- Lehman Brothers:158年の歴史を誇る投資銀行は、6000億ドル以上の住宅市場への投資の負債を抱えて倒産となり、Chapter 11(会社更生法)を申請。週末は、誰かが買収するという希望が多少漂っていましたが、結局誰も買い手がつかずに、倒産という結果になりました。
- Merrill Lynch:ここもリーマンと同様に500億ドル以上のサブプライムローン関連の負債で、自力で生き残りの道がなく、Bank of America(BOA)に500億ドルで買収されることとなりました。BOAは、このバーゲンプライスで、Citi Groupに対抗する巨大ファイナンシャル企業への道を目指しています。
- AIG(American International Group):世界最大の保険会社AIGは400億ドルの資金が必要となり、NY州知事は、AIGが200億ドルのローンを自社で調達できるように設定しました。ただし、昨晩AIGは、実際には750億ドルを必要しているとしており、350億ドルをサブプライムローン関連で失ったAIGは、かなり危ない状態です。
- Washington Mutual:住宅バブルで大いに儲けたWaMuは、株価が27%減で、すでに2ドルの「ジャンク株」にまで落ちています。次の倒産の可能性は、ここです。
昨日まで、リーマンやメリルに勤務する投資銀行のマネージャーたちは、エリートでしたが、今日は多くの人たちがダンボールに私物を入れて、オフィスを立ち去っていっています。信じられないほどの速度で、米国屈指の投資銀行が壊れていく、これは結構凄いものがあります。ファイナンシャルの専門家がなぜこうした事態を防げなかったのか?住宅ブームのバブルで、彼らが大いに儲けていたのは誰でも知っていますが、そんなおいしい話が、長期的に継続するはずがないのは、私のような素人でもわかります。彼らの「傲慢さ」が招いた、それしか答えはありません。
Obama(オバマ)は、すぐに「1930年代の「大恐慌」以来の財務危機だ」と発言しており、政府は、この崩壊への対応を至急すべきだとと主張しています。McCainは、今朝「米国は本質的には強い」と発言して、メディアから「米国の経済の深刻さを理解していない」と、突き上げられています。Palin(ペイリン)効果で、大統領選選挙が政策論争から「カルチャー論争(女性差別)」に移行してしまい、先週は「リップスティックと豚」の話に終始していましたが、やっと「経済」という本当の政策論に移行しそうです。
今朝は一つだけ納得できたニュースは、政府が住宅ローン会社のFannie MaeとFreddie MacのCEOの「ゴールデンパラシュート(退職金2400万ドル)」を拒否したことです。政府は、この2つの住宅ローン会社は、倒産させるわけには行かないので、政府の管理下で資金支援を行ないます。ただし、この2人のCEOの退職金(Fannie MaeのDaniel Muddには840万ドル、Freddie MacのRichard Syronには1550万ドル)は払いません。あきれてモノが言えないパラシュートです。また、彼らはすでに、2007年に、Muddは1220万ドル、Syronは1980万ドルをサラリーとしてもらっています。
ビジネスに失敗したり、買収されたり、倒産する会社で、真っ先に最もいい条件で、逃げるのはCEOたちです。しかし、今回はFannie MaeとFreddie Macの2人は、逃げれらなかったようです。「逃すな!」です。