James Brownは「Godfather of Soul」と呼ばれて、米国の音楽史上最も影響を与えた人物の1人です。ゴスペルソングシンガーからスタートしたJBらしく、クリスマスの早朝、73歳で亡くなりました。彼の影響を受けたミュージシャンは、Mick Jagger(ミック・ジャガー)、 Michael Jackson(マイケル・ジャクソン)、David Bowie(デイヴィッド・ボウイ)、Public Enemy(パブリック・エネミー)など、数え上げたらきりがなく、ソウル、R&B、ラップ、ヒップホップなど、さまざまなミュージックのクリエイションに多大の影響を与えており、音楽史のイノベーターとして、クラシックのバッハの役割を果たしていると言われています。
また彼の音楽は、米国の黒人の人権運動でも大きな役割を果たしています。1968年のヒット曲「Say It Loud -- I'm Black and I'm Proud」は、それまで、自分たちを「Colored」と呼んでいた黒人たちに、「自分はブラックだ、それを誇りに思う」というメッセージを投げかけ、それ以降、黒人たちは自分たちを「Black(ブラック)」と呼ぶようになったほど、社会的な影響を与えています。
私はこの伝説的な音楽の申し子のステージを、東京で目撃していますが、とにかく凄いの一語につきます。彼の音楽もさることながら、彼のステージはその天才的なダンスとパワーフルなパフォーマンスが圧巻で、エネルギーに満ち満ちています。彼のステージを見た後、私は改めて、なるほど多くのミュージシャンのステージの動きは、JBから来ているのかと大いに納得したものです(スタンドマイクの扱い方や、マイケルジャクソンのムーンダンスやミックのステージの動きも、オリジナルはJBです)。
彼も、自分のライブステージがいかにすばらしいかを熟知しており、所属のKing Recordsがライブのレコード化を許可しないにもかかわらず、1962年、自己資金を投入して、「Live at the Apollo」のライブレコードを製作しました。このアルバムは14週間ポップチャート入りし、ライブアルバム史上のベストに挙げられています。
彼のプライベートもステージ同様カラフルで、ドラッグ・スピード違反・家庭内暴力など、何回も逮捕されており、刑務所にも送られたこもありますが、そうしたスキャンダルも含めて、すべてがJBらしい、そう納得させるものが、JBにはありました。
彼の死の翌日は、彼のバックステージのコーラスの女性で、4度目の妻のTomi Rae Hynieが、彼の弁護士によって、自宅に入ることが許されず、彼の子供と一緒にホテルで過ごしているというニュースも報道されています。弁護士は、彼女とJBの結婚の法律的な正当性に疑問があると表明しており、彼女はJBから彼の邸宅に居住する権利が保証されていると言っています。彼の財産をめぐって、お決まりの騒動が繰り広げられそうで、彼の死後も、引き続き、彼のカラフルなプライベートライフは続くようです。
私の心配は、彼がいなくなった今、彼のステージで、いつもマウントを着せていたあのMCが、今後どうなるのか? それが非常に気がかりです。