現在オバマファミリーは、ハワイでバケーション中ですが、こうした経済の悪化もさることながら、中東ではイスラエルとパレスチナの衝突は拡大しており、安全保障問題も大きく米国を揺さぶっています。オバマファミリーが借りているハウスの前には、8人の反イスラエルのプロテスターが手書きで、「Yes we can change U.S. policy toward Israel and Palestine」と書いて、米国政府のパレスチナ政策の転換を求めています。親イスラエルの米国の安全保障政策は、一朝一夕には変えられるものではなく、これは、大統領に限らず米国の政治家にとって、「パンドラの箱」を開けるようなもので、箱を開けること自体が「政治的自殺行為」に例えられています。さすがのオバマ次期大統領も、この抗議グループへのコメントは避けて、引き続きバケーションをエンジョイしているようです。アクティビストたちは、ブッシュ大統領は実質的な影響力を持たない以上、オバマは1月20日を待つまでもなく、その大統領としての影響力を行使して、何らかのコメントを出すべきだと発言しています。これは非常に微妙で難しい問題でです。
ハワイでは停電が起こり、オバマファミリーは一晩電力なしで過ごしています。その間、共和党では、「Barack the Magic Negro」事件も起きており、オバマファミリーは休まる暇もありません。共和党の次期RNC議長候補のChip Saltsmanは、RNC(Republican National Committee)のメンバーに、クリスマスギフトとしてユーモアと風刺を兼ねたと称するCD「Barack the Magic Negro」を送った事件で、多くの人たちの不興を買っています。
クリスマスという時期もさることながら、すでに次期大統領として選ばれたオバマを肴にして、こうしたCDでからかうという行為自体が馬鹿げており、いかに共和党が一般国民の意識を汲み取っていないか、という典型的な例です。これは、もともと保守派のラジオパーソナリティであるRush Limbaughが、2007年3月に、「白人のオバマサポートは人種的な罪悪感から来るものである」というLA Timesの記事をネタに、1963年のフォークソンググループPPMによる「Puff the Magic Dragon」の曲を使って皮肉った替え歌です。 ここでのポイントは、次期RNCの議長候補という倫理的にも、所属政党のリーダーたるべき人が、Limbaughのように政治的なアジテーションを常に行っている人間と同一レベルで、政治的皮肉と称して、次期大統領を人種的に揶揄した点にあります。米国民は、11月4日に人種的な壁を乗り越えて、オバマを大統領に選択しています。共和党の中に、今の時点で、まだこうした「人種差別」を助長するような時代遅れの感覚があるとしたら、これは大きな問題です。米国は、「人種的な差異を捉えて、ガタガタ言える」ほど、余裕のある経済・社会状態ではありません。こうしたニュースを聞いて、一般の人たちの印象は、「何を考えているのか?共和党は。」というのがほとんどだと思います。 あさって米国は新年を迎えますが、とにかく、Chip Saltsmanは、顔を洗って出直してくる、それしかないと、私は思います。この人は、完全にズレています。 |