大昔、1980年代前半、外資系化粧品会社の広告を担当していた時代、ニューヨーク本社のクライアントに対して、「日本の地下鉄の中吊り広告の影響力」を説得するのが、物凄く大変だったことをフッと思い出しました。当時のニューヨークの地下鉄は治安も悪く、車体はスプレイペイントのいたずら書きで汚されていて、とても若い女性が夜1人で乗れるような状況ではありませんでした。当時ニューヨーク本社のクライアントは、最後までイメージダウンになるからダメだと言っていた車内広告を、日本では掲載費は思いのほか高いが、非常に効果的なメディアであるという理由で、最終的に実際の東京の地下鉄を乗ってもらって「OK」をもらったことを思い出しました。
モットモット古い話(戦争直後)では、私の亡くなった父の最初の結婚相手は、地下鉄の車内広告を取り仕切っていたお金持ちのファミリーのお嬢さんだったという話です。2人の兄(私が一度も見たことがない伯父たち)がレイテ沖で戦死して、結果「繰上げ長男」となった父は、戦後復員してから、無理やり見合い結婚をさせられました。祖母の願いで、将来家業を継ぐためということを念頭に結婚に承知した父ですが、どうやらうまくいかず、わずか2ヶ月で離婚しています。母の話によれば、父の最初の結婚相手は、当時の車内広告という非常に限定的な権利を持っていたので、かなりのお金持ちだったらしく、そんな良縁を棒に振った父ですが、まさか娘の書籍が中吊り広告に掲載されるとは夢にも思わなかったと思います。
てなことを考えていると、今朝は私のブログの読者で、以前から私がどんな話し方をするかということに興味を持っていらした方が、「書籍紹介のヴィデオを見て嬉しかった、しめくくりの部分が共感できます、書籍を購入します」というコメントをいただきました。これは感激ですね。また、前回の日本でのセッションでお目にかかった小鳥ピヨピヨの「いちるさん」から、以下のように、私の言葉が印象的だったというエントリを頂戴しました。
「民主主義とは何か」についてです。
大柴さんは非常に簡潔に、そして当たり前かのように、サラリとこう述べていたのです。
「民主主義とは、参加することです。アメリカでは、『民主主義とは何か』と聞いたら、小学生でも『参加すること』と答えます」
参加すること。ああ、なんてポジティブで創造的な言葉なのでしょうか。
朝からこんな思わず「口笛を吹きたくなるような気分」のコメントや写真を見て、私はかなりHappyです。私が書いたことや言ったことが、少しでも他の方たちを「Inspire(インスパイア=その気にさせた)」出来たとしたら、これはブロガー冥利に尽きます。
皆さん、どうもありがとうございます。