おとといは、テキサスの陸軍基地で米国史上最悪の現役軍人の精神科医による大量射殺事件(13人を射殺、30人が重傷)が起こり、昨日は10月の失業率がとうとう10.2%と二桁に達する(1983年以来26年ぶりの高率)という、しんどい状況です。大統領は、この大量射殺事件のメモリアルの出席のために12日の訪米予定が1日延びて13日(金)になりました。
ヘルスケア法案に反対するコンサーバティブな人たちの怒りの声は高まっており、バージニアとニュージャージーでは、民主党の州知事は共和党に敗北を喫し、アフガン増兵問題の結論は火急を要しており、今日は懸案のヘルスケア法案の投票が議会で行われています。
つくづく思いますが、まさに大統領とは過酷な職務です。様々な内外の問題に関して、逐次、タイムリーに決断していかなければならず、結果の良し悪しに関わらず、すべての責任を迫られます。オバマ大統領は、アフガン戦争、イラク戦争、大恐慌以来の経済危機&景気後退という、「前政権の負の遺産の相続者」です。焦点の的のヘルスケアにしても、ルーズベルト大統領以来、歴代大統領が先送りにしてきた困難な問題が、米国の屋台骨を壊すほどすべての面に悪影響を及ぼしているというリアリティを直視して、それを自分の任期中に解決するという困難な道を選んだ結果です。大統領は今日、議会でヘルスケア法案がなぜ今米国に必要かというスピーチを行いました。
「Accountability(説明責任)」:この言葉が象徴するかのように、大統領の目の下のクマは日々色濃くなっており、それとは反対に髪の毛のグレイがますますめだってきています。
選挙戦のセールスピッチと異なり、一つ一つ難問を具体的に解決していかなければならないのが現役の大統領の仕事です。大統領に対する批判は、右からも左からも巻き起こっていて、当然と言えば当然ですが、オバマ政権の「米国民をUnite(ユナイト)させる」というゴールの実現の難しさを実感します。
「Instant Grafitication(瞬間的な満足や報酬)」、この言葉が今の米国社会を象徴していますが、「時間を要することも世の中にある」という考え方を、多く人たちは思い出すべきです。
私が個人的に大統領に感心することは、大統領はもちろん疲れは見えますが、相変わらず「Cool as a cucumber(英語の言い回し:キューリのように冷静)」で、決して感情的なリアクションを起こさない点です。この過酷な状況下で、「米国の「Commander in Chief(最高司令官)」として、世界最大の責任を有するオバマ大統領は、私や家族の命に関わる「下駄を預ける」には、やはり最適だと思います。リアクション型の共和党大統領候補者のMcCain(マケイン)とPalin(ペイリン)が、もし今政権担当者だったら、私は枕を高くして寝ていられないと思います。
毎日さまざまな「決断」をし続けなければならない最高責任者としての大統領の仕事、私だったら無責任で理不尽な非難に対して「やってられないよ」と言いたくとなると思いますが、何も言わず黙々と仕事をする、Hard Workingな大統領に、私はひたすら感謝しています。