これは、中々興味深い動きです。
Match.com(マッチドットコム)は、1995年に始まったオンラインデイトサイトの草分けサイトで、最近はBaby Boomersにフォーカスしてビジネスを延ばしています。ブーマーズのシングル層は2000年以来350%増と最も早いペースで伸び続けて、全メンバーの11%を占めているといわれています(2007年4月)。
私の周囲にいる米国人のシングルの友人たちも、このマッチッドコムを利用していますが、彼らは、離婚経験が1回、2回あり、キャリアもきちんと確立していて、それなりに年収もある典型的な50代のブーマーズです。私が親しくしている女友達は、離婚途中であることを周囲に宣言した後、すぐにマッチドットコムに、自分のプロファイルと、彼女が希望する男性のルックス、性格、年齢、体型などの情報をアップロードして、相手探しを始めました。最初にマッチドットコムが、彼女にマッチするとして選んだ男性は、何と離婚途中の夫で、彼女が離婚の申し入れをした時に、あれほど離婚を拒んだ彼が、彼女と同様にマッチに真っ先にプロファイルを挙げていたことを知り、彼女は思わず彼に電話をしたということです。私は、この件をすぐに夫に話して(彼ら夫婦は私たちの共通の友人です)、マッチドットコムのマッチングの精度はかなり高いと説明しました。夫は即座に「それは間違っている。だって、彼らは離婚したんだから」と言われ、なるほど確かに結果から見ると間違ったカップリングで、彼らがまたしても似たような相手を探しているのに気がつき、なんともアイロニカルであると実感しました。彼らは、その後正式に離婚も片がつき、現在は2人ともマッチドットコムで見つけたボーイフレンドとガールフレンドと、非常にうまくいっています。
ブーマーズのような大人のシングルは、たいていの場合は離婚経験があり、「出会いを非常にシリアスに捉えて」おり、有料のオンラインデイトサイトの多少高めのメンバーシップや長期的な契約期間でも厭わないというのがポイントで、利用されているようです。大昔は教会、その後はシングルズバー、現代はオンラインデイトサイトが、人との出会いの場となってきており、米国のソーシャルライフは大きく変化してきています。
マッチドットコムは、サイトのサービス向上のために、CEOも含めた社員たちが、毎日1時間カスタマーの不満を聞き、またセキュリティ強化のために、詐欺や虚偽のプロファイルなど不適切な内容がアップロードされないように、ユーザのプロファイルをアップロードする前に、監視しているということです。
もちろんマッチドットコムには、ブーマーズばかりではなく、たくさんの若いシングルのメンバーもいます。ですので、ここがもともと学生相手のSNSとしてスタートしたFacebookと直接つながる機能を持つということは、そうした若いシングルたちにとっては朗報となると思います。以下の2つの仕組みがこの提携でもたらされます。
- Match My Friends:オンラインデイトの候補者をもつ、家族や友人が、本人の許可を得て、彼あるいは彼女のプロファイルを作成するサイトにアップロードするプログラム。これは私の周囲でも多くの人たちが、中々オンラインデイトサイトへの参加に積極的ではないシングルの姉妹や兄弟、あるいは友人のために、プロファイルを作成してアップロードしたという話を聞くので、かなりデマンドはあるはずです。
- Little Black Book:Facebookのユーザがサインアップすると、他のFacebookのユーザでデイトをしたがっている人たちのプロファイルを見ることが出来る仕組み。ユーザたちがサインアップすると、Little Black Bookのユーザは、FacebookのユーザおよびMatch.comのユーザの間から、マッチングしそうな相手がセレクトされる。
急成長するFacebookは、先月発表した新広告システム「Social Ads」の一つの手法「Beacon」で、ユーザのプライバシー問題で大きな反発を食らって、CEOの陳謝とともに、手法の見直しが迫られている中での、このマッチドットコムとの提携です。ここは十分慎重に、このプログラムを展開実施しないと、同様な問題が起こる可能性を秘めています。CGM(Consumer Generated Media:消費者創出のコンテンツ)時代の今は、ユーザがコミュニティをコントロールしており、ビジネス一辺倒に推し進めると、火傷をします。