普段は中々テクノロジーのフォーラムに行く気が起きない私ですが、今回はFLAの皆さんと事前にF2Fでお目にかかって、いろんな話を率直にして、皆さんがフレンドリーでなおかつマーケターの気持ちを理解されているようなので、フォーラムに出かける気になりました。米国でも、技術者とマーケターはお互いに中々相手を理解できず、良いチームワークが取れない場合が多く、そうした場合往々にして、その企業の技術はビジネスに結びつきません。技術者とマーケターはお互いを尊敬して、雑談も含めてさまざまな「会話」を常にし続けることが重要です。異なる発想の者同士の「会話」の中には、普段気がつかない思わぬヒントが隠されていて、それが「宝物」になる場合もあります。私も昨日の余韻が残っているのか、普段得られない刺激をもとに、もう一度自分の仕事や生活を考えてみよう、今はかなりポジティブな気分です。
PS: ちなみに、昨日は年齢や所属の部署や会社に関わらず、「Ph.D」の敬称の方が多く、改めて自分がいつもと違う畑に来ているのを実感しました。そんな中で、若い工学博士の方は、私のブログのファンですと名刺持参でご挨拶に来られて、結構ほっとしました。
毎年開催されているこのFLAのフォーラムは、ホテルとか特別な会場を使わずに、「Open House」形式で、自社の社屋の会議室やカフェテリアを利用して、外部のさまざまなお客さん(VC、アカデミック、技術者、マーケター(私たちみたいなNot technologyの人も含む)を招いて、リラックスしたオープンな雰囲気が特徴です。今年のテーマは、「Innovation for Sustainability」。冒頭のPresidentの松本均さんのご挨拶でも、以下の3つの「P」がボトムラインとして非常に重要で、ビジネスは「よりクリーン、よりグリーン、より無駄のない」ものであるべきだと説明されていました。
- Planet (Environment)
- People (Social)
- Profit (Economic)
その後は富士通研究所の村野社長、Fujitsu AmericaのSVPのMcCormackさん、富士通研究所のSVPの津田さん、SVPの上原さんと4人の方の基調講演が続き、富士通のビジネスとテクノロジーの概観、および今日のフォーラムの見どころを、話されていました。もちろんすべて英語によるスピーチですが、みなさん自然に英語を話されている感じで、外国人の英語(アクセント)に慣れているシリコンバレーの聴衆にとっても、聞きやすかったのではないかと思います。基調講演を聴きながら、初めて富士通の環境の取り組みの大きさに驚き(残念ながら、今まではほとんどこの点に気がつきませんでした)、「Green Policy 2020」という長期的なコミットメントは、カスタマーおよび社会に対して、さまざまな角度から「よりグリーン」にするために、技術・サービス・製品の開発によって貢献するという大目標が掲げられていました。実際に具体的な数値や事例を示しながら、現在進行中のものを説明されていたので、真剣度は実感できました。ただし、これは21世紀の企業としては、ある意味では必須の要件で、さまざまな企業がこれに類似したことを主張しており、「言うは易く行なうは難し」の例え通り、達成するのには多大な企業努力も必要で、今後どこまで実施展開していくのか見つめていきたいと思います。
ランチブレイクでは、「Technology Show Cases」ということで、最新の技術や製品を、実際の担当者の説明を受けながら視察しました。ユニークな発想の興味深い技術や製品のショウケースの概略は、このPDFで見られます。私が面白いと思ったのは、「Visualization」を活用して、ビジネスの効率化を図る「Business Process Visualization and Analysis Technology」です。基調講演でも、事例として「Approval(許可)」を得るためのプロセスを分析した結果、ある会社では4726のフロー(ユニークなフローの数は809件)があり、ある会社は1万8481のフロー(ユニークなフローは8942件)があり、それを実際に「Process Spaghetti(絡まりあったスパゲッテイのようなプロセス)」としてヴィジュアルで見せられました。まさに開いた口がふさがらないという図柄です。こうした普段は隠れて見えないプロセスのスパゲッテイを目で見ることによって、推測ではなく「視覚的な証拠」によってリアリティに接し、その効率化の急務を実感して、最適化が図れるという技術です。私は個人的にこれに一番惹かれました。ビジネスの効率化や最適化で、最も重要なことは古い言い方ですが、「適材適所」です。雇用している社員1人1人を最適な職務に就けて最も効率的に働けるような環境をつくりあげることは、企業の責務です。また、それが出来ないと「不適材不適所」となって、ビジネスの質が下がり、労働時間が長くなってコストがかかります。「許可」を得るためのフローが1万件以上もある図柄を見せられたら、誰もが「ギョット」として動き出します。これは、政府や官公庁あたりにまずやらせてみたいものです。
もう一つのお気に入りは、「Xurch Technology」というウエブ検索のパフォーマンスを促進する新しいプラグインのウエブブラウザーです。すでにサイトもアップされており、既存の検索エンジンやウエブサイトで使えます。