私のビジネスパートナーは、NYで勤務していた時代もあり、出身地や大学を周囲の人間からよく聞かれ、驚いたと言っています。East Coastのすでに確立された社会では、目に見えない歴然としたクラス(ある種の階級)が存在し、Blue Blood的な何代も続いた家や、そうした家同士のコネクションを重視するという、旧泰然とした概念が残っているようです。
これが、Lands EndのWest Coastに来ると、大きく違ってきます。ゴールドラッシュやAdventureを求めて、あるいは閉ざされた社会を嫌って、この西の果てに来た人たち は、自分自身の才覚を信じ、それによる夢の実現を目指して、努力していきます。ここでは、自分が今見ている相手の実力を検証して、その実力そのものを評価 します。実際に移民や外国人が多いベイエリアでは、出身大学や親の勤務している会社を聞いたところで、誰もそれが良いのか悪いのか判断はつきませんし、そ れを聞く人もいません。
そんな風土のベイエリアで過ごす私ですが、「コンサルタントで成功するにはそれなりの権威が必要だ」という話を耳にして、「うーん」と、うなってしまいま した。私は東京の自由が丘で「大春」という屋号があった果物屋の孫娘(17年までに亡くなった父は自分で新たに店を出して、それをつぶしてしまいました) で、大学は私立の成城大学(専攻はマスコミュニケーションと広告で、ゼミナールの故川上宏教授を心から尊敬しています)。資格といえば、書道の師範の免状 と日米の運転免許証ぐらいしか持っていません。MBAとか何とか多少の権威付けになるようなものは何もなく、その理論からすると成功からほど遠いコンサル タントのようです。
でも、それだったら権威やクラスからほど遠い「どこのウマノホネかわからない」コンサルタントとして、自由にビジネスをしていこうと思っています。この「ウマノホネ」といい方を、「Horse Bone」と勝手に訳して、ビジネスパートナーと一緒にゲラゲラ笑っています。語源は、もちろん中国から来ており、役に立たないものの代表として言われていた言葉「一に鶏肋(けいろく)、二に馬骨」がもとで、
「鶏肋」:ニワトリの肋骨のことで、小さ過ぎて役に立たない。
「馬骨」: 役に立たないうえに、大き過ぎ処分にも困る。
これによって、誰にも必要とされず役に立たない者を意味するようになり、それが、さらに、「大人であるが、成長過程や職業がわからない」といった意味でも使われるようになったそうです。
自分自身は、ビジネス・プライベートを通じて、多少でも社会に貢献できていると信じているので、この「ウマノホネ」の役に立たない者という語源には当ては まらないとは思いますが(思いたいです)、「Horse Borne Consultant」なんて英語で言うと、なんだかとってもユーモアがあって面白く、1人でこの言葉を楽しんでいます。