ひさみをめぐる冒険
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ひさみをめぐる冒険
サンフランシスコ・シリコンバレー在住マーケターのINSIGHT(洞察)



夜の空港

9/28/2005

 
先週は、家を買ってしまったために、米国の住宅購入者がかかる「Buyers Remorse(この決断で本当に良かったのか?実際に今後ローンを払って行けるのか?といった後悔や不安にさいなまれる)」で、珍しく、気分が落ち込んでしまいました。

ただ、そんな中で、打ち合わせを終えて、LAX(ロスアンジェルス空港)の中のバーで1人、飛行機を待っていた時に、いきなり顔を手で覆って泣き出した女性を目撃しました。

メキシコ系の彼女は、私がワインを注文した後に、コロナビールを頼み、お互いにちょっと眼があって、にこりと微笑んだ女性で、3つの大きな買い物紙袋を持 ちながら、携帯電話で熱心に何かを話していました。私がワインを一口飲んで、バーの上にかかっているTVでハリケーンRitaの様子を見た後、何気なく彼 女に視線をうつしたところ、彼女の崩れるような泣き顔を見てしまいました。

「家族や友人に不幸があったのか?」、「職場で突然レイオフされたのか?」、「夫に裏切られたのか?」、「子供が犯罪を犯して警察につかまったのか?」な ど、ありとあらゆる泣きたくなるような状況を一瞬考えながら、見てはいけないモノを見てしまった罪悪感にとらわれ、私はあわてて視線をワイングラスにうつ しました。

空港には、本当にいろんな人生があります。カウンターでは、見知らぬ人同士の白人女性とラテン系男性が楽しげにおしゃべりを始めており、私の横のテーブル 席のインド系の男性はラップトップに何か熱心に打ち込んでおり、向かいの4人は飛行機の出発時間が近いのか、あわてて食べている、そんなさまざまな情景 が、まるで映画のように、私の目の前を流れていきます。

私は、そんなさまざまな人たちの人生が進行する夜の空港で、悲しさに張り裂けるような表情で、泣き崩れた女性の顔が忘れられず、思わず私自身、涙があふ れ、それを隠すために、うつむいてしまうほどでした。「なんでそんなに悲しいの?人生は必ず良い方に転がっていくから、心配しないで。あなたは必ず幸せに なれるわ」と言って、思わず抱きしめてあげたい、そんな思いで一杯になりました。

日頃は自分のビジネスに追われていて、なかなか出てこない、非常にセンチメンタルな感情が、珍しく私を満たし、これも、「Buyers Remorse」の一つの症状かしらと思いながら、帰りの飛行機に乗り込みました。

シリコンバレーの地盤沈下?

9/16/2005

 
昨日、正式に私たち夫婦は、AlamedaのHome Ownerになりました。

週末のOpen Houseで見た家に1回目のOfferを月曜日に出し、それにSeller側からCounter Offerが入り、さらにCounter to CounterのOfferを火曜日の深夜にFaxして、昨日それをSeller側がAcceptするという、連絡がはいりました。

今週は明日、この1925年に建てられたスペイン風(地中海スタイル)のちいさな家のInspectionです。Seller側から出された、この家の Disclosureが正しく記載されているかどうかを、私たちが実際に専門家を雇って検査した後、第3者機関に、合意金額を払う手続きを始めます。こう した住宅購入のプロセスの先は、まだまだありますが、また詳細はおって書きます。

私たちのHouse Hunting自体は、これで終了ですが、こうした異常な住宅事情は、ベイエリアのビジネス全体に暗雲を投げかけています。特にハイテックセクターへの影響は大で、SF Chronicleの記事によると、全米の8大ハイテックエリアにおいて、シリコンバレーのビジネス環境は最下位にランクされています。

・雇用機会の伸び悩み
・高騰する住宅事情
・クルマ通勤の混雑のひどさ(職場近くに住宅を購入できないので、自宅が郊外に拡大している)
・教育費用の高騰
・エネルギーコストの高騰(ガソリンも含めて)
・健康保険費用の高騰
・税金問題(ビジネスにアンフレンドリーな税金優遇措置)

などなど、最下位になった理由は、あげればきりがないほどで、このままでは、シリコンバレーの地盤は傾いていくと、シリコンバレーのビジネスリーダーたちはこの報告を真剣に受け止めています。

全米8大ハイテックエリア
San Diego
Seattle
Portland
Austin
Boston
Fairfield County(バージニア州)
Raleigh-Durham area(ノースキャロライナ州) 
Silicon Valley Area

住宅のような人間の根源的な問題は、きちんと対処していかないと、ボディブローのように、徐々にエリアをむしばみ、そのエリア全体の質の低下と人材流出を 招きます。すでにシリコンバレーにおける技術者の外国へのアウトソーシング(特にインドや中国)や、テック企業のサクラメントや他のエリアへの移転は、ず いぶん前から話題になっており、今に始まったことではありませんが、事態の深刻化が進行している、そんな気がします。

ベイエリア・シリコンバレーの住宅事情は、バブルではないと言われていますが、バブルであろうがなかろうが、価格の異常さには変わりはありません。この問題の解決抜きには、将来は語れないわけですから、抜本的な対策は必要です。

ただ、問題は、ベイエリア・シリコンバレーのような歴史・文化・気候・風土で、独特のビジネス機会を持つ地域は、他の米国ではなかなか見つけることは出来 ないということです。結局ここに「住みたい(あるいは住まなければならない)人」にとって、代替えがない以上、人が集中する状況は変わらない、そんな気が します。

「Correction」という程度の価格調整は、あるのかもしれませんが、バブルがはじけるという言い方は、なかなか起こりえない、そんな気がします。

Barry is Back!(アドレナリン効果)

9/14/2005

 
Picture
Barry BondsのいないSan Farncisco Giantsは、ゴールデンゲイトのないサンフランシスコ、Christmas Treeのないクリスマスのようで、「Excitement」がありません。

昨晩もGiantsは首位のSan Diegoに勝って、首位に5ゲーム差で、National Leagueの西部地区の2位にDodgersと一緒に並んでいます。残り2週間あまり、すべてのゲームに勝つのが先決ですが、ファンはBarryをゲームで見るだけで、最高に満足しています。

おととい、Barryが最初の打席にたち、あわやホームランというエンタイトル2塁打を打った時に、Pacbell Park、およびTV視聴者のアドレナリンは、ものすごい勢いで、急上昇し、まさにBarry Bomb(ベリーの爆弾)炸裂という感じで、サンフランシスコ・ベイエリア全体が、興奮の渦に巻き込まれました。ベイエリアの地元のファンも、内心 Barryの復帰は、かなり危ぶんでいましたが、まさかこういう鮮烈なカムバックを果たすとは予想しておらず、この予期せぬ出来事が、また興奮の二乗効果 を生みました。

Giantsは彼のカムバックとともにPadresに連勝し、Barry効果はチームにも、大いに波及しています。

スポーツ観戦の醍醐味は、「スーパーなプレイを見て、エキサイトする」ことにあります。平凡なプレイや予測可能なゲームでは、見ている人間のアドレナリンは上昇しません。「スーパーで、よりエッジィなモノへの期待」が、ファンをスポーツ観戦に誘います。

「Splashへの期待(Ballparkの場外のサンフランシスコ・ベイまで届くホームラン)」で、今日もゲームを観るファンのアドレナリンは、上がりそうです。



不思議な縁です。「川上先生、ありがとうございます」

9/8/2005

 
おととい、日本の出張から戻り、やっと一息ついたところです。

しかし、日本の蒸し暑さが嘘のような、さわやかなベイエリアの気候です。昔、うちの夫が日本に住んでいた時に、よく、「自分はなんだかカエルのような気が する」という言葉をつぶやいていましたが、まさに、あの湿度は、「水の中でもがくカエル」のような気分にさせられます。確かに、私は「2週間、日本でカエ ル状態」だったと、今実感しています。

そんなカエル状態から脱した私にとって、嬉しいEmailが届きました。私の大学時代の恩師故川上宏先生のゼミナールの卒業生からのメールです。彼女は、 1994年卒で、私よりも15年も年下のようですが、私のサイトを以前から注目していて、私がブログで先生のことを書いたのがきっかけで、私たちが川上先 生との縁で結ばれていることを知って、それを知らせたくてMailを書く気になったということでした。彼女も米国在住で、アメリカで独立してがんばって仕 事をされているようで、ブログによってつながった、この「成城大学文芸学部マスコミュニケーション学科の故川上宏教授のゼミナールの絆」を、私は大切にしたいと思います。

川上先生は、若い頃、産経新聞の記者をされており、その後イリノイ大学でマスコミュニケーションやマーケティングを学ばれ、70年代の日本に最新の米国流 のコミュニケーション理論を紹介された方です。私は1979年卒ですので、先生の若くてバリバリの頃に、教えを受けました。今でも先生の新進気鋭の助教授 時代の「歯に衣を着せない」鋭い言葉を、心地よく思い出します。「電通学生広告論文」 の審査員や広告・マーケティング関連企業のアドバイザーも多くされていて、他のアカデミックな教授たちとは異なり、実社会と密接につながった授業内容を重 視されていました(ちなみに、私のゼミナールは先生の励ましで電通学生広告論文のグループ部門で入賞しました)。常に学生たちと一緒になって考えるという 姿勢で、ジャーナリストとしての視点を持った素晴らしい大学教授でした。

1979年の私の卒業時は、4年生卒の女性にはほとんど就職先がない時代(短大卒の女性を多くとる時代)で、先生のご紹介を得て、電通ヤングアンドルビカム(当時のJIMA電通)の面接を受けるチャンスをつかみました。初めて得意先のコネなしの女性として面接を受け、4年生卒ではありましたが、短大卒という扱いならば、入社OKということで、異例なカタチで入社したのを、昨日のように思い出します。

当時の役員に入社決定後、「大柴さん、学校のお勉強と実社会は違います。それを十分理解して、働いてください」と言われて、社内で私がマスコミュニケー ションとマーケティング専攻だったことが、採用の際に問題だったとあとで、知らされました(当時、女性は20歳で入社して、24歳ぐらいで結婚退社するの が通例で、そういう会社に、マスコミ専攻の頭でっかちの女性を採用することに、社内で反対があったそうです)。

その後は、「男性の3倍働いて女性でも仕事ができることを証明する」、という意気込みで、16年間、1995年まで、電通ヤングアンドルビカムで営業として、働き続けました。

今から思うと隔世の感のある時代でした。

そんな時代も経験して、米国移住、JaMの起業など、様々な経験を経て、今、ここでブログを書いている、本当に人生は面白いと実感します。今、もし、先生にお会いする機会があったら、まっさきに出てくる言葉は、「先生、Life is Beautifulですね」、そんな言葉を思わず、言いたくなる、それが川上先生という方です。

川上宏先生の著書:
川上宏『広告とマーケティング』東京大学出版会
南博監修・川上宏編『大衆文化としてのテレビ ――軌跡と展望』,ダイヤモンド社

成城大学川上宏奨学金*(こんな先生のお名前のある奨学金も今日見つけました!)
【給付額】 年額15万円
【給付期間】 1か年
【採用人員】 1名
【対象学年の制限】 なし
【申込時期および方法】 6月にマスコミュニケーション学科研究室へ所定の申請書および成績証明書を提出
【応募条件】 文芸学部マスコミュニケーション学科に所属する者
【他制度併用の可・不可】 可


攻める女性たち:女性F3ドライバー井原慶子さん

9/3/2005

 
みんな9月になってすっかり涼しくなったと言う中で、1人で蒸し暑いをまだ連発しながら、東京の地下鉄の中を走り回っている私です。

そん中で、すごーく小気味よい言葉を、F3ドライバーの井原慶子さんから見つけました。これぞ、真夏の日本の「一服の涼」そんな感じです。

日経の記事によると、F1レースの登竜門であるイギリスF3国際シリーズに参戦中唯一の女性ドライバー井原さんは22戦中16戦を終えて、最高位9位に なって、そのアグレッシブな走りで、日本のファンだけでなく、地元イギリスの観客からも声がかかるようになってきたということです。レースについて、彼女 はこんな風に語っています。

「ここでは、すべての考え方が攻め。守りに入ればある程度の結果は出ても、F1には絶対に行けない。失敗を恐れずに攻める続けるスタイルには学ぶところが多い」

フランスのF3など他の海外での経験がある井原さんの言葉は、「日本人女性」と「最年長(32歳)」というGender(性差)とAge(年齢)という2 つのマイノリティとしてのDisdvantageを、全く感じさせない力強いアスリートの言葉です。私は、思わず、「これだよね、世界の頂点をめざす人 は。こうじゃなければいけない」と、大いに拍手喝采してしまいました。

彼女は26歳でレースクィーンからレーシングドライバーに、キャリアチェンジをした人でもあり、「自分の夢の実現に向かって、行動を起こし、それを達成すべく行動する人」として、私は大いに応援・尊敬します。

男女差や年齢を言うこと自体が、ちょっと20世紀的な見方と言えますが、まだまだ世界で「一本どっこ」で活躍する日本人女性を見つけることは稀なので、こ うした「攻めの女性たち」を見つけると、おこがましい言い方ですが、「仲間」を見つけたような気がして、大いに勇気づけられます。サンフランシスコ・ベイ エリアで、同じく「一本どっこ」で自分の夢の実現に向かって、走っている私は、イギリスのF3で攻めのレースをする井原さんにエールを送るとともに、自分も「より攻め」スタイルで、ビジネスを進めていかなければならないと、実感しています。

10年前に米国に移住した最初の頃、アメリカ人に日本語の「安定成長」という言葉を説明しなければならない状況がありました。アメリカ人は「成長が安定し たら、それは成長ではなくなる。成長とは常に上へ上へと伸び上がっていくことだ」と言われて、思わず「目から鱗が落ちた」ことを思い出します。「攻め」を 忘れたビジネスに、「成長」はあり得ません。ビジネスはF1レースと同じく、非常にCompetitive(競争が激しく)で、ドライバーが少しでも「守 り」に入れば、それは「停滞」を意味し、敗者となる可能性をはらみます。

この蒸し暑さにめげずに、今日は「攻める女性たち」の気分で、気合いを入れて、Presentationの準備をします。

PS: しかし、国分寺の実家の周りのセミの声は、うるさい。彼らも、Heat Islandの東京の暑さ悲鳴をあげているのかしら。

    大柴ひさみ

    日米両国でビジネス・マーケティング活動を、マーケターとして、消費­者として実践してきた大柴ひさみが語る「リアルな米国ビジネス&マーケティングのInsight」

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