ひさみをめぐる冒険
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ひさみをめぐる冒険
サンフランシスコ・シリコンバレー在住マーケターのINSIGHT(洞察)



コロナ禍でのアメリカ生活⑤「地球(ガイア)は人類に対して、怒っているんだろうか?」

3/30/2020

 
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トイレットペーパーをゲットした瞬間、クンタ・キンテ誕生状態となる

やった!夫がWalgreensでトイレットペーパーを2個ゲットして帰って来た。彼は、まるで狩猟時代の狩から戻った戦士のような得意顔で、どうと2個のロールを私に突き出した!我が家には神棚も仏壇もないけど、私はアフリカの大地にクンタ・キンテ(Kunta Kinte)が生まれた瞬間の如く(TVミニシリーズRootsの有名なシーン)、ロールを高く掲げて、一礼した。
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これで我が家もロールの在庫は9個となる。ふうう。
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Walgreensは1人当たり2個という制限を付けて販売しているので、これをこまめにゲットしていけば、我が家のロールは滞りなく在庫補充が可能となる。

私は、常にペーパーの心配をしている訳ではなく、週に1度の食料品の買い物でも、まずは必要なものを補充するのみにして、他の人に迷惑をかける「買いだめ」は一切していない。

アメリカの家には広いPantry(食料品を収納するスペース:部屋と言えるぐらい広い)があるので、大量の食料品が収納できてしまい、多くの家庭ではここにモノを溜め込んでいる。我が家はかなりスカスカで、夫も私も、最悪感染して隔離する状況になった時に買い物をしないで済むぐらいのスープの缶詰とかを、普段より多めに買ったぐらいで、モノ溜め込んでいない。

​注:以下の写真は我が家のモノではない
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とうとう日本もアメリカからの入国を拒否

日本もアメリカからの入国を拒否するくらいにアメリカの感染者数と死者の数は毎日うなぎのぼりである。以下のデータが示すように、感染者数でトップに躍り出たアメリカは、昨日14,904人が新たに感染して合計168,369人、死者は351人が追加されて合計2,934人が亡くなっている。

勿論アメリカ以外のイタリア、スペイン、フランス、英国といった欧州、イランの感染拡大も激化している。

まるで、地球(ガイア)の怒りが爆発して、これ以上地球の資源を無自覚・無尽蔵に食い散らかす人類への鉄槌の如く、この疫病は、ロシアも北朝鮮もアフリカ諸国も南半球の国々でも暴れ始めている。
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地球(ガイア)は怒っているんだろうか?

私の友人の山本一郎さんが、ブログでこう書いている。「人類社会の経済活動が低迷すれば、環境問題は解決するんです。グレタさんが各国首脳を激しく論難していた環境問題は、短期的にコロナウイルスが強制的に解決してくれました。あとは、その先に不幸な感染者や経済破綻者たちの望まない死が頻発しないことを祈るのみであります。」

コロナ禍の生活が始まり、夫も私も「今一番喜んでいるのは地球そのものだろうね。人間が社会経済活動をスローダウンあるいは停止すれば、地球の環境リソースへの負荷が極端に減るもんね」と話したことを思い出す。

​以下のNASAの中国の大気汚染が、コロナによる人間の活動停止で、如何に減ったかを画像が如実に証明している。
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人々は、生活と称して、地球環境に負荷を掛けながら、生きているのが、この画像を見れば一目瞭然である。

「疫病」って人間が環境(=地球)に負荷をかけ始めると発生する?

今回のコロナ禍は、古来から「疫病」って呼ばれている現象で、長い人類の歴史はこの「疫病」との戦いで、たまたま今回のようにパンデミックと言われる規模で、過去100年ぐらい発生してこなかったから、今右往左往している。これはある意味、中性子爆弾に似ていて、建物は破壊されずに人間だけが失われるという、人類が最も苦手とする戦い。
理論的には、「ウイルスを終息させる」か「人類全員がウイルスにかかり病気になって免疫を持つ」しか解決方法はなく、そのどちらも簡単には出来ないし、終わらない。

以下に世界的歴史学者・哲学者のYuval Noah Harariの「In the Battle Against Coronavirus, Humanity Lacks Leadership」の日本語訳の中の抜粋を記す

「感染症は、現在のグローバル化時代のはるか以前から、厖大な数の人命を奪ってきた。14世紀には、飛行機もクルーズ船もなかったというのに、黒死病(ペスト)は10年そこそこで東アジアから西ヨーロッパへと拡がり、ユーラシア大陸の人口の四半分を超える7500万~2億人が亡くなった。イングランドでは、10人に4人が命を落とし、フィレンツェの町は、10万の住民のうち5万人を失った。

 1520年3月、フランシスコ・デ・エギアという、たった1人の天然痘ウイルス保有者がメキシコに上陸した。当時の中央アメリカには電車もバスもなければ、ロバさえいなかった。それにもかかわらず、天然痘は大流行し、12月までに中央アメリカ全域が大打撃を受け、一部の推定によると、人口の3分の1が亡くなったとされている。

 1918年には、ひどい悪性のインフルエンザウイルスが数か月のうちに世界の隅々まで拡がり、5億もの人が感染した。これは当時の人口の4分の1を超える。インドでは人口の5%、タヒチ島では14%、サモア諸島では20%が亡くなったと推定されている。このパンデミック(世界的大流行)は、1年にも満たぬうちに何千万(ことによると1億)もの人の命を奪った。これは、4年に及ぶ第1次世界大戦の悲惨な戦いでの死者を上回る数だ。」

今やるべきことは、まずは自分がウィルスのキャリアにならないこと

日本の人は、感染者数の数字が低いせいか、かなり普通の生活を多くの人達が平気でしており、Social distancingの重要性をそれほど認知していないように見える。ロックダウンの状況のリアリティも、イマイチぴんと来ていない感じで、かなりのんびりしているように見える。

でも、嵐は来る、或いはすでに波打ち際まで来ていることは事実である。経済的な打撃も然りだけど、これから人命喪失などで、どこまで誰が彼らを救えるのか?といった、医療崩壊も含めた惨い現実が近づいてくる可能性が高い。

言霊を恐れる日本は、最悪に備えたリスクマネジメントを、言う、聞くのを嫌がるけど、いやだと言っている時間はない。世界中が、嵐は来ることを予期して、今できることを必死にやっている。

​個人としては、まず自分がウィルスキャリアにならないように、行動するしかない。
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コロナ禍でのアメリカ生活④「毎朝体温を測ることを習慣としよう!」

3/28/2020

 
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体温を測ろう!
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新たな毎朝の習慣。夫と2人でお互いに、額にこの温度計「Nubee Temperature Gun Non-contact Digital Laser」を向けて、コンタクトせずにデジタルレーザーで体温を測りあっている。高熱という症状は感染の可能性があるので、念のためのチェックをしている。
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何でもないことだけど、普通の体温計で測るより、簡単でちょっと楽しいから。
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何故かこの製品は、オンラインで探すとどこにも在庫がない。どうしたんだろう? ​
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Social distancingを実施している時なので、夫は私がマーケットに出かける時「これ、持っていく?」と聞いたけど、近づいている来る他の人にこれを向けたら、私はすぐに逮捕されるかも。
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どっちにしても、早めに自分自身の感染状況という事実を知ることは大切。

コロナ禍でのアメリカ生活③2020年3月26日

3/27/2020

 
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日々刻々と変化するアメリカの生活環境の制限の中で、自分がどんな風に暮らしているかを、思いつくままに書いてみる。
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実に情けない、こんなに早くコロナ感染者数で、米国がグローバルでNo1になるとは。Trump政権の当初(1月後半と2月)のコロナ感染への軽視から始まって、具体策を講じる手だてが、全て後手後手に回って、結果とうとう感染者数で、米国は中国を抜き去り、トップに躍り出た。

3/26に確認できた世界の感染者数の合計は526,044人で、国別では、米国82,404人、中国81,782人、イタリア80,589人が上位3カ国となっている。米国は早くからトップに躍り出ることを予測していたが、あまりにも早すぎる結果となった。勿論、死者数では、グローバルの総合計は23,709人で、順位はイタリア8,215人、スペイン4,154人、中国3,169人、イラン2,234人、フランス1,696人、英国578人、オランダ434人と、中国とイランを除いて、欧州が非常に悪化している。

個別の国の事情があり、一概に全て政府の対応策と対応速度に原因があると指摘できないが、政府が最初にコロナ感染の情報を入手した時点で、科学者を交えた感染の専門家の分析やデータを元に、どのようなタイミングで具体的に政府が危機管理の判断をするかを決定すれば、少なくとも急カーブを少しでも緩やかにできる可能性はあると思う。 
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「In the Battle Against Coronavirus, Humanity Lacks Leadership(人類はコロナウイルスといかに闘うべきか――今こそグローバルな信頼と団結)」
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3/15にTIME MAGAZINEに掲載された世界的歴史学者・哲学者のYuval Noah Harari(ユヴァル・ノア・ハラリ)の「In the Battle Against Coronavirus, Humanity Lacks Leadership」を柴田裕之氏が訳している。日本語訳のタイトルは「人類はコロナウイルスといかに闘うべきか――今こそグローバルな信頼と団結」という。この文章はちょっと長いが是非読んで欲しい。私がその中から選んだのは以下の4つのポイント。

1)短期的隔離は仕方がないとしても、長期的孤立主義は経済崩壊につながるので、世界は分離ではなく協力し合うことがパンデミックへの真の対応策

「多くの人が新型コロナウイルスの大流行をグローバル化のせいにし、この種の感染爆発が再び起こるのを防ぐためには、脱グローバル化するしかないと言う。壁を築き、移動を制限し、貿易を減らせ、と。だが、感染症を封じ込めるのに短期の隔離は不可欠だとはいえ、長期の孤立主義政策は経済の崩壊につながるだけで、真の感染症対策にはならない。むしろ、その正反対だ。感染症の大流行への本当の対抗手段は、分離ではなく協力なのだ。」

2)理由は1970年代の天然痘が証明している。全ての国が予防接種を受けたから人類の危機は免れた

「1970年代に人類が天然痘を打ち負かすことができたのは、すべての国のすべての人が天然痘の予防接種を受けたからだ。たとえ1国でも国民に予防接種を受けさせることを怠っていたら、人類全体を危機に陥れていただろう。天然痘ウイルスがどこかに存在して変化を続けていたら、いつでもあらゆる場所に拡がりうるからだ。」

3)現在の人類規模の危機はウィルスのせいばかりではなく、無責任な政治家達が科学や国際協力に対する信頼を故意に損ねた結果でもある。

「今日、人類が深刻な危機に直面しているのは、新型コロナウイルスのせいばかりではなく、人間どうしの信頼の欠如のせいでもある。感染症を打ち負かすためには、人々は科学の専門家を信頼し、国民は公的機関を信頼し、各国は互いを信頼する必要がある。この数年間、無責任な政治家たちが、科学や公的機関や国際協力に対する信頼を、故意に損なってきた。その結果、今や私たちは、協調的でグローバルな対応を奨励し、組織し、資金を出すグローバルな指導者が不在の状態で、今回の危機に直面している。」

4)このコロナ禍によって国と国や人間同士が不和と不信感を募らせれば、それはウィルスの勝利となり、人間同士が争えば、ウィルスは倍増する。

「今回の危機の現段階では、決定的な戦いは人類そのものの中で起こる。もしこの感染症の大流行が人間の間の不和と不信を募らせるなら、それはこのウイルスにとって最大の勝利となるだろう。人間どうしが争えば、ウイルスは倍増する。対照的に、もしこの大流行からより緊密な国際協力が生じれば、それは新型コロナウイルスに対する勝利だけではなく、将来現れるあらゆる病原体に対しての勝利ともなることだろう。」

表裏一体をなす感染症危機と経済危機
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感染症危機と経済危機を同時に救うことは不可能だと思う。またこの2つは表裏を呈しており、同時に現れる。そのためにまずは、この急速に広がるコロナ禍を食い止める施策が最優先されるべきで、感染源や感染経路の究明、医療従事者へのサポート、医療器具やベッドなどの大幅な補充、市民への協力要請など、今直ぐ出来ることを本当に素早く実施する。それと並行して、Stay-at-homeという形でロックダウンされて、仕事を失い急速に増える失業者とその家族への手当が重要。米国はすでに先週のみで330万人が失業手当を申請するという急激な失業者を生んでいる。そうした人達の生活破綻を止めることは、非常に重要で、経済動脈を支える、最も根底にいる人達を守ることを優先すべきだと思う。コロナ禍で短期的に人員解雇で、最も打撃を受けているのが、以下の図にあるように、飲食レストラン、小売り、トラベル、サポートサービスで、特に低賃金労働者への影響が大きく、トータル3,700万人が失業の憂き目にあうと推測されている。
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耐える時が来た
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誰もがテレワーク出来るわけでもなく、今でもF2Fで勤務する、警官、消防士、医療従事者、スーパーマーケット、建設工事現場など、数えきれない人達は、感染する不安の中で毎日働いている。私が今出来ることは、限られているが、Social distancingを守り、物資を溜め込むような自己本位な消費行動でモノ不足に加担せず、長期化に耐えられる生活ペースとマインドセットを構築する、そんなことから始めている。耐える時が来たと思う。
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By Katapult Magazin, CC BY-SA 4.0, :Simulations comparing rate of spread of infection, and number of deaths due to overrun of hospital capacity, when social interactions are "normal" (left, 200 people moving freely) and "distanced" (right, 25 people moving freely).
Green = Healthy, uninfected individuals
Red = Infected individuals
Blue = Recovered individual
Black = Dead individuals

書籍『ひさみをめぐる冒険』から「ジャズザサイズは米国版お稽古事」2002年9月24日のコラム

3/25/2020

 
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今日は私が、18年前に書いたコラム「ジャズザサイズは米国版お稽古事」をアップロードする。このコラムは、2003年発行の私の初の書籍『ひさみをめぐる冒険―サンフランシスコで暮らす楽しみ "It's an Adventure - Hisami Lives America" 』に掲載されたもの。私は、平日の5日間は毎朝1時間Jazzerciseのクラスに通い、目いっぱい汗をかくのが日課(通称ひさみの朝稽古)。但しSocial distancingの最中、その日課も出来なくなり、昨日からアプリをダウンロードして、Jazzercise on demandを見ながら、自宅でJazzerciseをし始めた。サブスクリプションベースだが、クラスのインストラクターから60日間のフリーのコードをもらい、トライアルを始めた。20分間のセッションを2回連続でやってみたが、ウエイトもあるので、まるでスタジオで踊っているように、気持ちのいい汗をかいた。私とJazzerciseの付き合いはもう20年以上になる。この音楽を活用したダンスとウエイトとストレッチの有酸素運動は昨年50周年を迎えた。Jazzerciseに関しては、この18年前のコラムが良く書き込んでいると思う。
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大統領発言まで飛び出すほど深刻化する米国の肥満問題
今年(2002年)の7月24日にブッシュ大統領は、「健康のための運動の奨励」計画という異例の発言をしました。これはテロ攻撃に勝るとも劣らずアメリカ人全体の健康をボディブローのように蝕んでいる「肥満(Obesity)」についての警鐘です。現在アメリカ国民の60%以上が肥満、50%はエクササイズをせずに過剰な食事をとっているといわれています。また過去20年間3倍以上増えた子供の肥満は、この国の申告な肥満化の問題を反映しています。アメリカにおける「肥満」の問題は、日本とはけた違いのスケールで(異常に重い体重と言う意味)、自動化された生活、車社会、ファストフードに代表されるバランスの悪い食生活、過剰な食事量などが、この問題を悪化させています。この傾向は、エクササイズをする余裕の無い低所得者層に特に顕著に見られ、健康増進・肥満防止の支出の可能なミドルクラスは、スポーツクラブ、パーソナルトレイナー、サプリメント、健康器具、痩身手術など関連市場への消費が増加しています。

女性の大型化(体重の増加)が進行するアメリカ
これを女性のサイズに絞ってみると、アメリカ女性の大型化の傾向は、リアリティとして顕在化しつつあります。アメリカのサイズは、0から始まって26ぐらいまであり全て偶数で表しますが、現在アメリカ人女性の68%はサイズが12(例えばLand's Endの場合サイズ12は、バストサイズ96.3㎝で、日本のLサイズにあたります)あるいはそれ以上、52%の女性が14あるいはそれ以上といわれています。これをファッションモデルと平均的な女性との体重比較でみると、かつての女性の平均体重より8%やせていたモデルが、今では23%も平均的な女性よりやせているという数字が出て来ます(Full-figured:フルフィギュアドと呼ぶ大型の女性対象の雑誌「Grace」による)。これはベビーブーマー世代の高齢化に伴うサイズの大型化の影響といわれ、L.L.Bean、Land's Endなどのカジュアル衣料の世界では、「プラスサイズ」という大きな女性対象の衣料ラインが増えています。

「Fat and Short(体重と身長による差別を禁じる法律)」で勝訴したSF在住のフィットネスインストラクターの場合
ここサンフランシスコ(SF)には、肥満に関連したユニークな法律があります。「Fat and Short(肥満と背の低さ)」という体重と身長に対する差別を禁じる法律です。今年の5月6日身長5フィート8インチ(約172㎝)、体重240パウンド(約109㎏)、サイズ16から18の38歳のJennifer Portnickは、世界最大のフィットネス団体Jazzerciseから「ルックスがインストラクターとして不適切」という理由でオーディションで落とされ、これを差別としてSFの法廷に訴えて、ユニークな「Fat and Short」の適用により初めて勝訴しました。
Portnickの場合は、15年間ハイインパクトのエアロビクスを継続して行っており、インストラクターの資格もAFAA (Aerobics and Fitness Association of America)を通じて獲得しているので、体重を別にすれば何の問題もなくジャズザサイズのインストラクターの資格は取れたはずです。それを考えると個人のフィットネスのスキルではなく、ルックスにこだわったジャズザサイズの資格基準は、差別と言える不適切なルールであり、30年前の価値基準がそこにまだあったという感じです。この敗訴をきっかけにジャズザサイズはルックスの基準をポリシーからはずして、現在はあくまでもスキルで判断という方向へ転換しています(ジャズザサイズのウェブサイトやカタログには、それ以降必ず太った体型の女性がレオタードのモデルとして出ており、その配慮は即実行されています)。

ジャズザサイズは、アメリカ版のお稽古事
​ジャズザサイズは、ジャズダンスとエクササイズをブレンドして、ウェイトやチューブを活用しながら様々なジャンルの音楽を使って行う60分間のフィットネスです。1969年Judi Sheppard Missettによってはじめられたジャズザサイズは、30年以上にわたって全世界で1,400万人の利用者を生みだし、世界38カ国に約4,700のフランチャイジーを持ち、本社とフランチャイジーを合計した売上は、2001年度で5,870万ドルに上る世界最大のフィットネス団体です。私も2年前からジャズザサイズをはじめており、これによって心と身体のバランスが非常に良くなり、10パウンド(4.5㎏)ぐらいの余分な体重と脂肪が徐々に落ちて、今は筋肉強化の段階に入りつつあります(日本のジャズザサイズの情報)。
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私が最近実感するのは、このジャズザサイズの仕組みが日本のお茶やお花のお稽古事に非常によく似ているということです。インストラクターは、本社での資格試験(免許皆伝)をパスした後は、オーナーとして自分のクラスを開き、本社指導の全国共通のプロモーション活動を実施しつつ、ほとんどはオーナー管理の元で生徒募集などの地道なマーケティングを展開していきます。年に何回か開催されるジャズザサイズのコンベンションは、生徒とインストラクターが泊りがけで参加して、実際に家元一家(創業者Missettや娘)に会い、ジャズザサイズのコーポレート・アンブレラのもとで、みんながその流儀を堪能する楽しいイベントです(私が参加する11月22日から24日のSFのコンベンションは、1,500名ぐらいの参加者が予定されています)。また地域に密着しているインストラクター独自のイベントやパーティなどもあり、クラスマネージャー(生徒)が、ボランティアリーにクラスをサポートするコミュニティに根付いたフランチャイジービジネスです。このアメリカ版の合理的な家元制度とも言うべき組織運営は、ビジネス以上の強い絆を生徒とインストラクターの間に芽生えさせ(師匠と弟子関係)、周囲の後押しによって自然発生的に優秀な生徒が次なるインストラクターへの道を目指す、そんな風景が見られます。

私のジャズザサイズライフ
私の通うジャズザサイズのクラスは、私のお師匠さん(インストラクター)も含めて、生徒たちもシリコンバレーらしく個性的です。インストラクターのジェシカは、私と同い年の46歳、NASAで「宇宙の無重力空間における生物の生命創造」を研究する博士(Ph.D)で、世界中を講演やコンファレンス出席のために飛び回っています。この忙しい彼女をサポートするアシスタント・インストラクターは、親子2代のインストラクターで看護婦資格を取ろうとして実地や勉強に励む25歳のエミリー。ベビーブーマー世代とジェネレーションX世代の2人のインストラクターのコンビネーションで、クロスオーバーした個性と体力で私たちを指導しています。実際にジェシカの時は、わりと緩やかなワークアウト、エミリーのクラスになると私自身目の色を変えて、25歳の彼女の激しい動きに挑戦すべく、異常に張り切ってエクササイズしています。
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クラスメイトは、前述のSFの「Fat and Short」には抵触するはずがないくらいに、バリエーションに富んでいます。ソフトウエアのエンジニア、テレコミュニケーションのセールス、不動産、都市開発研究のドイツ人博士(Ph.D)、ローティーンのインド系の姉妹、大学に通いながら2人の子供を育てるシングルマザー、私と同じ年で2人の孫を持つ事務職、65歳のフリーランスの校正のプロなど、数え上げたらきりがないほどの年齢、性別、職業、人種、もちろんさまざまな体型のクラスメイツが、各々のペースで楽しく身体を動かしています。

野生に戻る私
私は月曜日から木曜日までの夕方6時から4時の1時間、特別な仕事やミーティングを除いて、必ずジャズザサイズに出かけるようにしています。ここで過ごす1時間は、私にとってインストラクターのジェシカがいう「Appreciate your body」という、自分の身体をいとおしむための大切な時間です。朝の5時半からコンピュータの前でタイプを打ち続けている私にとって、音楽に合わせて飛び跳ねながら、自分の気持ちを身体で表現することは、本当に大きな気分転換となります。またパンチングやキックのような攻撃的な運動もメニューに入っており、そうした動作を繰り返しながら、自分の内面にある「強さへの憧れ」を発見して、驚くこともしばしばあります。また動物的な叫び声を瞬間的に上げて、大きく酸素を身体に送り込むなど、肉体の限界に挑戦することによって私の野生が大いに刺激され、終わった後の解放感はすばらしいものがあります。

子供の頃、母に少なくともお花とお茶ぐらいは習っておいた方が良いと言われながらも、モダンバレエと書道(一応免状取得)へ走ってしまった私は、今はアメリカ版のお稽古事「ジャズザサイズ」で、毎日1回野生に戻りながら、地元コミュニティとの付き合いを深めています。周囲から強くインストラクターになることをすすめられている私が、日本出張で2週間留守にするとクラスメイトから最前列に私がいなくて困ったと苦情が出るほど、熱い期待を受けています。将来インストラクター資格試験を最高齢でパスして、資格獲得の記録へ挑もうかな? なんて真剣に考えながら毎日踊っています。

コロナ禍でのアメリカ生活②「Instant Gratification(瞬間的な満足・報酬)にはさよならしよう」

3/25/2020

 
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日々刻々と変化するアメリカの生活環境の制限の中で、自分がどんな風に暮らしているかを、思いつくままに書いてみる。

トイレットペーパー1個の喜び
​今朝は満を持して、夫と暗いうちに家を出て、7時開店の近所のローカルのマーケットHarmonsに行ったが、またしてもトイレットペーパーはなかった。次に開店していたHome Depotに寄ったが、ここも当然のごとく在庫はなく、いつ入荷されるか分からないというつれない返事。夫が、小さなガスステーションのマーケットにはあるかもしれない言うので行ってみると、最初目に入らなかったが、最後の1つのペーパーロールが、棚の下に隠れるようにちょこんと座っていた。私は思わず「やった!」と心の中で叫び、隣りにあったティッシュペーパーの箱を2個(4個取りたかったが、自己中心な行為が品不足を生むと自分に言い聞かせて2個にした)獲得して、レジに行き、キャッシャーが「あなたラッキーね」とペーパーゲットを褒めてくれた。実に2週間ぶりのペーパー購入で、私は夫にハイタッチするほど興奮した(これで我が家の在庫は、ロールは8個でティッシュペーパーの箱は12個)。夫に「我が家はウォシュレットがあるんだから、ドライヤーボタンを使って乾燥させれば、ペーパー使用を大幅に削減できる」と言われ、「はい、ごもっとも」と答えて、次にいつ確保できるか分からないペーパーへの想いを断ち切った。
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スプリント的な思考からマラソン的な思考へ
私は中学時代は陸上競技の選手で、都大会に選ばれて、当時の国立競技場で開催されたNHK放送陸上に、砲丸投げと400mリレー(第1走者)で出場した。砲丸投げでは都大会6位に入賞したことは今でも誇らしい(周囲の選手はみんな大きな女子達で、私1人が千代の富士みたいに小柄で軽量だったけど、後ろ向きのポーズから身体を1回転させるフォームで、調子がいい時には10m以上を飛ばした)。ハードル、3段飛び、幅跳びなども得意で、三種競技B (100m-走幅跳-砲丸投)にも出場している。今朝思ったことは、今回のコロナ禍は、私の好きな短時間で勝負のつく、スプリント的な思考回路では克服できないという点。
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中学時代の私の唯一の長距離レース経験は、野山を駆け巡ったクロスカントリーレース。クロスカントリーでは、通常のフィールドとは異なり、思いもよらない山道の中で、小石、小枝、ちょっとした小川などを飛び越えて、走り続けた記憶がある。次に何が来るか分からないけど、クロスカントリーもしっかりしたペース配分が必要で、それがないと、最後は脚が前にでなくなる。
コロナ禍の生活で、必要なことは、日々の生活の仕方とスピードを、スプリント的な思考から、マラソン的な長距離思考に切り替えること。この切り替えが出来ないと、まず最初に心が弱くなり、ずるずるとペースが落ちて、最後は脚が出なくなる。
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Instant Gratification(瞬間的な満足・報酬)にはさよならを告げよう
Millennial & Gen Zといったデジタルネイティブに限らず、私達もすっかり「Instant Gratification(瞬間的な満足・報酬)」に慣れてしまい、今直ぐ全てを手に入れないと、我慢できない気持になっている。でも、このコロナ禍では、その気持ちや欲求を捨て去り、まず色んなことを辛抱する気持ちと時間が必要となる。長い距離を走る以上、これはとっても大切なことで、100m走みたいにスタートダッシュで息を止めている間に、勝負がつくものではない。まずは、自分のペースを見つけて、それを生活の中に上手く配分して、自分がこのペースならば長く継続できて、尚且つ、それなりに快適だというリズムを確立することが重要だと思う。また自分よりもっと困っている人達がいることを常に考えて、「Me first」ではなく「他の人ファースト」の気持ちを持って行動し始めるべきだと思う。
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PS: 因みに最初のメダルの写真は、当時の東京都知事の東龍太郎さんから、体育優良生徒として表彰された時のもの(中学校の校庭で全校生徒の前で、校長先生から授与された)。2番目の4つのメダルの写真は、小さな競技会で入賞した時のメダル。こういうのを見ると走りたくなる!

コロナ禍でのアメリカ生活①「他の人ファースト」の気持ちをまず持とうよ」

3/23/2020

 
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日々刻々と変化するアメリカの生活環境の制限の中で、自分がどんな風に暮らしているかを、思いつくままに書いてみる。
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Jazzercise(通称ひさみの朝稽古)の休止
今朝の私の最も重い決断は、毎日行くJazzercise(通称ひさみの朝稽古)を今週から休止して、自主トレに変更したことである。私が通うJazzerciseのクラスは、通常はインストラクターを入れて5-7名ぐらいの少人数で、バレエスタジオの1室を借り切って実施している。Utah州では現在10名以下の集会を停止するよう求めているが、このクラスは10名以下で、スタジオでの各自のポジションは2-3 mぐらいの距離があり、インストラクターは、生徒が1人でも通う限りクラスは続けると言っている。
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すでに1週間ぐらい前から、Social distancing(少なくとも2 mは相手との距離を持つ:remaining out of congregate settings, avoiding mass gatherings, and maintaining distance (approximately 6 feet or 2 meters) from others when possible”)を考慮して、クラスを休んでいる生徒もあり、私も米国の感染者数急増を考慮すると、個人としての責任もあり、クラスに行くことを断念した。朝稽古のこの1時間が私の心と身体の解放につながり、非常に重要だけれども、この状況下では、自主トレーニングに切り替えるしかない。幸い、広大な自然の中に住んでいるので、周囲を歩く、自転車に乗る、さらに自宅のあるコミュニティには温水の屋外プールがあり、誰も泳いでいないので、1人で泳ぐことに決めた。今日はあいにく雨降りで、また通常は82度F(27.8度C)の温水プールが故障らしく70度F(21.1度C)しかなので、自宅の室内でウエイトでもやるしかないという状況である。

データで見る米国のコロナ禍の急増
米国は昨日(3/22)の時点で感染者数は3万5,075人、新たな感染者数1,529人、新たな死者39人、合計458人が亡くなっている。毎朝、私はこのデータサイトで、国別のコロナ禍の数字をチェックしているが、米国が日々各国を追い抜いて上位に上がり、現在はイタリアに次いで3番目となっている。イタリアの感染者数は5万9,138人で、死者は5,476人と、兎に角死者数が半端ではないが、死者数ともかく、イタリアの感染者数は、米国が追いつく射程距離内に入ってきていると思う。

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因みに3/20にチェックした時のデータが以下で、米国の感染者数は1万6,067人で、上位には中国、イタリア、スペイン、イラン、ドイツがいて、米国は5番目に感染者数の多い国だったが、2日間で一気に3番目に浮上している。
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テレワークが出来ない勤労者のコロナ禍疲れ
この急激な感染者数増加は、検査数増加と自覚症状のない感染者のフィジカリーに動き回るソーシャルな行動によって拡大しており、数字は今後もどんどん上がると思う。昨日夫と2人で恒例の日曜日の1週間分の食料品の買い出しに出かけたが、マーケットは開店時間を短縮し、シニア向けの特別な優待時間(開店の最初の1時間はシニアのみ)、キャッシャーと顧客の間に透明の仕切りを構築、顧客持ち込みのusable bagの禁止(店の備え付けの紙袋のみ)など、様々な対応を図っている。キャッシャーの顔に見るストレス(自身が感染するかもしれない不安)などを見ると、現在一番心配なのは、医療従事者や従事者の防護機材不足、さらにメンタル面での疲労が真っ先に浮かぶ。
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米国が最も恐れるのは「コロナ禍による米国のイタリア化現象」
以下のOECDのグラフは、米国が最も恐れるのは「コロナ禍による米国のイタリア化現象」への1つの要因となるデータである。
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この国別の1000人当たりのベット数比較(2016年のデータ)で、日本はベッド数では13.1とトップで、イタリアは3.2、米国は2.8と非常に少ない。もうすでに、医療従事者に及び関連のコロナ禍に現場で立ち向かっている人達は、収容能力や機材不足で悲鳴をあげており、このデータが示唆するように、もしイタリアのように急激なコロナ禍拡大になると、医療現場はとんでもない状況に陥る。
以下のグラフは同じくOECDによるデータである。
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このイタリアが陥った急激なカーブを、何とか緩やかにすべく、米国は今必死に政府・州行政がコロナ禍に介入し、市民に多くの制限を課しているが、この急カーブが、どのくらい緩かに、いつ管理出来るかが、ポイントだと思う。多分ここ2-3週間が正念場で、流石のTrump政権も、あれだけコロナ禍を軽視し放置していたにも拘わらず、株価の暴落&景気後退突入という、自分の再選への赤信号が点り、急激な政府介入をせざるを得ない状況に追い込まれている。
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市民として責任
個人が出来ることは限られている。テレワークが出来る環境の勤労者は、実際は僅かで多くの米国の勤労者は、実際にオンサイトに行く業務が多い。レストラン業界、特にMom & popの小さなレストランを中心に、お客のチップで生活を支えていたような人達は、一気に失業、休業、倒産となっている。私が住むSt Georgeもレストラン営業停止となり、レストラン休業で職を失った人達を助けるために、の近所のレストランXterra が、地元のレストラン業界を救済するためのセンターを立ち上げて、寄付金募集が始まった。我が家もまずそこに寄付をして、少しでも、最も被害にあう人達を助けることから始めた。寄付金は、レストラン営業停止に伴い、サプライヤーの無駄になる製品を買い上げるなど、何とか小さなレストランの救済を図ろうとしている。現在目標は15,000ドルで、私達が寄付した後、1時間で14,610ドルまで増えている。

「他の人ファースト」の気持ちをまず持とうよ
物流がまだ機能している時に、最も困るのが不安にかられた人達が、自宅に製品をストックし始める「自分ファースト」の行為。最も影響や被害を受ける人を最優先にして「他の人ファースト」の気持ちを持てば、棚から何週間もトイレットペーパーが消えるなんて、馬鹿げたことは起きないと思う。すでに我が家では、過去2週間トイレットペーパーが購入できず、我が家のペーパーロールはあと7個となり、夫はティッシュペーパーをトイレで使用することに切り替えた。あまり重要視はしていないが、どこまで我が家のペーパーが持ち、いつペーパー危機が解除されるかを、意外と客観的に見つめている。


Yes, Yes, NOMO! 私とベースボール2001年4月4日の私の想い

3/21/2020

 
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今日は私が、19年前に書いたコラム「Yes, Yes, NOMO! 私とベースボール」をアップロードします。このコラムは、2003年発行の私の初の書籍『ひさみをめぐる冒険―サンフランシスコで暮らす楽しみ "It's an Adventure -  Hisami Lives America" 』に掲載されたものです。週末ひょんなことからYouTubeで『大リーガー 野茂ー NHKスペシャル 1995年放送』というヴィデオを見て、同じ年に米国移住して来て、思いもよらない様々な困難の中でもがき苦しんでいた私が、メジャーリーグにデビューした野茂に、どれだけ勇気づけられたかを綴っています。手元にこの書籍の電子ファイルの原稿がなかったので、ハードカバーの本を見ながら、タイプを打ち直し、不覚にも涙がこぼれました。3年前に亡くなった母は、この書籍を読んで「一言も言わなかったけど、ひさみはこんなに苦労したのね」と涙ながらに私に感想を語ってくれたことも、思い出の1つです。表紙の写真はゴールデンゲイトの裏側の崖に落ちそうになりながら、プロのカメラマンに撮影してもらいました。

野茂との再会
私とメジャーリーグ・ベースボールの最初の出会いは、野茂がデビューした1995年に遡ります。そのユニークな投法と実力で多くの話題を提供し一躍ブームを作った野茂は、その後ロスアンジェルス(LA)ドジャースから移籍した後は低迷を続けていました。以下のEmailは、そんな野茂の復活に興奮して2001年4月4日、日本の友人に宛てたものです。

ノーヒットノーランで飾った野茂の復活
今、ESPNのTVとウェブを見終わり、やはりこれは野茂に刺激され、ここUSで同じように6年間がんばってきた大柴ひさみとしては報告せねばと思い、Emailしています。すでに速報が入っていると思いますが、野茂がボストン・レッドソックスでのデビュー戦をノーヒット・ノーランで飾りました。これは歴史的な出来事で、彼はメジャーリーグ史上リーグ最速(シーズン開始後最も早い時期4月4日、以前の記録を3日早めた)でノーヒット試合を達成しました。さらに2リーグにまたがるノーヒット投手として、ノーラン・ライアン、サイ・ヤング、ジム・バニングという球史に残る名投手に続く史上4番目の席を手に入れました。またボストンのカムデンヤーズ球場に、最初のノーヒット・ノーランゲームをもたらすという数々の記録を、今日達成しました。私がなぜこんなに喜んでいるかというと、ESPNのアナウンサーが「だからベースボールは面白い。過去3年間苦しんでいた偉大な投手野茂が、移籍したデビュー戦でこんなエキサイティングなピッチングをする。毎日さまざまなドラマが、たくさんの球場でうまれるんだ」という興奮したコメントを聞いたからです。このアナウンサーの声と表情には、外国人プレイヤーを特別視せずひとりのメジャーリーガーとしてきちんと尊敬している態度がにじみ出ており、野茂以上に彼の新鮮な意見がとても嬉しく思えました。

1995年、野茂と私がアメリカに来た年
野茂がメジャーリーグにデビューした1995年、私も38歳でアメリカにやってきました。現在サンフランシスコ(SF)のランドマークとして有名なジャイアンツのホーム球場のパックベルパークの建設以前で、ジャイアンツが、SFから少し南に下った強風で有名なキャンドルスティックパークでプレーしていた頃です。ベースボールファンの夫に連れられて早速メジャーリーグ初観戦。当日は、何とマッシー村上(最初の日本人メジャーリーガー)の記念試合で「SFジャイアンツ対LAドジャーズ」、さらに先発が野茂というまさに絵に描いたようなお膳立てした。私は、試合前の国歌斉唱の時にマウンド上に立つ着物姿のクラシックのソプラノ歌手を見て驚き、彼女が「星条旗よ永遠なれ」を歌い始めてこの着物と米国国歌の不思議な組み合わせに、アメリカに住む自分の姿を見たような奇妙な感覚を覚えました。その後村上さんによる始球式、さらに審判のプレイボールの声の後に登場した野茂の投球を見て、私の奇妙な興奮のボルテージは上がりっぱなしとなりました。
​
メジャーで成功した野茂に続け
試合は、トルネードの威力そのままにドジャーズが勝ち、通常ドジャーズに異常な敵愾心を燃やす地元ジャイアンツファンも(この関係は昔の巨人・阪神戦みたいな関係です)、野茂の魅力にかなり参っていたのを覚えています。まだアメリカに来たばかりで英語や文化習慣に戸惑っていた私は、試合終了後「野茂みたいに絶対にがんばって、アメリカのビジネスのメジャーリーグで成功するぞ」と心に誓ったものです(ファンレーターをドジャーズ宛てに出して、球団の広報から必ずこの手紙は野茂に渡すという返事が来ました。彼は読んだのかしら??)。野茂はその年新人賞を獲得し、1997年メジャーリーグ史上最速の500三振を達成するなど小さな子供でも「NOMO」の名前を知っているといわれるぐらいに、超有名プレーヤーとなりました。彼の持つ力は、日本人であるモノ珍しさを超えてメジャーリーグの実力のある投手として評価されており、そこが当時の私を大いに勇気付けてくれたものです。

一朝一夕でメジャーリーグでの成功はありえない
今回の復活ともいうべきこのノーヒット試合も6年間山あり谷ありの中、野茂が黙々とここアメリカで投げ続けた結果だと思います。1996年のノーヒット」試合がフロック(運が良かった)とはもちろんいいませんが、今日の試合の重みはそれ以上です。試合後のいつにもまして無表情で淡々とした彼の表情には「あたりまえだよ。しっかりキャンプで準備してきたんだから」といっているような、ホンモノの余裕を感じさせるものがありました。猫の背伸びみたいなトルネード投法も、個性を尊ぶアメリカでは大いに人気を博し、野茂の無駄口をたたかない「Zen Likeな態度(禅のような・神秘的な)」は、今年大いにべースボールファンを楽しませてくれることを予感します。

底知れぬ不安感と暮らしていた当時の私(2002年11月6日)
このEmailを読み終わって、どれだけ米国移住当時の私が外国生活そのもののプレッシャーの中で生活していたのかを実感しました。もし1995年野茂がメジャーに来て活躍しなければ、独立して自分のビジネスをはじめるというチャレンジングな発想も生まれなかったかもしれない、ふっとそんな思いもよぎります。自分と野茂を等身大ではかるのはおこがましいかもしれません。ただ米国移住当時の私は16年間日本でビジネスをやってきた人間としての自負はあったものの、それを本当に異国の地で活かせるのだろうかという底知れぬ不安感に、常にさいなまれていたような気がします。彼のドジャーズ移籍後の不振も、自ら就職やビジネスがままならなかった頃と重なり、彼がそれをプロとしてひとつひとつ克服してきた姿に、本当に勇気付けられました。

日本人云々という気負いが抜けた時
その後米国生活に慣れるに従い、ビジネス上での日本人云々という気負いが徐々になくなり、知らぬ間にベースボールの見方も日本人に注目する態度から、地元のチームを応援する熱心なベースボールファンというふうに変化してきました。その間イチローの大活躍、新庄のSFジャイアンツへの移籍など、いろいろな日本人選手の活躍もありましたが、今はひたすら地元ジャイアンツがワールドシリーズに出られることを夢見ています。先日もパックベルパークに日本からの知人を連れていった時に、間違って車でマスメディア用のゲイトに入ってしまい、ちょうど監督のダスティ・ベイカーが球場入りするところに遭遇しました。ダスティのファンである私は、思わず彼に声を掛けて気軽な立ち話を彼とする機会を得ました。あまりにも大胆で自然な私の態度に驚いた知人は、彼を個人的に知っているのか?と聞く始末で、特に個人的に知らないけど、彼はとってもフランクに答えてくれたよと返事をしたら、知人の目は点になっていました。

ベースボールの中に、アメリカの家族のあり方を見る
ベースボールは、他のプロスポーツと異なり家族で楽しむスポーツとして、アメリカ人のライフスタイルを代表しているような気がします。ボールパーク(球場)では、おじいちゃんやおばあちゃんが、孫や子供と一緒にグラブを片手にスコアボードをつけながらゲームを楽しんでいる光景を多く見かけます。またチームが深く地元のコミュニティとつながっているので、地元ファンへのサービスや優遇制度、チャリティ活動への貢献など、チームは地元と一体化するためのイベントをたくさん行っています。9月28日ジャイアンツがナショナルリーグのプレイオフ出場の資格を獲得した日、バットボーイとして働いていたダスティの息子は、まだ4歳ぐらいで、バットの長さと同じ位の身長でよろよろしながらバットをダックアウトに運んでいました。ダスティは、試合終了後その小さな息子を抱き上げて、お祝いのシャンペンがけのパーティルームへ入っていきました。こういう光景は、とても攻撃的なフットボールやバスケットボールの世界では考えられないものです。

​私がベースボールを好きな理由はそこにあります。ホットドッグをほおばりながらベイの潮風に吹かれて、ファンとプレイヤーをさえぎるフェンスがほとんどないボールパークで地元チームを応援する。この良さは、アメリカ生活の醍醐味です。ダスティと自然に会話ができた理由は、ここにあるような気がします。

アメリカに税金払えよ、Silicon Six!

3/19/2020

 
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Trump政権はコロナ禍がトリガーとなり、米国株式市場を含めて世界の経済ががたつき、結果米国政府は、1兆ドルの緊急経済対策予算の一環として、来週以降5,000億ドルを米国納税者に還元し、3,000億ドルをスモールビジネスに投下するため、今議会と調整中である。

私が以前から物凄く嫌な気分になるのは、うちみたいなナノサイズの小さな企業(JaM Japan Marketing LLC)でも、過去20年間きちんと毎年納税している。それに反して、海外に拠点を設けて、徹底して租税回避をし続ける巨大企業、例えば「Silicon Six (Amazon, Apple, Facebook, Google, Microsoft, and Netflix)」みたいな企業が、過去2010年から2019年の間、本来払うべき金額1,553億ドルを節税しているという事実(この6社に限らず、多くの米国大企業がTax havenのような場所にHQを設置して、税金逃れを徹底して行っている)。

この金額が米国に納税されていれば、また今後納税されれば、どれだけ税収入が潤うか? 巨大企業はロビイストに莫大なお金を投下して、税金逃れの抜け穴を作り、そこで莫大な金額を節税し続けている。これをフィックスすることは、非常に重要で、こうした国の危機に陥った時、富の格差位以上に、納税格差に関して、憤りを感じる。1兆ドルの経済対策予算だって、私達が毎年きちんと払い続けている税金を使うわけであり、いつまでこうした大企業の税金逃れの抜け穴を、放置しておくのか? 強い疑問と不信感を感じる。
​

Silicon Sixに限らず、これらのテック企業は如何に私達個人の情報を吸い上げてそれを元に商売しているのかと思うと、彼らの租税回避行為に無性に腹が立つ。Amazonは、2018年110億ドル以上のProfitをあげて、1億2,900万ドルの税金のリベートを連邦政府からもらっている(税金を政府に払うのではなく、政府から戻し減税されている)。
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この数式はどう考えても、おかしいし、理屈に合わない。
​

コロナ禍によって、我々がSocial distancingを余儀なくされて、簡単にリアル店舗に行けなくなった現状からすると、如何にAmazonが便利でもなるべく使わないようにすべきだと思う。
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コロナ禍は、私達に、社会、経済、ヘルスシステム、企業の在り方、働き方、教育の仕方、買い物やコミュニケーションの仕方など、20世紀の鋳型にはまって硬直していたステレオタイプな常識を壊して、21世紀に移行するための重要な契機となると思う。

【オンラインセミナー】須藤憲司×大柴ひさみ「DX戦略の中核となる消費者インサイト最新レポート」

3/16/2020

 
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いま、世界中の企業がアフターコロナを見据え「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を実現するために様々な業務プロセスの見直しを始めています。特に求められているのが、デジタルによって世界中で発生している消費者動向の変化の先を見据えた上で、事業の方向性を考え直すことです。

来るDX時代に向けて、企業はどんな戦略を描けばいいのでしょうか?

本イベントでは、米国にて消費者トレンドを追い続けているマーケティングの第一人者である大柴ひさみさんとKaizen Platform代表の須藤憲司さんが、デジタルによって世界中で起きた消費者動向など、最新事例を元にDX時代のマーケティング戦略の根幹となるトレンドを徹底解説します。
※本イベントはzoom使用のオンラインイベントとなります。

◎開催概要
・日程:2020年3月19日(木)
・時間:18:00~20:00
・費用:無料

◎応募資格
・zoomが使用できる方(使用方法のサポートは弊社では行っておりません)

◎開催方法
・zoomを利用します。
当日に使用するルームのURLについてはお申し込みいただいた方に対し、前日までにメールにてお送りさせていただきます。
どうぞメッセージをお見逃しないようにお願いいたします。

◎当日の内容(予定)

①大柴さんの講演(60分)
タイトル:「米国マーケティング&コミュニケーション最新動向:米国人口の半分を占めるMillennials & Gen Zが牽引する新たな価値観と消費者行動」
②大柴さんと須藤さんのディスカッション。モデレーター:NewsPicks佐々木(30分)
③QAセッション(30分)

◎こんな人にオススメ
・これから自社のDXについて考えていく必要のある責任者、担当者のみなさま
・デジタルのトレンドについて理解しておく必要のあるマーケティング責任者、担当者のみなさま
・DXやデジタルマーケティングに関わる代理店、ベンダーのみなさま

◎応募締切
2020年3月18日(水)

◎登壇者プロフィール
大柴ひさみ JaM Japan Marketing LLC 同創設者&マネージングメンバー
サンフランシスコ・シリコンバレーを拠点に、日本企業の米国市場向けの製品開発やマーケティング戦略の開発実施、 市場消費者調査を提供。16年間の電通Y&R勤務後、1995年米国移住、1998年JaMを設立。クロスカルチャーなナレッジを基にした「リアルな米国マーケティング事情Insight」は高い評価を受けている。著書にはひつじ書房刊『ひさみをめぐる冒険』、東急エージェンシー刊『YouTube時代の大統領選挙米国在住マーケターが見た、700日のオバマキャンペーン・ドキュメント』がある。

須藤 憲司 株式会社 Kaizen Platform Co-founder & CEO
2003年に早稲田大学を卒業後、株式会社リクルートに入社。同社のマーケティング部門、新規事業開発部門を経て、株式会社リクルートマーケティングパートナーズ執行役員として活躍。その後、2013年にKaizen Platform, Inc.を米国で創業。
現在は日本、US、韓国、台湾の4拠点で事業を展開。WebサービスやモバイルのUI改善する「Kaizen Platform」、動画広告改善の「Kaizen Ad」、世界40ヶ国10000人以上のネット専門人材ネットワークからクラウド上で企業のデジタルマーケティングチームを提供する「Kaizen team for X」を提供。

◎NewsPicks × Kaizen Platform「DX人材養成講座」6月より開講予定

DXとは何かといった基礎知識から、具体的なDX計画の策定方法、企業のDX戦略事例までを完全網羅。
DXの専門家Kaizen PlatformのCEO 須藤憲司氏が講師を務める、次の日から一流のDX人材になるための全6回講座が2020年6⽉よりスタート。
詳細はこちら。
https://go.kaizenplatform.com/dx_ncs.html

◎下記の個人情報保護指針に同意した上で、お申し込みください。
<個人情報の取り扱いについて>
申込時にご記入いただくアンケートに含まれる個人情報については、イベントを主催するNewsPicksが以下の個人情報保護方針にもとづき管理いたします。

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個人情報に関するお問い合わせ先:privacy@uzabase.com

トイレットペーパー怖い:the Toilet Paper Scare of ‘73

3/16/2020

 
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日曜日の朝いつものように、夫と一週間分の食料の買いだしに近所のスーパーマーケットに出かけて、驚愕した。
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冗談のように、トイレットペーパーが棚から完全になくなっていた。
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勿論政府による緊急宣言がだされ、欧州から米国への渡航は禁止され、州によってすでに集会禁止のみならず、レストランやパブといったビジネスも一時停止となり、学校の休校、教会・テーマパーク・コンサート・映画館などへ行くことも禁止されている。但し、食品や日用品の物資輸送などに支障はなく、十分確保されているにも拘らず、トイレットペーパーのみが、あっという間に消失してしまった。

スーパーマーケットの店員にこの件を確認すると、今日は午前6時の開店前から多く人達がトイレットペーパーのために並んでいたという。マーケットは、1人につき2パックという限定付きで、ペーパーを通常の棚ではなく、ビジネスセンターで販売して、あっと言う間になくなったという。

なぜ危機に陥るとこの現象が洋の東西に関わらず起きるのか?コロナ禍によって、ナーバスとなった人々は、普段より不安となり、よりトイレに行きたくなるのか? コロナであろうが何であろうが、通常人々の用足しの回数は、そんなに違いはないはずなのだが...
​

夫によると米国の都市伝説では、1970年代オイルショックの時、TVの人気ホストJohnny Carsonが、ジョークでペーパーがなくなると言ったら(実際はそんなことはなかったが)、全米の人が翌日買いに走り、本当になくなった、という歴史がある。
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当時、彼はアメリカの顔と言ってもいいぐらいに絶大な人気を誇り、The Tonight Show Starring Johnny Carsonは、1962年から1992年まで30年間続いた国民的人気番組であった。
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丁度日本でのトイレットペーパー騒ぎが米国に報道された後、1973年12月19日、彼は “You know, we’ve got all sorts of shortages these days. But have you heard the latest? I’m not kidding. I saw it in the papers. There’s an acute shortage of…of toilet paper!” と、番組でジョークを飛ばした。これによって、10年間で2回のオイルショックを受けて、不安な気持ちに駆られていた米国消費者が、米国中のスーパーに駆け込み、棚からペーパーは一気になくなってしまった。

彼の当時の影響力の凄さを表す事例であるが、それ以上に人間が、如何に危機的な状況下で不安にさらされると、発作的に非論理的な行動に突き進むかを如実に示している。流言飛語に踊らされた集団行為によって、加速度的なペーパーの大量購入が始まり、結果製造が追いつかなくなり、人々はますます恐慌状態を起こしてしまう。

私がこうした一連の流れを見ていて、一番恐れるのは、「人間の心理とは、かくも簡単に操作される」という点である。施政者は、これを使ってもっと酷い恣意的なことをさせるチカラを持つ。冷静になれと言ってもなれない人は多いが、この集団行動に走ることだけは、避ける気構えが欲しい。
​

我が家のペーパーは現在12個しかないが、夫も私もパニックにはなっておらず、12個でいつまで持ちこたえられるか、検証してみたい。
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    大柴ひさみ

    日米両国でビジネス・マーケティング活動を、マーケターとして、消費­者として実践してきた大柴ひさみが語る「リアルな米国ビジネス&マーケティングのInsight」

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