知人に「1日1ブログ」のことを話したら、「1000本ノックの要領ですね」と言われて、「ハタ」と気がつきました。「1000本ノック」、「ランニングハイ」など、スポーツはなんでもそうですが、自分を肉体の限界に追い込むと、身体が自然とそれになれて、苦しみから開放されていきます。中学時代、陸上競技の選手で、都大会やNHK放送陸上などの競技会に出ていた私は、「ランニングハイ」は何度も経験しています。確かに、何kmか一定の距離を走ると、ドーパミンがでてくるらしく、走ることへの苦痛が快感に代わり、それ以降は本当に弾むように走ることができます。これは、結構癖になる快感で、この瞬間のためにがんばると自分を励まして、どんどん走り込んだことを記憶しています。
「1000本ノック」は経験がありませんが、多分、とてつもない回数のノックを捕球することによって、身体が考えなくても自然に動くようになるということだと思います。有名なメジャーリーガーのYogi Berra(ヨギ・ベラ)は、「I can't think when I'm concentrating(自分が集中している時には何も考えられない)」と言って、よく笑われたという逸話がありますが、スポーツにおける「集中と思考」はまったく別世界のものです。頭脳があまり機能しない状態におけるパフォーマンスは、より高度なパフォーマンスを生み出します。そうです、「考えることを止めて、エクササイズにフォーカスする」、これがスポーツのハイパフォーマンスを生む極意です。
私が、以前「Blogless(ブログレス)」に陥っていた大きな理由は、自分がライターであるので、ちゃんとしたものを書かなければというプレッシャーが、頭をよぎり、そのために時間が必要というロジックで、自分に言い訳をして書かなかった、そんな気がします。今は、「1000本ノック」状態ですので、自分が「Care(気にしている)していること」を率直に書くというブログ本来のコンセプトに立ち返っているので、心理的な圧迫感を感じません。「面白い記事を書こう」という欲望さえなければ、日々の思いを書き続けていくことは、出版社に依頼されて書く原稿と違って、「私度(ワタシド=自分の考えや想い:私が勝手に作成した言葉)」が高いので、「ランニングハイ」状態で、楽しく書けます。
よく「情報収集」の重要性を説く人がいますが、私は「情報収集」よりもっと大切なことは「情報発信」だと思っています。オンラインで「情報収集」して、それをOutlookの自分のフォルダーに保存していても、その「情報」は何の役にも立ちません。その情報の価値が、ニュースとして鮮度のみで評価されるものならば、フォルダーの中で1週間も眠っていれば、腐ってしまいます。情報の価値は、その情報に自身の「Insight(洞察)やObservation(観察)」を付加して、発信共有するところに意味があり、他の人とのインタラクションによって、別な角度からその情報に光があたり、思わぬほどまぶしく輝き始めます。
ブログは、そういった意味で、「情報発信共有できる簡単なツール」として、21世紀に生きる私たちに、とんでもない価値を与えています。やはり、「やるっきゃない=Just Do It」ですね。
ちなみに、今日読んで「すごーい」と思ったのは、スピードクライミングの世界記録のお話です。詳細はサンフランシスコクロニクルに書いてありますが、ヨセミテにあるほぼ垂直の岩肌2900フィートのNose of El Capitanを、2時間43分33秒で、地元ベイエリアのHans Florineと日本人のYuji Hirayamaのチームが登りきって、ドイツ人チャンピオンのHuber兄弟が打ち立てた前世界記録を2分12秒縮めたという話です。このスピードは、1分間に17.6フィートをよじ登る計算で、1905年以降24人が何らかのアクシデント亡くなっているEl Capitanで、39歳の日本人がチャンピオンとなっています。Huber兄弟はすでにこの記録を破るべく動き始めたということですが、新チャンピオンたちも、「これはテンポラリーな世界記録」だと言っており、さらに記録を伸ばすために、再度挑戦するようです。しかし、これはとんでもないスピードです!