ひさみをめぐる冒険
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ひさみをめぐる冒険
サンフランシスコ・シリコンバレー在住マーケターのINSIGHT(洞察)



支持者層で見るブランドイメージ:スターバックス(オバマ)とダンキンドーナッツ(クリントン)

6/30/2008

 
おとといのエントリーで、クリントンが負けた理由④「クリントンブランドへの過信」を書きましたが、今日は改めて、Hillary Clinton(ヒラリー・クリントン)とBarack Obama(バラク・オバマ)を、ブランドに例えると、どんな風になるか書いてみます。

民主党内には、「コーヒー」を例にとって、以下のような2つのタイプの支持者がいると言われています。

  • Dunkin' Donuts Democrats(ダンキンドーナッツ型民主党支持者):ステレオタイプに表現すると、高卒のブルーカラーワーカー。一生懸命働いているが、「給料日から給料日の生活」といわれるように、生活費の支払いに追われるタイプ。この層が、不動産バブルの崩壊で打撃を受けたり、海外へのアウトソーシングのために工場を解雇されたり、健康保険が払えなかったりと、厳しい生活を強いられている。時間に追われているので、ドライブスルーでダンキンドーナッツとコーヒーを買って、そのままクルマで、カントリーサイドの雪道に戻るようなタイプ。
  • Starbucks Democrats(スターバックス型民主党支持者):ステレオタイプに表現すると、大卒のホワイトカラーでプロフェッショナル(専門職)な職業を持っている層。都会に住んでいる場合が多く、スターバックスにラップトップを持ち込んで、「ノンファットのヘイゼルナッツのラテ」を注文するようなタイプ。「6フィギュア」と呼ばれる10万ドル以上の高収入を得ている人たち。


こうした表現は、2000年の大統領選挙の民主党大統領候補として立候補したBill Bradleyの支持者を、「Sushi and Starbucks Democrats」と描写したくらいで、決して新しい区分ではありません。ただし、今回のクリントンとオバマの選挙戦では、その支持基盤の違いがかなり明解となり、オバマとスターバックス、クリントンとダンキンドーナッツというイメージが固定しました。また、クリントンキャンペーンが実際にダンキンドーナッツにかなりの金額を使っていることが、NY Timesのレポート*によってわかり、クリントンとダンキンドーナッツの関係は強くイメージされるようになっています。

*クリントン陣営のドーナッツ支出額:1月のニューハンプシャー、フロリダ、ヴァージニアの3州のキャンペーンで、ダンキンドーナッツに1884.83ドル使い、サウスカロライナでは、Krispy Kremeに、504.02ドル使っています。1月末の時点で、ダンキンドーナッツに使った金額は、5950.53ドルにのぼっています。

もちろん、こうしたステレオタイプな分け方は、マスメディアが「したり顔で行う差別化」で、実際の支持者たちをこうした単純な分け方で区分けすることは出来ません。ただ、この2つのブランドがシンボライズするものは、良くも悪くも両候補者のブランドイメージを現しています。

  • 「ダンキンドーナッツ」:「庶民性=近づきやすい、気軽な食べ物、肥満につながり健康的ではない、親の世代の古臭いイメージ、グルメの食べ物ではない」
  • 「スターバックス」:「Wi-Fiアクセスがもたらすテクノロジーに強いイメージ、先進性、グルメ、都会的、スノッブ=お高くとまっている」


両候補者は、おのおのこうしたブランドイメージを引きずりながらも、ホワイトカラー、ブルーカラーの両方の支持者にリーチアウトするために、様々なパフォーマンスを繰り広げました。特に、クリントンはアイオワ敗退後は、女性支持者とのミーティングで涙を見せて、「冷たい」といわれていたイメージを払拭し、パブでビールやウィスキーのショットを、男性のブルーカラーの支持者と飲んで庶民性を強調し、オバマがアピールしにくいブルーカラー層に深く食い込んで行きました。オバマも、パフォーマンスでは、ブルーカラー層へのアピールのために、ボーリング(ひどいスコアで評判が悪かった)やプール(ビリヤード:これはかなり上手でした)を行ないましたが、ブルーカラー層にはなかなかリーチアウトできませんでした。ただし、バスケットボールにおいて、高校時代プレイヤーであった実績をシュートで見事に表現して、若い世代の支持をより多く勝ち得ています(ホワイトハウスにバスケットボールのコートが欲しいと発言しています)。

オバマが、最終的に予備選を勝ち抜けた大きな理由は、ブランドとしての「新しさ」にあります。クリントンブランドが、すでにエスタブリッシュされた既成のメガブランドだとすると、オバマブランドは、「従来の政治シーンにみられなかった、ユニークで革新的なブランド」として登場しています。オバマブランドを最初に発見したのは、大学生を中心とするGeneration Y(ジェネレーションY、あるいはミレニアルズ=世紀末世代と呼ばれ、区分は諸説ありますが一般に1977年から1999年までに生まれた8~30歳まで)です。2004年のオバマの有名な民主党のスピーチに感銘を受けた大学生は、米国第2位のソーシャルネットワーク(SNS)Facebookで、彼を大統領にするために署名ページを立ち上げ、オンラインを駆使して、グラスルーツのネットワークを全米に広げていきました。Evangelist(伝道者)化した若い世代は、両親や祖父母という上の世代を説得しながら、オバマブランド普及の大きな原動力となり、莫大な数の「CGM (Consumer Generated Media:消費者創出メディア・コンテンツ)」や「UGC (User Generated Content:ユーザ創出コンテンツ)」を生み出していきました。

オバマブランドは、8年間続いたブッシュ政権のアンチテーゼの役割を担い、「Agent of Change (変革の代行者)」としてデビューしています。「Youの時代(YouTube=ヴィデオは大きな影響力を持っています)」と呼ばれて、「消費者がお互いにマーケティングし合う」現代において、オバマは、最初に出現した「CGB (Consumer Generated Brand:消費者創出ブランド)」、あるいは「UGB (User Generated Brand:ユーザ創出ブランド)」と呼べるかもしれません**。

注)**「CGB (Consumer Generated Brand:消費者創出ブランド)」および「UGB (User Generated Brand:ユーザ創出ブランド)」は、私がここで仮に使用している言葉で、米国で一般に使用されているわけではありません。

米国ネットワークTV局の中間視聴者年齢はすでに50代!

6/30/2008

 
我が家は、何百もあるケーブル局に加入して、受像機はオンになっていますが、ヘッドセットをつけた夫と私はおのおののラップトップを膝に抱えて、ネットサーフィンをしており、TVはほとんど観ていません。それでも、TV受像機には、「American Idol」、「Dr. Phil」、「Larry King Live」などの番組が流れており、視聴率を計測すれば、我が家もプライムタイムの人気番組の視聴率に加担していることになります。

2人がTV受像機に注目する時は、地元サンフランシスコ・ジャイアンツのライブ中継を見る時ぐらいで、その間は、お互いのラップトップを膝からおろして、TV受像機を見つめながら、2人でベースボールのことをおしゃべりします。それでも、ちょっとでも疑問がわくと、すぐに「Googleしてしまう(オンラインで検索する)」ので、結果ラップトップを手にしています。

今日、改めて実感したのは、米国の3大ネットワークのTV番組を、受像機の前でライブで視聴する人たちの中間年齢層 (Median Age) が、なんとほぼ50代になってしまったというリアリティです。

  • CBS: 52歳 (2002-03) ->53歳(2006-07)
  • NBC: 46歳(2002-03)-> 49歳(2006-07)
  • ABC: 44歳 (2002-03) -> 48歳(2006-07)
  • Fox: 35歳(2002-03) -> 42歳(2006-07)
  • CW: 32歳 (2002-03) -> 32歳(2006-07)
  • TV所有の米国家庭の中間年齢:37歳(2002-03)-> 37歳(2006-07)


言い換えると、TiVoのようなDVRを使用しないで、その時間その場でTVを見ている人たちが、ドンドン年をとっているということと、さらに我が家のように、TVはつけていても、誰も観ていないという厳しい現実です。ちょっと前までは、「TVをつけても、猫ぐらいしか見ていない」と言っていましたが、これでは「猫またぎ(骨だけの魚で、猫もまたいで通り過ぎてしまう)」状態って感じです。

こういう数字を見ると、TVのモニター画面を最初のマーケティング媒体として考えるという事自体が、20世紀的なメディアプランニングで、これではもう立ち行かなくなったことを実感します。6月27日、英国では今年オンライン広告費がTV広告費を追い抜くという予測をエントリしましたが、このネットワーク局の中間年齢層の実態を見ると、確かにこの傾向はドンドン広がっていきそうです。

「211万ドルで競り落とされたウォーレン・バフェットとのチャリティランチ」

6/28/2008

 
今朝のSan Francisco Chronicleを読んでいて(オンラインだけでなく、ハードの新聞を読むのは、とっても大切です。オンラインですと自分の興味のある記事しか読まない傾向がありますが、紙の場合は、実際に新聞を広げながら、俯瞰で記事を見るので、情報の広がりをもたらしてくれます)、改めて株価の落ち込みのひどさを実感しました。

昨年の10月、ダウ工業平均株価は、新記録をつくりましたが、その後の米国経済はサブプライムローン問題解決の糸口もないまま低迷を続け、オイル価格の上昇と反比例するように株価は落ち始めて、結果昨日の時点で1万1346.51ポイントと8ヶ月間で20%落ち込んでしまいました。頼みの「Blue chip(ブルーチップ」と呼ばれる米国を支えるエスタブリッシュメントの企業の株価も昨日は落ち込んでおり、ウォールストリートはアタマを抱えています。この8ヶ月間で最も深刻な影響を受けたのは、General  Motors (GM)で、およそ70%も落ち込んだということで、これはしんどい数字です。またBlue chipの落ち込みは、米国のみならず、フランス、ドイツなどのヨーロッパも20%以上の落ち込み、新興勢力の中国とベトナムは、半分以下の株価となっており、世界中に影響が及んでいます。

そんな中で、今日目に留まったのは、「Oracle of Omaha( オマハのオラクル=預言者)」と呼ばれる世界第1位の金持ちの投資家Warren Buffet(ウォーレン・バフェット)とのチャリティランチの記事です。eBayのオークションで、中国人投資家が、これを211万ドルで競り落としたということです。これは、バフェットが、サンフランシスコのNPO、Glide Foundationのチャリティのために、すでに8年間実施しているオークションで、今年で9回目となります。ホームレスや貧困の人たちに、食料・シェルター・ヘルスケア・職業訓練などを提供するGlide Foundationのために、バフェットは、ボランティアとして、彼の話を聴きたい人たちとランチをしており、年間1400万ドルを必要とする財団のために、過去9年間で440万ドル近いお金を集めています。オークションのスタート金額は2万5000ドルですが、昨年の落札価格は65万ドル、今年が211万ドルと落札価格は、急上昇しています。

バフェットは、「投資のオラクル(預言者)」以上に、「投資の神様」といっても過言ではないくらい影響力のある存在です。彼が「米国は精神的にすでに景気後退に入った」と言えば、大統領やFRB議長のBernankeが認めなくても、その言葉に従って株価は動きます。前述のダウの落ち込みと反比例するように、バフェットの資産のネットは、昨年の100億ドルから620億ドルに跳ね上がっています(今年の3月のForbesの試算)。こうしたバフェットを仰ぎ見る投資家たちは、彼と直に3時間近くランチを共にしながら話せる機会は、お金では買えない価値のあるもので、それがさらにチャリティとして貧困救済に活かされるという、2重の価値をもたらしています。

バフェットは、彼の資産の85%を、Bill and Melinda Gates Foundationと、バフェットの家族のチャリティ財団に寄付すると約束しており、世界第1位の金持ちとしての彼の生き方は、確かに「Inspire」されるものがあります。彼は、多くの金持ちがおかしやすい間違いは、「いざチャリティ活動をしたいと思った時に年をとりすぎている」ことであると指摘しています。その点から考えても、昨日MSのフルタイムジョブを引退して、アフリカの貧困・エイズ・マラリアと戦う自身の財団活動にフォーカスするビル・ゲイツに大きな期待を寄せている、彼の気持ちは理解できます。彼は、「自分は得意なこと(=投資活動)に注力して、それで稼いだ資産を有効に使える人たちに渡す、これが自分のやり方」と言っています。この発言にはとてつもない重みがあります。世界には、こういう人がもっと必要です。

クリントンが負けた理由④「Overconfidence(クリントンブランドへの過信)」

6/28/2008

 
シリーズエントリです。6/11のエントリ「Clinton(クリントン)が負けた6つの理由」のうちの4番目について書いてみます。

  1. Change vs. Experience(経験を盾にして、変革を求める米国民の声を読み間違えた)
  2. War Vote(イラク戦争開始への賛成投票。さらにそれが間違いであると認めなかったこと)
  3. Dysfunctional Campaign(戦略ミスと内部分裂で機能しなかったキャンペーン)
  4. Overconfidence(クリントンブランドへの過信)
  5. Bill Clinton(元大統領ビル・クリントンが巻き起こした舌禍)
  6. Sexism(女性差別のカードを引いた)


米国における「クリントンブランド」は、良くも悪く絶大な知名度があります。民主党大統領では、フランクリン・D・ルーズベルト以来の初の2期当選(8年間)を果たしたBill Clinton(ビル・クリントン)は、ITと金融に重きをおいた政策で、米国の経済・社会構造を大きく変革して、長期にわたる好景気をもたらしました。ただし、常に女性スキャンダル(Paula Jonesを含めた女性たち)がまとわりつくクリントンは、ホワイトハウスのインターンであったMonica Lewinsky(モニカ・ルインスキー)とのスキャンダルで、民主党大統領としては2人目の「弾劾裁判(Impeachment)」を受けることになりました(ビル・クリントンが国民に向かって、TV番組でルインスキーとの関係を説明するシーンは、今でも強烈な印象があります。顔を真っ赤にしながらな苦しげに女性関係を答弁する大統領は、とても正視に堪えられるものではなく、こういうシーンは二度と見たくないと誰もが思った瞬間です)。

女性問題を起こすビル・クリントンを、パートナーとして(2人の関係は愛情を基にした夫婦というよりは、同士といった風に見えます)、常に擁護してきたヒラリー・クリントンは、ビル・クリントンの大統領任期終了後は、その影を払拭するかのように、上院議員として民主党の政界に躍り出ました。ファーストレディ時代に、すでにヘルスケア問題に着手して失敗したヒラリーですが、弁護士時代に鍛えた弁舌は鋭く、そのインテリジェンスと強力なプレゼンスは、彼女自身が主役となったクリントンブランドを構築し始めました。

「クリントンブランド」は、単なるシングルブランドではなく、この2人の「ダブル・クリントン」として位置づけられるもので、通常のブランドではとても太刀打ちできない、民主党最強ブランドでした。そこに、「A skinny kid with the funny name(変な名前を持つ痩せた子供)」と自称する、イリノイ上院議員のBarack Hussein Obama(バラク・フセイン・オバマ)が、登場しました。2004年の民主党大会までは誰も知らなかったオバマは、変な名前と自称せざるを得ないのは、ミドルネームのHussein(フセイン)も含めて、モスリム名(ケニア人の父親の名前を受け継いでいる)を持つ政治家としての辛さを現しています。また、黒人(彼は黒人を自称していますが、基本的には白人と黒人の間のBi-racial=複数人種です)であること、経験の少ないジュニアの上院議員であることなど、どう考えても大統領への道は非常に困難としか思えない候補者でした。

「クリントンブランドの圧倒的優位」は、クリントン陣営に限らず、共和党・民主党を問わず、メディアも含めて、ほとんどの人たちが信じていたことです。これが、クリントンマシーンと呼ばれるサポーターたちに過信をもたらし、従来の支持基盤に頼って、新たな支持者開発に出遅れた一因となっています。また、それ以上に、誰もがこの「オバマ現象(Obama Phenomenon)」と呼ばれるほどの熱狂を、予備選開始前に予想できず、オバマへの過小評価は、大きなツケとなって、クリントン陣営を蝕みました。

すでに、クリントンは、キャンペーンを中止して、オバマを民主党の大統領候補として認めていますが、この敗戦は、キャンペーン資金にも大きなツケをもたらしています。オバマ陣営は2000万ドル以上あるというクリントンの負債を返済すべく、サポーターたちに彼女へのドネーションを強く呼びかけています。昨日、ニューハンプシャーでヒラリー・クリントンは、オバマとともにステージに上がり、彼をホワイトハウスに送り込むために全力を尽くすと発言しています。彼女はブルーのパンツ・スーツ、オバマはブルーのタイとカラーコーディネートしており、さらに場所も2人が引き分けたニューハンプシャーの「Unity(一体化するという意味)」という小さな街を選んでいます。

ただし、2人の予備選での熾烈な争いは、クリントンの女性支持者に深い傷跡を残しており、両陣営のサポーターが、本当に一緒に協力できる体制が整うには、まだまだ時間がかかりそうです。

2008年オンライン広告費がTV広告費を追い抜く英国:「CMOはつらいよ」

6/27/2008

 
ロイターの記事によれば、英国の調査会社Enders Analysisは、今年英国のオンライン広告はTV広告を追い抜いて、広告費全体のトップとして、19%を占めるという予測を打ち出しました。2008年の英国のオンライン広告費は、26.4%増の35億6000万ポンド(70億ドル)で、TV広告費は2.5%減の33億9000万ポンド(66億6600万ドル)です。このオンライン広告躍進の立役者は、検索広告で、恩恵を最も受けているのはGoogle(グーグル)です。グーグルは、英国の検索広告の80%を占めるというから驚きです。世界で最もオンライン広告が発達した英国ならではの事情とも言えますが、必ずしもこれは英国単独の傾向とは言えず、21世紀のメディア・広告世界の今後を示唆する重要な分岐点です。

かつての4マス媒体にインターネットを加えて、各メディアの意思決定への調査では、以下のように、英国ではインターネットが42%、TVが23%と2倍近いポイントの影響力を持っています。

  1. インターネット:42%
  2. TV:23%
  3. ラジオ:14%
  4. 新聞:12%
  5. 雑誌:9%


英国に限らず、一般消費者のメディア消費行動は、広告主や広告代理店が追いつかないくらい、先を行っています。私もかつて広告代理店に在籍していたので、確かに高額なメディアから入る15%のコミッションと、使用説明の手間が省けるマス媒体の利用は、「楽な道」です(代理店に限らず、広告主の担当者にとってもトラディショナルな媒体選択は上司に説明しやすい)。また「日本は特殊ですから」というガラパゴス的な肯定理由を盾に、既存のメディアに頼っていると、1人、道に取り残されしまいます。「Risk Taking」をしないことは、最も「Risky」なことです(端的な例は、現在の米国のエネルギー事情です。長期的な施策をもたずに、エネルギーの無駄遣いと対処療法だけで、ここまで来てしまい、輸入石油に依存する極端な「油付け体質」をつくってしまいました)。

私は、米国に移住してきたばかりの時に、ショッピングモールで、母親が7つぐらいの女の子に、「失敗することを恐れてリスクをとらない、その態度が良くない。リスクをとらない限りは成功はありえない。」とお説教をしているのを目撃したことがあります。私は、「なるほど、これがこの国のカルチャーだ、これは面白い国に来たものだ。」と実感したことを思い出します。以下は、米国のCMO (Chief Marketing Officer:マーケティング最高責任者)と CEO (Chief Executive Officer:最高経営責任者)の平均在籍期間です。

CMO:26ヶ月 vs. CEO:44ヶ月

マーケティングの責任者の首がどんどん挿げ替えられるアメリカでは、CMOが前任者と同じことをやっていると、ボードメンバーから「前任者と同じことをやるんだったら、あなたを雇う必要がない」と非難されます。リスクをとらないCMOは、いらない、これが米国です。寅さんではありませんが、米国の「CMOはつらいよ」と思います。


2008年米国大統領選挙:オバマは僅差でリード「6/26の投票者の気分l」

6/26/2008

 
Picture
「マーケッターにとって、調査データはどういう意味を持つか?」、こういう質問を受ける時があります。

私は、「もちろん、定量、定性、オンライン・オフライン、フォーカスグループ(日本で言うグループインタビュー)、エスノグラフィー(Ethnography:対象者の日常生活に密着して彼ら自身の言葉で意識や思考・行動を語らせる調査手法)など、調査手法によって多少意味は異なりますが、基本的には、私にとって調査は、"自分の仮説を裏付ける"ものです。調査データは、日々マーケッターとして、意識あるいは無意識に蓄積している感覚的な"気づき"を、顕在化する機能があるように思えます。」と答えます。英語に「Intuit(直観する)」という表現がありますが、マーケッターにとって、最も重要な資質は、この「直観的な洞察」で、これがないと費用や時間をかけて実施した調査データは、単なる数字になってしまいます。てなことを考えながら、以下のような大統領候補の調査データを眺めています。

  • Rasmussen Report (6/23-25): Obama 49 vs. McCain 45
  • Newsweek (6/18-19): Obama 51 vs. McCain 36
  • LA Times/ Bloomberg (6/19-23): Obama 49 vs. McCain 37
  • Gallup (6/20-22) Obama 46 vs. McCain 43
  • USA Today/Gallup (6/15-19): Obama 50 vs. McCain 44
  • Fox (6/17-18): Obama 45 vs. McCain 41
  • Economist/ YouGov (6/16-17): Obama 48 vs. McCain 44
ばらつきのある各社の調査データをトラックダウンして毎日のまとめとして発表しているのが、Pollster.comです。26日の時点では、オバマが48.4%でマケインは42.3%と、僅差でオバマがリードを保っています。以下の時系列の表を見るとわかりますが、候補者確定後は、傾向としてオバマが上昇カーブを描いています。 具体的な政策別では、両候補者への評価に対して、2つの異なる調査からはこんな数字が出てきています。

USA Today/ Gallup (6/15-19)

  • ヘルスケア: オバマ+25
  • 経済: オバマ+16
  • エネルギー/ガソリン価格: オバマ+19
  • イラク戦争: 同率
  • テロリズム: マケイン+19

LA Times/ Bloomberg (6/19-23)

  • 経済: オバマ+21
  • イラク戦争: マケイン+2
  • テロリズム: マケイン+17

ちょうど今週は、マケインのチーフアドバイザーのCharlie Black が、Fortune Magazineのインタビューで「またテロ攻撃が起きたら、これはマケインにとって大きなアドバンテージになる」と発言して大いに論議を読んだばかりで、オバマのWeakness(弱み)である「テロリズムとの戦い」は、Blackの指摘を聞くまでもなく、マケインのStrength(強み)として、数字にも表れています。ちなみに、Blackはすぐにこの発言に関して謝罪しており、マケインもこの発言を否認しています。

このPollsterのグラフを見ていると、両候補者への一般の感情の揺れのようなものが見えてきます。24時間365日のサイクルで、2人の候補者とそれを取り巻くスタッフや関係者の行動・発言が、オフ&オンラインで多くのWOM (Word of Mouth:クチコミ)を生んでいます。すでにコミットメントしているハードコアのサポーターは別にして、揺れ動くSwing voterたちは、そうしたWOMに影響されやすい人たちです。

グラフの曲線が安定してくるのはいつで、上昇カーブを11月まで維持できるのはどちらか? 中々目が離せません。



世界初「ケータイだけでプレゼンテーションしたD2Cの社長」

6/25/2008

 
私は、仕事柄、情報収集がどうしても英語のメディアやブログが中心で、ほとんど日本語のメディアに接する機会がありません。親しい日本の方のブログやコメントを読んで、その関連リンクをたどって、時々日本語の情報世界に入っていくことがあります。

昨日は、そんな親しい方たちのブログを読んでいて、これは凄いと思ったのは、D2 Communication(D2C)の社長藤田明久さんのプレゼンテーション手法です。D2Cは、日本のモバイルマーケティングのリーダー企業で、藤田さんはその多忙さに関わらず、熱心に社長ブログをされています。先週日経BP主催の「Net Marketing Forum & Mobile Marketing Conference (MMC) 2008」で講演されましたが、なんと彼は携帯電話を使って、最初から最後までプレゼンテーションをされたようです。詳細は、すでにオンラインに記事としてあがっていますので、それをご覧ください。ご本人も書かれていましたが、携帯電話のみでパブリックで講演されたのは、多分世界初のことだと思います。「ガラパゴス化」が進むといろいろ言われている日本ですが、米国から見れば、まだまだ「Futuristic(未来的)」です。

藤田さんとのお付き合いは、かれこれ4年目に入りますが、一緒に講演などでステージにあがる機会もあり、さらにD2Cは「JaM Session in Tokyo」のために会場と事務サポートをボランティアリーに提供していただいています(D2Cの皆さま、いつもありがとうございます)。藤田さんご自身は、「日本のモバイルマーケティングのEvangelist(伝道者)」として、著作や講演を通じて、21世紀の強力なマーケティング手法の「ケータイマーケティング」の普及に努められています。

私は、最初に藤田さんにお会いした時、「伝統と革新」という相反する2つをうまくバランスを取りながら進もうとする若い経営者という、印象を受けました。この場合の伝統の意味は、電通の新聞局という保守本流で鍛えられた電通パーソンぽい部分を持って、業界を俯瞰で見ているところと、「ケータイ」という新しいコミュニケーションの普及と自身の柔軟な経営思想を社内に反映しようとする姿勢と努力を指しています。藤田さん以前にも日本の若い経営者の方には、いろいろお会いしましたが、野心や機会を狙う意欲は感じましたが、藤田さんが持つ丁寧さと誠実があまり感じられず、馴染みにくかったのを思い出します。

21世紀は、「会話の時代」です。経営者にとって、非常に大切な資質は「バランス感覚」だと思います。これは、「相手の言うことを注意深く聴いて理解する姿勢」によって生まれてきます。この場合の相手とは、株主、パートナー、社員、顧客etc.とさまざまな人たちを指します。藤田さんは、最初に良く私の話を聴いていただいたのを覚えています。それとポジティブな意見をいつもいただき、感謝しています。こういうインタラクティブな会話によって、私のような「*木登りブタ的性格の私」は、がんばってしまいます。

*「木登りブタ的性格」:2005年8月にエントリしたブログのタイトル。私の性格は、「ブタもおだてれば木に登る」という例えどおりで、褒められると嬉しくなって、物凄くがんばってしまいます。

クリントンが負けた理由③「Dysfunctional Campaign(機能不全に陥ったキャンペーン)」

6/25/2008

 
今日は、以下の6/11のエントリ「Clinton(クリントン)が負けた6つの理由」のうちの3番目について書いてみます。

  1. Change vs. Experience(経験を盾にして、変革を求める米国民の声を読み間違えた)
  2. War Vote(イラク戦争開始への賛成投票。さらにそれが間違いであると認めなかったこと)
  3. Dysfunctional Campaign(戦略ミスと内部分裂で機能しなかったキャンペーン)
  4. Overconfidence(クリントンブランドへの過信)
  5. Bill Clinton(元大統領ビル・クリントンが巻き起こした舌禍)
  6. Sexism(女性差別のカードを引いた)


クリントン陣営は、2008年1月3日のアイオワ州で負けるまで(オバマ1位、エドワーズ2位、クリントン3位)、その圧倒的な知名度、資金力、クリントンマシーンと呼ばれる強力な支持者たちに支えられて、勝利以外を考えていませんでした。実際に2007年末までに、マスメディアも多くの有識者たちもクリントンの絶対有利を声高に宣伝しており、クリントンはしばしば「私が大統領になったら」という表現に、「If(もし)」ではなく「When(時)」を使い、自身の勝利を確信していました。

クリントン陣営は、先頭を突っ走る最有力候補者として、小さな州は無視して、大票田の州に焦点を絞った戦略で、2月4日(火)の「Super Tuesday(スーパーチューズディ)」で、一気に決着をつけるつもりでした。ところが思いもよらないことに、スーパーチュースデイで、クリントンは、Obama(オバマ)と五分五分の引き分けとなり、その後、オバマ陣営は「50州戦略」を基づいて11連勝という快進撃で小さな州を落として行ったために、クリントン陣営では混乱が始まりました。以下に簡単に要因をまとめます。

  • 資金難(キャッシュフロー問題)と内紛の発覚:圧倒的優勢の予想のもとで、予備選を軽視して、政治献金の配分を11月の本選挙用にリザーブしたために、1月にキャッシュフローがきつくなり、クリントンは個人でローン500万ドルを借りることとなる。またこうしたキャンペーンの資金繰り問題およびアイオワとスーパーチュースデイで優位に立てなかった責任をとって、2/10、キャンペーンマネージャーだったPatti Solis Doyleは離職した(これが最初の大きな内紛劇。その後、彼女はオバマキャンペーンに参加)
  • キャンペーンの戦略家Mark Pennの誤算と失敗:グローバルロビイ活動企業のBurson-Marsteller(PR企業と称しているが米国ではロビイストとして見られている)のCEOのMark Pennは、1996年のビル・クリントン元大統領のキャンペーン以来クリントン夫妻の絶対の信頼を得ていた戦略家で、今回のクリントン陣営のすべての戦略を指揮していた。彼は、バーソンのプロジェクトにおいて、コロンビア政府の代表としてロビイ活動を行ない、それがクリントンキャンペーンとの間でコンフリクトが起こし、4/3、戦略レベルからステップダウンした。
  • オータナティブの戦略がなかった:Pennが設計したクリントン陣営のキャンペーン戦略は、すでにアイオワの予備選挙で崩れて、オバマ陣営の「50州戦略」を軽視して、スーパーチュースデイ以降のオバマの11連勝という快進撃を許した。彼には、これを食い止めるためのオータナティブの戦略がなく、また、彼はクリントンのイメージを「強さ」にポイントをおき、彼女の本来のパーソナリティを生かせかった。さらに、オバマの「Change We Can Believe In」のように、統一テーマをクリントン用に設定することが出来ずに、キャンペーンメッセージの混乱を招いた。
  • Pennへの支払額480万ドル:この失敗した戦略家への支払いは、クリントン陣営では最も高額で、4月末までの負債において、Pennのコンサンルティング会社Penn, Schoen & Berland Associatesへの支払いは、およそ480万ドルにまでのぼっており、これがまた大きな批判を生んでいる。


ここでの本当のポイントは、こうしたキャンペーンの不具合を、早めに見極めて対処するという姿勢、あるいは発想が、当事者であるクリントン自身になかったことに大きな原因があると私は思います。彼女は、まるでステージに上がった女優のように、すべてをマネージャーやディレクター、プロデューサーなど周囲の人間に任せてしまい、政治キャンペーンの当事者として、それを管理統率する意識が欠落していたように見られます。Pennがステップダウンしてから、彼女も自分自身を取り戻したようで、必死に盛り返してきましたが、「時遅し」ということで、Momentum(勢い)に乗ったオバマキャンペーンに、最終的に追いつくことが出来ませんでした。

日米ビジネスコミュニケーション101①:ビジネスでは「行間コミュニケーション」は成立しない

6/24/2008

 
私も日本を離れて、はや13年となり、段々「日本人血中濃度」が低下しつつあり、それと反比例するように、日本に対する客観的な視点が深まっています。そんな中で、日本と米国のビジネス、特にコミュニケーションにおける違いを、これからブログしていこうと思います。米国では、よくビギナー向けのセミナーなどのタイトルに「何とかかんとか101(発音はワンノーワン)」という表現を使います。ですので、この日米ビジネスコミュニケーションのブログは、「101」というタイトルをつけて、シリーズとして、エントリしていきます。

「行間を読む」(ホモジーニアスなコミュニティで発達したテレパシーに基づく高度なコミュニケーション?)

最初のお題は「行間を読む」です。日本語の「特異性」は、「すべてを語らずに、読む人が語る人の気持ちになって類推する」、すなわち「行間を読むコト」を最高するところにあります。世界最古の長編小説の一つである「源氏物語」は、「行間を読むコト」を前提に書かれた小説で、「宮廷」という密室内でおきた出来事は、いちいち主語を書かなくても、誰のことを言っているかはすぐにわかります。読者はその曖昧な書き方の美しさに惹かれ、想像を逞しくさせて、登場人物の気持ちにのめりこんでいきます(中学高校時代の古文の時間に、私はこの曖昧さに大いに泣かされました)。

また、日本では、「沈黙は金」、「言わぬが花」、「以心伝心」、「不言実行」と言うように、「Verbal Communication(言語コミュニケーション)」を使わずに、「Telepathy(テレパシー:精神感応)」を主体にした(??)言葉を超えたコミュニケーションを重視する価値観を良しとしています。これは、非常に高度なコミュニケーションの仕方で、「ムラ」を中心とするホモジーニアスなコミュニティでは抜群の効果を発揮します。ただし、このコミュニケーションは「ムラビト」以外の人には通じないという欠点を持ち、時々この欠点を当の「ムラビト」たちが気がつかないために、「問題化」することがあります。現在の日本は、かつての地縁血縁を中心とした「ムラ」から、オフラインでは「会社や業界」、あるいは「行政組織や学校」、オンラインでは「ソーシャルネットワーク」といった新たな「ムラ」コミュニティを形成して、お互いが「日本語」という固有な言語を駆使して、「行間を読みあって」コミュニケーションしているように見えます。

英語にも、「行間を読む」の言い換えともいうべき「Read between the lines」という表現があります。ただし、米国では「相手の気持ちを察して、相手が明解に言わない部分を類推する」という考え方が非常に希薄です。ですので、日本人が期待するようなコミュニケーション結果を得ることは、なかなかできません(私は13年間米国に暮らしていて、一度もこの表現を聞いたことがありません)。多文化・多人種国家である米国では、人と人は「異なる立場や考え方」であるということを前提に人間関係を構築していくので、たまに最初から同様な価値観を持った人に出会うと、逆に驚いてしまうくらいです。

コミュニケーションにも「スピード」を求める米国

ビジネスコミュニケーションにおいて、「明解」であることは必須な要件で、会話でも文章でも「曖昧さ」を嫌います。これは、米国では、企業は四半期ごとの業績をもとに株主に対してAccountability(説明責任)を果すために、常に「スピード」を要求されていることに関連しています。この場合の「スピード」はイコール「時間すなわちお金」を意味します。ですので「スピードを維持する」ためには、「行間を読んでいる時間」はなく、極力両者の「誤解」を回避するために、古めかしい言い方ですが、「5W & 1H (Who, What, When, Where and How): 誰が、何を、いつ、どこで、どのようなやり方で行なうのか」をクリアにしたコミュニケーションが要求されます。さらに、ビジネスとプライベートを明解に切り分けているので、お互いの感情を察する機会が少ないために、メールなどにおける「行間」が見えないという点もあげられます。ですので、「相手にこれをいつまでにして欲しい」と次のアクションプランをつけてコミュニケーションするコトは、非常に重要です。逆にそれを言わないコトは、失礼にあたり、相手はそれが出来なければ、出来ないとあっさり、答えてきます。「出来ない」と答えるコトは、別に悪いことでも恥かしいことでもなく、単にそれは事実であると、アメリカ人は思っています。

また、英語はユニバーサルな言語で、必ずしても英語が母国語でなくても、英語圏のカルチャーを知らなくても使える便利なコミュニケーションツールです。ですので、アメリカ人は外国人の英語に対して寛容です。なるべく明解にコミュニケーションするためには、装飾的な文章は避けて、箇条書きなどを駆使した簡潔な文章が、逆に喜ばれます(外国人が書くメールにおける文法の間違いは、全然問題ありません)。

「空間コミュニケーション」への対処の仕方

日本からさまざまな方のメールが送られてきますが、最も難しいのは、「相手が私に何を求めるているか、皆目見当がつかないメール」をもらった場合です。最後の言葉は「よろしくお願いします」となっており、「何をよろしくして欲しい」のか、さっぱり分からず、一生懸命読み直して、相手の意図を探ろうとしています。すでに面識のある方の場合は、何とか類推が可能ですが、面識のない方のメールは、まさに雲をつかむようなもので、「行間」を飛び越えて、「空間を読む」という状態になります。

通常は、「これこれこういうことでしょうか?」と箇条書きで、相手が私に期待していることをサマライズしますが、時にはこれすら出来ない場合があります。そういう「空間を読む状態」に陥った場合は、「大変恐縮ですが、私に何を期待あるいは依頼されているのか、詳細をご連絡ください」と正直に書いて返信します。これは、面識のない方だけに限らず、度々会っても、必ず「空間コミュニケーション」になる人はいます。そういう場合は電話でもF2F(対面)のミーティングでも「暗号解読」を行ない、必ずコミュニケーション内容をMinutes(議事録)にして、後でメールします。これは日米を問わず、重要なことなので、必ず実行するコトをお薦めします。

基本は「相手に負担をかけないコミュニケーション」

コミュニケーションの基本は、「なるべく相手に負担をかけずに、自分が伝えたいことを、相手に理解してもらう」ことです。「行間コミュニケーション(空間コミュニケーション)」は、「阿吽の呼吸」がないと成立しない高度なコミュニケーションで、恋愛などで多用されるべきものです。ビジネスにおいては、日米を問わず、高度なテレパシーがなくても、意志の疎通が可能な、クリアなコミュニケーションを心がけ、感情的にならずに客観的な文章を書くことが重要です。特に、メールは、一度発信した後は、決して削除出来ないので、それを十分注意して、誰から見られても問題とならないコミュニケーション、これがポイントです。


米国のピックアップトラック時代の終焉?

6/21/2008

 
アメリカ人に最も人気のあるクルマとして、20年以上も首位をキープしていた、フォードのピックアップトラック「F-150」が、ホンダのCivic(シビック)に王座を明け渡しました。

これはガソリン高騰という環境を考えれば、当然と思われるかもしれませんが、アメリカ人にとってピックアップトラックへの想いは、一種独特なものがあります。かつてのミドルクラスのアメリカ人は、自分の家の所有とピックアップトラックはワンセットとも言うべきもので、「Do It Your Self」という文化の中で、多くのツールや修理のための材料をトラックで自宅に運んでいました。

実は我が家にも、夫が1987年に購入した21年も経つフォードのピックアップトラック「Ranger」があります。3年前に今の家(80年以上経った古い家)を購入する前は、ほとんど使っていなかったのですが、購入後は、しょっちゅう、Home DepotやPaganoといった材料や道具販売の店に通って、木材、ペンキ、チェーンソー、梯子、芝刈り機などをトラックで運びました。私は「トラックは、もうドネーションしたら?」と、以前夫に話したこともあり、夫は得意そうに、「だから言っただろう、Home Ownerにとって、トラックは絶対に持っていなければならないものなんだから」と言っています。夫のように大自然の中で育ったアメリカ人にとって、この「Big Blue(我が家ではクルマにニックネームをつけています)」は、利便性もそうですが、もっと感情的にエンゲージしているようです。

今日のWard's Auto Groupの発表によると、5月の販売台数のランキングは、

  1. ホンダシビック
  2. トヨタカローラ
  3. トヨタカムリ
  4. ホンダアコード
  5. フォードのピックアップトラック「Fシリーズ」


ということで、燃費の良いクルマが上位を占めています。シビックは、1ガロンあたりの走行距離は29 mpgで、F-150は15 mpgです。年間1万5000マイル走ると仮定して、1ガロン4.08ドルで計算すると、シビックは2111ドル、F-150は4082ドルのガソリン代がかかります(U.S. Department of Energyによる)。この差はかなり大きいものがあります。1年前(2007年5月)と比べると、Fシリーズのセールスは、30%落ち込んでおり、それと反対にシビックは33%、アコードは37%アップしており、消費者のクルマへの志向が、大きく変化していることを示唆しています。

クライスラーは、すでにクルマの購入者に、今後3年間1ガロン2.99ドルのガソリン保証のインセンティブをつけてマーケティングしていますし、GMは6月3日、北米の4つのトラック製造工場を閉めて(1万人の社員がいます)、より燃費の良いクルマ製造を始めると発表しています。また、ガソリン消費の怪物君といった「Hummer(ハマー)」ブランドの売却を考えていると発言しており、米国自動車メーカーは生き残りをかけて、必死です。今年は、フォードのFシリーズの60周年に当たる年ですが、時代は大きく旋回しています。

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    大柴ひさみ

    日米両国でビジネス・マーケティング活動を、マーケターとして、消費­者として実践してきた大柴ひさみが語る「リアルな米国ビジネス&マーケティングのInsight」

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