アイオワでの民主党大統領候補選出大会まで、あと49週間です。米国ではいろんな角度からHillary ClintonとBarack Obamaの比較が議論されていて(今日の新聞では彼のタイなしてちょっとドレスダウンしたファッションが若い人には受けると分析)、傍観者として見る限りだと、中々興味深いものがあります。
特に、45歳のまったくのニューフェースのObama上院議員(オバマ:何となく日本語の小浜という名前を連想して、個人的にはさん付けをして、「小浜さん」と呼んでいます)は、「Different kind of Democrat」と定義されて、従来の民主党らしくない政治家として、「Obama Wave」を巻き起こしています。私も今まであまり彼に注目していませんでしたが、最近かなり報道される彼の言動を見聞きして、徐々に彼に対して関心が高まってきています。昨日も、民主党の大統領立候補者のミーティングの時に各々が登場する際に、音楽を使用するということになり、各々候補者は以下のようなセレクションをしています。
- Hillary Clinton: Jesus Jones "Right Here, Right Now", Bachman-Turner Overdrive "You Ain't Seen Nothing Yet"
- John Edwards: John Mellencamp "This Is Our Country"
- Chris Dodd: Temptation "Get Ready", Four Tops "Reach Out"
- Dennis Kucinich: "America the Beautiful"
- Wesley Clark: Johnny Cash "I Won't Back Down"
このセレクションを見ると、「クサイ」と思うものの、結構みんな個性が出ていて面白いと思いますが、オバマさんは、音楽なしの方が自分にあっていると思ったらしく、「音なしの構え」で登場するようです。
彼は、父親がケニアから学生留学している時に、カンザス出身の母親と結婚して、ハワイで生まれており、ミドルネームはHussein(フセイン)です。祖父の代までイスラム教だったということで、このミドルネームは、今後の選挙戦で、いろいろな角度で標的にされる可能性があります(個人的には、米国の大統領がフセインというミドルネームをもつとしたら、中東諸国との友好関係への足がかりになるのではと思っています)。その後両親は離婚して、母親はインドネシアからの外国人留学生と結婚して、彼はジャカルタに移ります。11歳でハワイに戻った彼は、コロンビア大学で政治学を学び、ハーバードロースクールで弁護士資格を取っています。彼はHarvard Law Reviewで、アフリカンアメリカンとして初めて、プレジデントに選ばれています。その後は、シカゴで市民権を中心とする弁護士活動を続けて、2004年にイリノイ州の上院議員に選出されています。
私は、2004年の民主党大会の彼の演説を聞きましたが、非常にカリスマテックでありながら、真摯な態度に心を打たれる思いがして、政治家らしくない話し方に、これからの未来を見たような気がします。正直言って、この人は「凄い」と思いました。共和党ですら文句のつけようがなく、過去25年間の大会で最高の演説だったと評価されています(Washington Postに全文が掲載されていますが、彼の声をじかに聞いたほうが、その素晴らしさがわかります)。
彼のように「権力へのObsession」を感じさせない政治家は本当に少なく、彼がダークホースとしてヒラリーの前に立ちはだかるのはよくわかります。彼女は、彼と違って「権力へのObsession」が濃厚なタイプで、この2人の対比でそれがますます明白になっています。全米ワイドの人気や知名度は、彼女の大きな武器ですが、彼女の8年間のファーストレディ時代と、2000年から6年間のニューヨーク州上院議員のキャリアは、私から見ると、「またおなじみの政治家が出てきた」という感じで、「もう昔の人はいいよ」という気分になります。マスコミは、女性初の米国大統領候補という言いかたをしていますが、彼女を支持する女性層は、意外に多くないと感じています。彼女の印象は、ファーストレディの時代から、とても冷たく女性をEmpowerする印象を受けません。また、女性が女性であるという理由で女性の政治家を支持するという短絡的な図式は、中々成立しませんし、同性は同性であるということで、異性に対する見方以上に厳しく同性を採点するので、彼女への採点は辛くなる可能性があります。
911以来のアフガン侵攻、イラク戦争、テロとの戦いなど、現在の米国の状況は、ベトナム戦争時の出口や解決のない戦いに酷似した厭戦観が漂っています。そうした状況下では、フレッシュで、自分たちと生活観が分かち合える、「希望の星」となるような人を求めます。オバマの持つ人種的なユニークさと立場、政治家として極端にラディカルではなく理想を追い求める中道的なポジショニングは、そのカリスマ性も含めて、一般受けする可能性が十分あります。彼が大統領候補になる可能性は、非常に薄いといわれていますが、私は女性層と若年層が大きく彼を支持すると見ています。今後の彼の動きは目が話せません。
最近、彼はサーフィンをしているところ撮影されて雑誌に掲載されて、周囲から批判されています。彼はハワイアンだし、サーフィンはハワイアンのライフスタイルだから、私はいいと思いますが、パパラッツイに水着姿を撮られることが問題なんでしょう。しかし、「大統領候補は辛いよ」ということで、今後もひどい中傷・非難など、大変な道が続くでしょう。
オバマさん、がんばって!
PS: 小浜市は、オバマサンにエールを送るためにも、彼を日本に招聘して、演説してもらったらいいと思います。