日本のセミナーとセッションはかなり好評で、参加していただいた方々から、お褒めのコメントをいただき、行った甲斐があったとホッとしています。ただし、参加者のコメントの中で、1つだけショックを受けたのは、「年齢のせいか、日本の話題がちょっと古いように感じた」というコメントです。これは中々きついコメントで、改めてPPTを見直しましたが、日本に関しては「行間を読む文化」という切り口で、日米のコミュニケーションの違いに触れただけなので、この部分の表現がピンとこなかったのかなと、現在考えています。米国では、ほとんど自分の年齢を意識したことがない私ですが、今後はやはりそれなりに「年齢」を考えていかなければならないのかな、何となく思い悩んでいます。
日本ではホテルで講演のPPTを作成している時に、TVで国会中継をちょっと見物しましたが、麻生総理と野党側の質疑応答には、けっこう口アングリ状態でした。何のための議論かが明解ではなく、さらに揚げ足取り、あるいは重箱のスミをつっつくような答弁で、納税者のお金が随分無駄に使われているとしか思えない状態でした。もちろん、私は日本の納税者ではないのであまりいろいろ言う資格はありませんが、気分は結構暗くなりました。
そうした中で、追い討ちをかけるように、中川財務相のG7の「泥酔あるいは風邪薬の大量摂取によるフラフラな状態での会見」を目にして、これはひどすぎると、思わずうめいていしまいました。結果、彼は辞任となりましたが、G7の成果も含めて、世界中が経済危機でのた打ち回っている時に、これはないでしょうというのが、実感です。真っ先に思ったことは、同行した財務官僚あるいは日銀総裁(あの席に同席していた)が、ここまでひどい状態の中川大臣を会見に出させないようにすることが出来なかったのか?という素朴な疑問です。直前まで中川大臣はまともだったという答弁をしているようですが、これは責任を回避する言い訳のように聞こえます。
報道によれば、財務省から20人、金融庁から2人で合計22人がローマに出張して、費用が合計6000万円かかったということです。もし、米国のガイトナー財務長官がこの手の事件が起こせば、米国の納税者の怒りはただではすまない状態になります。中川大臣の公の場での酩酊に関しては、随分前から問題を起しているそうで、アルコール依存症の可能性があるとも憶測されています。もし彼がそうであるならば、彼を財務相という重責に選んだ麻生総理の判断に問題があると思います。アルコール依存症は病気ですし、病人に激務を担わせるのは無理だと思います。日本のGDPはマイナス12.7%と1974年のオイルショック以来の落ち込みになって入る時期のこの事件は、官僚頼みで動く日本の政治家の危機意識の欠落を象徴しているようで、哀しい気分になります。
その間アメリカでは、オバマ大統領の経済刺激策が共和党の激しい反対がありながらも議会を通過して、法案化となり、昨日は住宅ローンを返済できずに「Foreclosure(住宅の差し押さえ)」となった人たちへの2750億ドル(27兆5000億円)の救済計画を発表するなど、相変わらず息つく暇もない活動ぶりです。とにかく、アクションを起さない限り、経済の泥沼から抜け出せないとしたら、やるしかない、そんな気迫をオバマ政権からは感じます。