オバマの祖父Stanley Dunham は1992年に亡くなっており、1995年にはオバマの母Stanley Ann Dunhamが53歳で亡くなっています。オバマを実際に育てた祖母Madelynは、Bank of Hawaii(ハワイ銀行)で、事務員からスタートして、女性で初めてのVice Presidentの位置にたどりついた人で、オバマ一家の重石として、オバマの人生に大きな影響を与えています。
私は、最初にオバマの母親がカンザス出身と聞いて、さらにそのキャラクターと彼女の足跡をみて、「オズの魔法使い」のドロシーを連想しました。人はみんな平等だと信じて、理想を追い求めていたオバマの母Stanley Annは、ハワイでケニア留学生のオバマの父親と結婚し、彼のハーバードでの博士号取得のために、離婚しています。その後、インドネシアからの留学生と結婚して、オバマの妹Maya Soetoro-Ng を生んで、インドネシアに移っています。2度目の結婚の破綻後は、食料配給切符をもらいながら、オバマとその妹を育るという苦労を経験し、その後インドネシアに戻って人類学者としての博士号をとり、後半生はFord財団のもとで、開発途上国の女性のサポートに注力しました。
そんな理想に生きた母を、陰で支えていたのがオバマの祖母です。夢を求めて、オズの世界に行ったドロシーは、家が一番いいと実感して、オズの世界から、カンザスの家に無事に戻りました。私はそんなドロシーを支えていた、地に足の着いたカンザスのイメージを、祖母のMadelyn に見ます。投票日の前日の訃報は、オバマ自身にとって、非常にしんどく厳しい現実だと思います。ただし、投票日に間に合わなかった祖母のMadelynは、結果云々よりも、ここまでオバマが成し遂げたことに、十分満足しており、悔いなく人生を終わらせたと思います。