私が驚いたのは、このユニコーン10社のうち6社の製品やサービスを、私たちがすでに日常生活で当たり前のように頻繁に利用しているという事実。このユニコーンに関して、私のSFべイエリアの友人Ken Miura (CEO of DouZen) が詳細を書いているので、参考にして欲しい。ポイントは「伝説のユニコーン(一角獣)」という意味で使われた、非常に稀な存在であった「ユニコーン」企業が最近はどんどん増えて「群れ」のような状態となっているという点である。CB Insightsによれば、「ユニコーン」企業は、全世界に103社あり、そのうちの65社が米国内に存在し、自分でも感じているように、10億ドル以上の非上場の私企業は、「珍獣」的なポジショニングを失いつつある。
- Uber:410億ドル
- Palantir Technologies:150億ドル
- Snapchat:150億ドル
- SpaceX:120億ドル
- Pinterest:110億ドル
- Dropbox:100億ドル
- Airbnb:100億ドル
- Theranos:90億ドル
- Square:60億ドル
- WeWork:50億ドル
SF Chronicleがこのユニコーンという非上場の私企業の価値評価基準について説明しているけど、「ユニコーン」っていう名称のように、上場企業と異なり、この企業の成長を信じたいという投資家の「Fantasy」に近い部分もかなりあり、これらの価値金額を鵜呑みにできないのは、誰でも理解できる部分だと思う。
ユーザレベルで話すと、上述のユニコーン企業のうち、Uber、Dropbox、Squareの3社のサービスは公私ともども必要不可欠なサービスなので、このまま成長を続けて安定した企業となって欲しいと切に願う。以前は自分で車を運転してミーティングや会食に出かけたけど、年々悪化するベイエリアのトラフィックを考えると、Uberに乗って車内で仕事をするというのが習慣化してきている。またファイルの容量の増大や共同作業の多さを考えるとDropboxなしでは、もう仕事ができないし、ユニークなサービスを提供してくれる小規模なマーチャントはSquareなしでビジネスができない。こうやって考えていくと、ユニコーン企業の1つの特徴は、「Game Changer」としての役割で、ユーザレベルにくすぶっていた既存企業や業界・市場への不満を見つけ出し、それを解決するサービスをもたらした企業が「ユニコーン化」しているように思う。
私はマーケターとしての興味から、Uberに乗ると必ず「Uberのビジネス状況、ドライバーの家族、Uberingするメリット&デメリット、Uber利用の客の質etc.」を質問するが、ドライバーが口をそろえていうのは「自分で時間管理ができる自由さ」という点である。おととい乗ったUberのドライバーは著名人のボディガードをやっていて、彼らからアポが入るのは稀なので、普段はUberでお金を稼ぎ、3人の子供たちの面倒を見る時間もつくっているという。ユーザサイドでは支払いのトランザクションもなく、アプリで呼び出せば大体5分以内でくるし、タクシーよりは格安な料金というメリットは非常に大きい。Uberに限らず、利用しながらの取材調査ほど、オンラインだけでは得られない物事の本質を実感できる、「Aha Moment」が起きる。
既存の市場のしがらみを壊すことによって、自社のユニークなビジネスモデルを市場に浸透させていく、「ユニコーン企業」たちが増加するのは悪いことではないと思う。むしろ、市場性を確定しない前に、投資家の思惑によって、無理やり上場して、ビジネスモデルごとつぶれていった企業は多々あり、上場の意味は十分かみ締めるべきだとだと思う。ただ巨大化し続ける私企業に対する、ユーザとしての不安は、ビジネスでもプライベートでも生活の必須要件となった製品やサービスが、突然消失してしまう、あるいはセキュリティ問題が発生するといった点にある。
個人的には、しっかり企業や業界をWatchし続けて、後で自分が泣きべそをかかないように、事前の策を考えつつ、Proactiveに新しい製品やサービスを利用する、こんなことしかないのかなと思う。