ひさみをめぐる冒険
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ひさみをめぐる冒険
サンフランシスコ・シリコンバレー在住マーケターのINSIGHT(洞察)



2006年が終わろうとしているのに、またしてもiTunesでアルバム購入です。

12/31/2006

 
サンフランシスコ・ベイエリアも、2006年はあと残すところ7時間で、終わろうとしています。

いつものように、ラスミニッツで掃除やらNew Years Eveの準備(Dinner & 年越しそば)をして、あっという間に夜に突入しています。夫と2人で、クリスマスに亡くなったJames Brown(JB)のBest Live Album 「Live at Apollo in 1962」を、iTunesで9.99ドルで購入して、たった今ダウンロードし終わったところです。今夜は自宅で年越しそばを食べながら、このJBの名作を聴きながら、2人で新年のカウントダウンのパーティをする予定です。

このアルバムも、私たちはわざわざ地元のレコードショップにフィジカリーに歩いて買いに行きましたが、当然のごとく、在庫はなく、JBのトリビュートコーナーもない始末。音楽は、すでに完全にオフラインからオンラインへ移ったことを実感します。2人ともOld School(古いタイプ)ですので、CDのアルバムジャケットも欲しいと言って、これはアマゾンにオーダーしてCDそのものを買う予定です。iTunesのトップページでは当然、JBのトリビュートコーナーが最初にあり、ユーザが今欲しい旬のものがパッと買えます。

Instant Gratification(瞬間的な満足)という言葉が、今の時代のキーワードです。「待つ喜び」をすっかり忘れてしまった私たちは、2006年最後の日も、相変わらずオンラインショッピングをしています。

今年最後のブログです。読んでいただいた方に心からお礼を申し上げます。来年が皆さまにとって、すばらしい年でありますように、心からお祈り申し上げます。

大柴ひさみ

「偶然」大統領になった大統領

12/28/2006

 
「A Ford, not a Lincoln(自分はフォードだ、リンカーンではない)」

これは、26日93歳で亡くなったGerald R. Ford(フォード)大統領のお気に入りの言葉だったようです。彼は、米国の43人の大統領のうち、唯一選挙によって選ばれずに、大統領になった人で、「Accidental President(偶然大統領になった大統領)」と呼ばれる、非常にユニークな大統領です。

フォード大統領は、1974年、Nixon(ニクソン)大統領の副大統領Spiro Agnew(スピロ・アグニュー)が税金逃れで辞任した後、ニクソン大統領に指名されて副大統領になります。その直後、ウォーターゲイト事件で辞任するニクソン大統領の後を受けて、米国第38代の大統領に就任するという数奇な運命を担って、米国史に登場してきます。ウォーターゲイトの混乱、インフレによる米国経済の不安と悪化、ベトナム戦争からの最後の軍隊の撤退など、まさに米国の最悪な時期に、偶然にも大統領に就任して、その全ての後始末をしていきます。

彼は、ニクソン大統領に、「Unconditonal Pardon(無条件の恩赦)」を出したことで、当時の米国民の大不興を買って、1976年民主党のCarter(カーター)大統領候補に敗れて、29ヶ月の短命で、ホワイトハウスを去る結果となります。しかし、この偶然大統領になった大統領の最大の米国民への貢献は、この「Unconditonal Pardon(無条件の恩赦)」にあったと、今、改めて、米国民は彼を再評価しているようです。

私は彼のことを良く知りませんでしたが、ここ2日間、彼に関する記事やコメントを読んで、一番納得したのは、彼は「Accidental President(偶然大統領になった大統領)」ではなく、ウォーターゲイト事件の掃除をするために、大統領になるべくしてなった人で、そこには偶然ではなく必然ともいうべき、理由があった、そう実感しています。

彼のお気に入りの言葉「A Ford, not a Lincoln(自分はフォードだ、リンカーンではない)」が示唆するように、彼の人柄は、ネブラスカ州オマハという中西部出身者らしく、実質的で誠実で、当時の汚れ果てていたアメリカが必要とした「Decency(礼儀正しい)とHumility(謙遜)」を、ホワイトハウスに持ち込んだようです。

歴史上の人物評価は、「いつ、誰が、どこで、どのように見るか」によって、大きく異なりますが、フォード大統領への米国民の見方は、30年を経て、大きく「感謝」へと傾いたようです。ファーストレディのBetty Fordは、自らのアルコールやドラッグへの依存、さらに乳がんであることを公開して、こうした病気へのパブリックの認識を大いに呼び起こした最初の大統領夫人です。彼女は、その後医療財団のリハビリテーションクリニックBetty Ford Centerを開設しており、彼女のアクティビストとしての活動は活発です。

フォード大統領は、2001年、彼の「ニクソン大統領への恩赦」を、長年非難してきた民主党のTed Kennedy上院議員を含むJohn F. Kennedy Libraryによって、「Profiles in Courage Award」を、受賞します。ケネディファミリーは、フォード大統領の自からの政治的な命運を厭わない勇気ある決断を、称えています。その受賞に関しても、フォード大統領は、自分は妻のベティの病気公開の勇気にはかなわないと言っているそうです。

こう言い方ができる大統領の人柄も含めて、改めて米国の歴史を、今、見直しています。

「ヤラセ」がはびこる悲しい時代?

12/28/2006

 
こちらでも、12月14日に発覚した「やらせタウンミーティング」のスキャンダルは、いつもの悲しげな安倍首相の写真と一緒に、大きく報道されました。

安倍さんの報道写真は、これに限らず常に「悲しげ、不安げ、目の下の隈の目立つ、疲れた表情」が多く、彼にはメディアトレーニング(パブリックに現れる時の話し方や表情の訓練)がなされているのか?またスタイリストはそばにいないのか(ついていれば、少なくとも隈を隠すカムフラージュメークアップができるはず)?という疑問がわきます。

ミーティングがスムーズに行くように、計算されたヤラセ発言を事前に用意して、5000円を参加者に渡して、「国民の声を聞く」ために「タウンミーティング」を実施する、これってどこかで見たことがあると思い、考えました。そうです、これは昔の日本の株主総会の姿と同じです。株主総会の開始前に、総務部長が総会屋に事前に金を渡して、異議を挟みそうな株主の発言を押えて、総会屋が株主総会を、丸く治めてしまう。絵柄はほとんど同じです。

こちらでは「Staging」と言い方で報道されていましたが、彼は小泉政権下で、官房長官だったから、当然この「やらせタウンミーティング」に関しては、'同情の余地はありません。しかし、こうした「ヤラセ」がどうして、6年間も続けられたのか?また、このミーティングの費用の大きさです。以下は、検索して見つけた金額です。

  • 平成13年度は電通が請け負って、48回実施して、およそ9億4000万円、1回の開催費用は平均1956万円。
  • 平成15年12月から18年の9月までに8回開催、これは朝日広告社が請け負って、6725万円の開催費用、平均961万円。 
これは、誰が見ても「おかしい!」と思って、メディアが探るはずの内容です。今だったら、誰かがBlogしますし、誰かがYouTubeし始めて、スキャンダルはとっく発覚しているはずです。また、5000円を受け取って、政府の言いなりの発言をしちゃう、これも悲しい現実です。市民ジャーナリズムやWhistleblower(ホィッスルブロウアー:告発者)は、日本にはいないのか?と思わず、考え込む、悲しい現実です。

私も「ウォールマートのヤラセブログ(Flog = Fake Blog)事件をコラムやブログで書きましたが、この手の「ヤラセ」は、常に手法が稚拙で、「とても信じられない」というのが、いつも事件が発覚した後の、私の感想です。

ブログだ、ブログだ!!「気分はちょっとクリスマス」

12/27/2006

 
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やっと諸々の原稿の締め切りから開放されました。こんなに書くことに追われた年末は初めてですが、何とかこれで、年を越せそうです。

日経BPnetのNet Marketingからは、「2006年の話題のトピックス」3つと、「2007年のキーワード」を3つを書いてくださいと頼まれましたので、これはすでに入稿して、アップロードされています。詳細はサイトで読んで下さい。また、先週入稿した私のNet Marketingのコラムのテーマは、「企業ブログ」です。このコラムを書くために、私はいろんな企業ブログを読みましたが、同じ会社なのに、本当におのおの個性的な書き方と視点があり、私が昔お習字を習っていた時に、先生から「書は人なり」と教わりましたが、まさに「ブログは人なり」を、このコラムの執筆中に実感しました。

また12月の2週目と3週目は、日経新聞から日経産業の米国取材の協力依頼があり、渡米された記者の方とお会いして、取材協力をしました。テーマは「Biz Style 2.0」で、年明け掲載されますが、マーケティング2.0、あるいはビジネス2.0ともいうべき、パラダイムシフトが進行中の米国における、ビジネス、テクノロジー、マーケティングなどに関して、記者の方といろんな角度からお話しをしました。とても誠実で聡明な記者の方で、紹介した米国企業のCEOは、「今までインタビューを受けたことは結構あるけれども、彼はその中で非常に的を得たスマートな質問で楽しかった」というコメントをもらい(英語もエクセレントだったということです)、私たちは紹介した甲斐があったと、大いに喜んでいます。これは掲載されたら、またブログします。

宣伝会議の原稿は、私がクリスマス前に書く時間がないことを説明して、なんと2週間も延ばしてもらいました。これは、年明けにねじり鉢巻で書きますが、この締め切り延長は、最高のクリスマスプレゼントでした。宣伝会議の編集者の方に、この場を借りて、お礼申し上げます。「ありがとうございました!」(彼女曰く、「大柴さんにはいつも早めに原稿をいただいているので、今回は延ばします」ということで、日頃の締め切り貯金がこの緊急のピンチの時に役立ちました。来年も早めに送れるように、がんばります)

さてさて、今日のタイトル「ブログだ、ブログだ!!」ですが、これは、通常の依頼原稿と違って、自分の言葉で、自分の書きたいことを思い切って書けるブログのノリを表現しています。先ほどまで書いていた原稿がおのおのの編集意図の下で、規制の中で(文字数や内容)書かなければいけないものと大きく異なるので、まずは軽く、私の周囲のクリスマス風景をご紹介します。

これは、24日の夕方、やっと原稿を書き終えて、日本に送った後、夫と2人で夕陽を眺めに、自転車で我が家のある島Alamedaを走り回っていた時のショットです。夫が所属するヨットクラブClub Nautiqueのボートを写しましたが、昨年ここから私たちはハワイのマウイ島に向けて、15日間の太平洋半分横断のセーリングに出かけました。あれからたった一年半しか経っていませんが、あの太平洋をセーリングしていた日々が、信じられないくらい、遠い昔のような気がします。

これは、Alamedaのクリスマスのライティングデコレーションです。AlamedaのThompson Avenueは、その住民が全て各々工夫を凝らしたライトニング・デコレーションを毎年クリスマスシーズンにします。新らしくこのエリアに引っ越してきた人たちは、最初にこのクリスマスデコレーションに参加することを強制される(?)、ぐらい、みんな気合を入れて、フロントヤードや家全体を飾り付けています。島以外の見物客も後を絶たず、クルマもゆっくりとこの小さな道を走りながら見物しています。私たち夫婦のお気に入りは、トナカイがボートに乗って、その後ろでサンタが水上スキーをしてデコレーションと、オウムとパームツリーの並木道のもので、にぎやかで島っぽくて、良かったです(写真がうまく撮れておらず、よさが表現できていません、スイマセン)。

我が家にはこの手のライトニング・デコレーションはありませんが、すっかりパームツリーのにぎやかなネオンが気に入った私たちは、フロントヤードとドライブウエイを、ニューオリンズ風のパティオに改築したら、パームツリーのネオンを飾ろうと、気合を入れました。「宗教的な気分を度外視した、米国の年末のトラディション」、そんな気分で、デコレーションを楽しみました。




たかがコンサルタント、されどコンサルタント!

12/27/2006

 
今月は、JaMにとってまさにさまざまなBusiness Eventが起こり、パートナーと一緒にジェットコースターに乗った気分で、Up and Downを繰り返していました。

クライアントの温かい言葉

12月のアタマは、先ほどのエントリーでも触れた日経新聞の誠実で聡明な記者の方とのやり取りで、気持ちよくスタートを切りましたが、2週目に思いも寄らない問題が起こり、その解決に東奔西走しました。ここで学んだことは、何年たっても自分たちだけでビジネスを運営していく難しさと、ビジネスでは毎回新たな試練が待ち受けており、常に失敗をして学ばなければならない現実の厳しさです。ただ救われたことは、この問題の事情を説明した時に、JaMのことを理解してくれたクライアントたちの温かい言葉です。ビジネスで、常に誠実に仕事をすることを心がけていた私たちにとって、クライアントの理解と信頼は何ものにも代えがたいものでした。

「たかが代理店、されど代理店」

私が1979年に電通ヤングアンドルビカム(当時のJIMA電通)に入社した時に、上司や先輩から、「たかが代理店、されど代理店」という言葉を教わりました。「代理店風情、とか、代理店のくせして」とか、言われることがあるけれども、自らは「されど代理店」という毅然とした態度で、仕事をしていくことが大切で、それを肝に銘じて行動するように、というのが最初の教えでした。これは、22歳の私にとって、非常に重要なコンセプトで、その後の私のアドパーソンとしてのビジネス行動の規範となりました。さらに、もう一つ重要なこととして、「業者」という言葉を使ってはいけない、業務上の取引のある関係会社は「パートナー」企業で、私たちを助けてくれる大切な会社で、パートナーとして尊敬して接するようにと、釘を刺されました。これは、先の「たかが代理店、されど代理店」とともに、私のビジネス上の指針でもあります。

「ヤマビコ営業にはならないぞ!」

当時広告代理店では、「ヤマビコ営業(クライアントが何か発言すると、それと同じ言葉をヤマビコのように繰り返す広告営業担当のこと。クライアントと言わず"お得意様・得意先"と呼ぶ)」が存在する、クライアント至上主義(クライアント様様)的な風潮がありました。昼夜・週末と接待とゴルフに明け暮れる彼らを眼にして、当時私は新入社員ながらも、「ヤマビコ営業」ではなく、クライアントから業者扱いされずに尊敬されるパートナーとして、営業活動をしていこうと、心に誓いました。その後、ラッキーなことにクライアントに恵まれた私は、16年間のクライアントのパートナーとして、時には議論を繰り返しながら、担当クライアントのために持てる限りの力を発揮してサポートできたと思います。

「業者扱いしたらビジネスはおしまいだ!」

こうした流れの中で、米国移住後も、「三つ子の魂百までも」の言葉どおり、終始一貫してこの2つのビジネスモットーを貫いてきました。これを良しとしてくれるクライアントとは、非常に中身の濃いお付き合いをさせてもらっています。8/24の「食い逃げ客」のエントリでも書きましたが、コンサルタントは、「intangible asset」、すなわち、私たちが過去蓄積した情報やナレッジ(私の場合は50年間)を、各々のクライアントのニーズに合わせてカスタマイズして、提供するプロフェッションです。最近受け取ったメールの中で、JaMを含めてその会社の関係会社を「業者」という言葉で表現しているのを見つけて、非常にがっかりしたことがあります。多分、その方は無意識に使って特に他意はなかったかもしれませんが、「ビジネス2.0」ともいべきパラダイムシフトが起きている時代で、「業者」というVerticalなニュアンスを感じさせる言葉を使ったら、それでビジネスはおしまいです。

パートナー企業として、Wiki的にコラボレーションする

企業間はどんな関係論にせよ、お互いがパートナー意識を持って、お互いにコントリビューションしながら、Wiki的(ウィキの語源はハワイ語の「WikiWiki(速い・形式ばらない)というコンセプト)にコラボレーションするのが、ビジネスの成功への道です。「業者」は、カスタマー企業のスペックや注文通りに製品やサービスをデリバリしますが、パートナー意識をもった企業は、その注文やスペック以上に、その依頼主の成功のために必要な物をデリバリできるポテンシャルがあります。昨年亡くなった偉大なる社会学者のドラッカー教授が無形なものの重要性を強く指摘しています。日本ではまだまだ空気と安全という目に見えにくいものをただと思う、製造業的なメンタリティーが強く残っていますが、目に見えないAsset(資産)すなわち「ナレッジ(=人間そのもの)の活用」いかんによって、今後ビジネスが大きく左右されるのは必至です。

「ひさみのお祭りマンボ」的コンサルティング

JaMは、サンフランシスコ・シリコンバレーでも非常にニッチなコンサルティング会社です。うちは「大看板で勝負する大コンサルティング会社」とは異なり、マルチカルチャーなナレッジと生活体験をもとにした消費者の真のヴォイスをベースにしたコンサルティングワークをクライアントに提供しています。その価値を理解して、うちをパートナーとして信頼してくれるクライアントと出会えたらと、常に思っています。幸い、そうしたクライアントの米国でのビジネス活動のFacilitate(促進)できる機会が2007年もあるので、これは「ねじり鉢巻そろいの浴衣」*でがんばるつもりです。

*美空ひばりのアップテンポな曲「お祭りマンボ」の一節です。私の大好きなフレーズです。

私のとなりのおじさんは
神田の生まれで チャキチャキ江戸っ子
お祭りさわぎが大好きで
ねじりはちまき そろいのゆかた
雨が降ろうが ヤリが降ろうが
朝から晩まで おみこしかついで
ワッショイワッショイ ワッショイワッショイ
景気をつけろ 塩まいておくれ
ワッショイワッショイ ワッショイワッショイ
ソーレ ソレソレ お祭りだ

Good -By JB (ソウルのゴッドファーザーの死)

12/26/2006

 
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クリスマス明けの新聞で、James Brown(JB:ジェームス・ブラウン)の突然の死を知って、驚いたのは私1人ではないはずです。彼は、ニューヨークのB.B. Kingのクラブで、ニューイヤーズイブのステージに立つ予定だったらしく、周囲もその突然の死に、驚いているようです。私も1ファンとして、彼の死を悼んで、彼のことをブログにとどめておきたいと思います。

James Brownは「Godfather of Soul」と呼ばれて、米国の音楽史上最も影響を与えた人物の1人です。ゴスペルソングシンガーからスタートしたJBらしく、クリスマスの早朝、73歳で亡くなりました。彼の影響を受けたミュージシャンは、Mick Jagger(ミック・ジャガー)、 Michael Jackson(マイケル・ジャクソン)、David Bowie(デイヴィッド・ボウイ)、Public Enemy(パブリック・エネミー)など、数え上げたらきりがなく、ソウル、R&B、ラップ、ヒップホップなど、さまざまなミュージックのクリエイションに多大の影響を与えており、音楽史のイノベーターとして、クラシックのバッハの役割を果たしていると言われています。

また彼の音楽は、米国の黒人の人権運動でも大きな役割を果たしています。1968年のヒット曲「Say It Loud -- I'm Black and I'm Proud」は、それまで、自分たちを「Colored」と呼んでいた黒人たちに、「自分はブラックだ、それを誇りに思う」というメッセージを投げかけ、それ以降、黒人たちは自分たちを「Black(ブラック)」と呼ぶようになったほど、社会的な影響を与えています。

私はこの伝説的な音楽の申し子のステージを、東京で目撃していますが、とにかく凄いの一語につきます。彼の音楽もさることながら、彼のステージはその天才的なダンスとパワーフルなパフォーマンスが圧巻で、エネルギーに満ち満ちています。彼のステージを見た後、私は改めて、なるほど多くのミュージシャンのステージの動きは、JBから来ているのかと大いに納得したものです(スタンドマイクの扱い方や、マイケルジャクソンのムーンダンスやミックのステージの動きも、オリジナルはJBです)。

彼も、自分のライブステージがいかにすばらしいかを熟知しており、所属のKing Recordsがライブのレコード化を許可しないにもかかわらず、1962年、自己資金を投入して、「Live at the Apollo」のライブレコードを製作しました。このアルバムは14週間ポップチャート入りし、ライブアルバム史上のベストに挙げられています。

彼のプライベートもステージ同様カラフルで、ドラッグ・スピード違反・家庭内暴力など、何回も逮捕されており、刑務所にも送られたこもありますが、そうしたスキャンダルも含めて、すべてがJBらしい、そう納得させるものが、JBにはありました。

彼の死の翌日は、彼のバックステージのコーラスの女性で、4度目の妻のTomi Rae Hynieが、彼の弁護士によって、自宅に入ることが許されず、彼の子供と一緒にホテルで過ごしているというニュースも報道されています。弁護士は、彼女とJBの結婚の法律的な正当性に疑問があると表明しており、彼女はJBから彼の邸宅に居住する権利が保証されていると言っています。彼の財産をめぐって、お決まりの騒動が繰り広げられそうで、彼の死後も、引き続き、彼のカラフルなプライベートライフは続くようです。

私の心配は、彼がいなくなった今、彼のステージで、いつもマウントを着せていたあのMCが、今後どうなるのか? それが非常に気がかりです。







I'm sorry (スミマセン)って言って欲しい

12/14/2006

 
先日、フェリーの駐車場で左折をすべく、信号待ちをしていた時、いきなり後ろからドスンと車にぶつけられました。幸い、私は止まっていましたし、後ろの車もちょっと動いた程度で、一切の被害はありませんでした。

ただし、ひとつだけアタマにきたことが、相手が謝らないという点です。一言「I'm sorry」という言葉を聞けば、「OK. I'm fine. Don't worry about it」と言って素直に立ち去れるのですが、相手は車は大丈夫か?と聞いただけで、「ごめんなさい」とは言いませんでした。サンフランシスコでの打ち合わせ の帰りで、ちょうど駐車場の出口をブロックするカタチで、相手と話す羽目になっていたので、それ以上、周囲に迷惑をかけることもできず、ムカっとした気持 ちのまま、その場を立ち去りました。

日本もそうですが、車の事故で最初に自分の非を認めることは、後で保険の支払いにおいて不利益になるので、誰も認めません。まず最初は、相手が悪いことを 立証するために、先にわめき始めるのが、常です。今回の場合は、さすがに完全に彼が悪いため、後ろめたい表情で黙って、私の顔を覗き込んでいましたが、結 局「I'm sorry」の言葉は、最後まで彼の口から出てきませんでした。

一言、謝れば、どれだけ訴訟が少なくなるか?また、どれだけ社会全体の風通しが良くなるか?訴訟社会ア メリカの不具合は、自分の非を、先に認めない、メンタリティが作り出しています。私の場合も、ここのところ自宅のインターネットの不具合で、しょっちゅ う、ケーブル会社Comcastのテックサポートと電話で話していますが、どんなに私がComcastの非を証明しても、絶対に自分の非を認めて誤る言葉 は出てきません。

顧客の怒りを静める呪文のように、「We understand(理解しています)」という言葉を、彼らはよく唱えますが、「I'm sorry」とは言いません。弁護士によってチェックされている、カスタマーサービスのマニュアルには、絶対に発言してはいけない言葉として、「I'm sorry」は載っているはずです。しかし、この一言で、一気にカスタマーの怒りはとけて、クレームの時間も短縮し、会社への評価も高くなると思います。

製品や価格に質の差がなくなっている現在で、ビジネスとして成功するための不可欠な要素が、このカスタマとのコンタクトポイントにおける、感情的なコネク ションです。私もそうですが、この最前線のコンタクトパーソンの一言で、ブランドロイヤリティが生まれます。これをBuild upできない企業は、どんなに製品や価格で勝負しようとしても、カスタマの信頼やロイヤリティを確保することはできません。インタラクティブな相互の 「Sympathy(共感)」が、企業とカスタマをBonding(結びつける)するポイントです。企業の最前線でカスタマと接する人たちこそが、ブラン ドや製品を代表しており、CEOや社長が企業の代表者ではありません。

そんなことを書いていたら、AOLのCo-FounderのSteve Caseが、AOLとTime Warnerとの合併において、「自分が必要とされる、強いリーダーシップを発揮できなかったことを認める」発言のニュースが飛び込んできました。これは米国の大企業のCEOたちの間では、非常に珍しい発言です。

2000年に1,120億ドル(=12兆3,200億円)という巨大な金額で合併吸収したAOLとTime Warnerは、その合併の結果を出せないことで、経営者の入れ替えをいろいろやってシャッフルしていますが、いまだに成功にいたっていません。ライバル のGoogleやMSNなどは、しきりとAOL買収に動いている最中ですが、ここにきて、Case自身が自からの非を認めて、Time Warnerは以下の4つの企業に分割されるべきだと発言しています。

・Time Warner Cable
・Time Warner Entertainment (HBO, Warner Brothers)
・Time Inc. (magazine publishing)
・AOL

彼は2億5,000万ドル(=275億円)分のTime Warnerのストックを持っており、株主として、どうやってTime Warner全体の企業価値を上げるかにフォーカスした発言です。なるほど、最終的に自分にとってAdvantageになるならば、自分の非を認めること もできる、まあ、これはこのような巨額の金銭的なBenefitがある以上、当然のことなのかもしれません。

しかし、HPとCompaqの合併の時もそう思いましたが、Golden Parachute(ゴー ルデン・パラシュート:会社の離れる場合のさまざまな金銭的な保証)を持つ大企業のCEOたちは、企業合併の不成功の責任を取らないで、簡単に企業を離れ ることができます。この手の話は、私のようなSmall Businessの経営者にとっては、想像外の話です。「ゴールデン」とは言いませんが、買収を打診され、パラシュートの話ができるように、JaM Japan Marketing LLCを、魅力的な企業にせねばと、思います(がんばるぞ!)。


Baby Boomers(ベビーブーマーズ):行け行けドンドン世代

12/13/2006

 
1956年生まれの私は、日本では団塊の世代の下のジェネレーションで、人口が少ない世代として、過ごしました。ところが1995年に米国に移住したとた んに、米国社会を牽引するマジョリティ世代である、7,800万人のBaby Boomers(1946年から1964年までに生まれ)のカテゴリに入れられてしまいました。ジェネレーションYと並んで、ブーマーズは常に話題に事欠 きません。米国の歴史や社会構造を変革してきたブーマーズは、米国社会を考える上で、最も重要な世代と言えます。

そのブーマーズの最初のグループが、来年は60歳になり、その後に続く430万人が50歳になり、最年少グループも40歳に突入したという節目を迎えて、 改めて、ブーマーズに関する記事が目立ってきています。私もこの430万人の1人で来年は50歳を迎えることもあり、他人事ではなく、改めて 「Aging」について考え始めています。

Research!Americaの最近の調査で以下の数字が発表されました。

How long would you like to live?
(何歳まで生きたいか?)
95歳以上: 26%
85~94歳: 32%
75~84歳: 20%
65~74歳: 5%
65歳以下: 3%
わからない: 14%
平均年齢:88歳

How long do you think you will live?
(自分の寿命は何歳だと思うか?)
95歳以上: 10%
85~94歳: 33%
75~84歳: 29%
65~74歳: 11%
65歳以下: 5%
わからない: 14%
平均年齢:82歳

In 20 years, how do you think life will be for 80-years-old?
(この先の20年間で、80歳の生活はどんな生活になると思うか?)
49%: 現在の80歳より健康的である。
33%: 現在の80歳と同様である。
9%: 2025年の80歳は、現在の40歳と同様のことがヴァーチャリーに可能となり、エンジョイできる。

What makes a person seem young?
(何によって、若く見えるのか?)
50%: 活動的、忙しい、エネルギーに満ち溢れている
13%: 外見
10%: ポジティブな姿勢と態度
5%: 精神的に鋭い
3%: 年齢

What makes a person seem old?
(何によって、年をとったように見えるのか?)
33%: 身体的な問題あるいは限界
15%: 精神的な限界
13%: 自分自身の世話をできなくなった場合
5%: その人の実際の年齢

およそ30%のアメリカ人は、95歳以上まで生きたいと思っていますが、実際にその年まで生きることに自信を持っている人は、10%です。私は日頃から生 涯現役で100歳まで生きると言い続けていますが、上の数字を見る限り、私だけが特殊ではなく、多くのブーマーズは、同様なことを考えていることがわかり ます。

また、上記の調査で「若くみえる理由」として、「活動的」で、「忙しく」、「エネルギーに満ち溢れている」という、まさにブーマーズ自身を表現するような 定義が並んでいます。実際の年齢の意味が段々薄れていく現代では、英語でいうところAttitude(姿勢や態度)次第で、年寄り扱いされる可能性が高く なります。300年前のアメリカ(イギリスの植民地時代)では、平均寿命は30歳代だったということですが、現代のアメリカ人の「より若く健康で活動的で いたい」というDesireは、ポジティブな「Attitude」を生み出し、新たな「Aging」のライフスタイルを創り出しています。

別な調査で すが、ブーマーズのRetirment(引退)後も60%以上は少なくとも週に20時間は、パートタイムで働きたいと思っており、引退後は、若さと健康を 維持するために、それに必要なAnti-Agingの薬(ブーマーズはマリファナ世代でもあります)や美容整形をすることも厭わないし(Beauty Addiction:美しさへの中毒)、エクササイズのために、ゴルフ、水泳、ジョギングを大いにやる予定ということです。引退後のスポーツとして、ブー マーズの6%の人たちは、インラインスケーティングとスカイダイビングをやりたいと言っているほど、彼らは本当に元気で、自分自身に自信を持っています。

半数のブーマーズは、引退後のブーマーズの生活が「Too self-centered(超自分中心)」で、「Too materialistic(超物質主義)」だと、自戒しているようですが、「Zoomers」とも呼ばれていて、「行け行けドンドン」の彼らを止めるこ とはできないと、つくづく実感します。

しかし、私の場合、来年で公約の半分まで到達しますが、100歳の誕生日を迎える年は、2056年です。これって、まだまだ道は本当に長いってことなんだと、改めて驚いています。


    大柴ひさみ

    日米両国でビジネス・マーケティング活動を、マーケターとして、消費­者として実践してきた大柴ひさみが語る「リアルな米国ビジネス&マーケティングのInsight」

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