ひさみをめぐる冒険
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ひさみをめぐる冒険
サンフランシスコ・シリコンバレー在住マーケターのINSIGHT(洞察)



iMedia Brand Summit 2015(6/15-6/17)に登壇!

6/8/2015

 
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あっという間に6月8日となり、2015年もモタモタしていたら、もう半年が過ぎようとしている。わざわざ「光陰矢のごとし(Time flies!!)」なんて言わなくても、時は確実に過ぎ去る。過去5日間、ケーブルネットワークのAt&Tの酷いサービスにあきれ果てて(シグナルが受信できないというフィジカリーな不具合によって固定電話とケーブルTVが使用できない)、すでにCord Cutterの気分を大いに満喫しつつ、6/13に日本出張に出ます。

今回、まず最初のイベント、6/15-6/17、宮崎で開催される「iMedia Brand Summit」です。海外からはMOATのPresidentのAniq RahmanとBrand Strategist & Social media expertのPhil Pallenと、私の3人です。

「iMedia Brand Summit」の趣旨は以下にあり、ヴィデオでも見られます:
最先端を行くブランド企業のマーケター300名が集う、完全招待制のビジネスサミット。国内外の大手ブランド広告主企業の、選ばれたマーケティング&宣伝担当者が集う完全招待制かつ世界最大級のビジネスサミットです。
業界プロフェッショナル間の活発な議論、関係作りブランド広告主企業のマーケターのみならず、活発なコミュニケーションや関係作りが行われます。

Aniqは、"Measuring attention in the era of digital"というタイトルで、ブランド広告主の間で大きく騒がれていAd Fraud(広告詐欺)の問題について話し、Philは、"New Way of Drawing Branding Strategies in the Era All Connected in Social Media"というタイトルで、ソーシャルメディアを駆使した、ブランド・パーソナリティの構築について語るらしい。

私は3日間サミットに参加して、日本から参加するブランド広告主と最後に一緒に上がって、ラップアップをする予定です。ad:tech san franciscoやtokyoは合計5回登壇しているので、勝手はわかっていますが、今回のBrand Summitは初めてなので、新鮮な気持ちで望みたいと思っています。






「CAUSE marketing(社会貢献型マーケティング)」 の終焉?

6/4/2015

 
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"Billion-Dollar Bombshell"っていうタイトルに惹かれて、思わずクリックしたら、 IKEAが地球温暖化対策に今後5年間で11億3000万ドルを費やすことを発表、っていう記事だった。この数字は半端じゃない。

IKEAは 6億7700万ドルを風力&太陽光エネルギーに、4億5100万ドルを温暖化で最も影響を受ける国々のチャリティ活動に充てるという。CEOの Peter Agnefjallは“Climate change is one of the world’s biggest challenges and we need bold commitments and action to find a solution,” と言っている。このCEOの発言とこの金額は単なるマーケティングギミックではなく、企業のattitudeを示す長期的なコミットメントと言える。私も5-6年前、日本のメディアに「Cause Marketing(社会貢献型マーケティング)」の事例を多く紹介した。当時は、企業のコミットメントは、戦術的な対応で、とても長期的な企業としてのAttitudeとは思えなかった。

ただここにきて、さまざまな企業の動きと、それを見守る消費者の視点を分析すると、「Cause Marketing(社会貢献型マーケティング)」に関して、企業は、それを戦略的なコミットメントなしに自らのブランディングに利用しようとすると、消費者の懐疑心と反発を招くだけということを、かなり痛い目にあいながら、学んだという点にある。

たとえば、Levi'sは環境保護のコミットメントの下で、Sustainabilityを考慮して、ジーンズの製造過程で水を大量に使わない事を目標に掲げ、それに呼応するように、ユーザにジーンズの洗濯でなるべく水を使わずに長くジーンズをはける「Slow Fashion & Sustainability」ともいうべきテーマをコミュニケートしている。またPatagoniaは、長く利用できる製品を製造しているので、頻繁に製品を買う必要はないとして、Don't Buy This Jacketというテーマで、環境への負荷を鑑みて、ユーザに無駄な消費をするなと呼びかける、通常ではありえない企業メッセージを投げかけている。

企業がパブリックに対して、社会貢献の旗を掲げる場合、最も大切なことは、企業メッセージと実践する行動が消費者から見て一致しているかどうかと言う点にある。製品の製造過程(素材、製造過程や施設のエネルギー施策、動物実験の有無、労働力への妥当な対価など)も含めて、企業姿勢と実践する企業行動に不一致を見られた場合、その社会貢献メッセージの信頼性は失われる。

消費者は、企業以上に、冷静で、Smarter(より賢く)で、物事を俯瞰で見ている。マーケティングギミックかそうでないかを、簡単に判断できる大人でもある。大言壮語に近い、くだらないグローバルマーケティングメッセージの広告配信に、莫大な金額を使う企業への監視の目はより厳しくなっている。若年層、Generation (Millennials) Y & Z*は、とにもかくにも、Authenticity & Transparencyを重視する。彼らのメガネにかなわない企業は、今後苦戦を強いられるのは必至であり、グローバルを見つめるIKEAのような企業は、その辺を十分理解した上で、コミットメントをしていると思う。

*米国の世代ごとの人口区分:

  • 12-17歳: 25 million (7.8%)- Generation Z
  • 18-24歳: 31.5 million (9.9%) - Generation Y (Millennials)
  • 25-34歳: 43.5 million (13.6%) - Generation Y (Millennials)
  • 35-44歳: 40.5 million (12.7%) - Generation X
  • 45-54歳: 43.5 million (13.6%) - Generation X and Baby Boomers
  • 55-64歳: 40.1 million (12.6%) - Baby Boomers
  • 65-74歳: 26.4 million (8.3%) - Baby Boomers and Silent Generation
  • 75歳以上:    19.8 million (6.2%) - Silent Generation

netflixの試験的な広告配信に関して感じたこと

6/2/2015

 
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Netflixが、試験的に広告をヴィデオ視聴の前後に流し始めた。Netflixは、HBOモデルで、オリジナルプログラムのプロモーションのためのTrailer(予告編)のみを流し、「第三者の広告」を配信する予定はないとしている(MotherboardはNetflixに情報確認をしている)。いきなり広告を見るはめになった閲覧者は「何だこれは?」といった訝しげな反応をTweetし始めているが、どのくらいの量とどの地域でこの試験的な広告が実施されているかは把握できておらず、今後の展開も今のところ、Netflixからは聞こえてこないらしい。

昨年Netflixのchief product officerのNeil Huntは、「インターネットTVであるNetflixは消費者と直接的に関係を構築できるので広告収入の必要性はない、マーケターは広告するために異なる場所を見つける必要がある」と発言してる。これは言い換えれば、Netflixは消費者からの有料購読収入によるビジネスモデルで、今後も成長を続けられるので、「広告ビジネス」には足を踏み入れない、ということを意味する。

しかし、このNetflixの試験的な広告を見れば、この発言とは異なるシナリオが見えてくる。理由は、Netflixほど、閲覧者のprofileをきめ細かく分析して(詳細な過去のコンテンツの閲覧履歴を持っている)、最適なTargeted Adsを配信できるPublisherはなく、実際に広告ビジネスに踏み込めば、通常のケーブルTV会社よりかなりの高額のレートで広告販売が可能となるからである。Netflixにとって「広告ビジネス」ほど「甘い水」はなく、投資家も株主も大いに喜ぶ大きな収入源となる。もちろん、この場合はユーザがこれを受け入れたと仮定した場合である。

米国のTVは、消費者レベルで見れば、すでに何年も前から「Segmented Media」となっている。一般の消費者は、寡占的なケーブルネットワーク会社によって、見たくもない莫大な数のチャンネルをバンドルされて、インターネット回線とのセットで高額な契約料(人気のHBOやスポーツ番組を見たい場合は$100ぐらいになってしまう)を毎月払っている。ただし、それにも関わらず、多忙を極めて、指定された番組時間に、TVの前に座る頻度が少ない消費者が、実際に視聴しているのは、多分20チャンネルにも満たないと思う。我が家の場合も、AT&TのU-Verseのメンバーで450のチャンネル視聴が可能であるが、スポーツのライブ放送だけがどうしても見たい番組で、それ以外は夕食後のちょっとした時間つぶしでしかない。通常の広告主もTVは「Segmented Media」であることを十分把握しているので、Demographicにあわせた広告を入れており、History  Channelなんかを見ていると、シニア対象の医薬品やサプリメントの広告ばかりで、気分が暗くなる。

米国の消費者は、こうしたケーブルネットワークの囲い込みビジネスを嫌い、そこから逃れようとして、Netflixのようなインターネットによる映像配信によって、低価格で自らが好きな時間にコンテンツを視聴できるサービスに切り替え始めている。またモバイルデバイスの普及は、リビングルームの大型TVスクリーン(インターネット対応のGoogle TVやApple TVであったとしても)で家族そろって番組を視聴する機会を大幅に減らし、映像コンテンツの消費行動はかなり個人レベルに落ちている。こうした環境下で、Netflixは成長を続けており、ユーザ側のデマンドに合わせたカスタマイズされたインターネット経験の提供が、そのビジネスを牽引してきた。


私自身の日々の生活を鑑みても、ニュースや人気コンテンツをTVで見ないで、iPhoneやiPadのアプリで見る頻度が高くなり、ヴィデオ広告(=TVのコマーシャルと言い換えていい)はTVではなくインターネットで接する機会が多い。ここでもケーブルの圧力が働き、加入しているケーブルのログイン情報の入力を要求されるアプリもある。ただし、そうでないものも結構あり、無料アプリを利用している場合は、自然にPre-rollの広告が入ることは受け入れている。問題はその秒数と本数と頻度で、あまりにも長く多い本数の広告を何度も見せられると、自然とそのチャネルを見る気がしなくなる。また、こうした映像コンテンツを気軽に見ている自分の心理は、無料アプリであることが大きな前提で、有料となるとその見方は大きく変わる。

世の中には、手が込んでいて、コピペできないような、質の高い興味深いコンテンツが無料で存在するわけがなく、誰かが、どこかで、その製作と配信に、お金を払うという仕組みが必要となる。それが「広告主」なのか「エンドユーザ」なのかはビジネスモデルによって異なるが、ポイントは「エンドユーザの視聴したいという欲求と行為を邪魔しない」という点にある。ユーザは、その「ビジネスのカタチ」に納得したら、その代償として広告をきちんと受け止めるか、あるいはお金を自らで払う。

Netflixの将来(あるいは近々)の「広告ビジネス」が、契約者であるユーザと、うまく折り合いをつけて、どのように着地するのかは気になるところである。個人的には、早くこの「ケーブルTVのバンドル地獄」から逃れて、アラカルトでTV番組を選べる仕組みに移行したい。オンデマンドのインターネットで映像閲覧はもちろん気に入っているが、時には「PassiveなTV視聴(カウチポテト状態)」というダラダラ感も捨てがたい、これも本音の1つである。

「旅芸人ひさみ」のおしゃべりに興味がある方はどうぞ(動画)

5/28/2015

 
自分が話しているヴィデオを見るのは、はっきり言って「拷問」だと思う。特に私のように、何も事前に用意せず、オーディエンスの前に出た瞬間に、考えるより先に言葉が出てしまうタイプは。台本なしで、ただ自分で作成したPPTを見ながら、講談師のようにしゃべる私は、「旅芸人」なんだとつくづく思う。普段私の文章しか見たことのない人のための、サンプルとして「旅芸人ひさみ」のトークをあげました。お耳障りでお見苦しい場面があると思いますが、お時間があれば、JaM Japan MarketingのYouTubeチャネルをご覧ください。動画は4月に実施した「JaM Session Chabudai-Talk」のサワリのみです。

シリコンバレーの起業家ストーリー:Miselu's C.24

5/24/2015

 
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昨日、もう15年以上の長い付き合いの地元シリコンバレーの友人の吉川欣也さんの3度目の起業となる「Miselu」の第1号製品「C.24 (iPadのためにデザインされたワイヤレスMIDIキーボード)」が届いた。吉川さんのこの3度目の会社Miseluの製品は、2013年8月7日にKickstarterのキャンペーンによって、1253人のBackersによって$136,450の資金調達が達成したところから始まった。
"1,253 backers pledged $136,450 to help bring this project to life." 

シリコンバレーでは数少ない日本人の起業家の1人である彼がC.24を作るという話を耳にして、私はすぐにbackerとなって応援した。全く楽器演奏の素人である私は、以前から自分の楽しみのために楽器演奏を手軽にしてみたいと思っていたので、届いたC.24のアプリをダウンロードして、まずはJoyTunesのPiano Maestroからスタートした。当初製品への理解不足のため、ちょっと悩んでいたが、結果Messengerを経由して、CEOの吉川さんがカスタマーサービスとなって指導してくれたので、無事に使えるようになった。鍵盤の音のみで何か弾いてみたいと思っていて、指を動かしていたら、突然小学校で習った「ドレミの歌」の音符(ドミミミ、ミソソ、レファファ、ラシシ~)が記憶に蘇り、歌を歌いながら弾き始めると、ちゃんと曲ぽくなったのには驚いた。このC.24の詳細はここにあるので、チェックしてほしい。吉川さんは、この製品を軸に新たな音楽のコミュニティが構築できていくと面白いと言っており、何だかちょっとワクワクしてきた。

彼と久しぶりに話をして、1999年彼がまだ日本のデジタルラボ(DML)の社長(彼が最初に設立した会社)であった頃、「ひさみさん、今すぐシリコンバレーで起業したいし、生活もしたい」と相談されたのを思い出した。彼はすでにシリコンバレーで起業する準備は出来ていたが、ビザの発行にまだ時間がかっており、居住者として、すぐに入りたいがそれが出来ないという状況だった。私は東京から夫に電話して、すぐにうちのアパートメントの空き具合を調べて、Co-founderの石黒邦宏さんの分も含めて2部屋分を私たちの名前で借りてほしいと頼んだ。うまい具合に空きがあり、吉川さんと石黒さんは、3ヶ月間しか滞在できない旅行者ビザのまま、すぐにうちのアパートメントに引っ越してきた。居住者でない彼らのために、当初、3世帯分の部屋代、電気水道代の立替、毛布やら食器やら日常すぐに必要なものは全部我が家のものを提供して、若き起業家たちの生活の面倒を見始めた。彼らは1999年9月にIP Infusion Inc. (次世代ネットワークソフトウエア開発)を設立、その後吉川さんは2005年に同社をAccessに売却し、2008年4月にMiselu Inc.を起業している。

彼の発言で印象的だったのは「シリコンバレーは、ワールドクラスのアスリートが集まるメジャーリーグのようなところ。ここに来た以上、評論家や解説者のようにゲームを見て発言しているだけではだめだ。実際に世界の強豪に伍してプレイしない限り、その意味はわからない。僕はここに来た以上メジャーリーガーになる」という発言だった。多分、彼もそうだと思うけど、1995年に野茂がメジャーデビューしたことの影響は非常に大きいと思う。野茂の活躍を実際に目することがなかったならば、今の日本人選手のメジャーでの活躍はなかったと思う。1995年にシリコンバレーに移住した私は、ともすれば挫けるような毎日の暮らしの中で、どれだけ野茂の活躍に勇気付けられたかと思うと(ファンレターも出した)、今でも涙が出てくる。吉川さんの起業家魂と、野茂のプロフェッショナリズムは重なることが多い。


何年かぶりに話したけれども、吉川さんの気負いのない「柔らかく、軽い話し声」を聞いて、なぜか安心した。シリコンバレーでテクノロジー関連で起業家として成功している日本人は非常に少ない。20年間ここに住んでいるが、吉川さんや石黒さんのようなケースはほとんど見たことがない。ここで起業するには、とんでもないエネルギーと才能と努力が必要であるし、それを持ったとしても、必ずしもメジャーで活躍できる可能性は少なく、Triple Aあたりで終わることも多々ある。それでも、やりたいと思う「情熱が起業のガソリン」となる。

そんなこんなで、週末はC.24を弾きながら、久しぶりに起業家のことを考えている。何だか楽しくて、可笑しい!!



UNICorn(ユニコーン)と呼ばれる企業

5/22/2015

 
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以下は米国の「Unicorn(ユニコーン)」と呼ばれる企業価値が$1 billion(10億ドル以上)以上の非上場のプライベート企業のトップ10リスト(Source: CB Insights)。

私が驚いたのは、このユニコーン10社のうち6社の製品やサービスを、私たちがすでに日常生活で当たり前のように頻繁に利用しているという事実。このユニコーンに関して、私のSFべイエリアの友人Ken Miura (CEO of DouZen) が詳細を書いているので、参考にして欲しい。ポイントは「伝説のユニコーン(一角獣)」という意味で使われた、非常に稀な存在であった「ユニコーン」企業が最近はどんどん増えて「群れ」のような状態となっているという点である。CB Insightsによれば、「ユニコーン」企業は、全世界に103社あり、そのうちの65社が米国内に存在し、自分でも感じているように、10億ドル以上の非上場の私企業は、「珍獣」的なポジショニングを失いつつある。

  1. Uber:410億ドル
  2. Palantir Technologies:150億ドル
  3. Snapchat:150億ドル
  4. SpaceX:120億ドル
  5. Pinterest:110億ドル
  6. Dropbox:100億ドル
  7. Airbnb:100億ドル
  8. Theranos:90億ドル
  9. Square:60億ドル
  10. WeWork:50億ドル

SF Chronicleがこのユニコーンという非上場の私企業の価値評価基準について説明しているけど、「ユニコーン」っていう名称のように、上場企業と異なり、この企業の成長を信じたいという投資家の「Fantasy」に近い部分もかなりあり、これらの価値金額を鵜呑みにできないのは、誰でも理解できる部分だと思う。

ユーザレベルで話すと、上述のユニコーン企業のうち、Uber、Dropbox、Squareの3社のサービスは公私ともども必要不可欠なサービスなので、このまま成長を続けて安定した企業となって欲しいと切に願う。以前は自分で車を運転してミーティングや会食に出かけたけど、年々悪化するベイエリアのトラフィックを考えると、Uberに乗って車内で仕事をするというのが習慣化してきている。またファイルの容量の増大や共同作業の多さを考えるとDropboxなしでは、もう仕事ができないし、ユニークなサービスを提供してくれる小規模なマーチャントはSquareなしでビジネスができない。こうやって考えていくと、ユニコーン企業の1つの特徴は、「Game Changer」としての役割で、ユーザレベルにくすぶっていた既存企業や業界・市場への不満を見つけ出し、それを解決するサービスをもたらした企業が「ユニコーン化」しているように思う。

私はマーケターとしての興味から、Uberに乗ると必ず「Uberのビジネス状況、ドライバーの家族、Uberingするメリット&デメリット、Uber利用の客の質etc.」を質問するが、ドライバーが口をそろえていうのは「自分で時間管理ができる自由さ」という点である。おととい乗ったUberのドライバーは著名人のボディガードをやっていて、彼らからアポが入るのは稀なので、普段はUberでお金を稼ぎ、3人の子供たちの面倒を見る時間もつくっているという。ユーザサイドでは支払いのトランザクションもなく、アプリで呼び出せば大体5分以内でくるし、タクシーよりは格安な料金というメリットは非常に大きい。Uberに限らず、利用しながらの取材調査ほど、オンラインだけでは得られない物事の本質を実感できる、「Aha Moment」が起きる。

既存の市場のしがらみを壊すことによって、自社のユニークなビジネスモデルを市場に浸透させていく、「ユニコーン企業」たちが増加するのは悪いことではないと思う。むしろ、市場性を確定しない前に、投資家の思惑によって、無理やり上場して、ビジネスモデルごとつぶれていった企業は多々あり、上場の意味は十分かみ締めるべきだとだと思う。ただ巨大化し続ける私企業に対する、ユーザとしての不安は、ビジネスでもプライベートでも生活の必須要件となった製品やサービスが、突然消失してしまう、あるいはセキュリティ問題が発生するといった点にある。

個人的には、しっかり企業や業界をWatchし続けて、後で自分が泣きべそをかかないように、事前の策を考えつつ、Proactiveに新しい製品やサービスを利用する、こんなことしかないのかなと思う。


PRとは「Public Relations」ってことを忘れていないか?

5/21/2015

 
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昨日はPRについて改めて考える興味深い日となった。最初のミーティングは、地元SFのテクノロジーに特化したIndependentのPR AgencyのVantage PRとのもので、CEOとはもう15年以上の付き合いがあり、社員やオフィスも増えてどんどん大きくなっている。彼女の会社にはとにかく優秀な女性たちが多く、JaMとのChemistryはばっちりで、一緒に仕事をしていて、とにかく気持ちがいい。

彼らと一緒に実施したPRプロジェクトで、印象的だったのは「Thought Leadership」というアプローチによるPR活動で、日本ではほとんど耳にしないアプローチだが、米国では、マーケティング、コミュニケーション、PRなどの業務をたずさっていれば、必ず耳にする言葉で一般的に使われている。

「Thought Leadership」とは、単なる自社商品やサービスに関する情報ではなく、発信者が属する特定の分野において、将来を見据えたテーマや課題の解決策などを提案して、議論を巻き起こすというコミュニケーション活動をいう。発信者は、そうしたConstructiveなコンテンツを発信することによって、そうした情報に関心を持つメディアおよびそのオーディエンスとエンゲージが図れて、その分野においてReputationを獲得することが可能となる。その1つの例としてContributed Articleといった寄稿記事の形態がある。Vantage PRとのプロジェクトでも、彼らが日ごろから密にコミュニケートして関係論を築いているパブリケーションに働きかけ、彼らのオーディエンスにとって有益な情報となりえる、意味のある記事を寄稿することによって、発信者(この場合はJaMのクライアント)の価値を高めるという活動を行った。各々のパブリケーションは、冷静にその寄稿記事の質を判断して、掲載してくれた。もちろん、記事の質も大きく影響するが、Vantage PRの持つメディアとの良好な関係論が大きく影響しているのはいうまでもない。

新製品情報をリリースで流すあるいは何かイベントを実施するといった単発的&散発的なPR活動では、鮮度が落ちれば、メディアおよびそのオーディエンスからの関心度も低下する。PRすなわち「Public Relations」という名称が示すように、本来はパブリック(メディアも含む一般消費者全体)と関係論を構築する継続的な企業のコミュニケーション活動そのものがPR活動である。日本では、なぜか「PRする」という言葉が「広告宣伝する」という風に捉えられており、米国は「Advertising」や「Promotion」と「PR」は大きく異なり、それが日米のPR Agencyの動き方に相違点を生み出しているように思う。

確かに「Thought Leadership」というアプローチは時間と手間がかかり、すぐに目に見える効果が出にくいが、「深度のある質の高いエンゲージメント」へつながる可能性は大で、コミュニティの中で影響力のある人へのリーチアウトが可能となる。また鮮度に左右されないコンテンツは、何年たっても納得させるだけのStrengthを持ち、発信者の信頼性は揺るがない。ポイントは、ターゲティング・オーディエンスが、その発信するコンテンツを「Social Currency」としての意味を認めて、コミュニティにシェアしたいと思うかどうかである。

昨日はこのVantage PRのミーティングの後に、JaMの日本でのPRネットワークの1人であるテクノロジー関連のPRのベテランに、日本のPRの実情を聞いたが、思わず「Jaw-dropping」状態となり、唖然としてしまった。メディアそのものがPRエージェンシーやクライアントに、最初から「枠」扱いで値段をつけて、自社のイベントやコンテンツを「広告媒体」のように販売し、減少する広告費(従来型の広告)の埋め合わせをしているという。もちろん、私もそんなにナイーブではないが、その詳細なやり方を聞くと、そこまでするのかと思うほどだった。

コミュニケーションビジネスの環境は激変している。「悪魔に魂を売り渡す」ではないけれども、一度深い底まで落ちてしまうと、這い上がるのには、物凄い体力がいる。綺麗ごとだけでは生きられないが、「正攻法」の底力は必ず結果を生むと思う。


"Wearable"テクノロジーはInvisibleのほうがお洒落だと思う

5/19/2015

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夢の中で、Google GlassをかけているGeekぽい男性が、Apple Watchを眺めている姿を見て、いきなり目が覚めた。現実にこの2つのWearableデバイスを同時に身に着けている人を目撃したら、実に情けない気分に陥ると思う(Google Glassの 失敗はあまりにも様々な無理が重なった結果だと思う)。

 NPDグループは、2020年(あと5年)までに、グローバルウェアラブルテクノロジー市場のレベニューと出荷台数は25―35%増を予測しており、これからますます、この手のデバイスがいろいろなところで目に付き始めるはず。今週はSFでWearable World Congressも開催されているし、まさに猫も杓子もWearable話をしている感がある。

どの方向にWearable が行くかは色々な論議を呼ぶところとなっているけれども、ファッション業界にとって、最新テクノロジーは新たな付加価値をつける大切な要素で、デザイナーたちはテクノロジーをどんどん取り込んでいる。ハイテックジュエリーや素材そのものに機能を埋め込んだ衣服など、ステルスモードで、静かにファッションの中に溶け込んで行っている。

お洒落な人たちにとって、一番格好悪く思えることは、「誰が見てもその機能を身に着けていることが見え見え状態」になることだと思う。「さりげなさ」が表現できないとWearableは格好悪くなる。Invisibleで、あれって思わせる、その辺が本当にお洒落な人たちから支持される要素となりそう。

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Verizonの44億ドルのAOL買収のキーワードは「オンラインヴィデオ」!!

5/15/2015

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5/12のVerizonの44億ドルのAOL買収のキーワードは、インターネット&メディア企業にとってhot commodityとなっている「オンラインヴィデオ」。

2014年のデジタルヴィデオ広告は48億1000万ドル、今年は77億8000万ドルに達するとeMarketer予測。VerizonにとってAOLは自社のビジネスに欠落しているコンテンツ部門を埋める重要な「Leg」。

AOLのCEOのArmstrongは「モバイルは消費者のメディア消費80%を占めることになる」と予測しており、両社のニーズがマッチしている。Yahooの動きも浮上してきている。

アドテクも含めて、いろんな部分がシャッフルしてくると思う。私のモバイルヴィデオ消費も最近急上昇している。
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SnapchatとMajor League Baseball(MLB)がチームアップ!!

5/15/2015

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SnapchatとMajor League Baseball(MLB)がチームアップ!!

MLBの公式ヴィデオとUser-Generated Baseball ContentがSnapchat上で見られるようになるらしい。すでにMLBのメンバーチームはSnapchatのアカウントを確保して、ファンとのコミュニケートが図れるようにしている。コンテンツは通常のSnapchatのように10秒後に消えずに 24時間見ることが可能。

今年の1月にSnapchatはDiscoverとパートナーシップを結び、それ以降、ESPN、CNN、Vice、 Comedy Central、the Food Network、People、Yahooといったメディアとどんどん契約している。他のプロスポーツ(NFL、NBA、NHL)も、Snapchatでコンテンツをポスティングしている。若年層、特にGen Y(Millennial) やGen Zへのリーチを考えると、Snapchat活用は重要となる。

私が4年ぐらい前に、初めて日本でSnapchatを紹介した時に、日本の人は「そんな?」って顔したけど、現在ユーザ間では1日に7億の写真やヴィデオが送信されて、コンテンツは1日に5億回閲覧されている。Snapchatの市場価格は100億から200億ドルとまで言われている。

「Facebook疲れ」のいくつかの要因は、家族親戚さらにお祖母ちゃんまでが友達申請してくる現状と、オンライン上で劇場的に振舞う友達の虚像に疲れることなどが挙げられる。こうした若者が、「瞬間的に本当に表現したいことを、画像と動画でメッセージできるSnapchat」に惹かれていくのは自然といえば自然な流れ。米国のVisual Influenceの傾向は、これからますます強くなる。

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    大柴ひさみ

    日米両国でビジネス・マーケティング活動を、マーケターとして、消費­者として実践してきた大柴ひさみが語る「リアルな米国ビジネス&マーケティングのInsight」

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