- Change vs. Experience(経験を盾にして、変革を求める米国民の声を読み間違えた)
- War Vote(イラク戦争開始への賛成投票。さらにそれが間違いであると認めなかったこと)
- Dysfunctional Campaign(戦略ミスと内部分裂で機能しなかったキャンペーン)
- Overconfidence(クリントンブランドへの過信)
- Bill Clinton(元大統領ビル・クリントンが巻き起こした舌禍)
- Sexism(女性差別のカードを引いた)
まずは一番からですが、今日のNBC/WSJの数字によると、以下のような有権者の「変革と経験」への声があがっています。
- 59%:大統領にとって最も重要なことは、アメリカの前進と進歩に注力すること
- 37%:大統領はアメリカを防衛することに注力すべきだ
- 54%:例え、あまり経験やテスト(大統領として)を経ていなくても、現在のポリシーを大きく変えることが出来る人が大統領として重要。
- 42%:例え、現在のポリシーを変えることがあまり出来なくても、経験があってテストを経た人間が大統領としては重要る。
オバマとマケインの大統領としての評価は以下です。
- Obama(オバマ):47%(5月8日)、46%(4月8日)
- McCain(マケイン):41%(5月8日)、43%(4月8日)
オバマとマケインはどちらが勝つか?
- Obama(オバマ):54%
- McCain(マケイン):30%
こうしたデータを見ても、「経験」を訴えたクリントンが、首尾一貫して「変革」を訴えたオバマに僅差ながらも負けたのが理解できます。
全米平均でガソリンが1ガロン4ドルを突破して、物価およびエネルギーコストの上昇は日常生活に大きな影響を与えており、サプライムローンによる住宅バブルの崩壊、失業率の上昇、消費者の自信指数の低下など、経済の先行きはかなり深刻です。また多くの人たちは、イラク戦争は意味のない理由によってスタートした最悪の戦争という認識を持ち、莫大な戦費の支出は、国民に「どうやったらこの泥沼から脱出できるのか?」という気持ちを植え付けています。ブッシュ政権の支持率は25%と、近年の歴史の中では最低を記録し、多くの国民が大きな「変革」を求めています。
クリントンは、弁護士、知事夫人、大統領夫人、上院議員という彼女のキャリアすべてを「経験」という言葉で包んで、自分は大統領に就任したその日から。すぐに仕事が出来る経験者だと訴えました。ただし、それは、「ブッシュ、クリントン、クリントン、ブッシュ」という過去16年間の既存の政治家の継続にしか見えず、心底この現状を打破したいと思う人たちとはエンゲージできませんでした。
マーケティングにおいて、重要なことの一つは、「時代の風向き」を早くから感じ取る、嗅覚です。オバマは、有名な2004年の民主党大会の演説の時から、足掛け5年間「Change(変革)」を訴えています。彼の嗅覚は、正しかったと思います。