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サンフランシスコ・シリコンバレー在住マーケターのINSIGHT(洞察)



マケインのオバマ攻撃の広告:「オバマは、リーダーではなく、パリス・ヒルトンやブリットニー・スピアーズと同じ単なるセレブレティである」

7/31/2008

 
海外視察から戻ったObama(オバマ)を、政治アナリストや批評家は、「オバマは大統領になったような態度をしている」、「生意気だ」、「自信過剰だ」という、なかなか辛らつな言い方で論評しています。これには、毎日発表される各社の候補者の支持率調査の数字が関係していると思います。各社の支持率調査を取りまとめて平均値を出するPollster.comによれば、以下のグラフが示すように、7月30日現在では、全米レベルの支持率は、オバマが46.9%、マケインが42%です。

これは、以下のように各社の調査を毎日トラックダウンして平均値を割り出したものです。

  • Gallup(7/28-30):オバマ45、マケイン44
  • Economist/YouGov(7/28-29):オバマ44、マケイン37
  • CNN(7/27-29):オバマ51、マケイン44
  • Rasmussen(7/26-28):オバマ47、マケイン46
  • Research 2000(7/25-27):オバマ51、マケイン39
  • Gallup(7/25-27):オバマ48、マケイン40
  • USA Today/Gallup(7/25-27):オバマ45、マケイン49
  • Rasmussen(7/23-25):オバマ49、マケイン43

USA Today/Gallupだけが、マケインが4ポイントリードとなっていますが、それ以外はどの調査もオバマが最小1ポイント、最大12ポイントまでリードしています。この数字を見て、メディアやアナリストが指摘するのは、「なぜオバマは、マケインを大きくリードできないのか?」という点です。この調査は、時期的にはオバマの海外視察中あるいは終了後です。その間、米国内で失言を繰り返していたマケインを、ベルリンで20万人の観衆を熱狂させて、世界中のメディアの注目を集めて派手なパフォーマンスを行なったオバマが、なぜ大きく引き離せないのか?

マスメディアは、この点をオバマの問題点と指摘しており、メディアが騒ぐほど、オバマはまだ米国民一般にリーチアウトできていないと分析しています。ただし、今の時点での支持率調査を、11月の本選挙の結果と関連付けるのは時期尚早です。特に、今は夏のバケーションシーズンで人々の関心が選挙に薄い時期ですし、両候補者は副大統領候補をまだ選んでおらず、さらに党大会前の数字なので、まだまだ当てになりません。これは、言ってみれば、あくまでも2人の候補者の日々のパフォーマンスを採点する成績表のようなものです。

そんな中で、昨日大いに話題となったのが、マケインの広告です。「オバマは、Britney Spears(ブリットニー・スピアーズ)やParis Hilton(パリス・ヒルトン)のようなセレブレティと同じで、話すだけでアクションを起さない。彼は世界のセレブかもしれないが、アメリカをリードする人間ではない」として、さらに、「オバマは、米国沿岸の石油採掘に反対、新しい税金を提案、税金を上げる、輸入石油を奨励」と、事実とは異なる内容を列挙して締めくくっています。

私が感心したのは、この広告の応酬が、数時間のうちに行なわれたという、そのスピードです。候補者自身もそうですが、制作スタッフやストラテジスト(戦略担当者)も含めて、キャンペーン全体の意思統一がきちんとなされていなければできないことで、オバマキャンペーンの底力を感じます。かつて、私は日本の広告代理店の在籍時に、15秒や30秒のCM制作にかなりの時間とお金を費やしたかを考えると、隔世の感があります。もちろん「YouTube時代」ですので、このスピードがなければ、キャンペーンを成功させることは出来ませんが、一度制作した広告は、高い媒体費を払わなくても、すぐにYouTubeにあげて、それをネットワークTVやケーブルTV局がニュースとして放送するので、非常に安価で効率的であることも大きなポイントです。

マスメディアもブログ圏でも、マケインキャンペーンのこうしたネガティブな攻撃の開始が、いくらなんでも早すぎると論評しています。この「マケインのあせり」については、じっくりまたエントリします。


メディア、ブログ圏、一般も含めて、このネガティブな広告には、疑問と反発が生まれています。マケインキャンペーンは、オバマ攻撃によって、関心を惹くことに注力しており、攻撃内容は事実とかけ離れても、お構いなしで、ひたすらオバマのイメージを壊す、あるいはミスガイドしようとするスタンスです。彼のキャンペーンメッセージは、端的に言えば「Don't vote Obama(オバマに投票するな)」ということで、マケイン自身の強みや政策に言及していません。この広告を見たオバマ自身の反応も、「マケインは、どうやら自分自身に対するポジティブなことを何も言わずに、私のことばかりを話している。あなたたちは、マケインに、彼自身が何をしようとしているのかを聞く必要がある」と、語っています。

このマケインの広告へのオバマ陣営のカウンター広告は、昨日のNY Timesの論説コラムのタイトルからとった「Low Road Express」です。マスメディアも指摘するマケインのネガティブなオバマ攻撃を例に出して、基本的にマケインは政策も政治キャンペーンもブッシュ政権と同じで典型的な従来の政治家であると結論付ける広告です。

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    大柴ひさみ

    日米両国でビジネス・マーケティング活動を、マーケターとして、消費­者として実践してきた大柴ひさみが語る「リアルな米国ビジネス&マーケティングのInsight」

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