「台風おばさん・ひさみ」と呼ばれる私は、今回も2つの台風とともに成田に上陸し、みんなの期待を裏切らずに、「嵐」を巻き起こしました。日本入りの翌々 日は、台風一過のもの凄い暑さ。台風が来る直前と通過している最中の雨模様は、それに比べれば涼しくて、台風がよいのかお天気の方がよいのか、何とも言え ない「東京的矛盾の夏」を実感しています。
週末は実家のかつての自室でクーラーをつけっぱなしにして、1歩も外に出ずに「ひきこもり状態」となっています。ひたすらPresentation資料作 成にフォーカスして、夕方の外出まで、体力を温存しています。夕方の外出、すなわち近所のスーパーマーケットに買い物に行くだけですが、私にとっては大変 な勇気を必要とします。つくづく、こうした亜熱帯気候のHeat Islandの東京に暮らす人たちに、改めて脱帽の気分です。
汗をかくことを忘れている私にとって、セミの声が鳴り響き、肩や足を蚊にさされた状態で、コンピュータに向かうのは、拷問に等しい辛さです(私はすっかり サンフランシスコ・ベイエリアの気候にスポイルされています)。アメリカでは聞く機会が全くない、このセミの声は、私にとって、日本の暑さの象徴として、 これでもかとばかり泣き叫んでいる、そんな風に聞こえます。芭蕉の俳句、「静かさや岩にしみいるセミの声」の風情もヘチマも、私のような「蒸し暑さ恐怖 症」の人間には、あったものではありません。ベランダで洗濯物を干していた母は、このセミが腕に2回も止まったとして、自分はセミに枯れ木と思われたらし いと悩んでいますし、東京で生き抜くセミたちの現実は厳しいモノがあると思います。
「クールビズの次はウォームビズ」(これって厚着の提唱ですよね?)
暑さの真っ盛り、「クールビズ」も大分浸透して、省資源に貢献できているということで、今年の冬は「ウォームビズ」ということです。しかし、政府主導で 「夏の薄着・冬の厚着」という衣服の着方を、国民に提唱する国なんて、聞いたことがありません。官主導の手取り足取り路線が、こんなところに出てくるの は、日本という社会の仕組みを良く表している、そんな気がします。「個人としての自立と尊重」を重要視するアメリカで、この「ビズ・ビズ・ルック」の提唱 なんか出されたら、みんな目をマルくして、何をバカなことを言っているのか、といって無視されるのが落ちです。
しかし、クールビズに期待して来日した私にとって、街中でもっとアロハシャツとかカジュアルでおしゃれな格好が見られるかと思いきや、ただネックタイをは ずしただけの感じの人が多いのには、がっかりです。もっと、みんながきれいで涼しげな色や柄のシャツや、おしゃれなスポーツコートなどを着ていれば、街全 体がカラフルになり、楽しげな気分が演出されると思います。額に汗を浮かべながら、猛暑の中をダークスーツにタイをしめている多くの男性たちを見ると、思 わず「お気の毒さまです」という気分になります。逆にそういったスタイルでも暑さを感じさせない端正な人たちもいて、その場合はもちろんOKです。
それでなくてもスモッグで曇った灰色の空や鉛色の東京湾ですし、人が密集していると、髪や眼がダークで夏には重く暑苦しい印象を与える日本では、「クール ビズ」も良いけど、もっと「色気(カラフル)のあるスタイル」にした方がHappyで良いではないかと思わず、ブツブツつぶやいています。