と言われた2週間が何とか終わりました。
ビジネスパートナーの1週間の休暇と5つのプロジェクトのキックオフが同時に開始され、「宣伝会議」の私のコラムの締め切りも重なり、ほとんど息つく暇も なく、珍しく「ゼイゼイと肩で息をする」、という感じで2週間、猛烈に働いていました。その間、デスクトップは動かなくなるというトラブルも発生し、アタ マの中は、英語から日本語へ、日本語から英語という語学の変換で、ものすごい勢いで動いていました。パートナーが戻ってきて、日本語から英語への変換部分 を、彼女にパスして、今は少しホッとしています。
昨日は、サンフランシスコベイエリアに、ブータンのMinister for Home and Cultural AffairsのLyonpo Jigmil Thinley氏が、「GNP: Gross National Product(国民総生産)」ではなく、「GNH: Gross National Happiness(国民総幸福)」について講演するために、訪れていました。
UC BerkeleyのInternational Houseで行われたパネルディスカッションの参加者は、以下の顔ぶれで、心理学や頭脳研究の科学者が参加しています。
Robert Reich, labor secretary under President Bill Clinton
UCSF emeritus professor of psychology Paul Ekman
UC Davis mind and brain scientist Clifford Saron
Alan Wallace, president of the Santa Barbara Institute for Consciousness Studies
ブータンは、国として「いかに国民が幸せになるか?」を継続して追求しており、物質主義国家へのオータナティブな考え方に基づき、地球の住人として、国土 の26%を野生保護区にして、72%は森林で覆うなど、国家を挙げて努力を続けています。また、自然保護だけでなく、国固有の文化の継続が国民の幸せにつ ながると考えて、1日ミニマム200ドルで観光のためのパッケージを設けて、観光客の数を制限しています(昨年1万3000人)。ブータンでは、物質志向 の社会が、犯罪、精神病、アルコール、家族の崩壊など、さまざまな問題を抱える率が高く、自己中心で利益志向な社会の多くの問題点を指摘しています。
彼の発言の中で耳に残った言葉は、「目指すところは、人間としてのハーモニー」という表現でした。私が子供のころ、日本でよく聴いた言葉です。聖徳太子の 17条の憲法の中の第1条「和をもって尊しとする」という言葉にもでてくるように、日本をさす「和」という言葉には、「ハーモニー」と同じ意味がありま す。
20世紀、21世紀とGNP主導が世界の潮流ですが、国民の幸福のために、国としてGNPではなくGNHだと言い切り、また国民がそれを支持するところ が、ブータンのすごさだと思います。もちろん、私も含めて、これだけ物質主義の恩恵を受けている人間が、そう簡単にブータンの人たちのようなライフスタイ ルで、それを実際に実行できるかというと、疑問を感じますが、なぜか、ブータンの人たちは、アジアの中で最も日本人と顔立ちと似ていると言われて、また民 族衣装も着物との関連性を感じます。
そんなブータンと昨日のライブドアの堀江氏の逮捕の報道を見比べて、2国間の「国民総幸福度」は大きく違うと、改めて実感しました。ブータンは、未来へ進 む道が見えているけど、日本の未来へ通じる道は、どこにあるのか、さっぱりわからない、大きな灰色の雲が日本列島を覆って日本の未来への出口を隠してい る、そんな絵がなんとなく、脳裏に浮かびました。
PS: しかし、日本は、相変わらず「出る杭」を打つ時だけは、すばやい。