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ひさみをめぐる冒険
サンフランシスコ・シリコンバレー在住マーケターのINSIGHT(洞察)



YouTubeで見る民主党大統領候補たちの素顔

7/31/2007

 
7/23に行われたCNNとYouTubeのコラボレーションによる、民主党大統領候補者の公開討論会はYouTube上で全38の質問を見ましたが、従来のタウンホールやTV番組の定番的な質問と違って、思いも寄らない直接的な質問がヴィデオで投稿され、やはり時代のうねりを感じます。

面白いなと持った質問は以下です。

  • オバマとクリントンに対して、「How do you address being "black enough" or "woman enough"?(黒人として十分な存在ではない、女性としての十分な存在ではないと、言われているが、それについてどう答えるか?)」
  • クリントンに対して、「Have we had the same two families in charge for too long?(2つの同じファミリー(ブッシュとクリントン)が大統領を占めているのは、あまりにも長すぎるんじゃないか?」
候補者の間で大きな起爆剤となったのが、次の外交問題への質問です。

  • 「Would you meet diplomatically with these countries' leaders?(米国が敵対視する国々の指導者に外交的な会談を行うか?)」


これは、ブッシュ政権が悪魔呼ばわりしているベネスエラのチャベス大統領を含む、イラン、シリア、北朝鮮、キューバの指導者をさしており、そうした指導者に大統領が条件なしで、直接会うことを問いただしており、オバマはあっさりと「I would(私は会う)」と答えています。クリントンは、彼の外交上のナイーブさをあてこするように、軽々しく米国大統領が彼らに会えば、彼らにとって有利なプロパガンダに利用されるので、十分に事前に調べてから、会談を考えると答えています。

私は、この彼女のいかにも政治家らしい答え方や表情、声のトーンを見て、なんともつまらない答えしかしないと、がっかりしてしまいました。確かに、オバマが言うように、直接何の条件もつけずに会談をしたら、米国にとって危険なカードを引く可能性があり、世界全体の外交問題に大きな影響を及ぼすかもしれませんが、クリントンの答えは、現政権とたいして変わらないじゃない、という実感を持ったのは、私1人ではないと思います。

しかし、ヒラリー・クリントンという女性が何か話し始めると、職業弁護士・職業政治家という姿が前面に押し出されて、何とも「コールドな人」だなと感じてしまいます。これは、彼女が女性であるとか男性であるとかというジェンダーの問題ではなく、「温かみ」という特質が出てこない、あるいはない、彼女のキャラクターのそのものの不利な部分です。「氷のように冷たい」とよく表現される彼女は、弁が立って、どんなディベートでも勝てる優秀な政治家・弁護士ですが、米国の大統領は「政治家でも弁護士でもなく」、国民が信頼するリーダーとしての資質が求められます。そのリーダーの資質は、「ユーモアがあり、心底から自然に笑える人柄」といった点が求められ、「優秀でサイボーグやビッグブラザー的な資質」を持つ人は、望まれない、そんな気がします。

私は個人的にはオバマを支持していますが、今回の公開討論会を見ていて、ニューメキシコの州知事のリチャードソンの発言と政策に関心を持ち、さらに彼の人柄に「リーダーとしての温かみと懐の深さと」を感じて、彼でも悪くないなと感じました。民主党が共和党に勝つには、クリントンでは、ダメです。彼女には、「Hillary Hater(ヒラリー・へイター:ヒラリーを憎む人たち)」と呼ばれる彼女を嫌うグループが存在し、彼女は一生懸命、そのポジショニングを変えようとしいますが、いまだに修正されていません。

多分、共和党はクリントンが民主党の大統領候補として選ばれることを、願っていると思います。彼女が出てくれば、不人気な共和党の候補者でも、ヒラリー・ヘイターがいる以上、勝てる可能性があると踏んでおり、オバマやリチャードソンが出てくると、様相が読めずに困る、というのが本音だと思います。

共和党の大統領候補のほとんどは、今回民主党が行ったYouTube形式の9/17の公開討論会への参加を拒否、あるいはそばにオブザーバーをつけないと参加しないと言っており、ずいぶんびびっているようです。YouTube形式は、まさにその場でその人自身の資質が丸見えになり、不人気の共和党候補は、自分たちにどれだけ辛らつな質問が来るかと恐れているのが現状だと思います。

現代は「人々と本音で語る、会話の時代」です。これは避けて通れない現実で、そうした状況に対峙できないとしたら、共和党候補者たちは、「すでに戦わずして民主党に負けた」、そうとも言えます。

良くも悪くも、YouTubeは、現代の政治家の「踏み絵」みたいです。


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    大柴ひさみ

    日米両国でビジネス・マーケティング活動を、マーケターとして、消費­者として実践してきた大柴ひさみが語る「リアルな米国ビジネス&マーケティングのInsight」

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