ひさみをめぐる冒険
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ひさみをめぐる冒険
サンフランシスコ・シリコンバレー在住マーケターのINSIGHT(洞察)



YouTubeで見る民主党大統領候補たちの素顔

7/31/2007

 
7/23に行われたCNNとYouTubeのコラボレーションによる、民主党大統領候補者の公開討論会はYouTube上で全38の質問を見ましたが、従来のタウンホールやTV番組の定番的な質問と違って、思いも寄らない直接的な質問がヴィデオで投稿され、やはり時代のうねりを感じます。

面白いなと持った質問は以下です。

  • オバマとクリントンに対して、「How do you address being "black enough" or "woman enough"?(黒人として十分な存在ではない、女性としての十分な存在ではないと、言われているが、それについてどう答えるか?)」
  • クリントンに対して、「Have we had the same two families in charge for too long?(2つの同じファミリー(ブッシュとクリントン)が大統領を占めているのは、あまりにも長すぎるんじゃないか?」
候補者の間で大きな起爆剤となったのが、次の外交問題への質問です。

  • 「Would you meet diplomatically with these countries' leaders?(米国が敵対視する国々の指導者に外交的な会談を行うか?)」


これは、ブッシュ政権が悪魔呼ばわりしているベネスエラのチャベス大統領を含む、イラン、シリア、北朝鮮、キューバの指導者をさしており、そうした指導者に大統領が条件なしで、直接会うことを問いただしており、オバマはあっさりと「I would(私は会う)」と答えています。クリントンは、彼の外交上のナイーブさをあてこするように、軽々しく米国大統領が彼らに会えば、彼らにとって有利なプロパガンダに利用されるので、十分に事前に調べてから、会談を考えると答えています。

私は、この彼女のいかにも政治家らしい答え方や表情、声のトーンを見て、なんともつまらない答えしかしないと、がっかりしてしまいました。確かに、オバマが言うように、直接何の条件もつけずに会談をしたら、米国にとって危険なカードを引く可能性があり、世界全体の外交問題に大きな影響を及ぼすかもしれませんが、クリントンの答えは、現政権とたいして変わらないじゃない、という実感を持ったのは、私1人ではないと思います。

しかし、ヒラリー・クリントンという女性が何か話し始めると、職業弁護士・職業政治家という姿が前面に押し出されて、何とも「コールドな人」だなと感じてしまいます。これは、彼女が女性であるとか男性であるとかというジェンダーの問題ではなく、「温かみ」という特質が出てこない、あるいはない、彼女のキャラクターのそのものの不利な部分です。「氷のように冷たい」とよく表現される彼女は、弁が立って、どんなディベートでも勝てる優秀な政治家・弁護士ですが、米国の大統領は「政治家でも弁護士でもなく」、国民が信頼するリーダーとしての資質が求められます。そのリーダーの資質は、「ユーモアがあり、心底から自然に笑える人柄」といった点が求められ、「優秀でサイボーグやビッグブラザー的な資質」を持つ人は、望まれない、そんな気がします。

私は個人的にはオバマを支持していますが、今回の公開討論会を見ていて、ニューメキシコの州知事のリチャードソンの発言と政策に関心を持ち、さらに彼の人柄に「リーダーとしての温かみと懐の深さと」を感じて、彼でも悪くないなと感じました。民主党が共和党に勝つには、クリントンでは、ダメです。彼女には、「Hillary Hater(ヒラリー・へイター:ヒラリーを憎む人たち)」と呼ばれる彼女を嫌うグループが存在し、彼女は一生懸命、そのポジショニングを変えようとしいますが、いまだに修正されていません。

多分、共和党はクリントンが民主党の大統領候補として選ばれることを、願っていると思います。彼女が出てくれば、不人気な共和党の候補者でも、ヒラリー・ヘイターがいる以上、勝てる可能性があると踏んでおり、オバマやリチャードソンが出てくると、様相が読めずに困る、というのが本音だと思います。

共和党の大統領候補のほとんどは、今回民主党が行ったYouTube形式の9/17の公開討論会への参加を拒否、あるいはそばにオブザーバーをつけないと参加しないと言っており、ずいぶんびびっているようです。YouTube形式は、まさにその場でその人自身の資質が丸見えになり、不人気の共和党候補は、自分たちにどれだけ辛らつな質問が来るかと恐れているのが現状だと思います。

現代は「人々と本音で語る、会話の時代」です。これは避けて通れない現実で、そうした状況に対峙できないとしたら、共和党候補者たちは、「すでに戦わずして民主党に負けた」、そうとも言えます。

良くも悪くも、YouTubeは、現代の政治家の「踏み絵」みたいです。

「クチコミのチカラ」

7/27/2007

 
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いつまにか、私は「WOM (Word of Mouth:クチコミ)」の専門家のような立場になって、多くのWOMマーケティング関連のレポート、コラム、記事を書いています。なぜ、そうなったのか?それは、米国に暮らしていて、生活者としてマスマーケティングの影響力の低下を、肌で感じていたことと、マーケッターとしての本能が、時代の流れの潮流をいち早く感じた、この2つの理由で、早い時期(2003年)からWOMマーケティングにフォーカスするようになっていきました。

そんな私が「WOM=クチコミ」に関する書籍の対談相手として選ばれました。ベクトルグループの編著の書籍「クチコミのチカラ」です。日経BP企画の発行で、WOMCOMの執行役員の吉田賢さんの執筆で、私は日本で吉田さんと対談して、114~132ページに写真入で登場して、いつもように、ベラベラとおしゃべりしていますから、ぜひご一読ください。

日経BP企画から、この吉田さんと対談のお話があった時は、日本出張の予定がなく、最初は電話でしましょうということでしたが、2時間近くも電話でというお話だったので、それでは日本に行ったほうが良いと判断して、出張しました。F2F (Face to Face)の対談は、大正解で、初対面にも関わらず、吉田さんとの話は大いに花が咲き、以下のような項目をしゃべくりまくりました。

  • WOMは消費者との対話によるブランディング戦略
  • WOMの神髄は消費者と感情的なきずなを結ぶこと
  • 透明性を欠くことがWOMを失敗に導く
  • マーケッターに求められているのは消費者への尊敬と対話
  • 米国で加熱するSecond Lifeブーム
  • リスク以上の多大な影響力を発揮するWOM


私が日頃から主張しているWOMマーケティングにおけるビジネス倫理も、吉田さんは以前から主張されていたことで、米国のケーススタディを引用しながら、WOMマーケティングの「肝」ともいうべき部分を語り合いました。詳細は、ぜひ書籍を購読されて、読んでみてください。

昨日もずっとCNNとYouTubeという新旧のメディアのコラボレーションによる民主党大統領候補者の公開討論会を、オンラインで見ていましたが、まさにメディアの意味や役割は大きく変わっています。CGM (Consumer Generated Media) や、CGV (Consumer Generated Video)が大きな影響力を持つ現代では、政治家たちの表情や声音はそのまま余すところなく、オンライン上で公開されて、多くの人たちにシェアされて、そのコメントともに循環していきます。「嘘やごまかし」が通用しない厳しい時代ですが、良いコンテンツは「会話」を引き出し、大きなWOMを創出していきます。

まさに「クチコミのチカラ」の時代、そんなことを強く感じました。


本の魅力と魔力

7/26/2007

 
過去3週間は、本の魅力と魔力にとりつかれて、コンピュータから離れて、オフラインで書籍ばかりを読んでいました。以下は、一気に読み干した書籍です。

  • 「竜の柩(1)正邪の顔編」高橋克彦
  • 「竜の柩(2)ノアの方舟編」高橋克彦
  • 「竜の柩(3)神の星編」高橋克彦
  • 「竜の柩(4)約束の地編」高橋克彦
  • 「竜の柩(5)心霊日本編」高橋克彦
  • 「竜の柩(6)交霊英国編」高橋克彦
  • 「明治天皇(一)」ドナルド・キーン
  • 「明治天皇(二)」ドナルド・キーン
  • 「明治天皇(三)」ドナルド・キーン
  • 「明治天皇(四)」ドナルド・キーン
  • 「父子鷹(上)」子母澤寛
  • 「父子鷹(下)」子母澤寛
  • 「燃えよ剣(上)」司馬遼太郎
  • 「燃えよ剣(下)」司馬遼太郎


私は異常なくらいに子供の頃から、歴史小説が好きで、日本出張の際に必ずこの手の歴史小説の文庫本を買い込んで、一気に読み干します(読み干すという言葉は、日本の歴史小説に飢えている私が砂漠で水を求める旅人のごとく、歴史小説をむさぼり読む気分を表しています)。

今回は、今まであまり注意を払わなかった「明治天皇」と「新撰組(燃えよ剣)」を読んで、従来私に欠けていた幕末・明治維新への別な視点を得ることが出来ました。特に、ドナルド・キーンの力作「明治天皇」は、個人的な資料のほとんどない明治天皇を、公式記録を丹念に読み込み、天皇が作成した和歌を手がかかり、天皇の想いや人物像を描いており、改めて明治天皇の果たした役割や意味を考える良い機会でした。象徴としての戦後の天皇に慣れ親しんでいる私にとって、幕末から明治維新という歴史の歯車が激しく回った革命の時代に、いかに明治天皇が多くの政治的判断に直接関わっていたかということを改めて実感しました。極端な攘夷主義者で、西欧人を極度に嫌った孝明天皇の皇子として、1852年に生まれた天皇は、14歳で即位しますが、京都の御所で女官たちに囲まれて、時にはお化粧をしていた明治天皇が、明治維新、廃藩置県、大日本帝国憲法制定、議会開催、日清・日露戦争と、激動の時代を立憲君主国日本の天皇として、後に諸外国から「明治大帝」と言われるほど高い評価を得たという事実を、改めて認識して不思議な感銘を覚えました。1つ面白いと思ったことは、明治天皇の皇后である昭憲皇太后が、ある時期から和服を着ないと決心し、それから一度も和服を着ないという事実です。もちろん、日本の近代化を諸外国に知らしめるために、鹿鳴館ではみんな洋服を着用して踊っていた時代ですが(西欧人はサルが洋服を着て西洋人の真似をしているとして大いに蔑視していたそうですが)、彼女は、和服は戦国時代に生まれた服装で、もっと古い奈良朝の服は洋服に近いものだったと考えたらしく、和服をあっさり捨てたようです。歴史小説はいろんなことを教えてくれます。

「燃えよ剣」の主人公、土方歳三は、武州多摩の出身で、実家の国分寺近くに関連した土地の文化を垣間見ることが出来て、興味深いものがありました。徳川300年の太平の中で飼いならされた旗本や他藩の官僚化した武士とは違う、百姓あがりの新撰組の主役たちが、遠い祖先ともいえる関東の坂東武者を思わせる荒々しい気風で、幕末の風雲時に、いかに「真の武士」になろうとしていくかが、改めてわかり、感慨深いものがありました。

子母澤寛独特のタッチで、描かれる「父子鷹」は、勝海舟の父親、勝小吉を主人公に親子の交流を描いていますが、彼の語り口がいかにも江戸っ子らしいので、思わず私の亡くなった父を連想して、涙ぐんでしまいました。海舟の子供時代からの英才ぶりと、父、小吉の無学(文盲)の対比、それを取り巻く江戸の下町の人たちの機微が何とも暖かい気持ちにさせてくれたお話でした。

最後に「竜の柩」ですが、これは、言ってみれば、私にとっての「Harry Potter and the Deathly Hallows」といった感のある本です。 最新版の「ハリー・ポッター」は、米国では24時間で830万部売れましたが、これは1時間ごとに30万部、1分ごとに5000部以上が売れたことを意味し、金額に直すと2億5000万ドルというとんでもない売り上げになります。世界中のハリー・ポッターファンは、ハリーポッター関連のコスチュームを着込んで、7/14の土曜日の深夜12時に書店で発売されたファイナルバージョンを購入するために並びました。この週末はハリー・ポッターマニアの子供たちが、携帯電話でのおしゃべりやメールを一切行わずに、700ページ以上の本を、寝食を忘れて、必死になって読んだと報道されています。

このハリー・ポッターを読む子供に近い状態で、私は「竜の柩」6冊を一気に読んでしまいました。「古事記」、「日本書記」、「ピラミッド」、「ノアの方舟」、「ムー大陸」、「アトランティス」、「キリスト教、仏教、ヒンドゥー教etc.」、「モヘンジョダロ」「シュメール文明」、「タイムトラベル」、「パラレルワールド」、「交霊術」など、私がのどを鳴らすようなさまざまな要素をてんこ盛りにして、天才作家高橋克彦の優れた分析力と空想力でまとめあげた壮大な伝奇小説です。思わず、「こういうのを小説って言うんだ」と、痛感しました。彼の凄さは、「歴史」と「伝説」を見事に重ね合わせて、読者をその高橋ファンタジーワールドに一気に引きずりこむところにあると思います。

高橋克彦の魔力にかかった私は、寝る時間を惜しみながら、一気に読んで、6巻でもまだ満足できず、もっともっと読みたいと中毒状態で、この小説に魅入られてしまいました。ハリー・ポッターは7巻めがファイナルですが、「竜の柩」もあと一冊、ファイナルバージョンを書いて欲しい、これが中毒患者の本音です。

カスタマーサービスが、マーケティングそのものだ

7/24/2007

 
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昨日は、朝SFクロニクルを広げたら、Unite Airline(ユナイテッド航空)の見開きの全面広告が掲載されていました。以下のように、気持ち良さそうに眠る女性のイラストレーションがどーんと正面にあり、コピーはこんな感じです。

「Flat, flat, flat.

So you can sleep, sleep, sleep.」
はっきり言って、これを見てかなりムカッときて、思わず「Give me one more blanket, please!(私に毛布をもう一枚ください」と叫んでしまいました(なぜこれを叫んだかは、このブログの後半に書いています)。

この広告はUAの国際線のビジネスクラスの新しいサービスの告知広告で、米国の航空会社では初めてシートが180度と完全にフラットになり、15インチのパーソナルヴィデオモニター、iPodのドッキングステーション、ワールドクラスの食事とワインという設備とサービスの強化をうたったものです。

私がなぜ怒ったかというと、先月の日本出張の帰りのUAでの一件があったからです。今回は米国訪問の母と一緒で、私はいつものようにUAのエコノミークラスに座っていました。この飛行機はかなり古い機種で、座席にはパーソナルモニターがついておらず、エコノミー客は昔ながらに画像の悪い大きなモニターを見るか、あるいは通路に吊り下げられている小さなモニターを見なければならないという状態でした。私たち2人は大きなスクリーンのまん前の席で、映画を見るどころではありませんでしたが、エコノミークラスで日米間をしょちゅう往復する長距離通勤者の私としては、このぐらいのことは苦にもならず、まずい食事と不親切なフライトアテンダントも含めて、UAを受け入れています(マイレージメンバーなので仕方なくUAに乗っています)。

今回、私が怒り心頭に発したのは、私の分の毛布をかけても寒さが止まらない母のために、「もう一枚毛布をください」と頼んだところ、「1座席につき毛布一枚が原則で、余分は一切ありません、他の乗客で毛布を使わない人がいるかもしれませんから、その場合にはお持ちします」という、木で鼻をくくったような答えを、フライトアテンダントから聞いたからです。

母は寒さに弱く、このまま10時間もサンフランシスコまで、このままの状態でいたら、本当に病気になると説明しても、そのフライトアテンダントの顔には、何の感情の変化もなく、余分を見つけたら持って来ますと行って、立ち去ってしまいました。私も毛布なしで寒いし、母の状態は悪くなる一方で、業を煮やした私は、再度フライトアテンダントに毛布を頼みましたが、前回と同様の説明をするので、思わず、もうその答えは聞きたくないと怒鳴って、彼女を追い返しました。

この私の怒りの声が彼女たちへアラームとなったらしく、別のフライトアテンダントが新品の毛布を持参しました。ここでのポイントは、毛布は新品だったということで、毛布を使わない乗客から持ってきたものではないという点です。彼らは当然余分の毛布を最初から用意しており、多くのエコノミー客がしょっちゅう「もう一枚毛布がほしい」と言うために、最初はお決まりの文句で断るという、UAのマニュアル通りのカスタマーサービスのひどさが見えました。毛布を持参した後のフライトアテンダントの態度は一変し、不機嫌な乗客対策のマニュアルにしたがって、急につくり笑いで感情を隠しながら、妙に親切な声音で接するために、私はますます不快になっていきました。

現代は「カスタマーサービスが、マーケティングそのものである」といわれるぐらい、カスタマーとのタッチポイントがマーケティング戦略において重要な役割を占めています。今回の経験で痛感したことは、臨機応変(母の状態を見れば、機転を利かせてすぐに毛布を持ってこれたはずです)にカスタマーに接すれば、必ずしも大きな問題にはならないのに、それが問題化するには、そこにカスタマーに対する「誠意のある姿勢」が欠けているからだと思います。この基本の欠落が、カスタマーに「不快なブランド経験」をもたらして、その企業に対する「Bad Mouth (悪口のWOM・クチコミ)」を創出する結果となります。

デルタ航空は、新たなブランディングのために、より多くのカスタマーの声を聞くよう、ウェブサイトを開設し、カスタマーの助言・意見・コメントを直接聞いています。そこから出てきたコメントは「Bigger balnkets, please(大きな毛布をください)」といった切実な意見から、企業が見落としがちなカスタマーの本音が投稿されています。

UAは、どこまでカスタマーの声を聞いているか不明ですが、長年のロイヤルカスタマーの私がただ1つ、彼らにいいたことは、寒さに震える乗客には、すぐに毛布を渡してほしい、ただそれだけです。

「GIve me one more balnket, please(毛布をもう一枚ください)」

PS: 航空会社にしてみれば、航空燃料は高いし、エコノミー客では儲からないので、ビジネスクラスで稼ごうとするのは理解できます。ちなみに以下は、サンフランシスコと成田間のエコノミーとビジネスクラスの価格の違いです。8倍近い価格の差があれば、企業がサービスを強化するのは納得できます。しかし、この差は大きすぎると思います。何とかもう少しリーズナブルにならないのかと思いますが....

  • ビジネスクラス: 7,594ドル
  • エコノミークラス: 956.23ドル

iPhone狂想曲を書き上げて

7/13/2007

 
昨日、母が日本へ帰国しました。16日間の母の米国滞在は、さまざまなアクシデント(下水管の2度の工事、クルマのセキュリティシステムの誤作動、母2日間寝込むなど)を経て、無事に終わり、私は平常の生活(仕事)に戻りました。母をSFOの空港で見送る時は、常に非常に不安な気持ちに駆られます。彼女は英語はわからないために、セキュリティの通過のときに、ベルトを取れといわれても、何を言われたのかわからず、不安な面持ちで係官を見上げていました。こういう光景を目にすると、思わず中に入って、彼女を助けたいというたまらない気持ちになります。弟から母が無事に自宅に着いたというメールをもらって一安心です。

父を18年前に亡くしている私にとって、母は非常に重要な存在で、彼女が去った後は、「お母さん、親孝行する機会を与えてくれて、ありがとう」、という気持ちでいっぱいになります。

ただし、あまり感傷に浸っている時間もなく、昨日の午後からエンジン全開で仕事を始めています。ブログレス状態が長く続いて、「怒涛のブログ更新をやる」と宣言したにもかかわらず、やっていない私ですが、怒涛までいきませんが、ちょこちょこしていきます。

7/6に公開された日経BPのネットマーケティングの私のコラム「米国ネットのざわめきを聴く」で、6/29に発売された「iPhone」に関する記事を書きました。日本出張から戻ったこの週は、米国、特にシリコンバレーでは、まさに「iPhone狂想曲」と言えるほどの大騒ぎでした。詳細はコラムで読んでいただきたいと思いますが、改めてSteve Jobs(スティーブ・ジョブズ)の天才マーケッターとしての腕に感心しました。

今日の新聞によると、、RBC Capital Marketsは、2008年末までに、iPhoneは1400万台まで売れると予想しており(アップル自身の予測は、400万台)、さまざまな課題(価格や性能)をかかえてながらも、、「携帯電話・iPod(モバイルメディアプレーヤー)・インターネット接続」という「現代の三種の神器」の機能を持つ、超スーパーブランドiPhoneのローンチングは大成功のようです。

  • アップル:発売開始2日間で50万台を販売
  • アップル:木曜日の時点で95万台を販売
  • アップルの165の小売店舗:一週間でほとんどが売りきれ
  • AT&Tの小売店舗: 24時間以内で売り切れ
  • アップルの165の小売店舗:今は70%のストックあり


このセールス面での成功も重要ですが、今回のiPhoneは、アップルマニアの開発者コミュニティのサポートも期待できる製品開発状況です。

7/6の夕方から7/8の週末にかけて、iPhoneの開発のためのキャンプ「iPhoneDevCamp」が開催されました。200名以上のエンジニア、デザイナー、アントレプレナー、iPhoneオーナーといったアップルマニアが実際に集合して、自主的にこのオンリーワンデバイスがどうしたらより良くなるかをディスカッションしています。運営もすべてボランティアワークで、Adobe Systemsはサンフランシスコのオフィススペースを無料で提供し、Yahoo!やその他の企業も食事や飲料、TシャツやiPhone関連アクセサリを提供するなど、シリコンバレー的なカジュアルでルース(ゆるい)なムードで話し合ったようです。

オープンソースのよさを活かしながら、「自分たちのiPhoneを良くする」というムードに満ちたこのキャンプは、21世紀的なスーパーブランドをつくりあげるために、非常に重要なムーブメントといえます。秘密主義で有名なアップルが、「門戸開放」ともいうべき態度で、iPhoneを開発・向上させようとしていることは、まさに時代を反映した新たなAttitude(姿勢)です。マーケティングも含めて、今後の企業活動はユーザや外部の支援者なしに成功はありえません。究極のWOMM (Word of Mouth Marketing:WOMマーケティング)のマエストロであるスティーブ・ジョブズは、誰よりもそれを熟知しているようです。










大成功だった"JaM Session in Tokyo"

7/5/2007

 
6月は16日から25日まで日本出張、それ以前は今年に入って2回目の「米国最新マーケティング事情」のレポート執筆に追われて、いつものことですが「Blogless(ブログレス)」状態に陥っていました。

今回の日本出張では、打ち合わせや講演以外に、日本では初の試みとして「JaM Session in Tokyo」を開催しました。参加者は、JaMのクライアント、メディアの方たち、広告代理店、広報の方など、私のお付き合いのある方たち21名で、活発な意見やコメントが交わされて、5時半から4時間以上の長時間に渡るエキサイティングなセッションとなりました。内容は、多岐に渡りましたが、私が選んだ以下のキーワードから、聞きたい、話したい内容を、皆さんから選んでいただき、大いにしゃべくりました。参加者からの不満はただ1つ、お腹がすくので、もっと早く軽食を出して欲しい、それとアルコールが早めに出ていれば、もっと舌が滑らかになったということだけでした。

  • Conversational Marketing
  • NIche Marketing
  • Lifestyle-focused Marketing
  • Green Marketing (Eco-friendly)
  • Social Media (Never -Ending Friending)
  • WOMM Branding
  • BR (Blogger Relations)
  • A Reality of "Second Life"


この中で、皆さんが特に関心をもたれたのは、「Conversatinal  Marketing」や「Niche Marketing」で、「広告は会話を招待するものでなければならない」というポイントと、これからのマーケティングのフォーカスは「ニッチ」で、最近米国で成功しているブランドは、「Mega Niche(メガニッチ:100万人のカスタマーを持つ)」と呼ばれる製品やブランド、企業であるという説明に納得していらしたようです。

JaM Sessionは、ジャズのジャムセッションと同様に、ひらめきや即興で、お互いの創造性を引き出して、自由な掛け合いを楽しむ場です。今回も参加者同士の良いChemistry(化学反応)が生まれ、異種業種の方たちの積極的な発言で、大いに盛り上がりました。好評につき、今後年4回ぐらい、定期的に東京で行う予定です。20名ぐらいがちょうどいい人数ですので、それ以上の数になる場合、私の一回の出張で2回、あるいは3回のセッションを行う可能性があります。

そんなわけで、今回も無事に日本出張を終えて、25日に米国に帰国しました。

今回は、恒例の母の米国訪問もあり、彼女と過ごす時間を優先しているので、オフライン状態が続いています。やっと、正常に戻りつつありますが、日本から戻った翌日自宅の下水管が壊れてしまい、さらに母が2日間寝込むというアクシデントに見舞われ、近くのホテルに一時避難するという騒ぎでした。また、おとといは、母がクルマの中で私の買い物を待っているa間に、クルマのセキュリティのアラームシステムが突然作動して、警報を鳴リはじめ、さらにエンジンが動かなくなるというアクシデントに陥りました。AAA(トリプルA:日本のJAFのようなクルマの緊急時のヘルプやサポートをする)を、1時間半待ちながら、母と2人で、何で次から次へといろんなことが起こるのだろうと、考えていました。そうして、昨日は独立記念日で、自宅の前を通るパレードを見て、チキンやソーセージをバーベキューグリルして、大いに食べて、楽しんだ後、修理済みの下水管がまたおかしくなり、今日は朝から再修理が始まっています。1925年に建てられた古い家なので、下水管はクレイ(レンガ)で出来ており、大きな木の根によって圧迫されて壊れてしまいました。2回の修理で、合計6000ドルと大変な出費となり、2日間自宅のトイレや水道が仕えない不便さ、プラス、この請求金額で、踏んだり蹴ったりの気分です。

「Life is not so easy(人生はそんなに簡単なもんじゃない)」という言葉がアタマをよぎりますが、体調を戻した母はそれなりにさまざまな出来事を喜んでいるようなので、その笑顔を見るだけで、気分は晴れます。

彼女が11日に日本に帰国するまでは、なるべくオフラインで過ごします。その後は、いつもの「怒涛のブログ更新」をはじめる予定です。




    大柴ひさみ

    日米両国でビジネス・マーケティング活動を、マーケターとして、消費­者として実践してきた大柴ひさみが語る「リアルな米国ビジネス&マーケティングのInsight」

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