌ってしまいました。

「虹の向こうに出かけよう、今が通り過ぎていく前に」、いいですね、この歌詞。そうです、今は通り過ぎていくんですね。


ボランティアワークを活用できないもどかしさ

11/12/2007

 
オイルまみれのサンフランシスコ湾は、今、オイル流出への初期対応やパブリックへの通報が遅かった湾岸警備隊へ批判が集中しています。

州レベルを通り越して連邦レベルで今回の事故調査を進めると政治家たちはわめいていますが、最もフラストレーションが高いのは、ベイエリアの多くの一般市民です。週末は数百の人たちが、オイルまみれの鳥たちの救助のためにおのおの近隣のビーチに駆けつけましたが、法令で特殊な訓練(24時間かかります)を受けていない人たが汚染物質を含むオイルに触れることは出来ず、追い返されています。彼らはそれではすぐに特殊な訓練を受けられるようにしろと要求したり、多くの人たちは、オイルに触れないでできることとして、鳥たちの洗浄と救助のためのタオルや食料の寄付、ビーチのゴミ拾い、オイルまみれの鳥や海水の撮影、海草の切断などをしているということです。

事故が起きた水曜日の午前8:30から、一般に通報があった午後4:49までのおよそ8時間のオイル除去の遅れは大きく、時間が経つに連れて、オイルはゴールドゲイトを抜け出して、どんどん太平洋上を北上しています。ボランティアの人たちは、湾岸警備隊や担当省庁の官僚主義に腹を立てており、目の前にオイルまみれの鳥が死にそうになっているのに、どこに電話しても誰も答えてくれず、結果自分でビーチに下りて鳥を助けたということも報道されており、エマージェンシーの際のボランティアワークの取りまとめや対応は、今後の大きな課題です。

バークレイ・マリーナだけで、196の鳥の死亡が確認されていますが、洗浄中の鳥も死亡する確率は非常に高く、一般の人たちの本音は、「早く動かないと汚染は拡大し、海洋動植物がどんどん死んでしまう」につきます。現在59隻のボート、937人のオフィシャルワーカーがオイルのクリーアップにタックルしていますが、2~3ヶ月かかると言われています。今回のような人災を今後どこまでプロテクトできるのかを、真剣に考えないといけないと、痛感します。

素人の考えですが、こうした事故を防ぐために、ブリッジの支柱には、最悪を想定して、船舶が近すぎた場合(何フィートが適切かどうかわかりませんが)、警報装置(巨大な霧笛の音)が鳴るとか、あるいはタンカーや大型コンテイナーの燃料(オイル)を保存しておく場所をシリコンで囲って、ぶつかっても穴が開かないようにするとか、何かテクノロジーによってこうした人災を防ぐ手立てがるはず?と真剣に考えています。もちろん、こうしたリスクマネジメントへの投資は優先順位が低くて、実現されない場合が多いと思いますが、自然とダイレクトに向き合う場合、真剣に考えるべき事柄ではと思います。

オイルまみれのサンフランシスコベイ

11/10/2007

 
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サンフランシスコ湾は、水曜日タンカーがベイブリッジの支柱にぶつかり、5万8000ガロンのオイルが流出されて、オイルまみれの悲惨な状態です。

すでにカリフォルニア州知事シュワルツネッガーも惨事の確認のためにサンフランシスコに到着し、今回の事故を「State of  Emergency」と宣言して、一刻も早くオイル除去と、海洋生物の保護と救出、海の汚染防止のための作業を行うよう指示しています。

私が住むアイランドシティAlamedaのビーチも含めてベイエイリアの19のビーチは一般の立ち入り禁止となり、湾岸警備隊やオイル事故救出の専門船舶がオイルを海水から取り除いており、環境保護グループやボランティアの人たちは、オイルまみれの鳥たちの救助と鳥のリハビリテーションと洗浄に必死です。オイルの被害は、ベイだけにとどまらず、40マイル北上したオイスターで有名なTamales Bayまで広がっており、こうした救助作業がいつ終わるのか今の時点では予測できない状態です。

タンカーは、Cosco Busan といい、香港の会社が所有しており、タイタニックよりも大きい6万5,131トン、810フィートの長さで、ベテランのパイロット(水先案内人)が乗船して、なぜこの事故が起きたのか?、事故の原因は今のところ不明です。オイル流出のパブリックへの報告が、事故が起きてすぐにされなかったとして、市長をはじめ政治家たちも抗議の声を上げており、この事故の責任問題は大きくなりそうです。

サンフランシスコ湾の干潟は、環境保護区として指定されている場所が多く、こうした海洋動植物のサンクチュアリへの影響を、私も含めて多くの市民が憂慮しています。1996年に起きたシェブロンの4万ガロンのオイル流出事故の時には、オイルの除去のために、多くのボランディア活動も含めて、2年間かかったという経験もあり、今後のどうなるか、気になるところです。

サンフランシスコ湾は、多くのタンカーや貨物船が日々行き来する商業的にもウエストコーストで重要な役割を果たしている場所です。ただそれと海洋生物保護は共存しており、こうした人災による環境破壊の危険性は常にあるという怖さを改めて認識しています。

こうした事故に限らず、人間が地球で今のような生活をしている以上、地球はどんどん汚染されていく、これはリアリティのようです。「じゃーどうするんだ?」という声に対して、私は、自分で出来ることを実行していくしかないと思っています。

2年前にサンフランシスコ(正確に言うとAlameda)からハワイ(マウイ島)まで太平洋半分横断セーリングを実行した時、太平洋の真ん中で最も目立ったのは、人工的な白さの小さなプラスチックのショッピングバッグでした。大海原に浮かぶプラスチックの袋は、永遠と漂っているようで、なんとも嫌な思いをしたことを思い出します。あのプラスチックバッグのイメージがアタマにこびりついて、それ以降地球環境への意識が変わったような気がします。

とにかく自分でできることからやっていくしかない、そう思う人が1人でも増えれば、多少でもよくなるかもしれません。


冗談みたいなHummer(ハマー)の燃費の話

11/10/2007

 
今朝は土曜日ですが、うちの夫の仕事都合で、私は午前4時半に起きて彼のお弁当をつくって送り出し、そのまま8時のJazzerciseのクラスに出かけて、1時間たっぷり朝を流しました。クラスメイトからは、週末の朝からどうしてそんなに元気いっぱいで飛んだりはねたり出来るの?と尋ねられましたが、4時半から起きている私は、8時にはエンジン全開です。普段はキーボードを打つために、指しか動かしていないので、週末の朝は必ずジャズザサイズで、大好きなジャズダンス、ウェイトトレーニング、ストレッチでたっぷり汗を流します。

今日は本当は「宣伝会議」の12/15号の原稿の締め切りが迫っているために、それにフォーカスする予定でしたが、ついついブログっています(Yさん、スイマセンいつも原稿が遅くて)。たまたま、自動車関連の記事を読んでいて、これって冗談みたいという話がありました。

J.D.Power and Associatesによるクルマの品質に関するオーナーへの調査「2007 Initial Quality Study(IQS)」では、Porsch(ポルシェ)が、「トラブルフリーのカーメーカー」として、総合的なランクで2年連続トップとなりました。ポルシェは91 PP100(100台のクルマを販売して、オーナーが91の問題が起きたと報告)で、以下の順位で各社が続いています。この調査は、2006年11月から2007年1月の間に、2007年新型モデルを購入した9万7000人の自動車オーナーのレスポンスを基にしたランキングです。

  1. Porsch(91 PP100)
  2. Lexus(93 PP100)
  3. Lincoln(100 PP100)
  4. Honda(108 PP100)
  5. Mercedes(111 PP100)
  6. JaguarとToyota(同位:112 PP100)
  7. Mercury(113 PP100)
  8. Infiniti(117 PP100)
  9. Ford(120 PP100)
  10. Scion(123 PP100)


フォードとメルセデスが昨年から大分品質が向上して、フォードは5つのカテゴリーでトップを確保し、メルセデスは昨年の25位から今年は5位まで上がってきています。アウディ、フォルクスワーゲン、BMWは、平均スコア以下となって順位を下げていますし、最もひどい結果になったのは、GMとクライスラーグループで、GMのブランドはすべて平均スコア以下で、IQSのトップ10に1つも入っていないという惨憺たるありさまです(GMは1-9月期の赤字が390億ドル、115円で計算すると4兆4850億円という、私にとっては天文学的な数字の財政的な困難さが最近報道されています)。

個人的に嬉しかったのは、Compact premium car部門で、ポルシェのBoxsterが1位、Compact sporty car部門で、マツダのMiataが1位になったことです。日本の独身時代は、赤のユーノスロードスター(Miata)を発売された途端に買って大いに乗り回し(夫の赴任先だった福島まで東京からよく常磐道を突っ走っていました)、今乗りたいクルマはBoxsterです。ドイツ人の友人が持っており、彼女のBoxsterを借りて乗りましたが、車内を気持ちのよいエンジン音が回って、思わず独身時代のスポーツカー時代を思い出し「欲しーい」と思ってしまいました(ツーシーターですので、我が家で購入するの無理です)。

この調査の記事を読んで驚いたのは、ボトム5に入る「Hummer(162 PP100)」、「Jeep(161 PP100)」、「Volkswagen(160 PP100)」といったクルマのオーナーたちが、その燃費の悪さを問題として報告している点です。特にハマーのH2の新車を購入したオーナーたちは、「この車はどこかおかしい、多分故障しているはずだ。それでなければこんなに燃費が悪いはずがない」と言って、サービス部門に車を持ち込んでくるオーナーが多いという話です。これって、悪いジョークとしか思えない話です。新しくH2のオーナーになった人たちは、事前にその燃費の悪さ(車体が異常に重いために、ガソリンが極端に必要となります)を本当に実感していなかったという哀しい話です。

うちの島、Alamedaでも時々H2が走っていますが、この小さな島は最高速度25マイルまでしか出せず、12.4平方マイルという狭さで、H2のオーナーにとっては向かない街です。私はマーケッターの好奇心で、H2を見かけると、どんな人が乗っているのか見ようとして、ついつい身を乗り出してしまいます。H2のオーナーは、ガソリン代も大変だと思いますが、オーナーのライフスタイルも常に他の人から注目されており、大変だなって思います。


日本の政治は、「アリスのワンダーランド」みたい

11/6/2007

 
4日間、ちょっと日本の情報から離れていたら、以下のような漢字が日本語のオンラインニュースサイトで踊っており、びっくりしました(11/01-11/05)。

「福田・小沢両党首会談」-->「連立打診」-->「民主党小沢批判」-->「小沢混乱にけじめ」-->「小沢辞意表明」-->「小沢慰留」-->「小沢辞意撤回」

これって何ですか??って感じです。

前首相の安倍さんの突然の「病院逃避行辞任」にも驚いたけど、この一連の小沢さんの行動には、結構目が点になりました。英語でよくいう「Accounatbility(説明責任)」がまったく欠落している言動で、思わず「子供じゃないんだから」と言いたくなる迷走ぶりです(私から見ると)。こちらの地元のメディアでは特にこの情報は報じられておらず、私は知人のブログを見て驚いて、この一連の流れを日本語サイトで読みました。

この小沢さんの行動の解釈は、田原総一朗さんが具体的に解説しているので、ぜひそれを読んでいただければと思います。田原さんの記事によると、福田さんと小沢さんはすでに密室会談を入れると3回も連立に向けてディスカッションしており、小沢さんが「融通の利かない大学院生のような民主党(田原さんの表現)」内部の連立反対の声の大きさを読み損ねたことが、一連の言動に表れたということです。

とにもかくにも、私の目から見ると、日本の政治ほど奇妙な世界はないと、つくづく感じます。政治家たちは、まるで、「アリスの不思議な国」に出てくる懐中時計を持って、いつも「急がなくっちゃ、急がなくちゃ」と言って、走り去るウサギの姿を連想させます。

Alice's Adventures in Wonderland(アリスの不思議な国)の第1章「Down the Rabbit-Hole(ウサギの穴に落ちて)」は、未知の世界の冒険の出発を意味する英語の慣用句です。

日本の政治はどうやらこの穴の下に広がる地底世界で行われているらしく、常人には理解しがたいものがあります。また、もっと不思議に思うのが、こうした不思議な国のウサギたちの動きに注意を払って、監視したり抗議したりするActivismが生まれてこない、そうした社会状況のほうがもっと奇妙なのかもしれません。たぶん、みんなもうあきらめている、それが本音なのかなとも思います。私は、なんとなく寂しい思いで、ワンダーランドをこっち側から見ています。


「ブーメラン・クライアント」

11/6/2007

 
1998年にJaMを始めて以来、さまざまなクライアントとの出会いがありました。

業種にこだわらないうちのビジネスは、それこそポータブル音楽デバイス、乗り物、サプリメント、食品、ビューティケア製品といった消費者製品、、医療用デバイス、B2Bのストーレージのアプリケーション、イメージングのソフトウエアなどなど、さまざまなクライアントの製品やサービスのための消費者・市場調査、ビジネス交渉・開発、マーケティングを実施してきました。

契約してプロジェクトを実施できたクライアント以外に、私たちが「食い逃げ客」と呼ぶ、ポテンシャルのクライアントもいて、彼らとのやり取りによって、経済的・精神的な打撃(お金と時間それにエネルギーをずいぶん費やします)もかなり受けましたが、ビジネスは毎回学ぶことが多く、それはうちの財産になったと思います。

最近の嬉しいニュースは、7年前にお付き合いがあったクライアントが、またJaMのコンサルテーションを受けたいと連絡が入ったきたことです。そのクライアントは7年前に、うちのコンサルテーションによって得たビジネスコンセプトをもとに、小売販売のビジネスを開始して、そのコンセプトを見事に具現化して、7年を経て東京都内で2店舗までにビジネスを拡大しました。彼らは次の飛躍のために、今月もう一度サンフランシスコベイエリアを訪問して、うちと一緒に米国市場をじっくり視察して、ライフスタイルの背景やトレンドをいろいろディスカッションしたいということです。

うちには、こうした「ブーメラン・クライアント」が多く、「やっぱりJaMじゃないと」という言葉を耳にすることがあります。この言葉を聞くたびに、ビジネスパートナーとともに、「誠実に一生懸命仕事してきてよかったね」と、気持ちを新たにしています。このクライアントに限らず、先月は同じく「ブーメラン・クライアント」と、3年ぶりにプロジェクトをさせていただきました。かなり密着して動いたプロジェクトでしたので、いろんな意味で「腹を割って話し合い」、お互い率直な意見交換が出来て、よかったと思っています。チームの一員として、クライアントのビジネスの成功をひたすら願う私は、歯に絹を消せぬ言い方でストレートに意見を述べるので、耳に痛い事も多々あると思いますが、「ブーメラン・クライアント」は、そこをきちんと理解してくれているようです(I hope so. 笑) 。

私は「業者」という言葉が嫌いで、この言葉を使いませんし、この言葉を使う人も嫌いです。この言葉を使う人のメンタリティには、自分自身が「業者扱い」された時の被害者意識が潜んでいるようで、不快な感じを受けます。

JaMは、クライアントのビジネスのFacilitatorとして働くパートナーです。パートナーとしての意識をもつからこそ、依頼された仕事以外の価値をデリバリすべく、一生懸命がんばります。このモチベーションなしには、どんなプロジェクトも成功しません。業者意識では、「依頼されたスペック通りのデリバリ」で、付加価値の獲得は期待できません。そんな「JaMの心意気」を理解し信じてくれるクライアントと、これからもよい仕事をしていきたいと思っています。

WOM (口コミ):Catalina Hotelの思い出(ホテルカリフォルニアではありません)

11/4/2007

 
CGM (Consumer Generated Media:消費者が創出するメディアやコンテンツ)の怖さは、どの業界も実感していると思いますが、旅行業界、特に航空会社やホテル、さらにレストランといった接客業の業種にとっては、ビジネスの生死を分けると言っても過言ではありません。CGMは通常はオンラインで起こりますが、これは簡単にオフラインで増幅されて、WOM (Word of Mouth:クチコミ)として広がっていきます。

先月、仕事で急にマイアミに出張することになり、タイトルにあげたCatalina Hotelに宿泊することになりました。このホテルは、クライアントが依頼した旅行代理店が目的の場所に近いところで空いているのは、そのホテルだけという消去法のもとで、予約されたホテルです。

すでにクライアントは先にホテルに滞在しており、私とビジネスパートナーは準備があり、遅れて到着しました。私たち2人は2年前にもマイアミ出張があり、その時も今回のホテルのような「デザイナーズホテル」に泊まって、あまり快適でない経験をしており、私は本質的にこの手のトレンディなホテルは好みません。Cataliina Hotelは、その時のホテルを思わせるロビーのたたずまいで、さらにドアマンやベルボーイも勘違いしたフレンドリーな様子で、プロフェッショナルな態度とは程遠く、最初からいやな予感がありました。まず最初にフロントでチェックインした時に、Confirmation Numberがある私の予約が入っていませんでした。なんだかんだ時間を使って、結果私の部屋は確保されましたが、フロントの男性は、予約が入っていないのは、まるで私が悪いかのような態度で、私は最初から非常に不愉快な思いをしました。次に私の部屋までベルボーイが案内してくれましたが、彼が部屋のカードキーをいくら差し込んでもドアは開かず、彼はもう一度カードキーを作り直すから、この廊下で待ってて欲しいと言って立ち去りました。暗くて狭い廊下で、15分ぐらい待って、戻ってきて再度ベルボーイが部屋を空けようとしましたが、何度トライしても空かず、結果私が部屋のナンバーを違うことを発見して、彼はようやく私を正しい部屋に案内してくれました。

その日は午前3時起きでサンフランシスコを発って、早朝便でマイアミに到着しており、ほとほと疲れており、まずは部屋でシャワーを浴びてリフレッシュしなければと思って部屋に入ると、そのインテリアに思わずクチがアングリとなりました。まるで病院のようにすべて真っ白で、物凄くきつい香りが部屋中に充満しており、さらにクローゼットやデスクは一見クールに見えますが、まるっきり機能的ではなく、さらに床はきちんと掃除されておらず、ベッドサイドの引き出しには食べ物のカスがあるという不潔さで、私はますます不快になってきました。それでも、まずはインターネットに接続して、メールをチェックをしようとしたら、ワイヤレスコネクションのアクセスのパスワードを入れても接続できず、フロントに電話すれば、ロビーならば接続できるから、ここでネット接続して欲しいと言う始末です。私は仕事で来ており、部屋で出来ないなんて冗談じゃないと言うと、フリーダイヤルのテックサポートに電話しろと、木で鼻をくくったような返事が返ってきて、私は思わず電話を切りました。

これ以上、このホテルに滞在しても仕事ができないと思い、すぐに旅行代理店に電話して、近くでビジネス客に対応できるホテルを探して欲しいと依頼して、結果道を渡った反対側にあったDoubleTree Hotelに、逃げるように避難しました。ホテルの従業員はCatalina Hotelとは打って変わったように、誰もがプロフッショナルで、親切で丁寧な態度で、彼ら曰く、「よくCatalina Hotelから逃れるようにして来るお客がある」ということで、ビジネスパートナーと私は脱出できてほっと胸をなでおろしました。部屋もビジネス客を意識したように無駄のない合理的なつくりで、インターネット接続も問題なく、さらにマイアミらしくなく、ミーティングに最適な静かなレストランもあり、ビーチフロントには屋外の広いプールも完備して、私たちは大いに満足しました。

次の課題は、クライアントたちのCatalina Hotel脱出の手続きです。すでに彼らは、私たちと同様の問題を抱えてホテルに不満だらけで、私たちのホテルに避難したいという要請がありました。私たちは1泊もせずに部屋を引き上げましたが、Catalina Hotelのフロントは1泊分をチャージするから、Refundの件は、マネージャーと話し合って欲しいと言われており、クライアントは6泊の予約をキャンセルしなければなりません。DoubleTree Hotelと交渉して、まずクライアントの部屋を確保した上で、Catalina Hotelの予約キャンセルの交渉に入りました。チェックアウトの時に、すでにキャンセル料をチャージされているクライアントと私たちのお金を取り戻すべく、交渉を開始しました。

マネージャーに何回電話してもいつも不在で、4回メッセージを残して、マイアミを去る前日の夜、やっと彼女と会う段取りができました。実際に会って、まずはノートに書きつらねた私たちがホテルで経験した不具合の数々(予約が入っていない、ネット接続が出来ない、電話が通じない、エアコンの調整が出来ない等)を、穏やかに読み上げて、私たちがホテルに滞在できなかった事情を説明しました。思ったより、物分りのよいマネージャーで、結果チャージされた分をすべてRefundしてくれました。半ばあきらめ気分だったクライアントも喜んで、とにかくマイアミのホテル騒動は最終日に何とか無事に幕切れとなりました。

このCatalina Hotelのユーザのレビューを、ビジネスパートナーが偶然見つけましたが、あきれ返るぐらいひどいという評価がほとんどで、絶対に泊まらないほうが良いという意見が多く投稿されていました。以下は、このホテルのひどさを表現した英語のコメントです。

"Don't stay hereeeeeeeeeeee, nooooooooo!"

WOMはこうして広がっていきます。ホテル選びは、ユーザのレビューを読んでから、という当たり前の結論ですが、このユーザのレビューを絶対に読まなければならない人は、Catalina Hotelのオーナーです。

ハロウィーンの本当の怖さ(15才少女の死=米国の銃所持問題」)

11/3/2007

 
2004年は1件、2005年はゼロ、2006年は2件、2007年はとうとう1件が10月30日に起こってしまいました。

この数字は、私の住む島「Alameda」で起きた殺人事件の数です。

人口7万4,405人の12.4平方マイルの小さなこの島は、4つの橋と1つのトンネルで、East Bayとつながっており、サンフランシスコベイエリアの中で、唯一のアイランドシティです。 島という地形のせいもあり、コミュニティ志向が強く、地元意識の高い人々が集まり、ファミリーフレンドリーなビジネスが多く、おしゃれで小さなレストランやブティークなどもあり、住民は「Islander (アンランダー)」であることを誇りに思っています。19世紀末や20世紀初頭の建物であるヴィクトリアンやスパニッシュスタイルの古い家屋が多く残り、ビーチではウィンドサーフィンやカイトサーフィンが盛んで、カヤックやセーリングなど、我が家の大好きなオーシャンスポーツが満喫できるところです。 ウエストコーストのコニーアイランドと呼ばれて、1917年から1939年までオープンしていたアミューズメントパーク「Naptune Beach」では、プールやローラーコースターなどが大人気で、多くの観光客が押しかけたようです。

そんな穏やかで安全なコミュニティで、ハロウィーンの夜、友人たちと公園で遊んでいた15歳のモンゴル移民の少女が、泥棒に入ろうとした少年ギャンググループに、射殺されてしまいました。これはかなりショッキングな出来事で、みんな信じられないと驚きの表情を隠せません。事件のあったWashington Parkは、うちからクルマで7分ぐらいのところで、みんな公園でバーベキューやサッカーなどのスポーツを楽しんでおり、とても殺人事件が起こるような場所ではありません。

11月1日は「ハロウィーンの本当の怖さ」、というタイトルで米国のコンシュマーリズムの凄さに触れましたが、この15歳の少女の死は、ハロウィーンの夜に限らず、誰でもいつでも簡単に銃によって殺されてしまう、米国の銃所持問題の深刻さを痛感しました。

最近の少年たちのギャング化は、確かにいろんなところで目にします。ただし、親がクルマで送り迎えしないでも、子供たちが手をつないで歩いて登校できるコミュニティAlamedaでは、そんな話題は今までありませんでした。Alamedaをパトロールする警察も、この事件で大きなショックを受けており、なんとしてでも、事件の犯人たちを捕らえると、決意を新たにしています。

この小さな島には、都会的でヒップなヤングカップルから、人種的にミックスした家族やゲイのカップル、さらにシニアも多くいて、珍しいくらいのDiversity(多様性)がある街です。この小さな島の住民として、こうした事件が繰り返されないことを祈っています。

ハロウィーンの本当の怖さは?(米国コンシューマリズム)

11/1/2007

 
昨日は、ハロウィーンでしたが、我が家は、コスチューム姿の子供たちが家々の玄関のドアをたたいて、「Trick or Treat」と言って、キャンディやチョコレートをねだるのを避けるために、家中の明かりを消して、こっそりと家から逃げ出して、ディナーに出かけました。私はなぜかこの時期日本出張が多く、昨年も不在でしたが、夫は昨年カーテンを閉めて、明かりもつけずに誰もいないふりをしていましたが、多くの子供たちの訪問を受けて、散々だったと歎いています。今年はそんな思いをしないぞと決心して、彼は慌てて早く帰宅して、2人で自宅を脱出しました。

私たちがこのハロウィーンの子供たちの訪問を嫌がる理由は、単純に子供たちに「甘いもの(砂糖)」をあげる行為に、罪悪感と抵抗感を感じるからです。それでなくてもジャンクフードの食べすぎやソーダ(コークやその他の甘味飲料)の飲みすぎで、アメリカの子供たちの肥満や糖尿病は大きな社会問題化しており、そんな子供たちにさらに山ほどの「スィート」をあげることは、まるで子供たちの不健康な食生活に加担しているようで、何ともやりきれない気分になるからです。

まあ、そんな硬いことを言わずに、子供たちの大好きなコスチュームパーティなのだから、大いにサポートしなさいと言う声も聞こえてくるような気がしますが、実際にハロウィーンのビジネスは近年ますます大きくなってきています。National Retail Federationによれば、コスチューム、キャンディ、カード、パーティなど、ハロウィーンに支出される金額は50億ドル(6000億円)と言われる、巨大な産業です。ハロウィーンで最もお金が使われるのはコスチュームで、最近は子供だけでなく、まだ口もきけないベビーから始まって両親や祖父母さらにペットのコスチュームアップも盛んで、業界全体では18億2000億ドル(2184億円)の売り上げになるといわれています。

自宅から脱出した私たちは、近所の行きつけの小皿料理を出すバーHOBNOBで、ワインを飲みながら料理をつまんでいると、ひっきりなしにコスチューム姿の家族が入ってきてキャンディをもらっていましたが、そのコスチュームのお金のかけ方は遠くから見てもはっきりわかるほどの凄さでした。特に急上昇の市場でもあるペットのコスチュームはかなり凝っており、コンシューマリズム全盛の米国の豊かさ(??)を痛感しました。

ハロウィーンの起源は、カソリックの万聖節の前の晩10/31に行われる伝統行事で、諸聖人の日の旧称「All Hallows」の「eve(前夜祭)」であることから、「Halloween」と呼ばれるようになったそうですが、もともとはケルトの収穫感謝祭を、カソリックが取り入れたものです。今でもアイルランドでは、学校を休んで、ケルトの伝統的な行事(死者、精霊、魔女がたずねてくるので、仮面をかぶったり、火をたいて魔よけをする)をするということです。日本のお盆に近い感じです。米国のハロウィーンは、そんな起源がすっかり消えてしまい、コスチュームコンテスト化しているというのが、私から見たハロウィーンです。「やっぱり、これってちょっと哀しい」って感じがします。

PS: そんな私ですが、多分自分に孫が出来たら、プリンセスやエンジェルのコスチュームを着せて、写真をとっている、そんな気もします。さてさて、どうなることやら…


    大柴ひさみ

    日米両国でビジネス・マーケティング活動を、マーケターとして、消費­者として実践してきた大柴ひさみが語る「リアルな米国ビジネス&マーケティングのInsight」

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