IKEAは 6億7700万ドルを風力&太陽光エネルギーに、4億5100万ドルを温暖化で最も影響を受ける国々のチャリティ活動に充てるという。CEOの Peter Agnefjallは“Climate change is one of the world’s biggest challenges and we need bold commitments and action to find a solution,” と言っている。このCEOの発言とこの金額は単なるマーケティングギミックではなく、企業のattitudeを示す長期的なコミットメントと言える。私も5-6年前、日本のメディアに「Cause Marketing(社会貢献型マーケティング)」の事例を多く紹介した。当時は、企業のコミットメントは、戦術的な対応で、とても長期的な企業としてのAttitudeとは思えなかった。
ただここにきて、さまざまな企業の動きと、それを見守る消費者の視点を分析すると、「Cause Marketing(社会貢献型マーケティング)」に関して、企業は、それを戦略的なコミットメントなしに自らのブランディングに利用しようとすると、消費者の懐疑心と反発を招くだけということを、かなり痛い目にあいながら、学んだという点にある。
たとえば、Levi'sは環境保護のコミットメントの下で、Sustainabilityを考慮して、ジーンズの製造過程で水を大量に使わない事を目標に掲げ、それに呼応するように、ユーザにジーンズの洗濯でなるべく水を使わずに長くジーンズをはける「Slow Fashion & Sustainability」ともいうべきテーマをコミュニケートしている。またPatagoniaは、長く利用できる製品を製造しているので、頻繁に製品を買う必要はないとして、Don't Buy This Jacketというテーマで、環境への負荷を鑑みて、ユーザに無駄な消費をするなと呼びかける、通常ではありえない企業メッセージを投げかけている。
企業がパブリックに対して、社会貢献の旗を掲げる場合、最も大切なことは、企業メッセージと実践する行動が消費者から見て一致しているかどうかと言う点にある。製品の製造過程(素材、製造過程や施設のエネルギー施策、動物実験の有無、労働力への妥当な対価など)も含めて、企業姿勢と実践する企業行動に不一致を見られた場合、その社会貢献メッセージの信頼性は失われる。
消費者は、企業以上に、冷静で、Smarter(より賢く)で、物事を俯瞰で見ている。マーケティングギミックかそうでないかを、簡単に判断できる大人でもある。大言壮語に近い、くだらないグローバルマーケティングメッセージの広告配信に、莫大な金額を使う企業への監視の目はより厳しくなっている。若年層、Generation (Millennials) Y & Z*は、とにもかくにも、Authenticity & Transparencyを重視する。彼らのメガネにかなわない企業は、今後苦戦を強いられるのは必至であり、グローバルを見つめるIKEAのような企業は、その辺を十分理解した上で、コミットメントをしていると思う。
*米国の世代ごとの人口区分:
- 12-17歳: 25 million (7.8%)- Generation Z
- 18-24歳: 31.5 million (9.9%) - Generation Y (Millennials)
- 25-34歳: 43.5 million (13.6%) - Generation Y (Millennials)
- 35-44歳: 40.5 million (12.7%) - Generation X
- 45-54歳: 43.5 million (13.6%) - Generation X and Baby Boomers
- 55-64歳: 40.1 million (12.6%) - Baby Boomers
- 65-74歳: 26.4 million (8.3%) - Baby Boomers and Silent Generation
- 75歳以上: 19.8 million (6.2%) - Silent Generation