世界最大の石油会社(上場企業)エクソンは、第二四半期の利益が117億ドル対前年比14%増で、セールスは1380億ドルです。これは、ハンガリーのGDPにほぼ匹敵する数字です。このBillion(10億)という英語の数の単位の世界になると、いつもそうですが、私は実感が全然わかずに、アタマの中を駆け巡るのは、宇宙のBig Bang(ビッグバン)のイメージです。ヨーロッパのRoyal Duch Shell(ロイヤルダッチシェル)も、116億ドルという記録的な利益を出しており、サンフランシスコ・ベイエリアにある米国最大の石油会社Chevron(シェブロン)も、今日四半期の発表がありますが、同様のかなりの利益増を期待されています。
ガソリンは、1ガロン5ドルに近づく中で、この石油会社の記録的な好収益には、怒りを通り越して、諦めを感じます。
これと正反対な立場で、もがき苦しんでいるのが自動メーカーです。GMがその歴史の中で四半期における3番目に大きな損失155億ドルを出して、セールスは20%減という惨憺たる有様です。燃費の悪いトラックとSUVに依存する企業体質は、このガソリン高騰でとても利益をすぐに生み出せる見通しはなく、アナリストはセールス回復は、2010年までないと推測しています。7月24日には、同じくFordが、第二四半期96億7000万ドルの損失を計上したばかりですが、自動車メーカーも消費者と同様に、この「ガソリン高騰」による苦しみを味わっています。
ブッシュ政権は、輸入石油依存体質の脱却と石油価格を下げるためと称して、「沿岸の石油採掘のモラトリアム」をはずしました。昨年までは、沿岸の石油採掘に反対する人が過半数の52%を占めていたカリフォルニアも、背に腹は変えられないと判断したのか、最近の調査では45%まで落ちて、逆に採掘に賛成する人が41%から51%に逆転するという調査結果が出てきました。共和党はこれにかなり勢いづいており、マケインも含めて、輸入石油依存体質から脱却できないのは、採掘に反対する民主党(オバマを含む)のせいだと主張しています。実際に沿岸採掘が許可されても、それによって石油価格がすぐに下がる可能性はなく、すでに石油会社にはまだ手付かずの6800万エーカー(27万5200平方km)の油田可能なエリアが許可されています。民主党は、まずこのエリアの採掘に着手すべきで、共和党の政治的パフォーマンスともいえる沿岸の採掘論議に怒りを燃やしています。
私は、この民主党の論理は至極明快ですので納得できますが、なぜ多くの人たちが場当たり的な対策としか思えない、沿岸の採掘を簡単に良しとしてしまうのか、理解に苦しみます。調査に質問の仕方にもよると思いますが、事実を明示して、誘導的な質問をしなければ、調査結果の数字は変わってくると思います。
政治家はいつも自分にとって都合の良い数字が出てくると、たちまちそれを武器として、反対政党に突きつけます。今回もその典型的な例ですが、それを防げない民主党も情けない、そう痛感します。