「Flat, flat, flat.
So you can sleep, sleep, sleep.」
はっきり言って、これを見てかなりムカッときて、思わず「Give me one more blanket, please!(私に毛布をもう一枚ください」と叫んでしまいました(なぜこれを叫んだかは、このブログの後半に書いています)。
この広告はUAの国際線のビジネスクラスの新しいサービスの告知広告で、米国の航空会社では初めてシートが180度と完全にフラットになり、15インチのパーソナルヴィデオモニター、iPodのドッキングステーション、ワールドクラスの食事とワインという設備とサービスの強化をうたったものです。
私がなぜ怒ったかというと、先月の日本出張の帰りのUAでの一件があったからです。今回は米国訪問の母と一緒で、私はいつものようにUAのエコノミークラスに座っていました。この飛行機はかなり古い機種で、座席にはパーソナルモニターがついておらず、エコノミー客は昔ながらに画像の悪い大きなモニターを見るか、あるいは通路に吊り下げられている小さなモニターを見なければならないという状態でした。私たち2人は大きなスクリーンのまん前の席で、映画を見るどころではありませんでしたが、エコノミークラスで日米間をしょちゅう往復する長距離通勤者の私としては、このぐらいのことは苦にもならず、まずい食事と不親切なフライトアテンダントも含めて、UAを受け入れています(マイレージメンバーなので仕方なくUAに乗っています)。
今回、私が怒り心頭に発したのは、私の分の毛布をかけても寒さが止まらない母のために、「もう一枚毛布をください」と頼んだところ、「1座席につき毛布一枚が原則で、余分は一切ありません、他の乗客で毛布を使わない人がいるかもしれませんから、その場合にはお持ちします」という、木で鼻をくくったような答えを、フライトアテンダントから聞いたからです。
母は寒さに弱く、このまま10時間もサンフランシスコまで、このままの状態でいたら、本当に病気になると説明しても、そのフライトアテンダントの顔には、何の感情の変化もなく、余分を見つけたら持って来ますと行って、立ち去ってしまいました。私も毛布なしで寒いし、母の状態は悪くなる一方で、業を煮やした私は、再度フライトアテンダントに毛布を頼みましたが、前回と同様の説明をするので、思わず、もうその答えは聞きたくないと怒鳴って、彼女を追い返しました。
この私の怒りの声が彼女たちへアラームとなったらしく、別のフライトアテンダントが新品の毛布を持参しました。ここでのポイントは、毛布は新品だったということで、毛布を使わない乗客から持ってきたものではないという点です。彼らは当然余分の毛布を最初から用意しており、多くのエコノミー客がしょっちゅう「もう一枚毛布がほしい」と言うために、最初はお決まりの文句で断るという、UAのマニュアル通りのカスタマーサービスのひどさが見えました。毛布を持参した後のフライトアテンダントの態度は一変し、不機嫌な乗客対策のマニュアルにしたがって、急につくり笑いで感情を隠しながら、妙に親切な声音で接するために、私はますます不快になっていきました。
現代は「カスタマーサービスが、マーケティングそのものである」といわれるぐらい、カスタマーとのタッチポイントがマーケティング戦略において重要な役割を占めています。今回の経験で痛感したことは、臨機応変(母の状態を見れば、機転を利かせてすぐに毛布を持ってこれたはずです)にカスタマーに接すれば、必ずしも大きな問題にはならないのに、それが問題化するには、そこにカスタマーに対する「誠意のある姿勢」が欠けているからだと思います。この基本の欠落が、カスタマーに「不快なブランド経験」をもたらして、その企業に対する「Bad Mouth (悪口のWOM・クチコミ)」を創出する結果となります。
デルタ航空は、新たなブランディングのために、より多くのカスタマーの声を聞くよう、ウェブサイトを開設し、カスタマーの助言・意見・コメントを直接聞いています。そこから出てきたコメントは「Bigger balnkets, please(大きな毛布をください)」といった切実な意見から、企業が見落としがちなカスタマーの本音が投稿されています。
UAは、どこまでカスタマーの声を聞いているか不明ですが、長年のロイヤルカスタマーの私がただ1つ、彼らにいいたことは、寒さに震える乗客には、すぐに毛布を渡してほしい、ただそれだけです。
「GIve me one more balnket, please(毛布をもう一枚ください)」
PS: 航空会社にしてみれば、航空燃料は高いし、エコノミー客では儲からないので、ビジネスクラスで稼ごうとするのは理解できます。ちなみに以下は、サンフランシスコと成田間のエコノミーとビジネスクラスの価格の違いです。8倍近い価格の差があれば、企業がサービスを強化するのは納得できます。しかし、この差は大きすぎると思います。何とかもう少しリーズナブルにならないのかと思いますが....
- ビジネスクラス: 7,594ドル
- エコノミークラス: 956.23ドル