日本出張が多い私は、しょっちゅうドルを円に変えており、このドルの価値の下落は本当に痛いものです。また、こうしたドルの弱さと並行するように、米国内のガソリン価格が高騰しており、自宅の近くで給油すると、現在1ガロン3.9ドル近い値段となり、満タンにすると40ドル近い金額を払うことになります。1ヶ月ぐらい前ですが、ブッシュ大統領が記者に、「1ガロン5ドルになると予想されているが、これをどう思うか?」と質問された時に、大統領は「Really! It's interesting.」と答えて、多くの人から怒りを買ったのを思い出します。1ガロン5ドルは、確かに米国人にとって悪夢です。こうした物価の上昇の実感は、身近なところでは、「物価の優等生」といわれる卵の価格にも響いており、今まで安い時は1ダース、1ドル20セントで買えたのが、すでに2倍以上に跳ね上がっています。
米国はすでに気分は、完全に「Recession(景気後退)」に入っており、現在政府のいろんな刺激浮揚策(1人に付600ドルの税金の払い戻し)や、サブプライムローン住宅問題によって自宅を失うことになった人たちへの救済措置等を行っていますが、焼け石に水、あるいは対策が後手後手に回っています。そんな中で、3/27、サブプライム住宅ローンがらみの不適切な投資の損失で倒産寸前になった証券大手会社のBear Stearnsの会長James Cayneが、自身の保有している566万株をすべて売却して、6100万ドル(61億円)の現金を手にしたというニュースを耳にしました。
これって、「ふざけんじゃない!」という言葉以外に何ものでもありません。政府は、Bear Stearnsに緊急支援措置として、290億ドル(2兆9000億円)の借入保証を入れており、それってすべて私たちの税金から払われているものです。この政府の援助がなければ、彼の保有する株価は、ゼロに等しく、これは私たちの税金が、ストレートに彼に現金としてプレゼントされたという図式になります。米国の納税の締め切りは4月15日です。私たちは、それまでに2007年分の税金を払わなければなりません。毎年この時期は、我が家は出費を切り詰めて、家計をやりくりして支払っており、4月は本当に気が重い月です。そんな時にこんな馬鹿げた税金の行き先を見ると、怒るより、むしろ哀しい気がします。
富の偏在を受け入れている、これが米国のリアリティですが、格差はますます広がる、そんな気がします。