ひさみをめぐる冒険
  • BLOG
  • About
  • Contact

ひさみをめぐる冒険
サンフランシスコ・シリコンバレー在住マーケターのINSIGHT(洞察)



あつーい、あつーい、日本の夏

8/26/2005

 
あつーい、あつーいと、思わず泣きたくなるほど、日本の蒸し暑さに悲鳴を上げています。

「台風おばさん・ひさみ」と呼ばれる私は、今回も2つの台風とともに成田に上陸し、みんなの期待を裏切らずに、「嵐」を巻き起こしました。日本入りの翌々 日は、台風一過のもの凄い暑さ。台風が来る直前と通過している最中の雨模様は、それに比べれば涼しくて、台風がよいのかお天気の方がよいのか、何とも言え ない「東京的矛盾の夏」を実感しています。

週末は実家のかつての自室でクーラーをつけっぱなしにして、1歩も外に出ずに「ひきこもり状態」となっています。ひたすらPresentation資料作 成にフォーカスして、夕方の外出まで、体力を温存しています。夕方の外出、すなわち近所のスーパーマーケットに買い物に行くだけですが、私にとっては大変 な勇気を必要とします。つくづく、こうした亜熱帯気候のHeat Islandの東京に暮らす人たちに、改めて脱帽の気分です。

汗をかくことを忘れている私にとって、セミの声が鳴り響き、肩や足を蚊にさされた状態で、コンピュータに向かうのは、拷問に等しい辛さです(私はすっかり サンフランシスコ・ベイエリアの気候にスポイルされています)。アメリカでは聞く機会が全くない、このセミの声は、私にとって、日本の暑さの象徴として、 これでもかとばかり泣き叫んでいる、そんな風に聞こえます。芭蕉の俳句、「静かさや岩にしみいるセミの声」の風情もヘチマも、私のような「蒸し暑さ恐怖 症」の人間には、あったものではありません。ベランダで洗濯物を干していた母は、このセミが腕に2回も止まったとして、自分はセミに枯れ木と思われたらし いと悩んでいますし、東京で生き抜くセミたちの現実は厳しいモノがあると思います。

「クールビズの次はウォームビズ」(これって厚着の提唱ですよね?)

暑さの真っ盛り、「クールビズ」も大分浸透して、省資源に貢献できているということで、今年の冬は「ウォームビズ」ということです。しかし、政府主導で 「夏の薄着・冬の厚着」という衣服の着方を、国民に提唱する国なんて、聞いたことがありません。官主導の手取り足取り路線が、こんなところに出てくるの は、日本という社会の仕組みを良く表している、そんな気がします。「個人としての自立と尊重」を重要視するアメリカで、この「ビズ・ビズ・ルック」の提唱 なんか出されたら、みんな目をマルくして、何をバカなことを言っているのか、といって無視されるのが落ちです。

しかし、クールビズに期待して来日した私にとって、街中でもっとアロハシャツとかカジュアルでおしゃれな格好が見られるかと思いきや、ただネックタイをは ずしただけの感じの人が多いのには、がっかりです。もっと、みんながきれいで涼しげな色や柄のシャツや、おしゃれなスポーツコートなどを着ていれば、街全 体がカラフルになり、楽しげな気分が演出されると思います。額に汗を浮かべながら、猛暑の中をダークスーツにタイをしめている多くの男性たちを見ると、思 わず「お気の毒さまです」という気分になります。逆にそういったスタイルでも暑さを感じさせない端正な人たちもいて、その場合はもちろんOKです。

それでなくてもスモッグで曇った灰色の空や鉛色の東京湾ですし、人が密集していると、髪や眼がダークで夏には重く暑苦しい印象を与える日本では、「クール ビズ」も良いけど、もっと「色気(カラフル)のあるスタイル」にした方がHappyで良いではないかと思わず、ブツブツつぶやいています。

「Suicide Buyer?」現れる

8/18/2005

 
夫がいきなり、「こういうBuyerは”Suicide Buyer”だ、これからはSBと呼ぼう。これは僕のTM(Trade Mark)だ」と言った時には、思わず納得してしまいました。

Suicide Bomber(爆弾を抱えて死を覚悟で爆破を図る人たち)という言葉はありますが、先週末の我が家のHouse HuntingのOffer合戦では、これに近いSuicide Buyer(夫曰く、身体中にとんでもない金額のドル札を巻き付けて、欲しい家に飛び込む人をイメージしていると言っています)が現れ、見事に我が家の Offerは失敗しました。

Sellerの表示価格に対して、12万ドル(=1320万円、110円で換算)、約17.3%上乗せしたOfferを出したBuyerをさしています が、確かに4 Bed Rooms、3 Bathsで、2200スクエアフィートのリビング面積、さらに広いバックヤードとドライブウェイ、2台のガレージという大きな家は、この金額でもかなり のお買い得なので、こうしたSBが現れるのは納得です。うちのRealtorは、この金額でCounter Offerを出すかと聞いてきましたが、もちろん答えは「No」で、そんなクレイジーな札束合戦にうちは入れないと答えました。これは、低い表示金額で、 多くの人の注目を集めて、入札金額をつり上げるというやり方です。

ベイエリアのHouse Huntingは、まさにKilling Field状態で、いろんな戦術で、各自が戦っています。うちのRealtorも、Offerの時に、私たちの写真を撮り、それを私たちの紹介文(趣味や 仕事など)と一緒に出しており、少しでもPersonalizeして、提示金額だけでなくSellerの興味をひくために、いろんな工夫をしています。

毎日のように不動産に関する記事は新聞に出 ており、あたかも不動産バブルがはじけるのを、いろんな人が待っているようですが、うちにとっては切実な問題です。バブルが、はじけようがはじけまいが、 夫がAlamedaですでに働いている以上、そこで住宅購入しなければならず、価格のCool Downを半年や1年待つというのは、ちょっと無理だと思っています。

過去、ベイエリアは不動産バブルで、もうじきはじけると言われて、すでに数年たっており、その間価格の上昇はコンスタントです。待っていた年数だけ、購入 金額は上昇しており、First Buyerにとっては、手が届かない状態になっています。この事実を考えると、待つことがどこまで得策かは大いなる疑問であり、マーケットに入り込むこと が大切で、SBみたいなBuyerが出現する理由は、そこにあります。

米国には広大な土地があり、ベイエリアのような特殊な都市部をのぞけば、いくらでもReasonableな価格で、誰でもQualityのある生活が可能 です。ただ、おのおののライフスタイルは人によってさまざまで、どんな場所でも得られるというものではありません。あえてここベイエリアで暮らしたいとい う人にとって、その選択の対価はかなり高額ですが、それによって得られる満足度がある以上、今後もその対価は支払われていくと思います。

そんなベイエリアに住む私ですが、夫も含めて、非常に幸運な人間だと思います。大好きなセーリングが出来る環境も含めて、ここベイエリアの文化や風土が好 きで、またここで、おのおのの興味関心のある職業を仕事として行えるからです。その大変さや難しさは、あまり深く考えたことがなく、毎日2人とも元気に4 時半に起きて、朝日が昇るのを見ながら、一日をスタートさせています。

「早起きは三文の得」と言いますが、午前4時半では、日本もまだあいているので、メールの答えがぱっぱっと返ってきたり、静かにブログを書けたりして、結構Productiveです。

「木登りブタ」的性格の私

8/18/2005

 
「ブタもおだてれば、木に登る」、この言葉を具体的にイメージすると、かなり笑えますが、昨晩、お世話になっている方に、今月講演する内容のPower Pointを送ったところ、最高のお褒めの言葉を頂き、今朝の気分は「木に登ったブタ」です。

両親は、私のこの「木登りブタ」の性格を良く理解しており、子供の時から非常にうまく私をおだてて、いろんな木に登らせてくれました。現在は、夫がこの私 の「木登りブタ」性格の調教師で、アメリカにある結構高い木(Challengingな状況)を、「キミなら出来る」と言って、励ましながら登らせてくれ ています。

人は「Strength(強み)」を強化することによって、成長・進歩していきます。「Weakness(弱み)」は、直そうとしても直るものではなく、 それを考えている時間は無駄だと思います。ですので、私は通常それを忘れることにしています。アメリカに住んでいて、強く感じるのは、誰もが大抵「この Strengthにフォーカス」しており、「自分の好きなことへの追求」に余念がないという点です。このAttitude(態度・姿勢)の方が、人生が楽 しくなり、時には思いがけないほどの成功が得られるような気がします。

そうです、アメリカには「木に登るブタ」がたくさんいます。また、アメリカにある高い木を目指して、世界中の「木登りブタ」が、この国にやってきます。こんな国は、やはり珍しいと思います。

Happyの二乗効果(Lasik手術1ヶ月の経過)

8/14/2005

 
昨日は、Lasik手術(視力矯正手術)の1ヶ月めの検診を行ってきました。

私の視力は順調に回復しており、特に問題なしと言うことです。すでにDriver Licenseは、眼鏡使用という項目をはずした新しい免許証が届いており、私は晴れて、近視でも乱視でもない、健常視力をもつ人間になりました(ただ し、レストランのメニューを見るときなど、Reading Glassが必要です=老眼鏡)。

昨日、非常に嬉しかったことは、友人から「私、やったの」という報告を受けたことです。彼女も以前からLasikは考えていましたが、私のブログや話に刺 激されて、すぐに電話して、その日にコンサルテーションを受けて、先週の火曜日にLasik手術を受けたということです。彼女も、いきなり手術後2日目か ら見えるようになり、非常に驚いているということで、2人で大いに、この不思議な体験を語り合って、盛り上がりました。

2人の結論は、あの世界がぼやーんとしている状態って、何だったんだろう?何で、あのファジーな世界に長い間いたんだろう(私の場合30年ぐらいコンタクトレンズを付けて、暮らしていました)?と、早く手術を受けなかったことを不思議に思ったことです。

最近、つくづく実感するのは、「人は、信頼できる身近な人の体験やストーリーに大きく影響される」という点です。また、WOM(Word Of Mouth)は、「誰がそれを語ったか」によって、その影響力に大きな差が出てきます。コミュニティやグループの中にいる、「社交的で、エゴが少なく、バ ランスの良い考えをもち、社会を常に考えて、実際に行動する人」、すなわち米国では10人に1人いると言われる、コミュニティで信頼されている「Influentials」が、人の意志決定や行動に大きな影響を及ぼします。

自分は、この定義にはあてはまりませんが、自分が体験したことを人に伝えて、それによって、その人が行動を起こし、その結果、Happyになったのは、実 に嬉しいことで、私もこれでHappyになりました。このLasikに関するHappyの二乗効果は、今後もっと出てくると思います。

人の運命を思うと、私はなんてラッキーなんだろう!

8/11/2005

 
8月9日のエントリーで、Home Hountingの告白を書きましたが、今朝の新聞では、またしてもサンフランシスコが、年収をベースに考えた場合に、全米で最も住宅が購入しにくい都市の一つだという記事と、全米で最も平均ガソリン価格が高いという記事がサイドバイサイドで並んでいました。思わず、「毎日これじゃ、たまらない」とぼやきが出てしまいました。

高価格の住宅の都市のトップ5は以下です。ベイエリアの都市が3つで、Orange Countyのみが、南のLAエリアですが、すべてカリフォルニア州の都市です。

Orange County
San Jose
Santa Cruz
San Francisco

また、それと反対に最も住宅が購入しやすい都市は以下です。
Lima (Ohio)
Youngstown (Ohio)
Buffalo (NY)
Waterloo (Iowa)

ガソリン価格の全米とベイエリアの比較は以下です。
全米平均: $2.35
California 州:$2.66
San Francisco:$2.71
Oakland:$2.66
San Jose:$2.65

まったく、ガソリンはますます高くなり、住宅価格はバブルだと言われながら毎月高騰し、なぜこんなエリアにいるのかと自問自答しますが、ここを離れてしま うと、2度とここに戻れないという恐怖が引き留めるのかもしれません。他の州に移住すると、物価も安くなりますが、当然住宅価格も低く、いざベイエリアに 戻りたいと思った時に、他の州の住宅売却価格では、ベイエリアに家が買えないという現実があります。ですから、ここにとどまりたい人は、とどまれる限り、 ここにいなければならないということになります。

そんな中で、昨日も夫と今週末のHome Hountingのスケジュールの話をしていましたが、彼の口から、本当に心から彼に感謝したい言葉が出てきました。彼は「今度は小さなタウンで、 Redwood Shoresみたいな郊外住宅じゃないから、日本のママがこっちに来た時に、自転車で買い物やビーチに行けるから、彼女はきっと気に入るよ。3 bedroomsが買えたら、スペースがゆったりするから、ママが気兼ねしないで、好きなだけここにいればいいし、一生ここにいても大丈夫だよ」と、目を 輝かせて話していました。

母は、夫を非常に愛しており、いつも私には1人の娘と2人の息子がいると言っています(私は弟が1人います)。また、母は私が日本に行くと、必ず 「Davidの言うことを良く聞いて、彼のあとをついていきなさい」と言います。私にとって、世界中で最も大切な2人が、お互いのことを常に気遣う、そん な言葉に珍しく、涙腺がゆるんできました。

人の運命とは、本当に不思議なもので、8月15日の終戦記念日のことを考えていて、うちの父が終戦の年に20歳で徴兵されたことを、ふと思い出しました。 父は聴覚に多少不具合があったために、外地に送られず、習志野の陸軍駐屯地で、戦車の操縦士として配属されて、終戦を迎えました。父の兄2人はすでにフィ リピン沖で戦死しており、祖母は父を送り出す時に、耳元で「何があっても絶対に帰ってくると約束してちょうだい」と言って、送り出したそうです。父は、毎 日上官にアタマを蹴飛ばされながら(右折の際には、右側、左折の際には、左側にアタマを蹴られて、戦車は方向転換をしていたそうです)、戦車を運転し、命 が助かりました。耳が悪いというハンディキャップが、第2次世界大戦における、父の命を救い、その後の母との出会いが、私という人間を生み出す結果につな がっています。

「お父さん子」だった私は、17年までに父が亡くなった時に、Unconditinal Love(無条件で私を愛してくれるひと)を失ってしまったと感じ、ものすごい喪失感を味わいましたが、その6年後に夫とめぐり逢い、その喪失感は満たされました。

54歳でシングルとなった母は、良く自分の人生にとって最高のことは「お父さんと結婚して、あんたたち2人を生んで育てたこと」と言います。私も、ロール モデルは?と聞かれると、「両親」と答えます。あんなに一生懸命生きて、お互いに慈しみあい、仲良く暮らしていた夫婦は、ドラマでもみたことがありませ ん。

ロールモデルが「両親」で、メンターが「夫」というラッキーな私は、この過酷なベイエリアで生きていくエネルギーの源がたっぷりあるようです。

「ウマのホネ」

8/10/2005

 
ベイエリア・シリコンバレーの良さは、East Coastと違って、誰もその人の氏素性に関心をもたないことです。これは、私のような外国人にとって、非常に仕事がしやすく、仕事だけに限らず、プライ ベートでも、その人をそのままを受け入れる環境が、住み心地を良くしています。

私のビジネスパートナーは、NYで勤務していた時代もあり、出身地や大学を周囲の人間からよく聞かれ、驚いたと言っています。East Coastのすでに確立された社会では、目に見えない歴然としたクラス(ある種の階級)が存在し、Blue Blood的な何代も続いた家や、そうした家同士のコネクションを重視するという、旧泰然とした概念が残っているようです。

これが、Lands EndのWest Coastに来ると、大きく違ってきます。ゴールドラッシュやAdventureを求めて、あるいは閉ざされた社会を嫌って、この西の果てに来た人たち は、自分自身の才覚を信じ、それによる夢の実現を目指して、努力していきます。ここでは、自分が今見ている相手の実力を検証して、その実力そのものを評価 します。実際に移民や外国人が多いベイエリアでは、出身大学や親の勤務している会社を聞いたところで、誰もそれが良いのか悪いのか判断はつきませんし、そ れを聞く人もいません。

そんな風土のベイエリアで過ごす私ですが、「コンサルタントで成功するにはそれなりの権威が必要だ」という話を耳にして、「うーん」と、うなってしまいま した。私は東京の自由が丘で「大春」という屋号があった果物屋の孫娘(17年までに亡くなった父は自分で新たに店を出して、それをつぶしてしまいました) で、大学は私立の成城大学(専攻はマスコミュニケーションと広告で、ゼミナールの故川上宏教授を心から尊敬しています)。資格といえば、書道の師範の免状 と日米の運転免許証ぐらいしか持っていません。MBAとか何とか多少の権威付けになるようなものは何もなく、その理論からすると成功からほど遠いコンサル タントのようです。

でも、それだったら権威やクラスからほど遠い「どこのウマノホネかわからない」コンサルタントとして、自由にビジネスをしていこうと思っています。この「ウマノホネ」といい方を、「Horse Bone」と勝手に訳して、ビジネスパートナーと一緒にゲラゲラ笑っています。語源は、もちろん中国から来ており、役に立たないものの代表として言われていた言葉「一に鶏肋(けいろく)、二に馬骨」がもとで、

       「鶏肋」:ニワトリの肋骨のことで、小さ過ぎて役に立たない。
       「馬骨」: 役に立たないうえに、大き過ぎ処分にも困る。

これによって、誰にも必要とされず役に立たない者を意味するようになり、それが、さらに、「大人であるが、成長過程や職業がわからない」といった意味でも使われるようになったそうです。

自分自身は、ビジネス・プライベートを通じて、多少でも社会に貢献できていると信じているので、この「ウマノホネ」の役に立たない者という語源には当ては まらないとは思いますが(思いたいです)、「Horse Borne Consultant」なんて英語で言うと、なんだかとってもユーモアがあって面白く、1人でこの言葉を楽しんでいます。

恐怖のHome Hounting(家探し)

8/9/2005

 
とうとう、私もCrazy Marketに足を踏み入れなければならない状態になりました。

そうです、住宅に関しては全米一高いと言われるサンフランシスコ・ベイエリアで、家を購入するという、愚かしく、ストレスフルな行動を取ることになりました。私が今住んでいるエリアは、ベイエリアの中でも、またさらに高いRedwood Shoresですが、夫が長年の夢であったマリン関連業界へのキャリアチェンジを果たしたために、ベイの向こう側East BayにあるAlamedaという小さな島に移ることを決めました。

ここは、NavyやCoast Guardの基地もあり、Oakland Portの一部として、ハーバーやビーチもあるマリン関連エリアで、19世紀末から20世紀前半の建物や住宅が多く残る、こじんまりとした島です。夫の所属するセーリングクラブ(Club Nautique) もあり、私たち夫婦にとってはなじみ深いタウンです。夫はすでに8月1日から働き始めており、毎朝4時半起きで6時には自宅を出て、Alamedaに毎日 通っています(彼の仕事は原則的には7時開始、午後3時終了ですが、時々潮の満ち干も仕事に影響するために、朝6時から仕事が始まる場合もあります)。

おとといの日曜日のサンフランスコ・クロニクル紙の特集は、住宅の異常な高騰を続けるベイエリアから逃げ出した人々の証言でした。彼らは、他の地域で手に入るQualityのある生活のために、生まれ育ったベイエリアを離れています。

確かにここベイエリアで子育てをする場合は、教育費(パブリックスクールではなく、プライベートスクールに入れる)を払いながら、3~4部屋のベッドルー ムを持つことを意味し、私でさえ考えただけで、その莫大なコストを考えると、逃げ出したくなります。実際に私の住んでいるRedwood Shoresで、2ベッドルームのコンドミニアムを購入するには、最低でも60万ドル(110円で計算すると6,600万円)は必要で、家となると最低で も100万ドル(1億1,000万円)という話になります。仮に他の州で60万ドルのお金があれば(例えばニュージャージーの郊外では)、1エーカーの土 地付きで5ベッドルームの家が購入でき、さらに近くにまともなパブリックスクールもあり、リビングコストの違いは歴然と現れ、当然生活の質はかなり向上し ます。

また、Home Hountingで最もストレスフルなことは、やっと見つけて気に入った家を、多くの競争相手のBuyerと一緒になって、Bet(入札)しなければなら ない点です。これは本当にストレステストのようなもので、Sellerの提示金額にいくらのせれば、この家が手にはいるのか?という厳しい闘いになり、感 情的なアップエンドダウンが激しく、Positiveな性格の人でも、かなりの失望や後悔の嵐にさらされるということです(私もすでにこのストレスの海に 入ったような気がします)。

こうした現象は、個人レベルの悲鳴のように聞こえますが、企業のビジネスにも直結しています。シリコンバレーでは、優秀なエンジニアが家族を抱えながら、 豊かな暮らしを維持できるほどの給料を支払うのがだんだん難しくなってきており、これにアウトソーシング問題が加わり、人材流出や企業移転などをもたらし ています。2人の子供を持つ私の知人の家庭でも、最近エンジニア1000人分の労働力をインドにアウトソーシングして、本社もEast Coastに移転という話が出てきて、そろそろクレイジーなベイエリアから逃げ出して、子供をきちんと育てるためにシアトルにでも住もうかと考えていると いった話も聞かされました。

いろんな人から、こんな話を聞かされていると、「家」という社会の基本となるFundarmentalな問題は、「人材の宝庫」であるベイエリア・シリコンバレーの屋台骨を静かに揺さぶり始めている、そんな気がします。

我が家も、本当に気に入った家が買える価格の範囲で、見つかるかどうかは何とも言えませんが、落ち込まないようにHome Hountingを続けていきたいなと、思っています。


ブログは、全世界で毎秒1つずつ発生している

8/4/2005

 
Picture
今日のトピックスはブログです。

State of Blogosphereのレポートによると、今年の3月、7800万と推定されたブログが、過去5ヶ月間で約2倍の1420万以上に急増し、7月末時点で13億以上のリンクがはられていると報告されています。毎秒1秒ごとに新しいブログが生まれ、毎日8万のブログが誕生しているという凄さです。半数以上のブログはアクティブ(過去3ヶ月の間にポスティングしている)で、13%のブログ(180万)は、少なくとも週に一度はポスティングされています。

米国、日本、韓国、中国、フランス、ブラジルは、ブログの成長率が高い国です。

この中で、目立つのはフランスです。フランスは、ヨーロッパの中で、インターネット普及率は、他の北欧諸国に比べて低いにも関わらず*、自己表現と討論が大好きな国民性を反映して、ブログが下は学齢期の児童から始まって、上は元首相まで、ブログっているようです。この詳細は、Wired Newsの記事に出ていますが、市民運動家が政治家をブログでこき下ろして、市長の告発を受けて逮捕されたり、10代の学生は、携帯電話を用いて、教師や友人の悪口をブログに書いて、停学処分になるなど、いろんな新しい問題が起きています。

*インターネット普及率:スェーデン73.6%、デンマーク68.7%、オランダ66.2%、フィンランド62.3%ですが、フランスは42.3%と半数に至っていません。スカンジナビアンは、フランス人ほど議論は好まないようです。

面白かったのは、パリにできたCEOのブログクラブで、 ここの入会条件は、会社の責任者(CEO,創立者、パートナーなど)であることと、ブログの作者であるという2点だけです。隔月間のオフ会出席が条件です が、パリ以外のところの居住者で、地理的に出席が無理な場合はOKです。この会の目的は、会社の開発においてブログはどのような役割を果たすことが可能か という動機から、責任者のためのブログのオンラインリソースとして、メンバーの体験を共有します。私も、この入会の2条件はクリアするので、このクラブに 参加は可能ですが、こうしたクラブが昨年の7月にできたことは、ビジネス上でいかにブログが与える影響が多いかを物語っています。

上記のブログ成長率の高い国々の中で、ちょっと異質だと思ったのは、日本です。米国、韓国、中国、ブラジルなどは、フランスと同様に議論や討論好きな国民 性ですが、日本はそうとは思えません。日本は匿名によるブログも盛んですし、私小説の伝統もあり、自己表現や討論のツールというよりは、独り言のような日 記形式が盛んなのかなと思います。

シハヌーク前カンボジア国王**も、自らの意見を自由に表現する手段として、過激なブログをつけている時代ですので(詳細はこの記事から)、こうした王族ブロガーから、私のような一個人まで、自己表現あるいは独り言やつぶやきは、時空を超えて、世界中を駆け回っているいるようです。

**シハヌーク前国王が、ガンの再発をブログで表明した際に、ある雑誌が前国王の死亡記事を用意していることを知って書いたブログの言葉。これは結構、名文です。
「5月1日金曜日現在、私にはまだ死んだという意識はない。もしかすると、もう死んでいるのかもしれない。だが、自分は生きていると信じ続けようと思う」

"Let's blog"

Cool Biz?

8/4/2005

 
昨日は、日本の出張から戻った知人から、日本のすさまじい暑さの報告を受けて、かなりおびえてしまいました。

ここサンフランシスコ・ベイエリアは、とにかく気候が年間を通じて快適で、汗をかくことがありません(場所によってかなり違いますが、夏だと20度ぐらい から始まって25度ぐらいまでの幅で、湿度はなく、さわやかです)。この気候に10年も住んで、すっかりスポイルされている私は、他の州や、あるいはベイ エリアから2時間ぐらいの同じカリフォルニア州のサクラメントなどの内陸部に行っただけで、その暑さにヘトヘトになってしまいます。

先月末は、フロリダ出張があり、普段すっかり忘れていた蒸し暑さに絡め取られ、まるで「蜘蛛の巣の上でのたうち回る蛾」(蝶々とはおこがましくて言えません)のような気分で、建物や車の中から出るのに、恐ろしいほどの勇気が必要といった具合でした。

この情けない蛾のような私が、今月日本に行きます。最近は暑さを恐れるために、夏の間の出張は避けていましたが、今回は日程的にどうしても今月行く必要があり、勇気を持って、日本に向かいます。

昨日、日本から戻ってきた知人に、どれほど、Cool Bizが普及しているかと聞いたところ、官公庁は程度の差こそあれ、かなり浸透しており、一般の会社員もダークスーツの上着は着ていないし、タイもしめて いないということでした。少し前に、北海道の銀行が、summer timeを奨励するために、開店を1時間早く開けて、銀行員はアロハシャツを着ているという記事も読んだことがあり、日本も段々本格的な「亜熱帯気候に位置する国」として、社会通念も変わった来たことを実感して、「これは良し、良し」と思っています。

ハワイのアロハシャツに限らず、フィリピンやインドネシアなども、男性は開衿シャツの裾をタックインしないで、ズボンの外に出して、通気性を考えた服装 で、暑さに対処しています。以前から、熱射病注意報も発せられるほど、年々激しさを増す日本の夏には、ダークスーツとタイは非常に不合理な服装だと持って おり、エネルギー資源の節約という条件を満たす「Cool Biz」のコンセプトは、日本らしい紹介と普及の仕方だと思います。

私もこの言葉に大いに勇気づけられ、日本ではIslander Bizでいこうと思っています。とにかくベタベタにならない素材で、なるべく風通しを良くしたデザインのものに限ると思っています。今回のハワイ航海の 時、マウイ島で買ったワンピースが、とにかく涼しく快適で、これを着ると他の服が着られなくなるほどで、亜熱帯の気候にあった服なので、これを日本出張で も活用するつもりです。日本も島国ですので、Islander Styleは、大丈夫だと勝手に自分で解釈しています。

日本で、ミーティング予定のある方は、びっくりすると思いますが、これもCool Bizの実践と思って、了解してください(笑)。

追伸: 最近はポケットティッシュの代わりに、駅前ではミニうちわを配っていると聞いて、「日本列島盆踊り」というイメージが浮かびました。みんな浴衣にうちわで、通勤したりすると、気分がお祭りのように盛り上がって、会社に行くことが楽しくなるかもしれません。ユニクロも3990円で浴衣を販売しているし、わたしも見たらなんだか浴衣したくなりました。

泳ぐ犬

8/2/2005

 
5月1日のエントリー「泳ぐCEO」でも触れましたが、最近はいろんな人がその行動をパブリックに発表して、ビジネスのBuzz(バズ)やプロモーションのために利用しています。今回は泳ぐ犬、ゴールデン・リトリバーのストーリーです。

先週の土曜日、今年10回目の恒例のアルカトラス島からサンフランシスコ間(1.2マイル)を、ウェットスーツをつけずに泳ぐAlcatraz Invitationalが開催されました。今回大いに話題になったのが、身長2フィート1インチ、体重65パンドの4歳のゴールデン・リトリバーのJakeです。彼は初めて犬の競技者として参加し、500人の競技者の間で、41分45秒のタイムで72位の成績を収めました。

同伴者は、飼い主のWiggieWirelessの プレジデント、Jeff Pokonosky。JakeとJeffは、週に2回サンディエゴで2マイルの水泳をしており、Jakeは、オーシャンスイマーとして世界的に有名な Lynne Cox(アラスカとソ連間の5マイルを初めて泳いだ人)のトレーニングを事前に受けて、レースに望みました。Jeffの説明によると、JakeはJeff と一緒に泳ぐこと楽しんでおり、もしこのレースにJeffだけが参加するのであれば、Jakeは怒り出すと言っています。

WiggleWirelessは、携帯電話にニュースやテキストメッセージを送る会社で、このJakeのトレーニングやレース参加の経緯・結果は、すべてフリーで契約者の携帯電話に送られました。また、新規に契約するごとに1ドルが、Guide Dogs for the Blind(盲導犬育成機関)に寄付されます。

この「Jakeの挑戦」は、今、いろんな企業がいろいろなカタチで行っている「Cause Marketing(社会的貢献型マーケティング)」の手法を取りながら、人間に混じって犬が泳ぐという話題性を活かした「Buzz Marketing(バズマーケティング)」でもあります。また、テキストメッセージは、Jakeの視点で書かれた「犬のブログ」形式を取っており、いろ んな意味で、今風なマーケティング・キャンペーンとなっています。

Opera Softwareの「泳ぐCEO」は2日間で挫折しましたが、Jakeは500人中72位という好成績で完全に泳ぎきり、WiggleWirelessの広報が流したプレスリリースの 期待に見事応えています。もちろん、JakeとJeffがもともと一緒に泳いでいたから、生まれたストーリーですが、個人的にはこの手のマーケティング・ キャンペーンには、疑問を感じます。特に1ドルのドネーションという「Cause Marketing」のフレイバーをつけたことが、これみよがしで気になります。でも、これが最近の米国のマーケティング手法の一例でもあり、取り上げたサンフランシスコクロニクルの記事の中でも、そのビジネスの色気に関しては、チクリと触れています。

まあ、これもしょうがないかな…と思っています。

    大柴ひさみ

    日米両国でビジネス・マーケティング活動を、マーケターとして、消費­者として実践してきた大柴ひさみが語る「リアルな米国ビジネス&マーケティングのInsight」

    Archives

    May 2020
    April 2020
    March 2020
    January 2020
    November 2019
    August 2019
    November 2016
    October 2016
    May 2016
    April 2016
    January 2016
    December 2015
    August 2015
    July 2015
    June 2015
    May 2015
    December 2014
    November 2014
    January 2013
    November 2012
    August 2012
    May 2012
    December 2011
    November 2011
    October 2011
    August 2011
    May 2011
    April 2011
    March 2011
    January 2011
    November 2010
    October 2010
    September 2010
    August 2010
    July 2010
    June 2010
    May 2010
    April 2010
    March 2010
    February 2010
    January 2010
    December 2009
    November 2009
    October 2009
    September 2009
    August 2009
    July 2009
    June 2009
    May 2009
    April 2009
    March 2009
    February 2009
    January 2009
    December 2008
    November 2008
    October 2008
    September 2008
    August 2008
    July 2008
    June 2008
    May 2008
    April 2008
    March 2008
    February 2008
    January 2008
    December 2007
    November 2007
    October 2007
    September 2007
    August 2007
    July 2007
    June 2007
    May 2007
    April 2007
    March 2007
    February 2007
    January 2007
    December 2006
    November 2006
    October 2006
    September 2006
    August 2006
    July 2006
    June 2006
    May 2006
    April 2006
    March 2006
    February 2006
    January 2006
    December 2005
    November 2005
    October 2005
    September 2005
    August 2005
    July 2005
    June 2005
    May 2005
    April 2005

    Categories

    All
    Book
    Business
    Culture
    Current Affairs
    Game
    Green : 環境・テクノロジー
    Healthy Life
    Influencer
    JaM Media
    Marketing
    Movie
    Music
    Obama Watch
    Online
    Politics
    Religion
    SNS
    Sports
    Technology
    Travel
    TV
    Twitter
    WOM (Word Of Mouth)

Proudly powered by Weebly