ひさみをめぐる冒険
  • BLOG
  • About
  • Contact

ひさみをめぐる冒険
サンフランシスコ・シリコンバレー在住マーケターのINSIGHT(洞察)



「Twitterは現代の万葉集になり得るか?」:140文字の縛りは日本語の特性と日本人の価値観にマッチしている。

3/27/2010

 
宣伝会議のセミナーやその他各企業や団体で行った4つのセミナー同様、JaM Media Sessionも好評でした。皆さんの質問も相変わらず活発で、またセッションの実況中継のTweetもあり、みんなエンジョイしたようです。このセッションのハッシュタッグは「#JMS5」で、東急エージェンシーの菊井さんの絶妙なTweetで、かなりブレイクしたみたいです。セッションの中身を参加者の1人のそういちさんがブログでまとめてくれていますので、ぜひご覧ください。私のセッションの発言で最も盛り上がったのは「女の子は4回ぐらい誘われると興味がなくても1回ぐらいデートしてあげようという気になる、3回じゃだめ」というもので、Tweetで一番RTが多かったようです(ちなみにこれは経験に基づく真理です、笑)。

セッション終了後も、また米国に戻ってきてからも、Tweetだけはどんどんしていました。その中で最も興味深かったのは自分のちょっとキャッチーなTweetに、さまざまな反応が起きた点です。自分は意図的にキャッチーにしたわけではなく、セミナーやブログでは言いにくい直感的で本音的なものをTweetしただけですが、結果、多くの人たちのRTやおのおのの意見やコメントを生み、思いもよらぬ広がりが生まれました。F2Fで会う人たちは、職業柄どうしても自分が属するコミュニティ(私の場合はマーケティングや広告の世界)の方が多くなります。ただし、Twitter上では思いもかけない世界やコミュニティの方が、私のTweetにインタラクトして、普段知るよしもない方たちとフラットに会話をすることが可能です。もちろん、私は返信やRTする場合は、相手のTweetを読んで、どんな人で信頼に足るのかという部分を見てから、返信しています。ですので、闇雲にまるっきり知らない人とおしゃべりしている訳でありません。同様なことはフォローする時の基準も然りで、私はフォローする場合その人のTweetを継続的に読みたいと思ってフォローするので、残念ながら自分にフォローされた方を全てフォローできるほどの余裕がありません。

米国でもすでにフォロワーズの数云々で、その人の影響力を測定するのは適切ではないという意見が主流です。むしろソーシャルグラフの中で、その人はどんな風に位置づけられているのかを見ることが重要で、Tweetする人のTweet数とそのRTの数をきちんと見るべきだという意見が出ていますが、私もこれには賛成です。「100万人は、単なるブロードキャスト(放送)」とよく言いますが、ニュースサイトや企業がマーケティングやビジネスのリードとしてやる場合は別にして、「会話」や「ダイアローグ」したいと思ってTwitter利用する場合は、1000人をフォローするだけでも大変だと思います。

過去1週間、自分で日本のTwitter世界をEthnography的に見て、気づいたことは年齢・性別・職業といったデモグラフィックな差異を超えて、みんな本当に140文字に収めるTweetが好きなんだという点です。米国ではソーシャルメディアでの会話は「巨大な井戸端会議」みたいなモノだとよく言われます。これは確かに英語圏では当てはまるような気がします。日本語圏では、140文字の縛りの中で、表意文字である漢字を中心に、英語の2倍以上の中身を盛り込み、さらにひらがな、カタカナなどを駆使して、見た目も絵画的に綺麗に仕上げています。英語のTweetはこの点からもみても、全ての内容を140文字に入れることの無理があり、どうしてもリード的な要素が目に付きます。日本語のTweetは、140文字で完結させるチカラをもち、さらに「言わずもが花」と言った価値観に裏打ちされて、あえて余白を使って、相手に考えさせるという、日本独特のコミュニケーションの効果が目に付きました。和歌や俳句の伝統を持つ日本人の感覚に、この140文字のTweetはよくマッチしており、連歌の流れなのか、RTを入れて、みんながつないで会話しているのが面白いと思います。

今日、自転車をこぎながら思ったのは「Twitterは今の時代の万葉集では?」といったひらめきです。『万葉集』は7世紀後半から8世紀後半にかけて編纂された最古の歌集ですが、そのユニークさは天皇から農民まで幅広い人たちの歌を集めたものという点です。また『万葉集』という書名の意味は、「葉」は「世」すなわち時代という意味があり、万世まで伝わるようにと祝賀を込めたと、ということです。日本の「Twitter」を見ていて、「言祝ぐ」というような印象を持ちました。もちろん、万葉集の中にある、防人の悲しみや恋人たちの愛の歌ばかりではなく、今のTwitterの中には生臭い会話がうようよしています。でも、実名あるいは実名に近いカタチでアカウントを持つので、多くの人たちは真剣に誠実にTweetしているような気がします。日本ではネット上の匿名性が云々されますが、このTwitterのオープン性やフラットな関係論が、その辺の胡散臭さを超えさせる、そんな予感がしました。

まだ、生まれたの赤ん坊という感じのTwitterですので、しばらくはじっくり成長を眺めて、なるべく自然な姿を見てみたいと思います。

画像
米国に戻ってからは、冷蔵庫に食料を買い込み、篭城状態のように、自分を追い込んで、外出せずにひたすらコンピュータと向き合っていました。その間、プロポーザルやコラムなど大至急の懸案事項を片付けて、新たなプロジェクトも始まりました。また、4月にはad:tech SFへの参加も急に決まるなど、キリギリス状態(サラダばかりう食べている私を母はキリギリスと呼んでいます)で働いた甲斐がありました。昨日やっと余裕が出てきて、篭城状態から脱出して、レストランで夕食をとり、今朝は春爛漫の島を自転車で2時間駆け巡ってきました。

閑話休題。好評だった3月11日のJaM Media Sessionの写真をあげます(しかし情けないぐらい遅い更新です)。

米国に戻った私の関心事をTweetでご紹介

3/18/2010

 
米国に戻ってやっとエンジンがかかってきました。ブログレス状態を解除。過去3日間、Tweetは多少していたので、私のビジネスとプライベートの関心事の推移をちょっとエントリします。まずはビジネスの関心事のTweet:

  • Googleの7億5000万ドルのAdMob買収の件、米国モバイル広告の21%を占めるだけにFTCも簡単にGoとは言わない。
  •  「Google+Intel+Sony+Logitech+=Google TVプラットフォーム」グーグルはウエブソフトをTVへ
  • ソーシャルメディアのユーザ別の「どんな情報が欲しいのか?(データ)」
  • comScoreによるFacebookの2009年の年齢構成:24歳以下26.8%、25-34歳23.0%、35-49歳31.6%、50歳以上18.7%。335歳以上が50.7%と半数を超えている。「一般化=オヤジ化」の兆候です。
  • 「Facebookのオヤジ化(年齢層の高い人たちが増える)」はもうすでに始まっているし、今は盛りと咲き誇るFacebook時代も、若年層の流出が始まると、あっという間にかつてのAOLのように(使っていること自体が格好悪い)なるかも。インターネットの流れは速いから。
  • 2日間で23万ビューのバイラルヴィデオ「My Mom’s on Facebook」全世界で4億人以上のユーザがいるFacebookに母親たちが浸入してきて自分たちの場でなくなることを嘆いている。
  • 2009年媒体広告費1253億ドルのうちインターネット(ディスプレイ広告のみ)だけが7%増
  • ページビューの先には?「Split testing, Conversion funnel analysis, Click tracking, Event tracking, Measure Relevancy, Not Your Ego」最後の「自分のエゴではなく関連性を測定する」は至言
  • 「ページビューの死」3/17のReadWriteStartの記事のタイトル、インパクトある。
  •   Facebookの創設者の1人でオバマキャンペーンのソーシャルメディア部門の立役者のChris HughesがNon-Profitのプラットフォーム「Jumo」をスタート。これは注目すべき動きです。
  • Jumoのミッション:「bring together everyday individuals and organizations to speed the pace of global change」 「We connect people to the issues, organizations, and individuals relevant to them to foster lasting relationships and meaningful action」 
  •  昨日米国に帰国。Hiwiseによれば3/13にとうとうFacebookがGoogleを抜き米国のサイトビジットの7.07%を占めてNo1になりました。予想どうりだけどやはり足が速い。
プライベートな関心のTweet:

  • 機内では眠れない私は3つの映画と本(安部龍太郎の「浄土の帝」後白河帝の小説)を読み上げて米国の自宅で爆睡。今朝は真っ青な空と鳥の声で目が覚めました。サマータイムになった米国ではBlackBerryユーザの40%がiPhoneに買い換えたいと言っており、時空の流れを感じます。
  •  サマータイムになって、時間を自分で1時間進めるために、自宅と車の6つの時計やタイマーをいじるのは毎回面倒。「時をすすめる」とそれだけ日照時間が長く使えていいんだけど、15年たっても相変わらず不思議な気持ち。「時を司る」…
  • 2日間近くTwitterアカウントにアクセスしないでいたので、フォローしている人の未読のTweetが異常にたまって、読み始めたら2時間近く時間を費やす。次は山済みされた郵便物のチェックと洗濯(普段「洗濯」という文字を打たないので「選択」という変換になる)と掃除。帰宅時のルーティン。
  • 米国に戻ってびっくりして頭に血が上ったことは420ドルの救急車使用の請求書が送られてきたこと。私は車に接触されて倒れた被害者で事故当時周囲の人たちが警察と救急車を呼んで、私は脈拍と血圧を測られすりむいた膝用のアイスパックをもらっただけなのに。米国の医療制度は根本的に間違っている。
  • 山積みの郵便物の中から、この手の信じられないような請求書がいろいろ出てくる。ある診療所からは間違って他の医師の名前で私の支払いを処理し、その金額は私のカードに返金したから再度請求するので今すぐ払えとか、なんなんだろうこの事務処理のひどさは…ヘルスケアのリフォームどころではない。
  • 孫と夫の初めての会話:夫が1歳半の孫と昨日ヴィデオスカイプして、初めて孫が自分の靴を指差して「My shoe」と言ったらしい。彼がなぜ靴の話をしたのかは分からないけど、笑顔満面の孫の顔を思い浮かべて、私もハッピーです。
  • ヴィデオスカイプは、横浜、サンフランシスコ、ソルトレイクシティという3地点を結ぶ、我が家の重要なユーティリティなので、これがないと本当に困ります。孫の1歳のバースディパーティもヴィデオスカイプで日本から眺めたので、この分だと2歳の時もそうなりそう。
きちんとブログにまとめてエントリするネタを書きましたが、やはり米国に戻ると情報を見る眼が一気に英語化してしまいます。いきなり頭の中のOSが日本語から英語環境に変わり、体内の「米国永住者血中濃度」が高まったようです。さてさて鉢巻して、「米国ネットマーケティング茶話」の原稿に取り掛かります。



    大柴ひさみ

    日米両国でビジネス・マーケティング活動を、マーケターとして、消費­者として実践してきた大柴ひさみが語る「リアルな米国ビジネス&マーケティングのInsight」

    Archives

    May 2020
    April 2020
    March 2020
    January 2020
    November 2019
    August 2019
    November 2016
    October 2016
    May 2016
    April 2016
    January 2016
    December 2015
    August 2015
    July 2015
    June 2015
    May 2015
    December 2014
    November 2014
    January 2013
    November 2012
    August 2012
    May 2012
    December 2011
    November 2011
    October 2011
    August 2011
    May 2011
    April 2011
    March 2011
    January 2011
    November 2010
    October 2010
    September 2010
    August 2010
    July 2010
    June 2010
    May 2010
    April 2010
    March 2010
    February 2010
    January 2010
    December 2009
    November 2009
    October 2009
    September 2009
    August 2009
    July 2009
    June 2009
    May 2009
    April 2009
    March 2009
    February 2009
    January 2009
    December 2008
    November 2008
    October 2008
    September 2008
    August 2008
    July 2008
    June 2008
    May 2008
    April 2008
    March 2008
    February 2008
    January 2008
    December 2007
    November 2007
    October 2007
    September 2007
    August 2007
    July 2007
    June 2007
    May 2007
    April 2007
    March 2007
    February 2007
    January 2007
    December 2006
    November 2006
    October 2006
    September 2006
    August 2006
    July 2006
    June 2006
    May 2006
    April 2006
    March 2006
    February 2006
    January 2006
    December 2005
    November 2005
    October 2005
    September 2005
    August 2005
    July 2005
    June 2005
    May 2005
    April 2005

    Categories

    All
    Book
    Business
    Culture
    Current Affairs
    Game
    Green : 環境・テクノロジー
    Healthy Life
    Influencer
    JaM Media
    Marketing
    Movie
    Music
    Obama Watch
    Online
    Politics
    Religion
    SNS
    Sports
    Technology
    Travel
    TV
    Twitter
    WOM (Word Of Mouth)

Proudly powered by Weebly